ガンダムビルドダイバーズ:トライ   作:守次 奏

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青瑠璃の杯が足りないので初投稿です。


Ep.44「疾風チャレンジャー」

「コウサカ・チナツ! ウイニングロードアストレイ、出撃するわ!」

「……ま、マフユは、G-エクリプティカで出ます!」

「……ジェニ。プライドマスターガンダムで出る」

 

 俺に続く形で、チナツたちの機体がゲートを通って戦場へとその姿を表す。

 そうして、全員がバトルフィールドに揃ったことを確認して、システムがバトルの開始を告げる。

 チナツの新機体がロードアストレイをベースにしてたのはガンダムベースで作業してたからわかってたけど、ジェニもまた、プライドバーニングを修理するんじゃなくて、新しいガンプラを作り上げたらしい。

 

 ロードアストレイにデスティニーの翼とパルマ・フィオキーナ、そしてシックザールの時のロングライフルを手持ち式に改造したチナツのウイニングロードアストレイ。

 

 そして、ディナイアルガンダムの頭にトライバーニングガンダムの胴体、ブレイジングガンダムの下半身にゴッドガンダムの腕という格闘系でまとめたジェニのプライドマスター。どっちもやりたいことが明白で、いいコンセプトのガンプラだ。

 

 マフユのG-エクリプティカも、ひっそりと作っていたのか、新しい武装、多分手持ち式のビームキャノンを二丁構えている。

 

「へへっ……皆、いい感じだな!」

「当然!」

「私も、頑張った……よ……!」

「……これぐらいは当然」

 

 通信ウィンドウに映るチナツたちの表情は三者三様って感じだけど、気合は十分に伝わってきた。

 あとは「鉄仮面ズ」がどう打って出てくるかだ。

 

「チナツ、索敵どうだ!?」

「問題ないわ、データリンク!」

「サンキュー! さて、どう来る……!?」

 

 チナツのウイニングロードアストレイから転送されてきたデータを見るに、相手の陣形は、隊長機を前に出したオーソドックスなものだった。

 つまり、小細工なしで真正面からの殴り合いをご希望ってことだ。そうだってんなら話は早い。

 なら、こっちも全力で応じるだけだ、といきたいところだけど、まさか有名フォースが何も考えずに突撃陣形を取っているわけじゃないだろう。

 

「探りを入れるわ、マフユ、手伝って!」

「は、はい……っ、チナツさん……!」

 

 相手からの攻撃はまだ飛んでこない。

 つまりチナツとマフユがアウトレンジからの攻撃を得意としているなら、アドバンテージはまだこちらにあるということだ。

 ウイニングロードアストレイが構えた長距離長射程ビーム砲と、G-エクリプティカが構えた二丁のビームキャノンから閃光が迸る。

 

『アウトレンジ攻撃とは……御し難い』

『ユニバース!』

 

 案の定、相手はそれを想定していたかのように、鉄仮面さんのF91……を、ビギナ・ギナIIをモデルにカスタマイズした機体が、随伴していたゴールドスモーを前に出して、Iフィールドによる防御を展開させた。

 チナツもマフユも機体を新しいものに変えたり、新しい武装を作ったりしていたけど、それがビームに偏重しているのは変わらない。

 よく調べられてるってことだ。だけどな。

 

「先行するぜ、チナツ! マフユ! ゴールドスモーの足止めは任せた!」

「ああ、そういうこと……なら行ってきなさい、ユウヤ!」

「……はいっ……!」

『そんな道理、私の無理でこじ開ける! トランザム!』

 

 相手も恐らくは盾役、いわゆるタンクを担っているのであろうゴールドスモーが狙われるのは承知の上だったらしい。

 それを叩こうとしていた意識の隙間を突くように、トランザムを発動したスサノオが急速接近してくる。

 なるほど、三人だったら確かにこの時点で苦戦させられてたかもしれないな。

 

「ジェニ!」

「わかった。ブレイジングキック起動、次元覇王流……聖槍蹴り!」

 

 随伴してくれていたジェニのプライドマスターが放ったブレイジングキックによって強化された聖槍蹴りが、スサノオの構えていた二本のブレードとぶつかり合い、火花を散らす。

 ジェニのプライドマスターもかなり作り込まれているはずなのに、それでも互角に渡り合ってる辺り、「鉄仮面ズ」の評判はガチってことに偽りはなさそうだ。

 今のところフリーで動ける相手は鉄仮面さんのF91とシャアっぽい人のシャア専用リックドム。なら、俺がやるべきは、さっさとゴールドスモーを叩いて、相手の戦力を削いでおくことだ。

 

「行くぜスフィーダ、全開だ!」

 

 スラスターを全開にして、俺はバーニングバーストシステムを起動、腰のビーム・ザンバー改め──「リュミエール・ザンバー」に手をかける。

 こいつはちょっとした変わり種だ。

 だからこそ、あのIフィールドに対する勝算があると踏んで、真っ直ぐに突っ込んでいるのだ。

 

『真っ直ぐに向かってくる……仕掛けるか!』

『ええい、「トライダイバーズ」の新型は化け物か!?』

『フハハハ……しかし怖かろう、そのシステムの弱点は展開時間……しかも機体が耐えられない過剰出力! 何をするかは知らぬが、自滅を待てば済む! その隙に敵の砲撃型を叩け!』

『了解した!』

 

 F91の隣にいたシャア専用リックドムが、俺と同じように遊撃手としてチナツとマフユを叩きに駆け抜けていく。

 その速度は本当に通常の三倍を名乗ってもいいんじゃないかってぐらいに尋常じゃない。多分、切り札を切ったスフィーダといい勝負ができるだろう。

 

「ぐ……っ!」

「……来る……っ……!」

 

 チナツとマフユも多分そろそろ限界だ。

 そこまで作り込まれたIフィールド、そして盾役として二人を釘付けにしていたゴールドスモーに敬意を評して、俺もまた奥の手を切る。

 

「今だ、スフィーダ! 超過排熱機構……イクシードチャージだ!」

『なんと!?』

『ユニバース!?』

 

 バーニングバーストの炎を纏ったスフィーダの速力が更に増大していく。これが、イクシードチャージこそが、バーニングバーストシステムの課題を克服するために考えた、俺の奥の手だ。

 腕部に増設したカバーが展開し、ガンダムDXを参考にしたラジエーターが露出、余剰出力を、炎として排出する。

 これに加えて、閉じていた放熱板も兼ねたウイングを開くことで余剰出力を外に逃しながら更に推進力を強化する。その分操作はかなりピーキーになったけど、自壊のリスクと比べれば安いもんだ。

 

「行くぜぇぇぇっ!」

『こちらのフォローが追いつかない速度か……しかしそれだけ無茶をしたのならば自壊も早まる、御し難いな!』

「それはどうだかな! そしてこれが!」

 

 ビームを受け止めていたゴールドスモーに向けて、俺は抜き放ったリュミエール・ザンバーを一息に振り抜いた。

 Iフィールドによる防護を貫くように、緑色の刀身が上からその透明な壁を叩き斬る。

 

『Iフィールドの上からといったか!? おのれええええっ!』

『Iフィールドを上から叩き斬るとはな……御し難い……!』

「ああ、こいつが俺のリュミエール・ザンバーだ!」

 

 ハイペリオンがアルミューレ・リュミエールを攻撃に転用していたのを参考に、最初からアルミューレ・リュミエールを刃として出力することで、同系統の防護武装に対してのある種特効みたいなものを得る。

 それがリュミエール・ザンバーの真価だった。

 

『ユニバァァァス!』

 

 Iフィールドごと機体を斬り裂かれたゴールドスモーが爆散する。

 こんな時でもロールプレイがブレない辺りは流石というかなんというか、一周回って尊敬するレベルだ。

 それでもまだ、戦況は相手の盾を一枚墜としただけにすぎない。

 

『フハハハ……怖かろう、もうすぐ貴様は自壊するのだ……!』

「いいや、しないね!」

『何だと……!?』

「イクシードチャージ……こいつの真価を見せる時だ! 行くぜ、鉄仮面さん!」

 

 残っていた一丁のビームピストルを、ようやく追いついてきた赤いF91へと、牽制として撃ち放つ。

 実際、牽制のつもりだった。ただ、銃口から迸る閃光は明らかに以前のそれよりも威力を増している。

 バグを改造したのであろう赤いF91の小型シールドを抉り取ったその一撃は、撃った俺でさえ目を疑うレベルだった。

 

『以前のデータとは違う……なるほど、その精度……銃口をメタルパーツに置き換えたか!』

「当たりだぜ! けどな、本命は……!」

『フハハハ……次元覇王流だろう……! ならばこちらも対抗しよう、M.E.P.Eだ……!』

 

 M.E.P.E。質量を持った残像。

 確か、メガ粒子杯の本戦一回戦で、チナツが当たった蒼いクロスボーンガンダムも使ってたはずだ。

 ロックアシストの効果を切るそれは、次元覇王流に対するカウンターとしてはかなりのものだろう。

 

 赤いF91のフェイスカバーが展開するのと同時に、機体が金色のオーラを纏ったかのように淡く発光する。

 動きに合わせて生み出された残像の方をロックアシストは追尾していて、自動照準は当てにならない。

 厄介な攻撃だ。だけど、GBNに絶対は、一強になるようなぶっ壊れ武装は存在していないなら、必ずどこかに攻略の糸口はある。

 

『フハハハ……!』

「当たらねえぜ!」

 

 F91が持っていたショットランサーから放たれるヘビーマシンガンを回避しつつ、俺は次元覇王流を叩き込む前にキャンセルしたことで幸運にもまだ右手に残っていたビームピストルで直撃弾を撃ち落とす。

 このままのらりくらりとやっていれば、いつか相手の方に限界は来る。

 でもそれは、スフィーダも同じことで、戦況全体を俯瞰するなら、チナツとマフユのところに、フリーになったシャア専用リックドムが行ってる時点で悠長にやってる余裕はない。

 

「きゃあっ……!」

「マフユ!」

 

 それを示すかのように、マフユの小さな悲鳴が通信ウィンドウから聞こえてくる。

 よそ見をしている余裕があるのかとばかりに、F91が持っていたショットランサーが放たれて、コックピットにアラートが鳴り響く。

 まずいな。弾自体には質量を持った残像の効果が乗ってないことを逆手にとって、ビームピストルで叩き落としたけど、戦況はこっちが押されつつある。

 

『なるほど良い武装だ……しかし、不慣れなパイロットではな!』

「ああ……っ……!」

 

 いってしまえば、俺たち「トライダイバーズ」が得意にしているのは電撃戦だ。真正面から展開して、各々の火力を活かした上で早期に畳み掛ける。

 新しくジェニがメンバーとして入ってくれたけど、あいつも得意距離は俺と同じクロスレンジだ。同じ次元覇王流使いだから当たり前だと言われればそれまでだけど。

 それはともかく、こうして足止めや工夫を凝らした長期戦になりそうな戦いを俺たちが不得手にしているってのは、とっくに鉄仮面さんが調べ上げているのだろう。

 

「あ、ああ……っ……!」

「アタシがマフユのフォローに入るわ、ユウヤ、アンタはF91を!」

 

 通信ウィンドウに映るG-エクリプティカのコックピットに、イエローコーションが点灯する。

 あのシャア専用リックドムは相当な軽量化と機動力強化が行われているみたいだ。俺がビームピストルにそうしたように、バーニアとかをメタルパーツに置き換えてるんだろうか?

 いや、そんな疑問は後で訊けばいい。今重要なのは、いつの間にかトランザムを発動していたG-エクリプティカを翻弄するほどの機動性が、あのシャア専用リックドムにはあって、ビームキャノンを失ったマフユが今、追い詰められているということだ。

 

 フォローに入ろうかと逡巡した俺を制して、チナツが叫ぶ。

 ジェニはスサノオと格闘戦をやっている以上、確かに今、フリーで動けるのはあいつしかいない。

 

「任せたぜ、チナツ!」

「任されたわ! 赤い彗星だか何だか知らないけど……アタシたちのウイニングロードは揺らがない!」

 

 威勢のいい啖呵を切って、チナツのウイニングロードアストレイが光の翼を展開、G-エクリプティカに一撃離脱を繰り返していたシャア専用リックドムを追跡する。

 これで俺も、鉄仮面さんの相手に集中できるってわけだ。

 ただし相手も黙ってるわけじゃない。こっちも舌を巻くほどの機動性で無数の残像を放出しながら、鉄仮面さんは俺を翻弄するように円運動の動きで、ヘビーマシンガンを浴びせかけてきた。

 

『フハハハ……!』

「そうそう時間は稼がせねえよ……! チナツ!」

「ええ、見えたわ! 正射必中! これがアタシたちのウイニングロード!」

『なんと……っ!?』

 

 シャア専用リックドムを追跡していたチナツが俺の指示で反転すると、手にしていたロングビームライフルで、質量を持った残像を展開している赤いF91の肩に一撃を喰らわせる。

 センサー系の強化と、一部装甲がレアメタルΩでできていることで生存力を強化したチナツのウイニングロードアストレイは、シックザールの時に抱えていた課題を全て片付けた優等生だ。

 ロックアシストに頼らず、目だけで質量を持った残像の本体に一撃ぶち当てるのは、間違いなくチナツの実力だろうけどな。

 

「だったら俺も負けてられねえ! あいつに続くぜ、ストライクスフィーダ!」

『いかん、排熱が追いつかん……! ええい、何故バーニングバーストがそこまでもつのだ!』

「イクシードチャージ……これが俺の新しい力だ!」

『なるほど、放熱フィン……フハハハ、奇しくもこの機体と同じ手段を取ったか……しかもメタリックオレンジのパーツも増設されている!』

 

 揺らぐ炎に覆われている中でもギミックの正体を見抜いた辺り、やっぱり鉄仮面さんの実力は指折りなのだろう。

 だとしても、この一瞬はチナツが繋げてくれたウイニングロード、勝利への道標だ。

 切り札を叩き込むなら、相手が質量を持った残像を維持できなくなった今しかない。

 

「次元覇王流! 疾風突き!」

『御し難い……!』

 

 バグを改造したシールドが、燃え盛るスフィーダの拳を受けて爆散する。

 そして、内部にもその衝撃は浸透していたのか、疾風突きを喰らった赤いF91の左腕はぐにゃぐにゃと歪んでいた。

 

『威力が低いと見込んでいた、疾風突きでこのダメージだと……!?』

「色々と強化されてんだよ、色々とな……! これ以上は言葉じゃなくて拳で語る!」

 

 流石にこれ以上接近戦を挑むのはまずいと踏んだのか、鉄仮面さんの赤いF91は俺から露骨に距離を取りながら、ビームマシンガンを連射する。

 とはいえ、あの赤いF91も得意としている間合いはこっちと大差ないはずだ。

 つかず離れずでちまちまとこっちの耐久値を削っていくつもりなんだろうけど、そうはさせねえ。

 

「次元覇王流! 流星螺旋拳!」

『化け物か!?』

 

 逃げるF91をデブリ帯まで追い詰めて、俺は流星螺旋拳をその胴体にぶち込むために、燃える拳を振りかぶった。

 パルマ・フィオキーナの光と、百二十パーセントまで引き上げたバーニングバーストシステムの炎、二つが一つに絡み合って拳に収束したその一撃は、今までの流星螺旋拳を超えた流星螺旋拳といっていいのかもしれない。

 赤いF91が腕を交差させてガードしたのも虚しく、その両腕ごと、フレームごと、燃える炎の拳は抉り取り、ひしゃげさせ、コックピットに到達する。

 

『御し難い……いや、見事といっておこう』

「ありがとうございます!」

『フハハハ……だが戦いは続いている……ゆめゆめ油断しないことだな……!』

 

 もちろん、そのつもりはない。

 赤いF91を墜としたことで逸る気持ちを抑え込みながら、俺は再び戦況を俯瞰する。

 

「次元覇王流、聖拳突き、流星螺旋拳、閃光魔術蹴り……!」

『なんという力……これぞまさしく愛だ!』

「やかましい」

『お約束を理解しないとは……無粋だな、ガンダム……!』

 

 トランザムを発動したスサノオを食い止めていたジェニも、その太刀筋を見切ったのか、どうやら反撃に転じたようだった。

 次元覇王流による怒涛のラッシュを受けて、強化サーベルがひび割れ、砕け散る。

 そして体幹を崩した相手にブレイジングキックを起動した飛び蹴りからの膝蹴りが直撃し、スサノオの体勢を大きく揺らがせた。相変わらず容赦がない。

 

『ならば死なば諸共! 武士道とは、死ぬことと見つけたり!』

「なにを……!?」

「危ねえ、ジェニ!」

 

 スサノオの武器は二本の強化サーベル「ウンリュウ」と「シラヌイ」だけじゃない。肩と胸部のパーツが展開し、光球が形成されようとする刹那、俺は拳を突き出して、更に機体の出力を引き上げる。

 

「行くぜスフィーダ! イクシードチャージ、百四十パーセントだ!」

『なんとっ……!?』

 

 炎を纏い、燃える流星となって、ストライクスフィーダが駆け抜ける。

 ただ速度と出力に任せて拳を突き出したそれは技とすら呼べないのかもしれない。だけど威力は折り紙付きだ。

 トライパニッシャーを放とうとしていたスサノオの腰が歪んで、その狙いがジェニから逸れる。

 

「感謝するわ、ユウヤ。一瞬でも隙ができれば十分。次元覇王流、旋風竜巻蹴り……!」

『ふっ……愛の前に敗れたか……』

「敵にしてはよくわかっている」

 

 愛かどうかはさておくとしても、俺とジェニのコンビネーションでコックピットを貫かれて撃墜されたスサノオは、テクスチャの塵へと還っていく。

 これで残されたのはチナツが戦っているシャア専用リックドムだけだ。

 

『ええい、冗談ではない!』

「こっちも冗談やってるつもりはないのよ!」

 

 光の翼を広げてシャア専用リックドムに迫るチナツのウイニングロードアストレイは、その速度も出力も、シックザールの時とは比べものにならないほど増大していた。

 一から表面処理をやり直したり、一部を作り直したとはいえ、デスティニーのウイング自体はシックザールから流用しているのに、これだけの違いが出るってことは、やっぱり作り込みだとか、トワさんの言葉を借りるなら、愛の力がなせる技なのかもしれない。

 

「これでぇっ、終わりよ!」

『認めたくないものだな。自分自身の、若さ故の過ちというものを……』

 

 絶対それ言いたかっただけだろ、あんた。

 懐に飛び込んだチナツにアロンダイトを突き立てられると、どことなく満足そうな表情で、顎の割れたシャアみたいな人はロビーに強制送還されていく。

 

【Battle Ended!】

【Winner:トライダイバーズ】

 

 そうして、システム音声が俺たちの勝利を告げる。

 勝った。それもかなりの大金星だ。

 

「っしゃあ!」

 

 コックピットの中で俺は、勝利の美酒を煽るかのように、拳を固めてガッツポーズをする。

 無意識の内にアシムレイトを使っていたのか、どっと疲労感が押し寄せてくるけど、そんなのはどこ吹く風とばかりに強がって、スフィーダと共に掴み取った初めての勝利、その余韻に身を浸す。

 スフィーダだけじゃない。チナツが、マフユが、ジェニがいてくれたからこそ、輝く星に手が届いたのだ。

 

「ありがとうな、スフィーダ。ありがとうな、皆……!」

 

 初めての「挑戦」に成功した喜びは何物にも替えがたいな。

 俺は結んだ縁がもたらしてくれた勝利に感謝を込めて、皆にお礼の言葉を告げた。




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