ガンダムビルドダイバーズ:トライ   作:守次 奏

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第一次有志連合戦編が始まるので初投稿です。


Ep.52「集え英傑、御旗の元に」

 再び俺たち「トライダイバーズ」にお呼びがかかったのは、キョウヤさんに有志連合への参加を許可してもらった翌日のことだった。

 なんでも、本来なら今日、有志連合の結成を大々的に発表するつもりだったらしい。

 それについて先に聞いて大丈夫だったのかと問い合わせたら、関係者筋の中ではキョウヤさん自らオファーに行ったダイバーもいるから問題ない、とのことだった。

 

 相変わらずフットワークが軽いというかなんというか、GBNを心の底から愛しているからこそ、そういうことができるんだろうな。

 しかし、チャンピオン自ら出向いて参加を要請しに行かなきゃいけないほどのダイバーか。こんなご時世じゃなけりゃ、是非とも胸を借りたいところだったな。

 なんてことをぼんやりと頭の片隅に浮かべながら、俺たちはエミリアさんとカルナさんの案内に従って、昨日も訪れた「AVALON」のフォースネスト前に立っていた。

 

「昨日も見たけど本当大きいわね……これ確か、上位のフォースにしか支給されないフォースネストだったわよね?」

「そうなのか? 俺は詳しくないからわからねーけど」

「右に同じ」

「アンタらねえ……はぁ、これじゃアタシがお上りさんみたいじゃない」

 

 正直チャンピオンと話をするってだけでも大分緊張したってのに、とチナツは零したけど、わからないものはわからないんだから仕方ない。

 まあでも、俺たちの使ってる初期支給品と比べるのも失礼なぐらいデカいフォースネストなんだ、上位フォースにしか支給されないって話もさもありなん、ってところだな。

 苦笑する俺と、どこか夢心地なチナツはともかく、その手の話にジェニは根本的に興味がないらしく、そのまま口を閉ざしてつかつかと早足で歩いていた。

 

「アンタ、なんていうかユウヤ絡みのこと以外は本当淡白よね」

「フォースネストの規模は重要じゃない」

「ああ、そう……」

「大事なのはどれだけの実力を持った面子がどれだけ集まっているかの方」

「それは……そうね、あの強化型ブレイクデカール持ちのマスダイバーとやり合うんだから」

 

 ジェニの淡々とした返しに呆れ半分怒り半分といった様子だったチナツも、本題を切り出されてからは真剣な目つきで考え込む。

 再生能力を持つブレイクデカールは、ロンメル隊を、フォースランキング第2位のトップランカーを壊滅させるほどに強力なものだ。

 チナツが言う通り、俺たちはこれから、そんな相手とやり合わなきゃならない。そう考えると大分憂鬱になってくるけど、落ち込んじゃいられない。

 

「相手がなんだろうとやるしかねえよ。それに、キョウスケさんが言ってただろ? 再生する前に叩くか、再生できないほどのダメージを与えちまえば、理屈の上じゃ倒せるはずだ」

「それは……そうね。もしもロンメル隊に敗因があるとしたら、ブレイクデカールを上から潰せる、大火力の武器を持っていなかったことだもの」

「それに、全てのマスダイバーが強化型ブレイクデカールを持っているとも限らない。勝算があるとクジョウ・キョウヤが踏んでいるなら、そしてユウヤがそれに賭けるなら、私も相乗りさせてもらう」

「へへっ、ありがとな、チナツ! ジェニ!」

 

 俺たちの目的はあくまでもマフユの奪還もしくは「シャドウロール」と接触しての情報収集だけど、有志連合に参加する以上、優先すべきは作戦の方だ。

 運良く戦場で出会えることを祈るしかないのは歯痒いけど、GBNが崩壊してしまったら元も子もない。

 とりあえずはどれだけの顔触れが出揃っているのかとばかりに大広間に繋がっている扉を開けると、そこはもうとんでもないほどにびりびりとした空気が伝わってくる、修羅の巷だった。

 

「君は確か……『エターナル・ダークネス』のクオンだったか」

「そういう貴方は私を……ごほんっ、我のヴァイスアルケーを消し飛ばしてくれたFOEさんだな?」

「……範囲攻撃に巻き込んでしまったのなら申し訳ないと言っておこう」

「気にすることでもない。次は我が勝つ。高みにて待っていろ」

「ああ、待っているとも──『ジャバウォックの怪物』と全てをかけて戦える日を」

 

 この前ディビニダドの翼をプラ板から削り出していた、半人半竜の女性といった具合のダイバールックをした、クオンというらしい人と、キョウスケさんが談笑していたかと思えば、この前戦った「鉄仮面ズ」の面々が他のフォースと思しき制服の集団と思い思いに語らっている姿もある。

 

「嘘、あの人って『天地神明』の、個人ランキング10位のテンコ様……!? 滅多に人前に姿を見せないのに……ごめんユウヤ、アタシ、サイン貰ってくる!」

「お、おう……」

 

 俺はまだGBNの事情についちゃ半端者だ。

 だから、誰がどれぐらい凄いかってことについて、具体的な数字だとかデータを持っているわけじゃない。

 それでも、チナツが興奮するのがわかるのは、ここに集まっているダイバーたちがまとっている闘気とでもいうべきものが、神経を逆立てるように伝わってくるからだ。

 

「ふむ、妾のさいんが欲しいとな」

「はい! 是非!」

「構わぬよ、一枚で足りるかの?」

「はいっ! ありがとうございます、テンコ様!」

「良い良い、若き命が、愛が燃え滾るこの感覚は妾にとっても心地よいものじゃ」

 

 テンコ様、と呼ばれていた狐耳の女の人は、チナツの申し出に快く応じて、サインをさらりと達筆で書き上げると、色紙を笑顔であいつに手渡した。

 なんというか、GBNのトップランカーって、フットワークが妙に軽いよな。まあ、気前ってのはいいに越したことはないからそれでいいんだけど。

 すっかり浮かれた様子で戻ってきたチナツと合流して、俺たちはビュッフェ形式で様々な料理が並べられている会食の場を歩いて回る。

 

「あっちにいるのは……眼帯二つつけたザビーネ・シャル……?」

「ダブル眼帯……ああ、ペリシアで会った人か! あの人も呼ばれてたんだな」

「……奇抜なセンス」

 

 確かクロスボーンガンダムX2のジオラマを前に妙にテンションが高い言動をしてたのもあって、記憶に残っていたみたいだ。

 その隣にはペリシアの時と変わらず、包帯で顔の半分を覆った女性が苦笑を浮かべながら立っている。あの人の相棒かなんかなんだろうか。

 それはともかく、チナツが興奮で鼻血を噴き出しかねないぐらい豪華な面々が揃っているこの会食場は、俺とジェニにとっても武者震いが止まらない魔窟だ。

 

「あっちは……『ルミエル・ナイツ』のシャーロットさんね。個人ランキング43位……SD使いの中でも最高峰の一人って言われてるわ」

 

 金髪碧眼に、水色のドレスを纏い、長い王冠を頭上に戴いている背が高いダイバーを指してチナツが言う。

 SDガンダム。確か手足が短くて頭がデカい体型のガンダムをそう言うんだったか。

 手足が短いと近接戦闘とかじゃ不利を背負いそうなもんだけど、それでも「騎士」の名を冠して二桁ランカーにまで上り詰めてるんだから、そのシャーロットって人は相当な実力者なんだろう。

 

「へえ……そいつは一度戦ってみてーもんだな」

「やめときなさい、二桁ランカーは魔物って呼ばれてるぐらいなんだから。アンタなんてどうせ五秒で三枚おろしよ」

「やってみなきゃわかんねえだろうがよ」

 

 強がってはみたものの、FOEさんことキョウスケさんとやり合った時の手応えから察するに、そうなる可能性は否定できないのが悲しいところだ。

 だけど、いつかは追いついてみせる。

 どんなに高い壁だって、どんなに長い道だって、いつかは乗り越えて、肩を並べていけるって、俺はそう信じているからな。

 

「ユウヤの言う通り。戦う前から諦めていたら、その時点で負けている」

「ま、そりゃそうよね。今回ばかりはアンタの言う通りよ、ジェニ」

「当然のことを言っただけ」

 

 淡白な返しにチナツのこめかみにぴくりと青筋が浮かんだけど、これに関してはジェニの方が正しいと俺は思う。

 

「あちらにいるのは個人ランキング15位、『Morgan's Castle』のルーフェア殿……これだけの面子が集まるとは、リヒト……」

「ああ、ただ事じゃないってことだな、アキノ」

 

 チナツとジェニがばちばちと火花を散らして睨み合っている間に俺は、何やら銀色の制服に黒のインナーとネクタイといった具合の格好をした集団とすれ違う。

 あのアキノとリヒトって人たちが言ってたことから察するに、窓際でたそがれているあの銀髪をポニーテールに括った女の人が個人ランキング15位か。随分とまあ豪華な面子が集まったもんだな。

 これもひとえにチャンピオンの、キョウヤさんの人徳ってやつなのだろう。

 

 感心してぼんやりとしていたのか、注意散漫な状態で歩いてたのが災いして、誰かにぶつかる感触が伝わってくる。

 まずいな、俺も浮かれてる場合じゃない。謝らないと。

 

「すいません、ぶつかっちまって……って、お?」

「ああいや、こっちこそぼんやりしてたから……って、あ?」

 

 そこにいたのは、なんの因果かメガ粒子杯で拳をぶつけ合った相手である流しのファイター、コドウだった。

 

「コドウ! お前も呼ばれてたんだな!」

「ああ、その口振り……いや、ここにいるってことはお前もそうか、ユウヤ」

 

 この分だとカールのやつも呼ばれてるのかもしれないけど、なにぶん人が多くて誰が誰やらってところで確かめようがない。

 そんな中で知り合いに、コドウに会えたのは運がよかったのだろう。

 俺たちは軽く拳をぶつけ合って、再会を祝う。

 

「ええ、と……コドウさん、その人は?」

「ん、ああ……シンリとシーエオは初めて会うんだったな。こいつはユウヤ。メガ粒子杯で俺が戦った相手だ」

「ユウヤ……確か、メガ粒子杯で優勝した人、ですよね?」

 

 シーエオと呼ばれていた、バニー姿のダイバールックに身を包んだ女の子がそう問いかけてくる。

 なんだかんだで結構知れ渡ってるもんなんだな。

 とはいえ、隠す理由もないから俺はその疑問を肯定する。

 

「ああ。そのユウヤで間違いないです、えっと……シーエオさん」

「いえいえとんでもない! むしろ私なんかが恐れ多いというかその、気を遣わなくても大丈夫ですから……!」

「そっか、じゃあ俺もタメで構わないぜ、シーエオ!」

「うひゃあ……陽の民だ……あっはいよろしくです、ユウヤさん……」

 

 陽の民とやらがなんなのかは知らないけど、とりあえずは自己紹介を終える。

 そして、ジェニと何か因縁があったのか、それとも格闘家として引き合うものを感じていたのか火花を散らしていたコドウに向き直って、俺は問いを投げかけた。

 

「この二人はコドウの友達なのか?」

「友達……まあ、そうなるな。色々あったんだけど、正直説明が難しくてな」

「ああ、こっちもその辺まで踏み込むつもりはねーよ。それじゃあな」

「待て、ユウヤ」

 

 会場を回るのに戻ろうと踵を返した俺を引き止めて、コドウは目の前に全力で拳を突き出してきた。

 幸い顔面に直撃することはなかった、というか寸止めしてくれたから助かったものの、もしコドウにその気があったら俺は今頃会食場のテーブルを薙ぎ倒して、壁に叩きつけられていただろう。

 そうしてその拳から、俺は朧気ながらもコドウが言いたかったことを理解する。それは。

 

「ユウヤ……お前、迷ってるな?」

「コドウ……」

「なんで迷ってるかは訊かねえ。でもな、お前は俺に勝ったんだ。そんなやつが辛気臭く背中丸めて歩かれてちゃかなわねえ」

「……俺は」

 

 迷っている。そうだ。あれこれと頭の中で理屈を並べ立ててこそいるものの、俺が結局心配してるのは、マフユについてのことだ。

 もしもマフユに会えたとして、ちゃんと話を聞いてくれるのか。聞いてくれたとして、俺たちのところに戻ってきてくれるのか。

 そして、ジェニから言われた「俺だけの言葉」という課題。その探し物はまだ、見つかりそうにない。

 

 だからこそ、迷って──気が抜けていたのだろう。

 コドウの闘志を滾らせた瞳に映る俺のそれは、情けないほどに虚ろで、ぼんやりしていた。

 

「迷うんじゃねえよ、ユウヤ。お前は……俺の目を覚まさせてくれた拳を持ってんだ。お前が思ったことを、やりたいことをその拳で貫き通せ。生憎お前の抱えてる事情はわかんねえけどな、それだけはわかる」

 

 だから、お前の拳を貫き通せ。

 コドウは苦笑すると、固めた拳で俺の胸を小突いてみせる。

 言われてみればその通りだ。今更なにを怖気付いているんだ、俺は。

 

 マフユに謝りたい。もう一度皆で過ごした日々を取り戻したい。願いを確かめてみれば、それはひどくシンプルなものに感じられた。

 そうだ。あれこれと言葉を尽くすより、考えるより、いつだって俺はこの拳で道を切り開いてきたはずだ。

 だったら、今回も同じことだ。マフユとは言葉だけじゃなく拳で語り合う。それがきっと、ジェニが言っていた「俺だけの言葉」にも繋がっているのかもしれない。

 

「へへっ……ありがとうな、コドウ」

「ダチが困ってんだ、このぐらいお安い御用ってもんだ」

「ああ、もう迷わねえ……もう怖気付かねえ。俺はこの拳で全てを取り戻す!」

 

 ぐっ、と拳を固め、俺はそれを天高く掲げてみせる。

 俺だけの言葉。俺の拳に込める、マフユへの想い、それは。

 今までマフユと過ごしたいくつもの日々が頭をよぎった、その時だった。

 

「な、なになに? なんなの……!?」

「これは……エンジン音か!?」

「皆、窓の外を見ろ!」

 

 轟音が響き渡り、びりびりと窓ガラスと大気を揺らす。

 誰がそう言ったのかも定かじゃないまま、俺たちは最初に言い出したダイバーの指示に従う形で、開け放たれた会食場の窓の外へと視線を注ぐ。

 そこにあったのは、巨大な艦影としか言いようのないものだった。

 

「あれ……微妙に改装が入ってるけど、ラー・カイラム級……!? 随伴艦の三隻は……随分改装されてるけどアレキサンドリア級!? もしかしてあれ、1/144スケールで全部フルスクラッチしたの!?」

 

 チナツが驚愕に目を見開きながらそう叫ぶ。

 フルスクラッチとやらがどれほどの難易度なのかは、クオンさんがディビニダドの翼をプラ板から削り出していた時点で察せられたし、ストライクスフィーダを作った時に身に染みてわかっていた。

 あれだけのデカブツを作り出すとなれば、その苦労は尋常じゃないだろう。

 

「ははは! その通りだよチナツ君!」

「その声は……アトミラールさん!」

「久しぶりだね、ユウヤ君。我々『GHC』も此度の集まりに呼ばれたものでね、つい童心に火がついてしまったといったところだ!」

 

 アトミラールさんが、随分興奮した様子でそう語る。

 多分だけど、あの戦艦に乗り合わせてる人たちが、俺たち「トライダイバーズ」の初陣を飾ることになった「GHC第八十八特務分隊」の元締めであるフォース、「GHC」の本隊といったところなのだろう。

 確か二万の戦力を有してるって話だから、その中でも精鋭を集めてきたのかもしれない。問題はその精鋭の規模があまりにデカすぎることなんだけどな。

 

 あまりの出来事に会食場がざわざわと喧騒に包まれる中、無事フォースネスト近くに着陸した戦艦からぞろぞろと精鋭を引き連れたアトミラールさんが、扉を開く。

 その数は、ざっと五十近くといったところか。若干少なく感じるのは多分感覚がバグってるからだろう。

 それに、五十は五十でも二万から絞り込まれた五十人だ。マスダイバーを確実に潰してやるという強い意志を感じる。

 

「さて……諸君、お騒がせして申し訳ない。先ほども申し上げた通り、我々『GHC』も此度の集まりに呼ばれた故に馳せ参じたといったところさ」

「戦艦で乗りつけるとは……相変わらず貴方らしいですね、アトミラール」

「そう言ってくれるな、ルーフェア。さて……これで役者は揃ったと言ったところかな?」

 

 ルーフェアさんの言葉に苦笑と共にそう返すと、アトミラールさんは扉の前で呆気に取られていたカルナさんにそう問いかける。

 

「あー……すいません、まだ来てないフォースがいるっす。今案内してるはずなんで、もうしばらく待ってほしいっす」

「そうか……大トリを務めたつもりだった故に少々残念だが、致し方あるまい。コンゴウ、フラン、アリカ。と、いうわけだ。時間が少し余ったから、好きに過ごしてくれたまえ」

「Yes! それじゃ提督ゥ、皆にご挨拶といきマース!」

「はは、そうだねコンゴウ。おや、そこにいるのはランディ君か。久しいね」

「相変わらずやることが滅茶苦茶だよ、あんたらは……だがま、『GHC』が呼ばれたってんなら心強い」

 

 ランディと呼ばれた、タンクトップに「7」の数字が刻まれた、バスケットボールの選手みたいなダイバールックをしている人が肩を竦めて、苦笑しながらアトミラールさんの言葉に答える。

 その一方で俺たちはというと、「GHC」が引っ提げてきた諸々のスケール、そのデカさにただ圧倒されるばかりだった。

 チナツは間近で見るHGスケールの戦艦に見入ってるし、ジェニも珍しく目を丸くしている。

 

「これだけの面子が呼ばれたのか……ってか、俺たち、分隊とはいえとんでもないフォースと戦ってたんだな……」

「ユウヤお前、『GHC』とも戦ってたのか……」

「まあな……でも俺たちが戦ったのは本当に分隊も分隊だ。もしも本隊、それも精鋭部隊と真っ正面からやり合うなんてことがあれば……燃えてくるな!」

 

 流石に二万の戦力を単機でなんとかできるとは思ってねーけど、アトミラールさんたちが選抜した猛者たちと拳を交えるってんなら、こっちとしてもやぶさかじゃない。

 

「へっ……お前らしくなってきたじゃねえか」

「ああ! コドウのおかげさ、ありがとうな!」

「どういたしまして、っと……どうやら最後のゲストのお出ましか?」

 

 がちゃり、と音を立てて会食場の扉が開かれると、エミリアさんに案内されて現れたのは、ジャージに胸当てをしたようなダイバールックをした、俺とそんなに年頃も変わらなそうな男子たちだった。

 でかい帽子を被った金髪の男子に、猫耳と猫尻尾にピンク髪の女子。その傍らには背が高い、エルフのようなダイバールックの男と、忍者みたいな格好をした女の子と、小柄な銀髪の女の子が控えている。

 

「あれが真打ちってやつか?」

「さあな。どうであれ、ここにいるってことはチャンピオンから呼ばれたってことだ。相応の資格はあるってことだろうよ」

「へっ……違いねえ」

 

 マギーさんとタイガーウルフさん、そして名前はわからないけど狐耳に狐の尻尾という獣人風のダイバールックをした細身な男がその男子たちを取り囲む。

 なんか、あのジャージに胸当て装備した男子、どっかで見たような顔だけど、流石に気のせいだよな。

 

「すごいよリッくん! 個人ランキング7位のランディさんに、あっちは有名フォースの『鉄仮面ズ』! ああっ、あっちは『GHC』のアトミラールさんに、一桁ランカーのブルムフランメさん! それだけじゃない! ロンメル隊に、極天征伐戦の覇者にしてヴァルガの災厄、個人ランキング39位のキョウスケさんと、64位のユユさん兄妹も!」

 

 興奮した様子で名だたる猛者たちが轡を並べている会場を見渡している帽子の男子を見遣りながら、俺はそんなことを考える。

 ……リッくん、って呼び名もなんかどっかで聞いたことあるんだよな。

 訝るように首を傾げる俺を尻目に、宴は滞りなく進行していく。そこに集った英傑たちが英気を養うかのように、これから始まる戦いに向けて、静かに火を焚べるかのように。




集うは英傑

・テンコ(「アルキメです。」様作「お嬢様はピーキーがお好き」より)……個人ランキング10位に君臨している猛者。しかし、ただ10位に留まっているのではなく、自らを「一桁への壁」と定義することで困難に挑むダイバーたちの挑戦を引き受けている。そのため実力は一桁相当かそれ以上。第10回フォースバトルトーナメントの覇者でもある。

・シンリ&シーエオ(「X2愛好家」様作「GBN:ダイバーズコンピレーション」より)……コドウと「ある縁」がきっかけで繋がることになった若き二人の新鋭。その奇妙な縁に導かれるかのように、コドウと共に第一次有志連合戦へと参加している。

・コンゴウ&アリカ&ブルムフランメ(「笑う男」様作「『GHC』活動記録」より)……コンゴウさんは提督ことアトミラールのリアルにおける愛妻にしてGBNでも指折りの拳法家としての側面も持ち合わせている。アリカさんとブルムフランメさんはアトミラールの秘書であり、GBNにおいてはそれぞれアリカが現場指揮を担当し、ブルムフランメは「GHC」最大戦力の一桁ランカーとして戦っている。
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