作者も気を付けますので……。
多分最終盤まで基本的に曇る展開しかないので、荒れる位なら存在しない記憶でも書き込んで下さい。
〈51〉
バルトフェルド隊の襲撃を受けた〈明けの砂漠〉の最大拠点──タッシルの街は真っ赤に燃え上がっていた。
別働隊を警戒したサイーブは戦力の半数を残して迅速にタッシルの救援に向かい、アークエンジェルもスカイグラスパーとレイダーを救援に向かわせた。
各所で起こる大火災──そのあまりの凄惨な光景に生存者は絶望的に思えたが、意外にも
「どのくらいやられた?」
「……死んだ者は居らん。最初に警告があった。……今から街を焼く、逃げろとな」
「なんだと?」
「そして焼かれた。食料、弾薬、燃料……全てな。確かに死んだ者は居らん。じゃが、これではもう……生きてはいけん……」
「ふざけた真似を! どういうつもりだ! 虎め!」
転んで怪我をした者──火傷を負った者──負傷者は相当な数に上っていたが、幸いにも死者は出なかった。
それはもちろん住民達の幸運もあったが、一番の理由はバルトフェルド隊が襲撃前に警告を行ったからである。
バルトフェルド隊と戦う力を持たないタッシルの住民は貴重な物資を泣く泣く放棄し、攻撃が開始される前に街の郊外に避難していたのだ。バルトフェルド隊はそんなゴーストタウンと化したタッシルの街に乗り込み、タッシルが保有していた物資を徹底的に焼き払ったのである。
そして目的を達成したバルトフェルド隊は住居と物資を失った哀れなタッシルの住民を残すと、サイーブ達が現れる前に悠々と撤退したのだった。
その事実を知ったサイーブとカガリ達──〈明けの砂漠〉のメンバーはタッシルを焼いた虎に対する激しい怒りで身体を震わせていた。
そんなサイーブ達とは裏腹に、スカイグラスパーとレイダーから降り立って周囲の状況を伺っていたムウとクロトは淡々とした口調で言う。
「……だが、生きていれば手立てはあるだろう。どうやら虎はあんたらと本気で戦おうって気はないらしいな」
「どういうことだ?」
「こいつは地球連合軍に接近しようとしたレジスタンスへの、単なるお仕置きだろ。こんなことくらいで済ませてくれるなんて、随分と優しいじゃないの、虎は……」
「全くですねえ。わざわざこんな面倒なことを……」
「なんだと! こんなこと!? 街を焼かれたのがこんなことか!? こんなことをする奴のどこが優しい!」
わざわざ別拠点から救援が来るかもしれないというリスクを背負ってまで、バルトフェルド隊は警告を出してタッシルの住民が避難するのを待っていたのだ。
生粋の軍人であるムウからすればそんなバルトフェルドの行動は優しいとしか表現出来なかったし、そのムウの考えにはクロトも同感だった。
しかしそんなムウ達の言葉はカガリにとって受け入れられないものだったため、今も燃え燻るタッシルの街を前に飄々としているムウ達に激昂した。
「失礼。気に障ったんなら、謝るけどね。……けど、あっちは正規軍だぜ? 本気だったら、こんなもんじゃ済まないってことくらいは、分かるだろ?」
「相手は地球連合軍を北アフリカの地から追い出したザフトの英雄ですからねえ。その気になれば、皆殺しにするくらいは簡単だったでしょうね」
「あいつは卑怯な臆病者だ! 我々が留守の街を焼いて、これで勝ったつもりか! 我々はいつだって勇敢に戦ってきた! だから臆病で卑怯なあいつは、こんなことしか出来ないんだ! 何が砂漠の虎だ!」
「卑怯な臆病者、ねえ……」
クロトがカガリの見当外れの言葉に肩を竦めていると、ムウ達から少し離れた所でサイーブが連れて来た〈明けの砂漠〉のメンバー達が気炎を吐いていた。
「奴等、街を出てそう経ってない。今なら追い付ける!」
「街を襲った後の今なら、連中の弾薬も底を突いてるはずだ!」
「俺達は追うぞ! こんな目に遭わされて黙っていられるか!」
「バカなことを言うな! そんな暇があったら、怪我人の手当をしろ! 女房や子供に付いててやれ! そっちが先だ!」
「それでどうなるっていうんだ! 見ろ! タッシルはもう終わりさ! 家も食料も全て焼かれて、女房や子供と一緒に泣いてろとでもいうのか!」
「まさか、俺達に虎の飼い犬になれって言うんじゃないだろうな。サイーブ!」
唯一彼我の戦力差を正確に認識していたサイーブはメンバーの暴走を止めようとするが、聞く耳を持たないメンバーは次々バギーに乗り込み、ランチャーを片手にバルトフェルド隊が撤収した方角に走って行く。
そんなメンバー達を見捨てられず、サイーブは近くでクロトを睨んでいたカガリを残して自分も追い掛けようとした。しかしカガリは少年兵に連れられ、サイーブより一足先に先行していたメンバーを追い掛け始める。
その一部始終を見ていたナタルは呆れた様な表情を浮かべると、特にやることもないので瓦礫の撤収作業を行っていたムウとクロトに声を掛けた。
「全滅しますよ? あんな装備で、バクゥに立ち向かったら!」
「だよねぇ。ブエル中尉はどうする?」
「……ラミアス艦長がストライクを救援に向かわせるようなら、僕も援護に向かいます。連中が全滅しようが僕の知ったことじゃありませんが、ストライクの損失は看過出来ませんからね」
ナタルは意外にもあっさりと無情な判断を下したクロトを不思議そうに見ながら、タッシルの現状を報告する為にマリューに連絡を取り始めた。
〈52〉
壊滅寸前だった〈明けの砂漠〉を救ったのはエールストライクとレイダーだった。
前回の戦闘データをフィードバックさせ、バクゥと同等以上の機動力を獲得しながら砂漠の熱対流で狙いの定まらないビームライフルの照準プログラムを戦闘中に修正したエールストライク。
同じく前回の戦闘データをフィードバックさせ、重力と浮力を拮抗させて砂地に対する操作の平易性と速度を両立するホバー走行を獲得したレイダー。
そんな2機の前ではPS装甲に通用する武器を持たない4機のバクゥ程度では相手にならず、状況不利を察したバルトフェルド隊は早々に撤退したのだった。
しかし一足先にバクゥを相手にバギーとランチャーで挑んだ〈明けの砂漠〉は何の成果も挙げられないまま、多くの犠牲者を出すという惨憺たる結果に終わっていたのだった。
徐々に冷たくなっていく二度と目を覚まさない仲間達を前に、しばし茫然としていたカガリの下に戦闘区域から戻って来たストライクから降りたキラが現れた。
「──死にたいんですか?」
何の準備も策もなく、バギーとランチャーで正面からバクゥに挑むという暴挙。そんな彼等の自殺行為としか思えないあまりにも無謀な行動に対してキラは怒っていたのである。
「……こんなところで……何の意味もないじゃないですか?」
「なんだと……!?」
そんなキラの冷酷な言葉に、カガリは即座に噛み付いた。カガリは自分より少し背の低いキラの胸元を片方の手で掴むと、もう片方の手で背後を──無惨に転がる仲間の死体を指差す。
「見ろ! みんな必死で戦った……戦ってるんだ! 大事な人や大事なものを守るために必死でな!」
守るために必死で戦う。
それは確かに立派な行為なのだろう。しかしこんな有様で一体誰を──何を守ると言うのか。目の前の哀れな少女カガリの姿はかつてのキラと同じだった。
キラは自分の弱さで多くの罪無き命を喪い、カガリは仲間達の命を喪った。それなのにカガリはそんな自分の過ちに全く気付いておらず、何度も同じ愚行を繰り返しかねない様子だった。
気持ちだけで、一体何が守れると言うのか。
キラは怒りが抑えられなくなり、眼前で喚き散らすカガリの頬を張り倒そうとしたところで、少し遅れて戻って来たレイダーの中からクロトが現れた。
「──
クロトの表情には一切の感傷的なものがなく、それどころか不気味な笑みを浮かべていた。
あまりにも状況に似合わないその表情は、無秩序な破壊と殺戮を楽しむ悪魔のそれとしか表現出来ない代物だった。カガリはそんなクロトに猛烈な怒りを露わにする。
「ふざけるな! 皆必死でやったんだ! それをお前は……侮辱するのか!?」
カガリはキラの胸元を掴んでいた手を放すと、相変わらず笑みを崩さないクロトを睨み付けた。クロトは一切表情を崩さないまま、状況から推測した虎の目的を告げる。
「……今回の虎の行動はアークエンジェルと協力関係を結ぼうとした〈明けの砂漠〉の戦力を削るためだろ? 挑発に乗る様な馬鹿なら返り討ちに。乗らなかったとしても継戦能力を奪う……そんなところじゃないかな。……それを連中の弾薬は底を着いているだの、虎は臆病だの、希望的観測を積み上げちゃってさ。これが笑い話じゃなければ何なんだよ?」
「……何が! 何が笑い話……だ……」
そう公言して憚らないクロトにカガリは殴り掛かろうとしたが、最後の一歩を踏み出す前にクロトが指し示したものを見て絶句した。
「バクゥ……」
レイダーの右腕が、ほぼ原形を失ったバクゥの頭部を掴んでいた。
先程の戦闘でカガリ達の追撃部隊をあっさりと壊滅させたバクゥだったが、砂地に適応したレイダーにとっては既に多少手間取る程度の獲物に過ぎなかったのだ。
「君達のすべきことは……自分達の目の前にいたレイダーの支援を要請することだった。その要請が通らなければ、それを理由に追撃を中止することだった。……違うかな?」
無論、カガリ達もクロトの操縦するレイダーが単独でバクゥを撃破したのは知っていた。
しかし自分と歳の変わらないクロトを──
こんなクロトの様なふざけた少年がバクゥを倒せるのならば、勇敢な戦士である自分達にも勝てる見込みがあると思い込んだのだった。現実から目を逸らして。
「下らない自尊心さえ捨てれば……犠牲は最小限で済んだ。これが無意味な死じゃなければいったい何なのかな?
「貴様っ!!」
カガリの秘密を守る代わりにアークエンジェルを厚遇する。
クロトが密かにサイーブ、キサカの両名と交わしていた密約を破りそうな光景を前にしてカガリ──そして何よりも最優先でカガリの秘密を守らなければならないサイーブ、キサカの3人はクロトに銃を向けた。
「ど、どうして……」
事情を知らないキラと〈明けの砂漠〉のメンバーはその異様な状況に戦慄するが、クロトは3人を挑発するように言葉を続ける。
「撃ちたければ撃てばいい。身の程を弁えずにザフトと戦い、自分達を救った地球連合軍中尉に銃を向けるお姫様……
オーブ連合首長国の五大氏族アスハ首長家の娘という恵まれた育ち──物心が付いた時から実験動物として扱われていた自分とは真逆の人生。
中立国という戦わない選択肢を持ちながら無分別に戦う浅慮さ──別に戦いなど好きではないというのに、戦わなければ明日の命も保障されない自分とは真逆の思想。
クロトは目の前のこの何一つ不自由のない愚かな少女──
「……止めてくれ……」
クロトに突き付けていた銃を下げ、絞り出す様に放ったカガリの声を受けて、サイーブとキサカもクロトに向けていた銃を下ろした。
この場でクロトを射殺すれば、もちろん目撃者のキラも射殺する必要がある。
しかしたった今自分達の命を救った相手を一方的に射殺すれば、自分達は誇り高いレジスタンスどころか無秩序な暴徒──それ以上の大悪党だ。
またこの2人が死んだとなればアークエンジェルとの共同戦線は決裂するだろうし、バルトフェルド隊の攻撃も更に苛烈なものになるだろう。
結局のところ我が身可愛さで──そもそもクロトに銃を突き付けたのも我が身可愛さなのだが──銃を下ろしたカガリに、クロトは吐き捨てる様に言った。
「気持ちだけで守れるなら、
ブルーコスモスがコーディネイターとの戦争に勝利する為、全ての経歴を抹消した孤児に外科的措置・投薬・マインドコントロールを施し、兵士としてコーディネイター以上の身体能力を持たせたナチュラル──生体CPU。
そんなクロトの言葉に込められた、あまりにも深い憎悪。
その言葉の真意に辿り着ける者はこの場にいなかったが、それ故に得体の知れない恐怖を感じたカガリは思わず拳銃を足元に落としてしまう。
クロトはそんなカガリの姿に軽蔑するような視線を向けると、何も言わずに踵を返してレイダーの方にさっさと歩いて行く。
やり切れない怒り、悲しみ、無念、後悔が入り混じった表情で震えるカガリを見て、キラはクロトが現れる前にカガリに言い掛けた言葉を呟いた。
「……気持ちだけで、一体何が守れるって言うの……」
クロトくんが闇を抑えられなくなってますね……夢も未来も自由もないクロトくんには、カガリちゃんの全てが許せないんでしょうね……
この流れで結局オーブに戻って政治家になり、最終的に自分達の猛攻を前に親や国民を見捨てて宇宙に逃げ出したのかよって内心ぶちギレてそう……
ところでカガリちゃんのメンタル攻撃でボロボロになったクロトくん(165㎝/52kg)を恵体に任せて押し倒すキラちゃん(158㎝/53kg)ってホントですか?
ストライク引き籠もりイベントは自動消滅しそう。
クロトくんはケバブで何派?
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ヨーグルト派。砂漠の虎と意気投合。
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チリソース派。カガリちゃんと意気投合。
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何も掛けない派。原理主義者。
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ミックス派。
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なんでもいい派。