逆襲のクロト   作:皐月莢

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ようやくアズにゃん、オルガくん、シャニくんが出てくる場面までたどり着きました……

思わぬキャラの追加参戦もありますが、まあだいたい当初の予定通りですね。しかし何に乗せたらいいんだ……?


災厄と禁忌

 〈62〉

 

 地球連合軍宇宙軍の総司令部が存在する月面基地プトレマイオスにて。

 クルーゼ隊との戦闘で壊滅状態に陥っていた第八艦隊の再編成に追われていたデュエイン・ハルバートンは思わぬ来客の対応を迫られていた。

 その来客主の名は“()()()()()()()()()”。

 言わずと知れたブルーコスモスの現盟主であり、アズラエル財閥の御曹司である傍ら、デトロイトに本拠地を構える大手軍需産業の経営者である。その立場上、地球連合軍に対して強い発言権を持っており、特にハルバートンが所属する大西洋連邦軍の大多数は彼の信奉者である。

 ハルバートンが司令官を務める第八艦隊はハルバートンの軍人教育もあって例外的にブルーコスモス色の薄い部隊だったが、それでも先日のクルーゼ隊との一戦以来、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 そんな中、パナマ基地からの補給便に乗り込み、プトレマイオス基地の視察を行うという名目で現れたアズラエルが自分を呼び出したという事実に、ハルバートンはただならぬものを感じていたのである。

 

「……」

 

 余程能力に自信があるのか、それとも大胆なのかアズラエルは普段部下を引き連れていないのだが、今回は()()()()()()()()()()()()()()()()()()を従えている。

 一瞬アズラエルの娘かとハルバートンは思ったのだが、弱冠30歳のアズラエルにそんな年齢の娘がいるとは考えられず、すぐにハルバートンはその考えを打ち消した。

 愛人──あるいは()()()()()()C()P()U()か。しかし情報では()()C()P()U()()()()()()()()だが。

 そんなハルバートンの不穏な思考を敏感に感じ取ったのか、アズラエルは不気味に嗤いながら世間話を始めたのだった。

 

「どうでした、彼は? なかなか使えるでしょう? 最初はほんの気紛れだったのですが、まさか僕もここまで彼が働いてくれるとは思いませんでした」

「……確かに。彼がいなければ、私は今ここで貴方と会話することはなかったでしょう」

「アークエンジェルが当初の予定通りアラスカ基地に降下出来ず、量産型MSの開発計画が遅れたのは残念ですが……。快進撃を続けていたザフトの北アフリカ戦線を後退させたのであれば、結果オーライといったところですかね?」

 

 第八艦隊を壊滅の危機から救い、先日ザフトの北アフリカ戦線の中核を成していたバルトフェルド隊を撃破するに至ったクロトの優秀性については、戦争は1人優秀な者がいれば勝てるものではないと常々考えているハルバートンも疑う余地はなかった。

 G兵器の大半を奪取され、PS装甲やミラージュコロイド、携行用ビーム兵器等の地球連合軍の最新技術を奪われたG兵器製造計画の責任者であるハルバートンが今も第八艦隊の司令官という立場にあるのは、他ならぬ()()()()()()()()()()()()()()である。

 裏を返せばアズラエルの望みは自分の傀儡になれということであり、今のハルバートンにそれを跳ね除ける力などないことを示していた。

 

「……それで、今回のご用件は? まさか部下の活躍ぶりを自慢する為に来られた訳ではないのでしょう?」

 

 そんなハルバートンの言葉で要件を思い出したとばかりに、アズラエルは頷く。

 

「あぁ、そうでした。第八艦隊の再編成に、我々も力を貸したいと思いまして。……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。この船を閣下の第八艦隊に提供する予定です」

「なんですって!?」

 

 地球連合軍の最新鋭宇宙戦艦──強襲機動特装艦アークエンジェル。

 その二番艦がアークエンジェルの設計データを基に地球で製造が始まっているという話はハルバートンも耳にしていた。

 だからハルバートンが驚いたのはドミニオンが製造されているということではなく、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ことだったのだが、アズラエルはそんなハルバートンを見て肩を竦め、可笑しそうに笑う。

 

「少し気が早いですが、極秘裏に人選も進めていましてね。アークエンジェルに乗っている()()()()()()()()()()()や、()()()()()()()()()を引き抜こうと思っています。少将もそのつもりで第八艦隊の再編成をお願いしますよ」

「……畏まりました。……ところで、後ろの少女は?」

 

 既に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()事を暗に示されたハルバートンだったが、せめてアズラエルの背後でそんな軍の機密情報を平然と聞いている謎の少女の素性だけでも掴んでおこうと、ハルバートンは何気ない口調で質問した。

 

「彼女ですか? ……そうですね、()()()()とでも言っておきましょうか。純粋な能力は彼を上回る逸材なのですが、生憎彼女を乗せる予定のMSが製造中でして。……最低限の社交性を身に付けるために、こうやって僕の秘書をして貰っているんですよ。……少尉、閣下にご挨拶を」

 

 金髪の少女は生体CPUという哀しき宿命を感じさせない純粋な笑みを浮かべ、恭しくハルバートンに一礼した。

 

「お初にお目に掛かります。地球連合軍第一機動部隊所属、ステラ・ルーシェ少尉です」

「地球連合軍第八艦隊司令のデュエイン・ハルバートン少将だ」

「先輩がお世話になったそうで。私も宜しくお願いしますね」

「こちらこそ。宜しく頼むよ」

 

 一見冷静沈着に見えるものの、それでも何処か得体の知れない狂気を漂わせていたクロトとは異なり、狂気の欠片すら窺えない純真な少女としか表現出来ない様子のステラに、ハルバートンは()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 全身に改造手術を施され、コーディネイターを超越する能力と引き換えに常人には劇薬でしかない薬物を手離せない肉体に改造された余命数年の生体CPUの在り方としては、ステラよりもむしろ()()()()()()()()()()()とハルバートンは思ったからである。

 

「元々彼女はロドニアの研究所で次世代生体CPU“エクステンデッド”計画の被検体となる予定だったんですが、その才能を見込んで“ブーステッドマン”計画の被検体として引き抜いたんですよ。成功するか不明瞭な事業よりも、現実に成果を挙げつつある事業に投資するのがビジネスでもコツですからね」

「……“エクステンデッド”計画……」

 

 この計画の概要はハルバートンも掴んでいた。

 生体CPU“ブーステッドマン”の最大の問題点だった協調性の欠如や、異常なまでの凶暴性を改善した次世代生体CPU“エクステンデッド”。

 定期的な薬物投与の間隔も長く、暴走を制御するため特定の言葉で行動を抑制させる“ブロックワード”措置など“ブーステッドマン”を超える生体CPUとして研究が進められていた計画である。

 しかし度重なる志願による重度の改造手術を受け、強化段階Stage5に突入したクロトがそうした“ブーステッドマン”の欠点をある程度克服したために“エクステンデッド”計画は大幅な計画の見直しを余儀なくされていたのだ。

 

「ザフトに対する反攻作戦は順次進めております。……地球連合軍の当面の目標はザフト地上部隊の漸減及び、先月奪われたビクトリア基地の奪還ですが、その布石として()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。せっかく高い金を掛けて作ったんだから、有効活用しないとね」

 

 ステラを神妙な表情で見詰めるハルバートンを見て、アズラエルは心底愉しそうに嗤った。

 

 〈63〉

 

 ザフトの地球上最大拠点であるカーペンタリア基地に所属し、ディン隊・グーン隊といった空戦・水中用MSで構成された部隊を率いてインド洋を支配下に置くザフト軍人──マルコ・モラシム。

 地球連合海軍との“珊瑚海海戦”で大きな戦果を残し、モラシム自身も“紅海の鯱”の異名を持つザフトのエースパイロットである。

 先日バルトフェルド隊を打ち破ったアークエンジェルを攻撃する為に進路をインド洋から紅海に向けた所で、()()()()()()()()()()()()()()()()のだった。

 

『ハンス!! ……くそっ、何故ヤツにはこんな動きが!?』

 

 ザフトの誇る水中戦用MS“グーン”隊が、()()()()()()()()()()()()()()──“フォビドゥン”に手も足も出ない現実を目の当たりにして、モラシムはコクピットの中で叫んだ。

 高い水中戦能力を持つグーン自身でも回避が難しい“533mm7連装魚雷”“47mm水中用ライフルダーツ”を簡単に避け、大鎌で“グーン”を次々に沈めていく光景は、まるで御伽噺の死神と遭遇したとしかモラシムには思えなかったのである。

 

『あはははは!! あははははは!!!』

 

 フォビドゥンに搭載されたエネルギー偏向装甲“ゲシュマイディッヒ・パンツァー”は()()()()()()()()()()()()()()()を持っている。

 その特性によって、フォビドゥンは水中でもほぼ地上と変わらない程の極めて高い機動力を保有していた。その為フォビドゥンは水中で有用な武器は重刎首鎌“ニーズヘグ”しか持たないものの、モラシム隊の保有する“グーン”やモラシム本人が搭乗する“グーン”の次世代機“ゾノ”とは比較にならない水中戦能力を保有していたのである。

 

『ぐっ!!』

 

 不利を悟ったモラシムはフォビドゥンの母艦──地球連合軍に鹵獲されたと思われるボズゴロフ潜水母艦をディン隊と共同で叩くために水面に躍り出たのだが、そこでも()()()()()()()()()()()()のだった。

 

『オラオラオラ!!』

 

 圧倒的多数で襲い掛かっていた筈のディン隊は、()()()()()()()()()()()()()──“カラミティ”の前に壊滅状態に陥っていた。

 カラミティは水上をホバー移動し、ディンの放つ“6連装多目的ランチャー”を回避しながら125mm 2連装高エネルギー長射程ビーム砲“シュラーク”を放ち、耐弾性は低いが機動力は高い筈のディンをまるで七面鳥撃ちの様に次々撃墜している。

 地球連合軍にはバルトフェルド隊を撃破した“エンデュミオンの悪魔”だけではなく、個の力でザフトを圧倒するパイロットが複数存在することにモラシムは絶望した。

 

『まだ……終わらんよ!!』

 

 それでも自分は誇り高きザフトの“紅海の鯱”。

 せめて一機だけでも道連れだとばかりに、ゾノはカラミティに突撃した。機体の大部分が水中に隠れているため、カラミティの攻撃は有効打にならない。幸い厄介なフォビドゥンは浮上位置を間違えたのか、まだ十分な距離がある。

 まずは縦横無尽に海を走るカラミティの動きを牽制するために、ゾノは“533mm6連装魚雷”を発射しようとしたところで。

 

『まとめてやっちゃうよ!!』

『なっ!?』

 

 フォビドゥンが斜め上に放ったビームは曲線を描いてディンを貫き、唯一水上に突き出していたゾノの頭部に直撃して機体を爆発炎上させた。

 誘導プラズマ砲“フレスベルグ”は誘導装置によって一方向であれば自由自在に曲げる事が出来る。しかし通常の直線的な攻撃しか念頭になかったモラシムは反応が一瞬遅れ、あっさりとビームの直撃を受けてしまったのである。

 そして最後に残った逃げ惑うディンを羽虫でも叩き潰すように撃墜すると、オルガは緊張感のない声でシャニに話し掛けた。

 

『ザフトの連中も大したことねえな。コーディネイターってこんなモンなのか?』

『所詮はクロトにやられる程度の連中だろ? 俺達に勝てる訳ないっての』

『お前、訓練ではクロトに負け越しじゃなかったか?』

『はっ。今は俺の方が上だっての』

 

 こうしてアークエンジェルを迎撃に向かっていたザフト屈指の海軍を誇るモラシム隊はアークエンジェルと交戦する前に、インド洋で海の藻屑となったのだった。

 




二歳若返ってるけど記憶処理が行われていないので、原作より若干大人びているステラちゃんでした。

……今のクロト先輩は先輩じゃないとかいいそう(偏見)

カラミティもフォビドゥンもほぼ原作通りのスペックですが、この時点ではPS装甲だったり一昔前のバッテリーだったりでかなり弱体化しています。

操縦者のスペックが爆上げされてるので攻撃は当たらないし、無駄撃ちしないのでバッテリー切れで困る事はありませんが……

既に核兵器なんて使うまでもなく、ザフトが負けそうなのは気にしてはいけません。
生体CPU特効を持つ、逃げ出した腰抜け兵を撃ちたがる男が頑張ってくれるでしょう。(適当)

こんなアスランくんですが

  • ラクス様と寄りを戻すよ
  • キラちゃん一筋だよ
  • 正史通りカガリちゃんだよ
  • その他
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