あらかじめご注意ください。
【この小説が誕生した経緯】
ズバリ『TSキラを主軸としたハードな長編二次創作が読みたかった』からです。
キラ・ヤマトをTSさせれば濃厚な曇らせモノが完成しちまったなアア~!! これでノーベル賞は俺んモンだぜ~!! と思ったのですが、なかなか好みのものが見付かりませんでした。
道中をすっ飛ばしていきなりアスランやシンとイチャイチャしてるラブコメじゃなくて、エルちゃんを乗せたシャトルが目の前で撃墜されて泣きじゃくるキラちゃんや、ラゴゥを撃破して「私は誰も殺したくなんてないのにー!」と泣き叫ぶキラちゃん、アスランに友人を両断されて泣きながら殺し合うキラちゃん、クルーゼに出生の秘密を暴露されて絶望するキラちゃん、目の前で最大の理解者が『僕の本当の想いが……君を守るから……!』と言い残して爆散するのを目の当たりにして茫然となったキラちゃんが見たかったんですよ!!!
……羅列すると酷いな……。
探しても見付からない? じゃあ書けばいいじゃんってノリでプロットを組み始めることに。正直長編なんて書いたことがなく完結出来るとは思ってなかったので、誰もが気になるだろう砂漠編序盤まで書いて潔くエタろうくらいのつもりでした(おい
【制作秘話】
砂漠編序盤までの流れを考える上で、当初はほぼ原作通りに推移し、傷付いたキラちゃんがアークエンジェル組の誰かと関係を持つ展開を考えていました。しかしそれが果たして面白いのかと思い直し、キラちゃんと関係を持っても許されそうなキャラを追加投入し、主人公として採用することを決めました。
なんと主人公は初期プロットには存在していません。
許されそうな条件を突き詰めて考えていくと、アスランと互角に戦えるエースパイロットが必須条件だと思いました。
更に主人公がコーディネイターだとキラちゃんが孤立しないのでナチュラルが第二の必須条件なのですが、この時点でモビルスーツに乗れそうなナチュラルってそもそも存在しないよなぁと思いながら考えてたら、意外な人物が候補に上がりました。
そう、生体CPUです。
という訳で条件を満たすのは三馬鹿一択となり、その中で早期開発が一番有り得そうなレイダーのパイロット、クロト・ブエルが主人公に抜擢されました。
バスターと同時に上位互換のカラミティが開発されたらおかしいし、ザフトに携行出来る高性能なビーム兵器がないのにフォビドゥンが開発されたら意味不明ですからね。
その点、レイダーは地球連合軍初の大気圏単独飛行能力を保有するモビルスーツという形で自然に追加出来るから偉い。
さらにアークエンジェルに乗り込む理由として、逆行したことで密かに人類滅亡という野望を抱き、早い段階でアズラエルの直属兵として活躍し始めたことにしました。
生体CPUに過ぎないクロトが逆行しても持ち越せる知識は極僅かのため、女体化してるキラちゃんが実はフリーダムのパイロットだと気付けないという狙いもあります。
ちなみにエンディング案の一つに、キラちゃんが看病疲れで寝ている状況でクロトが目を覚まし、「キラを頼む」と立ち去るカナードくんをフリーダムのパイロットだと誤解しつつ、キラちゃんを起こすというものがありました。
ギャグで締めるのもどうかなと思い、お蔵入りしましたが。
そしてここまで決まると必然的に『少女との出会いで人間性を取り戻した強化人間が、己の全てを賭けて少女を守る』という王道っぽいテーマとなりました。
奮闘するも最後はアスランに殺されるというクロト視点のキラちゃん1週目が悲惨過ぎるので、ついつい同情している内にいつの間にか正気を取り戻してしまい、残ったのはヤキン・ドゥーエ攻防戦にピークを迎えるボロボロの身体だけ。よくハッピーエンドを迎えられたものです。
逆行した
【主人公】クロト・ブエル
そういう訳で主人公に抜擢されたのが、決して手に入れられない自由を求める哀しき生体CPU、クロトです。
序盤は作者の中でいまいちイメージが固まりきっていなかったこともあって、言動が荒み過ぎてて笑えますね。
歪な形とはいえ、アークエンジェルで一時の自由を得られてテンションが上がってたんでしょう。
一般的な軍人とは異なり、アズラエルの側近にして知る人ぞ知るエースパイロットだから無茶苦茶やっても許されるというポジションは強い。
序盤は無双するけど終盤は種割れ出来ないので二番手、しかし最後の最後で種割れしてラスボスに辛勝する、というのは主人公として理想的なムーヴじゃないでしょうか。
コズミック・イラには心底絶望しているし滅びろとすら思っているが、それでもキラちゃんを守りたいという単純な動機故にクルーゼも否定出来ない、という最終決戦の構図は綺麗だと思います。
【ヒロイン】キラ・ヤマト
初期プロットでは主人公だったものの、急遽メインヒロインに変更された薄幸系美少女キラ・ヤマトちゃんです。
単に性別を変えただけでも良かったのですが、せっかくなので劇場版のボスとして作者が妄想していた、もう一人のスーパーコーディネイターの設定を取り入れました。
こんな悪趣味な案が採用されるか! この馬鹿野郎!!
ぶっちゃけるとクロトはクルーゼと最終決戦で刺し違える予定だったのですが、どう考えても絶望したキラちゃんがフリーダムで自爆してしまうので、構成面でもクロトを生存エンドに導いた立役者です。
医学者としてはコーディネイターをも凌駕する両親を持ったことから、医学の才能は特に突出しているという設定は良い感じにハッタリが利いていると思います。
中盤以降、プロットから離れて暴走し始めるキラちゃんは書いてて楽しかったです。
なんとキラちゃんは当初逆襲する予定じゃなかったし、ストライクやフリーダムを自爆させる予定じゃなかったんです……。
キラ・ヤマトちゃん概念には無限の可能性があるので、誰か書いて♡
【ラスボス①】ラウ・ル・クルーゼ
フラガ家の因縁を追加されたキラちゃんに原作と同じ絡み方をしたらあまりにも情けないので、破滅願望を持った後方腕組みストーカーおじさんになりました。
土壇場でキラちゃんの自爆を阻止する為に種割れした生体CPUに討たれるのは、本人も納得の最期かもしれません。
キラちゃんにレイくん的な親愛の情があるものの、それはそれとしてスピットブレイクは原作通り暴露しちゃうし、NJキャンセラーもばら蒔こうとしちゃう傍迷惑な人です。
メンデルでは仮面が無ければ即死だったし、万が一3週目に突入したらヘリオポリスで抹殺不可避な模様。
【ラスボス②】ステラ・ルーシェ
当初は登場させる予定はなかったのですが、ラウの人物像が固まると同時に物語上のコンフリクトが不足した都合上、クロトのフォロワーという形で参戦しました。
原作の言動からは最も剥離したキャラですが、重度の洗脳・記憶処理を受けたキャラの言動を鵜呑みにするのもどーなのと思い、ブーステッドマンに改造されたステラ・ルーシェとして言動を再構築しました。
もちろん本質は無邪気な天然キャラなので、悩みの消えた続編では本来の言動に戻っているでしょう。とりあえず義理の妹的な立ち位置でいいんじゃない?
【アスラン】アスラン・ザラ
構成上、原作と比較して一番割を食ったキャラでした。アスランファンの皆様には申し訳ありません。
基本構造はシンと同じで、周囲に流された末にザフトのアスラン・ザラとして最後まで立ち塞がり続けるというイメージです。
男の娘だったキラくんがキラちゃんになってて、昔は名前を聞くだけで怖がってたブルーコスモスの少年兵と一緒にいることを知って脳が破壊されてしまったんでしょう。
主人公が経験豊富な実力者なので、原作の流れをある程度踏襲する為のバランサーでもある。
序盤から「俺がお前を討つ!」しただけで、クルーゼ隊を纏めて返り討ちに出来るクロトを抑えられるのは凄い。
初恋の幼馴染みという設定を考えればもっと上手く動かせたでしょうが、そもそも婚約者がいる状況で知り合いの女の子を追い回した末に逆キレするムーヴが格好悪い気がする。
アスラン・ザラちゃん概念は流行らない。
【ヒロイン(?)】ラクス・クライン
構成上、アスランの次に割を食うかなと思ったら意外とそうでもなかった人。キラちゃんと親友という形でも、シナリオに問題はなかったです。
まあアークエンジェルで見たクロトとキラちゃんの在り方にナチュラルとコーディネイターの未来を見出す、という流れはある意味で原作以上に自然なので……。
色々言われていますが、一般人に憧れる政治の天才というのが作者の解釈です。要はスローライフ系の人ですね。当時はスローライフの概念が存在しなかったので腹黒キャラに誤解された模様。
ただし大量破壊兵器を撃とうとするロックな人だらけのコズミック・イラで、クライン派の英雄みたいな立ち位置でスローライフを送るのは無理だったようです。
ラクス・クラインくん概念はもっと流行らない。
【続編について】
種運命編ですが、基本的にクロト中心の視点で進めるため種編ほど長編にならない予定です。
自由を得た代わりに、全ての力を喪ったクロトは果たしてキラちゃんとの未来を手に入れることが出来るのか。
最後に映画風の種運命編予告を記載しました。
まだまだ細かいところを詰められていないし、大幅な変更もあるかもしれませんが、だいたいこんな感じのプロットで書く予定です。
【あのキャラのその後】
~オーブ首長国連邦~
【カガリ・ユラ・アスハ】
不祥事を起こしたサハク家と入れ替わりで五大氏族に昇格したセイラン家との婚約をどうするかで揺れている。
今まで不仲だったサハク家とアスハ家が接近したことで、セイラン家を中心とした連合派と中立派のパワーバランスが崩れ始めており、水面下で対立が深まりつつある。
相変わらず腹芸が出来ないため、アカツキもエクリプスも何一つ知らされていない。ちなみにキラは知ってる。
~プラント~
【イザーク・ジュール】
アイリーン・カナーバの停戦勧告に従い、いち早く徹底抗戦を主張するザラ派を鎮圧するため行動した功績が認められ、戦時中の罪が恩赦されると共に特務隊の誘いが掛かる。
しかし自分には時期尚早だと辞退し、正式にジュール隊隊長として白服に昇格した。クロト達が入院していたフェブラリウス市の医療機関でキラに遭遇して情緒が破壊される。
なおエザリア・ジュールは政界からの追放で済んだ。
【ディアッカ・エルスマン】
イザークの白服昇格に伴い、ジュール隊副隊長に正式に就任したが、事務仕事が苦手なのでシホに譲りたいと思っている。
戦後処理の最中、偶然遭遇したミリアリアをナンパしようとしたことでトールと大乱闘になった。
ちなみにキラにも粉を掛けようとしたが、間一髪ニコルが阻止したため第2次連合・プラント大戦は回避された。
それをやったら戦争だろうが……!
【ニコル・アマルフィ】
イザークらに惜しまれつつも、自分なりのケジメを付けるためにザフトを退職した。
ピアニストとして活躍する傍ら、父親が公開したニュートロンジャマーキャンセラーが悪用されないか監視するため、世界各国の非戦派で結成された非政府組織“ターミナル”に所属している。
私生活ではフレイと良い感じだとか……?
【ハイネ・ヴェステンフルス】
イザークの奮闘によって奇跡の生還を遂げる。専用機のテスタメントはユニウス条約に伴い、あっさり解体された。
特務隊には選ばれていないが、ザラ派の鎮圧に貢献したことで専用ブレイズザクウォーリアを受領し、グラディス隊のパイロットとして配属される予定。
【アンドリュー・バルトフェルド】
クライン派で構成された武装集団とはいえ、あくまでテロリストに過ぎない三隻同盟の首謀者としてプラントから追放され、オーブに亡命している。
コーヒー豆を自家栽培したり、本業の広告心理学者として活動したりとアイシャともどもスローライフを送る傍らで、非政府組織“ターミナル”に所属している。
~地球連合軍~
【マリュー・ラミアス】
アークエンジェル脱走の責任を問われ、最終的にムウ・ラ・フラガと共に地球連合軍を抜けてオーブに亡命する。モルゲンレーテで技術者として働く傍らで“ターミナル”に所属している。
【ムウ・ラ・フラガ】
マリューと同じく、アークエンジェル脱走の責任を取って地球連合軍を抜け、オーブに亡命する。オーブ軍に所属する傍らで“ターミナル”に所属している。
【ナタル・バジルール】
ヤキン・ドゥーエ攻防戦での奮闘を評価され、史上最年少で地球連合軍大佐に就任した。ドミニオン、アークエンジェルで構成された地球連合軍第八機動部隊を率いており、次期第八艦隊司令官の座も夢ではないと言われている。
【その他】
アークエンジェル本体を含め、マリューとムウ以外の正規クルーは全員地球連合軍に復帰している。なお作者が記載を忘れていたカズイとサイは学生に戻っている。
【オルガ・サブナック】
キラの尽力で完治した後、自分探しの旅に出ようとしていたが、ひょんなことでオーブ国際救助隊の勧誘を受けてノリで受諾。
救助用モビルスーツってなんなのと言わんばかりの装備が搭載されたエクリプスを渡され、胃を痛めている。
【シャニ・アンドラス】
オルガと同じく、オーブ国際救助隊の勧誘を受けてノリで受諾。給料の大半をラクスグッズに注ぎ込んでいる。
ちなみにこの設定は、主人公第二候補だった余波です。
~種運命編 予告~
第一次連合・プラント大戦の終結から、二年。
少女の傍らで、傷付いた少年は一時の安息を得ていた。しかしその平穏も、永くは続かない。
『また戦争がしたいのか! あんたたちは!!』
アーモリーワン事変、勃発。
『忘れてた? 私も赤なのよ!』
『割り切れよ。でないと死ぬぞ?』
平和だった世界は、再び戦火に包まれる。混沌が渦巻く戦場を支配するのは、もう一人の“キラ”?
『我が娘のこの墓標、落として焼かねば世界は変わらぬ!』
ユニウスセブン落下テロ事件。そして始まった第2次連合・プラント大戦は、獅子の娘に1つの決断を迫る。
『綺麗事はアスハの御家芸だな!』
再び脅威に晒されたオーブの影で蠢く、大いなる陰謀。
かつて滅ぼした国を守るために立ち上がった漆黒の翼に、白銀の刃が襲い掛かる。
『掛かって来い、潰してやる!』
紅の眼光に宿るは、復讐に燃える憎悪の炎。そして物語は、意外な人物の登場で転機を迎える。
『今更ブルーコスモスを追放された僕に接近するなんて、どういう風の吹き回しですかねぇ。ラウ・ル・クルーゼ』
『今の私はネオ・ロアノーク大佐だ。それ以上でもそれ以下でもない』
地球連合、プラント、オーブ。
全てを巻き込みながら、物語は収束に向かう。
『デスティニー・プラン。この世から戦争を根絶する、人類最後の防衛策だよ』
終わりなき争いの歴史に終止符を打つ。それは人々の持つ遺伝子によって、全てが決定付けられた平和な世界。
『科学者として断言する。当代君に敵う戦士など存在しない』
『貴方は俺を戦士でしかないと言うのですか?』
『だが“イヴ”に相応しいのは、“アダム”たる君だけだ』
正義を求めて彷徨う少年は、絶対的な“正義”の存在を知る。それは己が“運命”に則った、争いのない世界。
その世界は、人類にとって希望の福音となるか。
『私は勝ちたいだけだ。戦いたいわけではない』
偽りの歌姫を掲げ、運命に選ばれし最強のコーディネイターの軍勢が遂に動き出す。少女の危機に、かつて運命に抗い続けた少年は再び逆襲を開始する。
『──未来を決めるのは、運命じゃないよ』
逆襲のクロト──運命編
年内連載開始予定。
冒頭にも書きましたが『TSキラ・ヤマトを主軸としたハードな長編二次創作が読みたかった』という不純な理由で始めた本作が種編完結まで漕ぎ着けられたのは、ひとえに皆様の暖かい応援のお陰です。本当にありがとうございました。
最終話、及び【あのキャラのその後】のどちらでも記載されていないメインキャラがいたら順次追加するので教えてください。