逆襲のクロト   作:皐月莢

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自由を手にした男

 〈74〉

 

 クロトは再び空中で剣戟を交わした刹那、絶大な推力で強引にストライクレイダーを押し込もうとするデスティニーに大型クローを伸ばした。

 状況に応じて適切な武器を選択することで、あらゆる局面に適宜対応することを前提に設計されたデスティニーに対して、ストライクレイダーは機動力を生かした一撃離脱戦法を基本戦術としている。その瞬間的な成果を最大化するために、ストライクレイダーはデスティニーと異なり多数の内蔵武器を採用しているのだ。

 

『おおおっ!!!』

 

 シンは一見無防備なデスティニーの胴体に迫り来る大型クローに柄から手放した右手を掲げ、掌底部から放ったビーム砲で中心部を撃ち抜いた。

 この掌部ビーム砲(パルマフィオキーナ)は格闘戦を想定して両掌部に搭載された武器だった。密着状態の相手を攻撃する、あるいは離脱しようとする相手にノータイムで追撃を行うなど、これまで突撃を基本戦術としていたシンにそれ以外の選択肢を持たせる為に用意された新基軸の兵装だったのだ。

 

『うらぁ!!』

 

 しかし対艦刀が鍔競り合いしている最中に柄から片方の手を放せば、瞬間的に機体のバランスが崩れるのは必然である。

 大型クローの一基喪失と引き換えに刹那の主導権を握ったクロトはシールドバッシュでコクピットに迫っていた大型対艦刀を押し返した。そして反応したデスティニーが再加速した瞬間を狙い、上空に回り込むと同時に極破砕球(ハイパーミョルニル)を投擲した。

 

『がっ……!』

 

 シンは咄嗟に大型対艦刀を持ち直して防ごうとしたが、交差方気味に放たれた質量兵器の威力を殺し切るには至らない。

 狙い通りデスティニーを海中に叩き落として時間稼ぎに成功したのを確認すると、クロトはバッテリーが危険区域に入ったストライクレイダーを急上昇させた。

 

『クロト! 大丈夫?』

 

 キラは射程距離に入ったストライクレイダーのウィング中央部分を狙って、ヴォアチュール・リュミエール機構で指向性を高めたデュートリオンビームを照射した。

 ウィングユニットに内蔵されたエネルギー変換器“M2コンバータ”が作動し、内部で局所的なペタトロン崩壊が発生する。その際に生じる莫大な電磁力を利用して、先程からの戦闘で大きく消耗していたバッテリーが8割近くまで回復する。

 

『助かった! 戦況はどうなってる?』

 

 僅かな気の緩みが死に繋がる実感と、本来勝利を得られる筈の機会を国土が核で汚染されるからと見送らなければならない焦燥感。

 クロトは大きく溜息を吐き、モニター画面に表示されたキラの顔を見た。

 

『今のところは。でも、このままじゃ……』

 

 キラは首を傾げ、苦々しい口調で言った。

 数で圧倒的に勝っている状況で逃げ場のない敵を撃破するのに、奇策は必要ない。

 そう考えた同盟軍は部隊を広く展開し、オーブ軍の防衛網が手薄な箇所を侵攻するような形で攻撃を開始していたのだ。オーブ軍も後方から次々に予備隊を送り込んで対処しているが、このまま消耗戦が続けば前線が崩壊するのは明白だった。

 クロトが単独で攻略部隊の中核であるグラディス隊を対処していたのは、寡兵で大軍を引き付けることで各戦線を間接的に援護する目的もあったのだ。

 

『レジェンドは出てこねー。こっちは助かるけどさぁ』

 

 デスティニーと並んで、同盟軍の最大戦力と目されている最新鋭モビルスーツ“レジェンド”は未だ戦場に現れていなかった。グラディス隊の中で唯一レジェンドの操縦適性を持つレイがミネルバを追われたからだったが、それをクロトが知る術はなかった。

 キラが現れたのはストライクレイダーのパワー供給だけではなく、デスティニーを無力化する作戦を持ち掛ける為だった。いくらデスティニーが強大であろうと、両腕を喪えば戦闘能力の大半を喪失する。

 インパルスの後継機である以上、デスティニーには分離合体機構が採用されていることも考えられる。しかし純粋な膂力はストライクレイダーを上回るデスティニーに、フレーム強度を低下させる分離機構が採用されている可能性は低い。

 そんな風に考えながら、キラが再び海面から飛び出して向かって来るデスティニーを視界に捉えた瞬間のことだった。

 

『!!!』

 

 全身を突き刺すような悍ましい悪寒がキラを襲った。その直後、純白のモビルスーツがオノゴロ島上空に姿を現した。

 腕を悠然と左右に広げ、黄金のツインアイを輝かせる荘厳なモビルスーツのウィングユニットからメインブースターの産み出す莫大な熱気が排出される。

 その熱気は光パルス高推力スラスターが展開している青白い光の翼と重なり合い、まるで粉雪の様な美しい輝きを翼に纏わせた。

 

『あのモビルスーツは!?』

『フリーダム!?』

『構うな! 撃てっ!! 撃ち落とせ!!』

 

 突如防空網を切り裂いて出現した正体不明機を対処するため、周辺空域に展開していたムラサメ隊が空対空ミサイルを放ちながら距離を詰めようとした。しかしその全てが、ウィングユニットを展開したモビルスーツの一斉射撃で貫かれて爆散する。

 最大40機を同時捕捉するマルチロックオンシステムのサポートを受けているとはいえ、高速で移動する目標を正確に撃ち抜く為には人並み外れた空間認識能力だけでなく、それを十全に生かす為の超人的な操縦技術が必要である。

 しかし男はまるでその神業が至極当然であるかのような雰囲気を漂わせながらオープン回線を開くと、厳かな声で周囲に向かって宣言した。

 

『聞け、栄えある同盟軍の諸君!』

 

 聞き覚えのある男の声を聞き、シンはコクピットの中で絶句した。

 

『こ、この声は……!』

 

 それはシンがガルナハンを解放した立役者として、ディオキアでデュランダルに呼び出しを受けた際に挨拶を交わした男の声だった。

 なんと()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。

 

『そして迂愚なるオーブ軍の諸君!』

 

 スピット・ブレイクの武力介入に始まり、地球連合軍がボアズ要塞に行った核攻撃を単独阻止した末に、自らの命と引き換えにパトリック・ザラが極秘裏に製造した大量破壊兵器を破壊したモビルスーツ。

 そのあまりにも圧倒的な活躍から、一部の界隈ではその存在すら疑われていたフリーダムのパイロットが、新たなフリーダムと共に同盟軍が意外な苦戦を強いられているオペレーション・フューリーを成功させる為に戦場へ舞い降りたのだ。

 

「これが……前戦争を終わらせたパイロットの力かよ……」

 

 シンがモニターに映る純白のフリーダムにカーソルを合わせると、そのモビルスーツに関する詳細データが表示されていた。友軍のシンには情報共有を行うため、そのモビルスーツの詳細データにアクセスする権限が与えられていたのだ。

 型式番号“ZGMF-X999S”──“不朽の自由(エンデュリングフリーダム)”。

 前大戦時から開発されていたフリーダムの兄弟機である“ZGMF-X20A”を設計母体としながらも、人類史上最高峰の才能を持つパイロット本人が設計を行い“ZGMF-X42S(デスティニー)”“ZGMF-X666S(レジェンド)”に用いられた最新技術を取り込むことで完成した新型のフリーダムだ。

 

『今、この世界を平和に導いたフリーダムは諸君らの祈りで蘇ったのだ!!』

 

 〈76〉

 

『キラ!! 回線を切れ!!』

 

 この世界で臆面も無くフリーダムの威光を振り翳す人間など、あの男以外に思い浮かばない。クロトが慌ててアカツキに個人回線を飛ばすと、動揺と恐怖で過呼吸寸前だったキラはオープン回線を遮断し、安堵の溜息を漏らした。

 

『あの野郎……! ふざけた奴だ!!』

 

 フリーダムが同盟軍の援軍として参戦したことは、レイダーがオーブ軍の援軍として参戦したこと以上に大きな意味合いを持つ。

 レイダーはザフトにとって悪の象徴であり、一部のオーブ軍や連合軍にとっても悪を象徴するモビルスーツである。しかしフリーダムはザラ派を除いた全ての勢力にとって自由と正義を象徴するモビルスーツなのだ。

 そのモビルスーツが有する圧倒的な戦闘能力以上に、同盟軍の士気が急上昇する一方でオーブ軍の士気が著しく低下した。瞬く間に戦況が同盟軍優位に傾く中、クロトはフリーダムに向かってストライクレイダーを加速させた。

 

『失敗作の方か。貴様に用はない!』

『私はお前に用があるぜ!! ネオに討たれた負け犬にな!!』

 

 カナードは真紅に輝くタソガレを加速させ、両腕に携行した二丁のビームライフルを連射するフリーダムとの距離を徐々に詰めた。

 元々この機体はアスランの能力をフルに発揮出来る調整が施された最新鋭機であり、総合性能はセカンドシリーズ最上位に迫るモビルスーツだ。

 カナードは両脚側部から抜いたビームジャベリンをシールドで防ぐと、返し刀でビームサーベルを横薙ぎに振るった。極小範囲にビームシールドを展開し、フリーダムが攻撃を凌いだ瞬間を狙って不意にシールドを突き込んだ。

 ラミネート装甲に対ビームコーティングを施した上で先端部を鋭利にすることで打突武器としても有効なシールドバッシュに対して、フリーダムはウィング部にマウントしていた8基のドラグーン端末を一斉に操作した。

 

『くッ……!?』

 

 カナードはその滑らかなドラグーン端末の挙動に、思わず戦慄した。

 そのドラグーン端末は第2世代ドラグーンを母体に、アルの高度な空間認識能力に合わせて改良を加えることでマウント状態でも移動砲台としての能力を獲得していた。

 合計22門のビーム砲から一斉に放たれた集中砲火はコクピットに迫っていたシールドを押し返し、一旦距離を取ろうとしたカナードを両腰部の電磁砲が襲った。

 片方は反射的に掲げたシールドで防いだが、もう片方が直撃する。しかし続けざまに放ったビームの嵐は、制御を乱したタソガレを捉えられず空を切った。

 

『まさか“素体(プレア・レヴェリー)”に邪魔をされるとはな』

 

 強烈な一撃をコクピットで受けたカナードは意識を途切れさせていた。

 そんな無防備な相手に何度も攻撃を外したのは、まるでアルの肉体を構成している細胞が彼女の死を拒絶したからだとしか表現出来なかった。

 突如異様なまでに指先の精度が落ちたビームライフルを収納し、アルはフリーダムの両腰から双剣(エスペ・アヴァンチュルーズ)を抜きながらタソガレに向かって急降下した。

 そして僅かに軌道を変えると、弧を描いて迫る極破砕球(ハイパーミョルニル)双剣(エスペ・アヴァンチュルーズ)で受け止めた。更にクロトが放った電磁砲を紙一重で躱し、ウィングユニットから蒼白い光の翼を展開する。

 

『あの娘を連れて投降すれば、今すぐ軍を引いてやる。これ以上、無駄な血を流す意味などないだろう?』

 

 やはりあの男だ。

 10年以上前にラウが粛正したにも関わらず、全盛期と変わらない若さと圧倒的な力を取り戻して復活を遂げた男。

 アル・ダ・フラガ──代々続く資産家の当主で、まるで予言者の様な高精度の未来予測能力を用いて莫大な富を稼ぎ、自らのクローンやスーパーコーディネイターなど禁忌を犯してまで自らの後継者を造ろうとした男だった。

 

『ふざけるな!!』

 

 クロトは思わず呑まれそうな男の狂気を振り払い、集中状態に入った。アルの放った無数の光弾を紙一重で見切ると、接近しながら対艦刀を振り抜いた。

 アルは剣舞のような挙動で両手の双剣(エスペ・アヴァンチュルーズ)を振るうと、ストライクレイダーとフリーダムの間で壮烈な火花が散った。マウントされたドラグーン端末の挙動に反応し、クロトは右腕のビームシールドで辛うじて防御に成功する。

 アルが放った刺突を横っ飛びで避けた。その直後に違和感を抱いたクロトは急上昇で進行方向に放たれた電磁砲を回避した。

 腰部の大型クローを展開してビームガンを連射したが、いつの間にか双剣(エスペ・アヴァンチュルーズ)を納めていたアルはピンポイントでその根元を撃ち抜いた。完全に無力化された大型クローをパージしたクロトは今までにない重圧を感じた。

 何かが変だった。完全に動きが予測されているとしか思えなかった。ラウもこちらの動きを先読みしていたが、それでも全てを読み切られているわけではなかった。

 これがアルの本気だということか。

 

『私はプラントの未来などどうでもいいのだよ。どう足掻こうと100年も経てば消滅する砂上の楼閣などな!!』

『お前のような奴がいるから!!』

 

 動きを読まれるなら、半端な距離で撃ち合っても勝機はない。

 クロトはビームシールドを展開してアルの放った光の雨を突っ切り、双剣(エスペ・アヴァンチュルーズ)の間合いから一歩離れた位置で極破砕球(ハイパーミョルニル)を投擲する。先程の戦闘でも幾度かデスティニーを捉えていた不可避の質量攻撃は、正確無比なスラスター制御で躱される。

 

『世界は再び戦乱を望んでいた!! 私はそれを利用しただけだ!!』

 

 戦争が終わっても変わらない人種間対立。

 コペルニクスの悲劇。

 血のバレンタイン事件。

 エイプリル・フール・クライシス。

 そして互いに大量破壊兵器を撃ち合った第二次ヤキンドゥーエ攻防戦と、本来許されない罪から目を背け合う様な形で締結されたユニウス条約。

 たとえアルやデュランダルが大衆を煽らなかったとしても、いずれ近い将来に別の形で戦争は起こっていたと主張したのだ。

 

『それでも!!』

 

 クロトは回避された瞬間に極破砕球(ハイパーミョルニル)を引き戻し、同時に電磁砲を放った。

 アルは右腕のビームシールドで電磁砲をあっさりと防いだ。

 そして反射的に左腕から展開したビームシールドで防ごうとして──光の壁を貫通した極破砕球(ハイパーミョルニル)はフリーダムの胴体を捉えた。

 アルが完全に未来が読めるというなら、そもそもラウに殺されていない筈だ。アルの思考を読み切り、致命的なミスを誘発すれば勝ち目はある。

 クロトはフェイスシャッターを展開すると、体勢を崩したフリーダムを狙って極大の高出力エネルギー砲(カリドゥス)を放った。

 

 〈75〉

 

 自分と同じ声で告げられた宣言に、パナマ基地に設置されている中継画面でオペレーション・フューリーの戦況を眺めていたネオは憎悪を露わにした。

 

「奴の狙いは、あの娘の全てを我が物にすることだったという訳か……。全く、どこまでも愚かな男だ」

 

 ネオは定期的に服用している細胞分裂抑制剤を取り出し、水で呑み込んだ。そんなネオの背中に、仮面を付けたレイが口を噤みながら立っていた。

 

「君も見極められたか? 自分の運命とやらを」

「ええ。……終わらせましょう、全てを。そして在るべき世界に」

 

 レイが静かに憤怒を示すと、ネオは苦笑した。運命に定められた道に囚われる必要などないと言おうとしたからだ。

 デュランダルが自分達は絶対に正しいと考えているのなら、レイを確実に殺すことも出来ただろう。それを良しとしなかったのは、結局のところデュランダル自身もあの男に従うことが必ずしも正しいとは考えていなかったからだ。

 

「運命など馬鹿馬鹿しい。彼ならそう言うだろう」

 

 ネオは画面の中で猛然とフリーダムに突撃するストライクレイダーに視線を遣ると、仮面の奥で愉快そうに嗤った。

 

 

 

 

 傷付いたストライクノワールとヴェルデバスターはマスドライバーで徐々に加速し始めたシャトルの外装に取り付き、宇宙空間に脱出しようとしていた。

 パナマ基地に配備されている連合軍に気取られるのを防ぐため、ジブリールの存在が確認されるまで潜伏していたことが仇となったのだ。

 

『逃げんじゃねーよ!!』

 

 シャニは機体を前方に加速させながら誘導プラズマ砲を撃つが、ストライクノワールの掌から展開したビームシールドが弧を描くように迫る光弾を防いだ。

 

『おいやべーぞ! メンドーだからぶっ壊していいかァ!?』

 

 このままジブリールに逃走されるくらいなら、眼前に聳え立つマスドライバーを破壊してシャトル射出を失敗させる方が賢明である。騒動を起こしてジブリールの居場所が知れ渡れば、同盟軍を瓦解させるきっかけにはなるだろう。

 

『俺もそう思ってた所だ!!』

 

 しかしオーブの特殊部隊に所属するシャニとオルガが地球連合軍の保有しているマスドライバーを破壊するようなことになれば、重大な国際問題になることは避けられない。

 シャニが搭乗しているエクリプスはユニウス条約で禁止されたミラージュコロイドステルスを採用した機体であり、オルガが搭乗している2号機に至ってはニュートロンジャマー・キャンセラーを搭載したモビルスーツである。

 厳密にはオーブは締結国ではないが、ユニウス条約で独立を承認されたオーブが条約違反機を製造していた事実が露見することは、道義的に決して好ましいものではない。

 オーブのシンボルが太陽であるにも関わらず“日蝕”と名付けられたのは“表沙汰になればオーブに影を落とす”という意味を込めているのだ。

 また戻ったら始末書だ、と考えながらマルチロックオン・システムを起動してマスドライバーの複数箇所に狙いを定めたオルガは奇妙なことに気が付いた。

 

『そういや──』

 

 ホアキン隊との戦闘が始まってから、既に相当の時間が経過している。

 今や地球連合軍内部にも多数存在する反ロゴス派に気取られるのを避けるため、ジブリールは自らの護衛を少数精鋭に絞ったことは理解出来る。しかしそのジブリールの危機だというのに、パナマ基地から一向に迎撃部隊が現れないのは異常事態だ。

 分からないことを考えても仕方ない。そう考えながら全砲門を展開したオルガの無線通信に、聞き覚えのある馴れ馴れしい男の声が届いた。

 

『あー、君達。パナマ基地のマスドライバーは壊してはいけませんよ』

 

 それはムルタ・アズラエルの慌てたような声だった。しかしオルガは面倒な駆け引きをしている時間はないとばかりに、構わず引き金に指を掛けた。

 

『うっせーよ!!』

 

 徐々に加速するシャトル本体を狙ってスウェン達を牽制しながら、上空に向かって伸びるマスドライバーを一撃で破壊しなければシャトル射出は阻止出来ないのだ。

 しかし引き金に掛かったオルガの指は、アズラエルの言葉であっさり解かれた。それはシャニとオルガに託された特殊任務の失敗を示す、無情の宣告だった。

 

『先程、ロード・ジブリールを確保しました。相手を出し抜くのが戦争だと、君達には教えた筈ですがねぇ』

 

 パナマ基地に駐屯している地球連合軍は、その位置上の関係で先日地球連合離脱を表明した大西洋連邦から今も継続的な物資の供給を受けている。

 アズラエルはジブリールの移動先をパナマ基地と予想し、自らのコネクションを通じて事前に罠を仕掛けると共に、ジブリールの護衛を担当しているホアキン隊がシャニ達と交戦を始めた状況を利用してジブリールの確保に成功していたのだ。

 

『ハッ。俺らが真面目に聞いてると思ってたのかァ?』

 

 シャニはコクピットの中で悪態を吐くと、パナマ基地から姿を現した大規模なウィンダム隊とハーピー隊を睨み付けた。

 このまま戦っても負ける気はしないが、余計に状況が悪化するだけだ。

 そう判断したシャニは地面を蹴ってエクリプスをモビルアーマー形態に変形させると、領海付近で潜伏するODRの支援艦と合流する為に撤退を始めた。

 

「…………」

 

 通信室にいたアズラエルはシャニとオルガが操縦していた正体不明機がレーダーから突如姿を消したのを確認すると、余裕を漂わせていた表情を崩した。

 今まで無意識に考えないようにしていたが、重傷だったクロトが生きているのなら軽傷だったオルガ達も生きていて当然である。

 禁断症状に冒されている時ですら一定の理性を残していたクロトやステラと異なり、シャニとオルガの2人は薬物で縛らなければ制御不能だったイカれた連中だ。

 そんな2人が、基地内部に潜入されるまで一切足取りが掴めない程の隠密性を持った謎のモビルスーツに搭乗しているのだ。

 いつ奴等が目の前に現れ、自分を殺そうとするか分からない。つくづくあの3人はコーディネイター以上の化け物だ。

 先日ザフトに敗れて死亡したと報道されたにもかかわらず、フリーダムと交戦しているストライクレイダーの映像を見て、アズラエルは溜息を吐いた。




元々デュランダルの参謀として頭角を現した例の御方がマネージャー兼ミーアザクのパイロットをやってたのは、フリーダムのパイロットを自称する為だったんですね。

でもオーブ軍の上層部や実際にフリーダムと遭遇した人はどうも女の子が乗っていたと知ってるので困惑しそう。
だからグラディス隊はほぼ新人で構成されてるし、レイくんは排除されたんですね。

でもクロトくんの反応的に、この御方が大英雄フリーダムのパイロットなのは間違いありません。(大真面目

次回はデスティニーにやめてよねするキラちゃんや、ハイネデスティニーにこの馬鹿野郎!!!するアスランくんの勇姿が見られるでしょう。

【エンデュリングフリーダム】

・型式番号:ZGMF-X999S

・装甲材質:VPS装甲

・動力源 :ハイパーデュートリオンエンジン

・搭乗者 :?????

・武  装

①MA-M21KF 高エネルギービームライフル×2
②MMI-M15E クスィフィアス3レール砲×2
③MX-2351 ソリドゥス・フルゴールビームシールド発生装置×2
④MMI-GAU26 17.5mmCIWS×2
⑤EQFU-3Z スーパードラグーン 機動兵装ウイング
第二世代がベースだが、本領を発揮するためには高度な空間認識能力が必要なドラグーン。ドラグーンはマウント状態でも高威力の移動砲台として使用出来る上、ウィング部には光パルス高推力スラスターが搭載されている。
GDU-X5 突撃ビーム機動砲×6
GDU-X7 突撃ビーム機動砲×2
⑥MA-M81S ロンギヌス ビームジャベリン×2
※レジェンドに採用されたビームジャベリンの発展形。
⑦MMI-720 エスペ・アヴァンチュルーズ ビームソード×2
※対艦刀としては小型ながらも、それぞれがアロンダイトと同等以上の威力を有している一対の対艦刀。

・総括

ユニウス条約で開発計画が凍結されたフリーダムの兄弟機を土台に設計された、フリーダムの正統後継機。

・作者解説

要はレジェンドとデスティニーの最新技術を取り入れた純ザフト製のストフリです。全体的なモチーフはアーサー王伝説に登場する双剣の騎士ベイリンです。
初期に追放されたため円卓の騎士には数えられないどころか本によっては登場しないキャラですが、身内に討たれたエピソード、ランスロットやガウェインを差し置いて最強と評されたエピソードなど、例の御方と共通点があるので採用しました。

こんな化け物の相手は無理ゲーですが、宇宙空間だとスーパードラグーンが解禁されるのでもっと無理ゲーです。


なおストライクレイダーのモチーフはガウェインです。
だからアマテラスアカツキとコンビで本領発揮する、デュートリオンビーム受信機能付きのバッテリー機なんですね。
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