今回は月読アイから語られる過去の話。楽しんでいただけると幸いです。
船内に溢れたドーパント。メモリ一本だけでも高額なのに、こんなにいるなんて…!インク・ドーパント一体だけでも厄介だったのに、是が非でも私達を潰すつもりか!
『全部倒していたら何時までたってもリリィのところに行けません!』
「これは……恐らく敵の狙いは、「真実の愛」の居場所を探ることだ!」
「どういうことですか?」
「私が盗んだ「真実の愛」の正体は、地球の記憶の結晶だ。ついなちゃんの故郷、
「ここまでメモリを使って、そんなものを取引しようとしていた財団Xとミュージアムはなにを…?」
《ジョーカー!マキシマムドライブ!》
「『ジョーカーグレネイド!』」
ジョーカーグレネイドで複数のドーパントをまとめて撃破しながら、思わず疑問の声が出る。地球の記憶の結晶、そんなものなんの役にも立たないと思うんですが……。
「ミュージアムはこれを使ってガイアインパクトを起こそうとしている」
「ガイアインパクト……なんですかそれは?」
「関係ない人に言う気はなかったんだけど…こうなったら結月ゆかりも巻き込むと決めたから、ね。ガイアインパクトと言うのは、「地球の記憶」にアクセスできる人間に地球の記憶内の膨大なデータを全て流し込む儀式のことだよ。対象者は地球と完全に一体化した究極の存在へと昇華し、地球の記憶を自由に引き出す事のできる生きたガイアメモリ製造機にもなり得る……きりたんは10年前、東北外道にガイアゲートに突き落とされて、地球の記憶にアクセスできる人間になった」
「きりたんの力は、そういう…」
ファズマトデア・ドーパントともにドーパントたちを薙ぎ払いながら、明らかになった真実に舌を巻く。純子さんたちから聞いていた話の真実はそう言うことか…。
「そして東北至子は表向きにはガイアインパクトを使って人類の強制進化をなそうとしているけど、真実は違う。至子は……いや、東北
「不老不死…!?」
『私の父親はそんなことのために、私を……私達を……?』
信じられないとばかりに悲痛の声を上げるきりたん。その話が本当なら、東北外道は自らの不老不死になりたいという野望のために、きりたんを突き落として意図的に殺害し、死後も東北至子を乗っ取り、純子さんと蛇門さんを騙して、暗躍しているということか……なんて奴だ。
「この子供の身体も、東北外道が不老不死になるため作り出した「ヤング」のメモリの実験台にされて子供の姿にされ、制御できないうえにメモリブレイクされないと戻れない状態で永遠に子供の姿に固定されてしまったんだ。さらにはメモリを破棄され成長することもできなくなった。それに加えて私の子供たちを利用して………」
あまりにも壮絶な月読アイの過去に、思わず絶句する。それは恨んで当然だ。きりたんを、ついなさんを、リリィを利用してミュージアムに対抗しようとしたのも、恐らく計画外だった私をなんとしてでも排斥しようとしたのも、わかる気がする。
「私はあの男に復讐するため、その野望を挫くために実験体と新型ガイアドライバーの設計図、ガイアメモリ数本を盗み出して逃げ出した。そして対抗する手段を作ることにしたんだ。それが、仮面ライダーだ」
「それが、ダブル……」
「私は、奴の精神干渉も受けない無敵の肉体と精神、そして最強の頭脳を持つきりたんが融合した最強のWを生み出して東北外道に対抗しようとした。そのために、旧友のイフを選んで……だけど死んでしまって、慌ててメモリに慣れさせるためのアクセルを作って次の候補者だったついなちゃんに渡したんだ。そして、ナインテイルフォックスに対抗するためにエルドラゴも作った……すべては、アイツを倒すために」
「ついなさんも、リリィもそのために……」
ドーパントを蹴り飛ばしながら話に耳を傾ける。私を排斥しようとしたのも今なら納得がいく。私は肉体的にも強いとは言えないし、心も未熟なハーフボイルドだ。だからこそ、月読アイは頑なに私を認めようとしたなかったのだろう。
「……でも、いつしか奴と同じように心のない悪魔に成り下がっていた。COEFONTの事件でようやくそれに気づけた……今までごめん、結月ゆかり。許してくれとは言わない。だけど、これからもきりたんを支えてやってくれ……」
『ゆかりさん……』
「そんなの、当たり前です!」
頭を下げるファズマトデア・ドーパント……月読アイに、即座に断言して見せる。そんなこと、最初から決めている。
「おやっさんに託されただけじゃない。私がそうしたいからやる!何か文句がありますか!お義母さん!」
『誰がお義母さんですか!?』
「まだあなたにお義母さんと言われる筋合いだけはないよ!?」
重苦しい空気を何とかしようとふざけてみたら、親子一緒に怒鳴られた。解せぬ。
「とにかく、私は「真実の愛」を回収しに行く。2人はリリィの援護を!」
「了解です!」
『へましないでくださいよ、母さん!』
「…うん!きりたん!」
私の呼びかたに引っ張られたせいか月読アイのことを普通にお母さんと呼んじゃってるのはツッコまないでおこう。
「LAAAA♪」
「そんな歌声、心に響かないんだよ!」
エルドラゴ ゴールデンルーラーに変身したオレはルーラテインにメモリを装填、ルーラチェインがジャラララと音を鳴らして四方八方に伸びて簡易的な陣を作り上げ、奴の実体化した音符攻撃を防ぐ。
「裁定を与えてやる!」
《ルーラー!マキシマムドライブ!》
捕らえたドーパントたちを持ち上げ、次から次へと壁や天井に叩きつけて、メモリブレイクしていく。雑魚は相手にならない。なんならこのディーバとかいうIAが変身したドーパントも戦闘力自体は雑魚同然だ。しかし、閉鎖空間だということを利用した反響による歌声の洗脳が何より厄介だ。メモリを使用していて、ある程度耐性があるオレとゆかり、きりたん以外はアウトだろう。一度だけとはいえ仮面ライダーに変身したことがあるあかりがあれだからな。
「ほんと、厄介だなCLEARというのは!」
熱線を放ちながら腕を振り下ろしてきたロード・ドーパントの攻撃を、ルーラテインで受け止めて防ぐ。CLEAR故の身体能力の高さとタフさ。そして、万を超える観客が当たり前の舞台に立つ歌姫だから故か異様に状況把握が上手いディーバ・ドーパントの巧みな命令。最強の操り人形と化した我らが所長の猛攻に押され、その間にルーラチェインを超えてきた他のドーパント共まで襲いかかってきた。
「邪魔だ!」
ルーラチェインを長く伸ばし、ドーパントたちを壁に押し付けて、ルーラテインのメイス部分にあるマキシマムスロットにサンダーのガイアメモリを装填。黄金の電撃を迸らせながら、ルーラチェインを熔かして突進してきたロード・ドーパントに振りかぶる。
《サンダー!マキシマムドライブ!》
「ゴールデンブリッツ!」
そしてルーラテインをバットの様に両手で振りかぶり、一閃。帯電した雷撃が集束して電気の球になったロード・ドーパントは吹き飛ばされ、ドーパントたちを余波で感電させてメモリブレイクしながらディーバ・ドーパントに突撃していく。
「Laaaaaaaa♪…そんな!?」
歌声で音の障壁を張って防ごうとするディーバ・ドーパントだったが防ぎきれず、直撃……する直前、横から飛んできたミサイルの様なものが激突して相殺、メモリブレイクされて変身が解けたあかりだけが転がった。
「……なんだ?」
「リリィ様、駄目ですよ。彼女は我らエル・ドラードの大事な同士だ」
気絶した人間たちを踏みつけるようにして、そのドーパントは現れた。マンタを彷彿とさせる青に金ラインの入った、機械的なダイバースーツめいた鎧に身を包む、一国の王を彷彿とさせるドーパント。明らかに格が違う。おそらくゴールドクラスのメモリ…!
「何者だ」
「俺は貴女の忠臣で……貴女を正すものだ!」
そう言ってトライデントを取り出し、泳ぐようにして突きを繰り出してくるドーパントの一撃を、ギリギリルーラテインで受け止める。…この船は魔窟かなにかか!?
不老不死になるという野望のために家族全員を利用している東北外道。その実験で子供の姿にされて二度と成長できない月読アイでした。外道が外道たる由縁である。
「真実の愛」は以前役村で存在が明かされた地球の記憶の結晶でした。全部の事件は繋がっているのだ。
ダブル、アクセル、エルドラゴの誕生理由も判明。そしてエルドラゴの前に現れたのは…?
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。