前回のあらすじ。西友の離脱で暗い雰囲気の事務所を訪ねて来たかつて助けた少女、ユキの依頼で小学生連続誘拐事件を解決しようと動き出すゆかりたち。しかしその矢先、ユキの姿が消えて謎のドーパントが現れて…?楽しんでいただけると幸いです。
「か、仮面ライダー!?」
「さあ、派手に行こうか!」
「うわあああああ!?」
リリィの変身したエルドラゴがいつもの口上なしに殴りかかるも、ドーパントはタタタター!とまるでギャグマンガみたいに足をばたつかせながら回避。イナズマサカリを振り回して追撃するも、ひょいっ、ひょいっとにやけきった顔でまるで8を描くように両手と両足をくっつけて跳んだり、跳んで逆さまになりながらけらけらと笑いながらアクロバティックな動きで回避するドーパント。見た目のわりになんて速さだ。
「ひょっ、ひょっひょっひょっ!なにすんだよぉ!零れたらどうすんだあ!?」
「なにがこぼれるかはわかりませんが……素人の動きなのは分かりました」
「ひょっ!?」
するとミリアルが、生身でも勝てると踏んだのかドーパントの前に立ちはだかり蹴り一閃。ぽっこり膨らんだお腹に突き刺さり、やはりギャグマンガの様にポーンと跳ねて背中から壁に激突、ぼてっと転がったところをエルドラゴがサッカーボールキックをしようとして、止まってミリアルを抱えながら退避する。ドーパントの口から溢れた毒々しい煙が、地面を融解させていた。異臭がする、腐食している様だ。
「ぶはぁああ……案外、賢いんだねババア!」
「これは……毒か!?」
《ジョーカー!》
「きりたん、私たちも!」
『ちょっとよくわからないメモリですね…ですが今の能力にはサイクロンが有効のはずです。《サイクロン!》』
「『変身!』」
《サイクロン!ジョーカー!》
私たちもダブルに変身して参戦。跳躍し、跳び蹴りをドーパントに叩き込むがしかし、気付かれてあのギャグみたいな動きで回避されてしまった。
「もう一人の仮面ライダーもいるなんて、ぼかぁ不幸だなあ、どうしよっかなあ」
「ミリアルの攻撃も通じるなら、三人で追い込むぞ!ユキの居場所を吐いてもらう…!」
「やだなあ。吐くわけないじゃん、もったいない。しょうがない、助けてもらおっと。誰かー!大人の人ー!?黒山羊さーん!!!」
わざとらしく両手をメガホンの様にして叫び始めるドーパント。なにをしたいのかわかりたいが、それを止めるべく距離を詰める私たちとエルドラゴ。しかしまた腐食性の煙を吐かれて近づけず、後退したところにそれは背後に落ちてきた。
「……手は出させない」
「えっ、きゃああ!?」
落ちてきたのは、天を衝く螺旋状の角が二本頭に生えている赤い瞳に黒い顔の獣のような悪魔を思わせる顔に、偶蹄目の様なヒヅメが両足に、手甲の様に両手についていて、黒い毛皮のコートを身に纏っているかのような姿。これは見ればわかる、
「ゆかり!」
「リリィ!」
私とエルドラゴは頷き合って、風で煙を吹き飛ばせる私たちが太っちょのドーパントを、純粋に戦闘力が高いエルドラゴがゴート・ドーパントを引き受ける。また8の字を描いて跳躍しながら腐食性の煙を吐いてくる太っちょのドーパントの攻撃を風で吹き飛ばし、二段蹴り。一撃目は腹部に、二撃目は顎に直撃して蹴り飛ばす。しかしぼよんと跳ねて壁に跳ね返り、ずべしゃっと顔から地面に叩きつけられるドーパント。やっぱり、あまりに手ごたえがない。弱すぎる。
「ふん!」
「はああ!」
横を見れば、ゴート・ドーパントはイナズマサカリの一撃を、両手を腰で組んだまま右足を振り上げて蹴り飛ばし、弾かれたイナズマサカリをその勢いのまま一回転して叩きつけたのを、やはり両手を後ろに組んだまま角で受け止め頭突きで押し返す。
「なめてるのか?山羊野郎」
「私は両手は使わない主義だ」
「そうか、よ!」
イナズマサカリの攻撃を、華麗なステップで回避。一回転して回し蹴りを叩き込み、イナズマサカリを弾き飛ばすとそのまま上半身を大きく振るって頭突き、頭突き、頭突き。次々といろんな角度で頭突きを叩き込まれたエルドラゴの装甲が火花を散らし、吹き飛んでいく。
「がああっ!?」
「リリィ!」
《ルナ!》《ルナ!ジョーカー!》
咄嗟に、太っちょドーパントから目を離すのも構わずルナジョーカーにチェンジして右手を伸ばし、エルドラゴの手を握って吹き飛ぶのを引き留める。
「ひょっひょっひょっ!隙あり!」
「ふんっ!」
「があっ!?」
『ゆかりさん!?』
背後から毒の吐息を受け、がら空きの胴体に跳躍して急降下しての頭突きが突き刺さる。前後からのダメージに、目が眩む。エルドラゴを手放して地面に降ろし、左手で引き抜いたジョーカーメモリをマキシマムスロットに装填する。負けて、たまるかあ!
《ジョーカー!マキシマムドライブ!》
「『ジョーカーストレンジ!』うおおおおおおおっ!」
中心から分離して、右のソウルサイドが分身して右腕を伸ばして攻撃。それは拳の流星群となって、二体のドーパントを叩きのめしていく。なすすべなく殴られる太っちょドーパント、両腕を交差して耐え抜くゴート・ドーパント。
「ひょひょひょひょぉおおおっ!?」
「ぐっ……これが、仮面ライダー…!」
しかし、ジョーカーストレンジは最後にボディサイドで一撃を叩き込んで終わらせる技。分身が重なるようにして一つに戻り、一度一体化してもう一度分離しようとしたところで、変身が強制的に解除される。背中と腹部から激痛。背中は灼けた様に服に穴が開いて皮膚が爛れ、多分ろっ骨が折れてる。その状態で必殺技行使は無茶だったらしい。
「う、あ……」
「ゆかりさん!」
激痛で意識が遠のいて倒れそうになったところを、駆け寄ってきたミリアルに受け止められる。ああ、情けない。依頼人が誘拐された、のに……。
「変身が解けた!ぼっこぼこにしてやるぞ!」
「だめだ、帰るぞ」
「ええ!目的の子は手に入れたけど、殴られたんだよぉ?仕返ししないと……!?」
《サンダー!マキシマムドライブ!》
「ユキを返せよくそ野郎。サンダーバッシュ…!」
逃げようとする二体のドーパントに、エルドラゴは刃を高速回転させ大電流を放出させたイナズマサカリを手に突撃して、ユキさんを誘拐した張本人である太っちょドーパント目掛けて横一閃。しかしひょいっとゴート・ドーパントに持ち上げられて避けられてしまい、鋭い前蹴りを受けて蹴り飛ばされてしまう。
「ひょ、ひょえっ……」
「文句はないな?」
「待て!?」
ゴート・ドーパントは太っちょドーパントを抱えたままぐぐぐっとしゃがむと跳躍し、ビルの合間に消えていく。エルドラゴは手を伸ばすもルナジョーカーでもない彼女の手は届くことなく、虚しく空を切って。ああ、またやられたと、私は意識を手放したのだった。
ミリアルとリリィによってゆかりさんが事務所に運び込まれ、私があかりを起こして事務所備え付けのベッドにゆかりさんを寝かせる。包帯は巻いたが気休めにすぎない。
「ゆかりさんは意識不明の重体。メモリによる傷、それも毒なので、病院は意味がありません。故に、あかりさんには起きてもらいました」
「私が寝ている間にこんなことに……」
「あかりは悪くありません。悪いのはあのいけ好かない太っちょのドーパントで……」
「いいや。オレの、責任だ」
そう言って、客用のソファに座り何か考えていた様子のリリィが立ち上がる。ダブルドライバーNEOを取り出して、ゴールド、パイレーツ、サンダー、ルーラーのメモリと共に机に置いて。踵を返して事務所の入り口に歩いていく。
「なにを……ついなさんがいない以上、仮面ライダーは貴女だけなんですよ!リリィ!」
「違う。頼ってくれた女の子すら守れない。それどころか、オレを守るためにゆかりはやられた。最初にゆかりが言っていた通りだった。オレは、仮面ライダー失格だ。それに……もう、疲れた」
「リリィさん!」
そう言って振り返ることなく出ていったリリィを、あかりが追いかけていく。私とミリアルは、顔を見合わせ、ゆかりさんを見る。トゥースの時を思い出す。あの時は、ゆかりさんは心が折れただけだったが……今は、肉体的にもう動けない。そしてゆかりさんが目覚めない限り、私もダブルにはなれない。――――――雨が降りしきるその日、紲星探偵事務所は、負けた。
登場、ゴート・ドーパント。サンジとかライカンとか蹴り技が得意なキャラや、あとキョウリュウジャーの鉄砕とかを参考してしてる超武闘派。謎のドーパントのボディガードの様ですが?
手も使わずやられた挙句に自分のせいでゆかりがやられ、ユキも攫われて完全に折れたリリィ。その行く先は…?
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。