ボイロ探偵W   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。今回で事件は大きく動きます。楽しんでいただけたら幸いです。


第十九話:Fの嫁入り/狂気爛漫

「そろそろしおどきだよ結月ゆかり。きみのおかげ(ジョーカー)でエクストリームメモリがしょーかんされた。かんしゃはするけどここまでだよ。きりたんにふさわしいのはついなちゃんだ」

 

 

 ダブルがドーパントに苦戦する映像が映るスタッグフォンを手に童女は嗤った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっ…なにがっ!?」

 

 

 突如起きたダブルの不調。イレイザー・ドーパントとの戦いでヒートジョーカーに変身した時の様な過剰なエネルギーを右側から感じる。まさかあのとき私側が過剰エネルギーを出したことできりたん側も過剰にエネルギーを出し始めてそれに私が追い付けなくなってる…!?

 

 

「き、きりたん!なんとか抑えられませんか!?」

 

『駄目です!なんでか知らないけど、安定しない…!』

 

「アハァ…?」

 

 

 左右のバランスが崩れて動きが悪い私達の攻撃を容易く受け止めたかと思えば右肩のティラノサウルスの頭部で噛み付いてくるドーパント。顔から胸部まで噛み付かれて暴れていると足に何かを巻き付かれて引きずり出され、木に叩きつけられる。見ればドーパントの左腕の尻尾だった。

 

 

「と、とりあえずメモリを…」

 

《トリガー!》《ルナ!》《ルナ!トリガー!》

 

 

 サイクロンジョーカーからルナトリガーに変身、距離を取り誘導弾を放つ。これなら動きが悪いことも関係ないと思ったのだが、反動がいつもよりでかい。しかもドーパントに全弾向かって行ったが右肩のティラノサウルスの頭部を向けて来たかと思えば口を開いて咆哮。発生した衝撃波で全弾撃ち落とされてしまう。ルナトリガーでしか戦えないというのに厄介な。

 

 

「クルォアアアアアッ!!」

 

「…!?」

 

『ゆかりさん!?どうしました!?』

 

「あ、頭が…」

 

 

 咆哮の衝撃波を浴びた瞬間、体が火照る。頭痛がする。なんだこれは。ドーパントの能力か?頭が割れそうだ。気が狂いそうだ。

 

 

「ああ、ああああああああ!!」

 

《メタル!》《ルナ!メタル!》

 

 

 頭が割れそうな激痛を振り切るように何も考えずメモリを交換。ルナメタルとなって伸縮するメタルシャフトを力任せに振り回し、ドーパントの左腕の尻尾とぶつけ合い、弾き飛ばす。

 

 

『ゆかりさん、落ち着いて!』

 

「アハハハッ!クルォアアアアアッ!」

 

「その咆哮を、今すぐ止めろッ!」

 

 

 何時にも増して語気荒く、湧き上がる怒りのままに攻撃的になる私を必死に止めるきりたん。自分でも止まらない、落ち着かない。暴れ足りない。するときりたん側のエネルギーがまた溢れてメタルシャフトの伸縮が暴走、伸び続けて凄まじい勢いでドーパントに先端が炸裂。吹き飛ばした。

 

 

「アハハァ…」

 

 

 笑いながらドーパントは左腕の尻尾を地面に打ち付けて砂埃を起こして消失。しかし私は気付かずメタルシャフトを振り回し続ける。敵は何処だ。暴れさせろ、暴れさせろ。暴れさせてくれ!

 

 

『落ち着いてください、ゆかりさん!』

 

「…がはっ」

 

 

 きりたんが無理やりメモリを外して変身が解除され、私は膝をついて肩で息をする。頭の痛みが急速に引いてようやく落ち着いた。なんだったんだ。あのメモリは一体。立ち上がって周りを見渡す。この嵐でぬかるんでるのに森に続く足跡がない、犯人はまさか…?

 

 

「ゆかりさん!大丈夫ですか!?」

 

「きりたん…なんとか…」

 

「一体何の騒ぎだ!?…おばば!?」

 

 

 走ってきたきりたんに続き騒ぎを聞きつけて九王さんとフェイさんがやってきて、惨状を見て絶句する。…そうだ、初峯弥美さんが燃やされたんだった。雨で火は消えたが原型は残っているのは見ようによってはグロい。……そう言えばあのドーパント、燃やす攻撃してこなかったな。

 

 

「私が来たときには既にこの状態でした。足跡から、犯人は内部の人間だと思われます」

 

「内部の…ということは花嫁たちの誰かだと?」

 

「…そうなりますが、貴方達も容疑者ですよ」

 

 

 そう言って私はバットショットで現場写真を撮ってからご遺体を屋敷内の空いてる部屋に運び…九王さんに頼んで、容疑者を広間に集めてもらった。…のだが。みんなを呼びに行ったはずのフェイさんがやってきて、私はきりたんと顔を見合わせる。嫌な予感がする。

 

 

「結月様。景山様のみ部屋におりませんでした。どうしましょう」

 

「きりたん、貴方は先に広間に行って集まってるはずの容疑者たちを見張っていてください。私はフェイさんと一緒に冷さんを捜します」

 

「わかりました。お気をつけて」

 

 

 きりたんと別れてフェイさんの案内で冷さんのいそうな場所を探す。途中で乾かしてもらっていた一張羅に着替えて屋敷を探索する。あの豪胆な女傑が姿を消す理由として考えられるのは犯人だったか、もしくは…殺害されたか。

 

 

「あれ、お風呂場に明かりが…」

 

「風呂に入ってるならいいんですが…」

 

「ヒッ」

 

 

 浴室に入ると、赤く染まった巨大な浴槽に冷さんが仰向けに浮かんでいた。悲鳴を上げそうになったフェイさんの口を塞ぐ。騒ぎに紛れて犯人がきりたんの監視から逃れて逃げ出す方が不味い。観察する、既に亡くなっているようだ。つけていたであろうタオルははだけて今は一糸まとわぬ姿を見せていて、その顔は不気味な笑みに歪んでいる。外傷は胸部の刺し傷、ぐらいでしょうか。しかし傷に反して出血量が多い。これは……。

 

 

「…フェイさん、手伝ってもらえますか」

 

「は、はいぃ…」

 

 

 泣きじゃくりながら手伝ってくれるフェイさん。悪いことをしたな。とりあえず洗面所に冷さんのご遺体を寝かせ、私たちは広間に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 広間に着くなり九王さんに冷さんが亡くなっていたことを話すと、神妙な面持ちで告げる。

 

 

「皆を集めたのは他でもない。……おばばと景山冷が殺された。犯人はこの中にいるらしい」

 

 

 九王さんに集められ、どよめく花嫁候補たち。仮面を被ってるわけでもないのに特に怪しい所はない。犯人がいるのは間違いない。鈴音さんを始め震えている人間もいれば、驚愕を表情に浮かべた人間もいる。違和感はない。相当演技が上手いか、殺人を何とも思っていないか、それとも…?頭がまた痛む。額を押さえていると、きりたんが前に出て周りを見渡す。

 

 

「犯人はガイアメモリを使って怪物・ドーパントになってました。この怪物の噂を聞いたことがある者は?」

 

 

 その問いかけに全員が手を上げる。そりゃそうだ。水都に住む人間でドーパントを知らない人間はいないだろう。

 

 

「怪物に変身できる魔法の小箱が高額で手に入るというアレだろう?噂は聞いたことはあるが実物は………多分見たことはないね」

 

「本当にいるとは思わなかった」

 

「そもそもそんな大金持ってないから見たことも聞いたこともないな」

 

 

 とはそれぞれ九王さんと涙さんと雪さんの談。小耳に挟んだ程度の人が多そうですね。

 

 

「私達の紲星探偵事務所は結構頻繁にガイアメモリの事件の依頼を受けてます。この場の仕切りは任せていただきたい。さっそくで悪いのですが身体検査を行いたい。つい先刻起きた事件です。まだ犯人がガイアメモリを隠し持ってる可能性もある」

 

 

 そう言うと素直に頷く容疑者たち。きりたんに残りを見張ってもらって一人ずつ調べることにした。九王さんは特になし、自分の屋敷だし小物は持ち歩かない様だ。次に女性陣、なのだが全員がドレス姿でろくに隠せる場所がなかった。メイドのフェイさんも同様だ。これはそれぞれの部屋を調べる必要もあるかなと思案する。

 

 

「いいえゆかりさん。この屋敷は広いです。どこかに一時的にメモリを隠していたら見つかりそうにありません」

 

「それもそうですね…そうだ、九王さん。弥美さんが亡くなり、花嫁候補も一人いなくなったわけですが…この宴を続けるのですか?」

 

「…それなんだが、みんな。聞いてほしい」

 

 

 九王さんの声に反応する鈴音さん、雪さん、空さん、涙さん。フェイさんやきりたんも視線を向け、この屋敷の主人に全員の視線が向けられる。九王さんは心底悲しそうな顔で告げた。

 

 

「まだ二夜しか経ってないが俺も遊び呆けていたわけじゃないんだ。ある程度相手を絞り、答えも出てる。景山冷さんは残念ながらその中に入っていなかったけれど。…おばばも殺されて俺も気が立っている。これ以上誰かに死んでほしくはない」

 

「婚姻の夜会はこれまでと。賛成です」

 

 

 九王さんの言葉に頷く。金持ちの面食いだが、まともな精神は持っていたらしい。好印象だ。すると九王さんの前に出たのは涙さんだ。

 

 

「待ってほしい。私達も選ばれたからには本気で勝ちを狙っている。…もしも、もしもだけどまた怪物が出て、花嫁候補が一人以外殺された場合…貴方はそれが犯人かもしれなくても、気に入ってない女でも、選ぶ?」

 

「…愚問だな。おばばを殺したかもしれない人間だとしても、俺は君達を選んだ責任がある。もしもそうなったらその子と結婚することを誓うよ」

 

「なるほど。よくわかったわ」

 

「え、マジですか?」

 

「どっちも正気じゃいられなくなってますね…」

 

 

 前言撤回。九王さんも花嫁候補たちも極限状態で精神が参ってるらしい。特にこの状況だと言うのに興奮しながら何かをメモに一心不乱に書き込んでいる空さんはまあ正気じゃない。鈴音さんも唇の端が上がってるし、雪さんも九王さんの答えを聞いて小さくガッツポーズを作ってる。駄目だなこれは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とりあえず容疑者たちには広間を中心に団体行動をしてもらい、私ときりたんは捜査のために屋敷中を回っていた。できることといえば捜査と夜通し屋敷を見張ることぐらいしかない。

 

 

「実際の所、花嫁候補の誰かがライバルを殺してる、なんてことがありえるんでしょうか」

 

「いくら初峯家が金持ちとはいえ殺すメリットがあるか、と?…多分ありますよ。ちょっと検索しましたが廊下に飾られている絵は全て億単位の価格を下回るものはありません」

 

「はえー、金のために殺人しているとしたら恐ろしい話です」

 

「…ゆかりさん、ここに迷い込んだのが相棒と二人でよかった。あまりにも異常な、今まで感じたことのない人間の感情が渦巻いてて私の苦手な論理的でない事件です、正直言って混乱してます。ゆかりさんの人間力と直感が便りです」

 

 

 頭を押さえてそう言うきりたんの頭を軽く撫でて安心させる。

 

 

「それはこっちの台詞ですよ。今回の私は戦闘で足を引っ張ってばかり。貴方の頭脳と冷静な目が必要です。やっぱり私達は、二人で一人でいることが必要の様です。…そういえば、あのダブルの不調はなんだったんでしょう」

 

「…それなんですが、ゆかりさんが私についてこれてない…のだと思います」

 

「私が?」

 

 

 きりたんの言葉に立ち止まり振り向くと、言いたくないとばかりに目を瞑っていたきりたんが意を決して口を開いた。

 

 

「先日のイレイザー事件…あの時ジョーカーメモリがゆかりさんの怒りに反応して爆発的にパワーを増していました。私はその際、引きずり出されるように自身のパワーが増す感覚がしたのですが…その影響か、バランスが崩れてしまっているんです」

 

「あのドーパントの影響ではないと?」

 

「いえ、ゆかりさんの精神を不安定にされていたのも無関係ではないと思います。何故私に効かなかったのかは謎ですが。…次はファングジョーカーを試したいところですが」

 

「…それがよさそうですね」

 

 

 あのドーパントはやばい。あの咆哮を受けた瞬間、正気を保てなくなる。一発、二発と喰らうたびに症状は重くなっていった。頭が割れそうな頭痛が起きて体が火照り、落ち着かず暴れたい衝動に駆られるのに、それを自分で止めることができない。なんなんだあれは。

 

 

「最初に見た時に頭に浮かんだのはファング、だったんですよね」

 

「それは思いました。噛み付いてきましたしね。Tレックスがアレだったから単純に恐竜型ドーパントとは思えないってのもありますが」

 

「ファングならこの…暴れたい衝動を与えるってのも納得がいくと言いますか」

 

「とりあえずファングで仮定しましょう。そうなると気になるのは…」

 

「「殺し方」」

 

 

 きりたんとハモる。ですよね、それが気になった。

 

 

「ファングだとしたら炎を使うなんて能力はないはずです」

 

「それに、景山冷の遺体…あんなに綺麗に残せるような器用さがあるとも思えない」

 

 

 あのドーパントが使わなかった炎で燃やされていた初峯弥美さん。あのドーパントの荒々しさからは考えられない綺麗な外傷だけしか残ってない景山冷さん。違和感しかないのだ。

 

 

「…まさかと思いますがあのドーパントは搖動で」

 

「本命のドーパントが別にいる、と?ありえなくはないですね」

 

 

 新たな可能性が浮上した。不安定なダブルだけではきついかもしれない。だがしかし私達には頼れる味方がいる。

 

 

「ついなさんは?」

 

「既にこの屋敷の電話を借りて呼びました。彼女ひとりならバイクフォームで一直線に来れるでしょう」

 

「便利ですよねあれ…」

 

「しかもあれ、ハードボイルダーと同じでユニットくっつけれるみたいなんですよね。ダブルとの互換性が感じられます。あのアクセルメモリもダブルドライバーに対応してるようですし」

 

「…今の私より、ついなさんの方がきりたんの相棒にふさわしいのでしょうか」

 

 

 ふとそんな言葉がこぼれていた。きりたんは強くなってるのだ。不安定な私より、安定して強いついなさんの方がダブルは強くなれる、そんな気がする。と考えていると、ポコッとお腹を殴られた。見下ろすときりたんが怒り心頭といった顔で睨んでいた。

 

 

「馬鹿言わないでください」

 

「きりたん…」

 

「私の相棒は貴方だけです。冗談でもやめてください。…私は、ゆかりさん以外を信用できません。私を真っ向から叱ってくれた貴方と、今は亡き虚音イフしか信じることができないんです」

 

「あかりも、ついなさんもですか?」

 

「…あの二人も、私が悪魔だったと知れば手の平を返しますよ」

 

「きりたん…」

 

「それとも、私の事を見限りましたか…?私は、貴方の相棒にふさわしくありませんか…?」

 

「そんなことありません!」

 

 

 裾を掴んで涙ぐみ見上げてきたきりたんに、思わずしゃがんで抱きしめる。この子は記憶がなく、唯一ある記憶も運命の子としてミュージアムに利用されメモリを作らされていたことしかないのだ。そんな自分に負い目を感じているきりたんを不安にさせてしまった。それだけはしないと誓ったのに。

 

 

「ごめんなさい、弱音を吐いてしまいました。私達は二人で一人の探偵です。どうにかあのドーパントを攻略して、ダブルの不調も治しましょう」

 

「…また言ったら承知しませんからね。不安なのはわかりますけど」

 

「…はい。…そうだ、不安といえば事件の直前で鈴音さんが何かしらに困惑してましたね」

 

「困惑?」

 

「はい。私の名前も咄嗟に言えないぐらいに。窓ガラスに映った自分の顔を見たら妙に落ち着きましたけど」

 

「加賀見鈴音は何かを知ってしまった可能性が高いですね」

 

 

 ですよね。聞いてみるか……あ、噂をすれば。目の前の突き当りの廊下を歩いて行く鈴音さんが見えた。笑っていたかと思えば窓を見て我に返りそそくさと去って行く。あのやってきた方向は……確か食堂?

 

 

キャアァアアアアアアアアッ!

 

 

 次の瞬間悲鳴が食堂の方から聞こえてきて、きりたんと顔を見合わせ頷くと一緒に走り出して急行する。悲鳴を上げていたのはフェイさんで、食堂の入り口で腰を抜かしている。

 

 

「どうしました!?」

 

「あ、あわ、あわわ…刃金様が、刃金様が…!」

 

「これは…!?」

 

 

 食堂を覗くと、料理を乗せられた机の上に仰向けに乗せられた雪さんが大きなシャンデリアに潰され絶命していた。血の池に沈んでいるその様はまるで人間を料理した様で、犯人の悪趣味さが際立っている。

 

 

「まさか、鈴音さんが…!?」

 

「追いかけましょう!」

 

 

 きりたんと共に来た道を引き返して鈴音さんを追う。まさか、あの鈴音さんが…?俄かには信じがたい。私達が遭難した時に助けてくれたように、他人の事を考えられる人間だ。それがまさか…!?

 

 

「アハァ~」

 

「っ!?」

 

 

 次の瞬間、私達の背後からその巨体がのっそりと現れる。廊下が自動車一台ぐらいなら余裕で入れる広さのおかげで突っかからずにどこかに向かおうとしているそれは、件のドーパントだった。

 

 

「きりたん!」

 

《ジョーカー!》

 

「ファングで行きましょう」

 

《ファング!》

 

「「変身!」」

 

 

 そして私達はファングジョーカーに変身、私の意識を失った身体が倒れて飛びかかる…がやはり右側が異様にパワーが高く体勢が崩れてドーパントに飛びかかってしまう。

 

 

「アハァ~邪魔よ!」

 

 

 右肩のティラノサウルスに噛み付かれて近くの部屋に投げ込まれる。人の気配を感じて横目で見てみると鈴音さんがガタガタと震えていて。…って、ええ!?

 

 

「加賀見鈴音はドーパントじゃ、ない!?」

 

『っ、不味い!』

 

 

 右肩のティラノサウルスの口が開きそうだったので左腕を操りアッパーで無理矢理に口を閉じる。あれをされたら終わる。そのままきりたんが右腕でパンチをドーパントの顔面に叩き込むと、ドーパントは私達に取っ組みかかり大きな窓から外に飛び出した。嵐は弱くなっていたが、強く踏み込んだ右足がぬかるみに突っ込んで体勢が崩れてしまう。

 

 

「アハァ!マヌケー!」

 

 

 力任せに振るわれたドーパントの左腕の尻尾がまるで生き物の様にしなって私達の胸部を強打、大きく突き飛ばされる。そして右肩のティラノサウルスの顔を向けてきたのを見て咄嗟に動く右手がタクティカルホーンを一回叩いてアームセイバーを展開する。

 

 

《アームファング》

 

《ルナ!マキシマムドライブ!》

 

「『ファングムーンエッジ!』」

 

 

 そしてルナメモリを腰のマキシマムスロットに装填するとアームセイバーが伸縮して鞭の様に動かしてティラノサウルスの頭部に巻き付いて拘束。開けなくさせた。

 

 

「よし、このまま…!?」

 

『っ、振り回される…!?』

 

 

 しかしそれも一瞬で、ファングの力をジョーカー側で制御できずに振り回されてしまい拘束が緩みドーパントは脱出。その口を開いて例の咆哮を放って来た。

 

 

「クルォアアアアアッ!!」

 

「しまっ…ゆかりさん!」

 

『ああ、ああああああああ!!』

 

 

 案の定、再発した。闘争心が膨れ上がり、頭痛から逃れるために一心不乱に暴れる。左側が勝手に暴れ出したため振り回されるきりたんが必死に止めようと抗う。いつも私が抑えているのがまるで逆だ。

 

 

「アハハァ!」

 

 

 そんな私たちは格好の獲物だったようでドーパントの容赦ない、しかし理性の欠片もない荒々しい一撃がベルトに炸裂。メモリが弾け飛んできりたんの変身が解除され、地面に転がる。意識を取り戻して慌てて駆け寄ろうとするも頭痛で立つこともできない。ファングメモリもライブモードじゃないから動けない。誰もきりたんも守れない。そんな、やめてくれ。動け、動いてくれ私の身体。奴が爪と牙を鳴らしながらきりたんに歩み寄っているのに、動けないなんて。

 

 

「きりたん!」

 

 

 思わず叫んだその時、エンジン音が鳴り響いた。

 

 

「よっしゃ間に合った!振り切るで!」

 

 

 紅いバイクが横から激突、吹き飛ばされるドーパントの前でバイクは人型に変形する。現れたのはもう一人の水都の仮面ライダー、アクセルことついなさんだった。




増える被害者、アレの出現によるダブルの不調。アクセル参戦。ドーパントのメモリの正体は分かるかな?

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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