「そしてサーカス・ドーパント…五人目のピエロを名乗ったその正体は…貴方だ!」
私が指差した真犯人、加賀見鈴音は余裕の笑みを浮かべる。それでわかった、この目の前にいるのは加賀見鈴音であって加賀見鈴音ではない。
「私がそのサーカス・ドーパント?そんな、ひどいですゆかりさん…」
「それです」
「え?」
「呼び方が気になってたんです。貴方は一度、私の名前が分からなくて改めて自己紹介すると「探偵さん」と呼んできました。まるで…広間での自己紹介を知らない様子の貴方にね」
「…そんなこと言いましたか?私、気が動転していて…」
「鈴音さんが気が動転していたことをいいことにそう演技してたんでしょう?貴方、変わるたびに表情が変わってわかりやすいんですよ」
「待たんかい結月。なんの話をしてるんや?」
私達の問答に割り込んできたついなさんの言葉に、私は持って来たあの台本を見せる。「九十九のキョ―面相」だ。それを見て目の色を変える鈴音さん。
「これは加賀見鈴音さんが次に出演するドラマの台本です。鏡を見ることで別人格が発現する二重人格を取り扱っている作品です。そして加賀見鈴音さんは役に入り込む天才女優として知られています」
「まさか、役に入り込むあまり二重人格になってしまったと、そういうことか?」
「その通りです九王さん。この屋敷に来た時に彼女の優しさと思いやりを見たことで無意識に容疑者から外してましたが、まんまと乗せられました」
「で、でも証拠は?私が犯人だと言う証拠は…」
「実はずっと気になってました。貴方の頭に常につけられているその大きなリボン」
「っ!?」
指を差すと兎の耳の様にぴょこんと跳ねる鈴音さんの頭の大きな黒のリボン。大きさはちょうど、メモリがすっぽり入るぐらいの大きさだ。
「その中にメモリがあるんじゃないんですか?そして貴方は鏡を見ることで人格が入れ替わる!」
「ちい!」
《サーカス!》
私が腰に手をやるのと、加賀見鈴音がリボンからメモリを引っ張り出してボタンを押すのは同時で。左手の甲に出現した生体コネクタに突き刺す前に、私が突きつけた手鏡が奴の視線に入り、その手からメモリが零れ落ちる。
「ここ、は…?」
「鈴音さん!鈴音さんですか?!」
「探偵さん…?」
状況を理解してない様子できょろきょろと辺りを見渡している。そんな彼女に駆け寄りながらサーカスメモリを拾い上げる。これでフレンジーとサーカスのメモリは私が確保した。
「貴方は二重人格、だということを自覚してましたか?」
「二重人格…ああ、だからか…もしかして、ここで起きた殺人は…」
「…辛いでしょうが、もう一人の貴方の仕業です。…ついなさん、この場合どうなるんでしょう?」
「一応同一人物やから逮捕することになるなあ。情状酌量はあるやろうけど」
「というわけだそうです。申し訳ありませんが、その…」
「…うん。私、罪を償います」
腑に落ちたらしい鈴音さんはそう言って悲しそうに笑った。空想のものにのめり込んで犯罪を起こす輩は沢山いる。彼女もまたその一人、納得しきれないが納得するしかないだろう。そう、ついなさんがフェイさんと鈴音さんに手錠をかけようとした、その時だった。
「あーあーあー困ります!困りますよ刑事さん!探偵さん!いいや、仮面ライダー!」
「「「!?」」」
黙っていたかと思えば突然喋り出した人物…桜乃空の発言に、私ときりたん、ついなさんの視線が向く。仮面ライダー?とざわついている九王さんと涙さんは知らないのはいい、だけどこの女は…何故、知っている?桜乃空は怒り心頭といった顔で髪をふんわり縛っていた組み紐を外していく。
「困りますよー、せっかく花嫁候補を皆殺しにして愛を勝ち取る狂乱したメイドさんか、皆殺しにして高笑いを上げる五人目のピエロを名乗る殺人鬼…そのどちらかのエンディングを生で見られると思ったのに!なんで邪魔してくれやがるんですか!正気ですか!?」
「それはこっちの台詞や物書き。面白ければそれでいいんか?人が死んでるんやぞ!」
「そんなのこの水都じゃ日常茶飯事じゃないですかー。それでもこんな貴重な場面、中々ないんですよ?なーのーでー、邪魔者を始末してどうなるかを見てみましょうか」
そう言って桜乃空が髪の中から取り出したのは氷柱でWと描かれたシルバーメモリ。それを見て目を見開くついなさん。まさか、まさか。さらに取り出した銀色のバックルを腹部に装着してベルトにしてメモリを鳴らす桜乃空。
《ホワイトアウト!》
そしてメモリを挿入すると、桜乃空の姿が純白のイブニングドレスを着た全身が凍てついた女性的なフォルムで白熊を思わせる装甲を身に着けた美しい妖精、とも言うべき姿のホワイトアウト・ドーパントとなり両手を胸の前に置いて間に冷気を集めて行く。
「ミュージアムの幹部がこんなところに…!?」
「お前、お前がWのメモリの持ち主だったんか…!」
「五人目のピエロ。貴方の殺人、痺れました!まだまだ見せてください!」
ついなさんがフェイさんの拘束を外してエンジンブレードを手にホワイトアウト・ドーパントに突っ込んだ瞬間、冷気が爆発して視界が真っ白に染まる。まさしくホワイトアウト。すぐ近くでパキパキという音が聞こえる。冷気の煙が晴れると、私ときりたん、フェイさんと鈴音さんの目の前には巨大な氷塊が形成されていた。表面が磨かれていて、まるで鏡……しまった!?
「ハハハ…ハハハハハッ!」
次の瞬間、笑い出したかと思えば蹴りを入れて氷塊の表面に罅を入れる鈴音さん…否、五人目のピエロ。咄嗟に手鏡を取り出すが蹴り飛ばされ、手にしていた二本のメモリも手放してしまう。
「ヨホホイ!礼を言うぜ小説家!こいつは返してもらうぜ!しかし名推理だったなゆかりさんよお!」
二本のメモリをキャッチして勝ち誇りながらそう笑う五人目のピエロ。取り返そうとしたきりたんを蹴り飛ばしながら殺人鬼は続けた。
「俺はこのサーカスメモリを鈴音が周囲からのプレッシャーに耐え切れずに使ったことで生まれた別人格だ。生憎とメモリを使った記憶は忘れてしまったがなあ?今回の最初の事件なあ、あの婆さんは俺の…いや、鈴音の身体に施術した時に偶然メモリを見つけてよ!鈴音に成りすましていた俺に次のフレンジーにならないかと誘ってきたんだ!だが俺のメモリはサーカスだけだ。冗談じゃないと一蹴したら口封じのつもりなのか襲って来てな?返り討ちにして燃やしてやった!」
それが最初の事件か。視界の端でついなさんがエンジンブレードでホワイトアウト・ドーパントに斬りかかって避けられ拳を入れられてる姿が見える。変身できないのに無茶な。
「なら、なんで冷さんが!?」
「そこに居合わせたあの女だがな?俺を鈴音だと気付かなかったのか、これを使って他の花嫁候補を殺してみないか?と誘ったら快く承諾してよ。だがアンタらと戦って逃げた後に偶然出くわした俺を風呂場で殺そうとしてきたもんで、変身してナイフで刺して返り討ちにしてしまったんだなこれが!」
立ち上がろうとしながら尋ねると語ってくれる五人目のピエロ。勝利を確信しているようだ。
「そのあと雪って女にメモリを持ちかけてみたんだがな?あの女はメモリを使った瞬間熱狂して机に倒れ込んでしまったからばれるのを危惧してシャンデリアを落として殺害、したら料理を準備しようとしていたそこのメイドに見つかってなあ。羨ましそうに見てくるもんでメモリを渡して自室に戻ったところをアンタらに見られたわけだ。ほら、メイド!ここで終わる気はないだろう!?」
《サーカス!》
「わた、私は……九王様の花嫁に…ウアァアアアアアアッ!」
《フレンジー!》
止める間もなく、五人目のピエロは右手の甲にメモリを突き刺してサーカス・ドーパントに、フェイさんは額にメモリを突き刺してフレンジー・ドーパントに変貌してしまう。止めれなかったけれど、今から止めて見せる。私が!…いや、私達が!
「きりたん!」
《ジョーカー!》
「いきましょう、ゆかりさん!」
《サイクロン!》
「「変身!」」
私ときりたんは並び立ち、サイクロンジョーカーに変身。二体のドーパントに立ち向かう。
「お前が、お前がうちの仲間を…!」
「変身しないんですか~?そうだ、できないんでしたっけ?」
方相氏の力で全力で振るうエンジンブレードが、一瞬白く染まって床が凍り付き形成された剣の山の一本を手にしたホワイトアウト・ドーパントに受け止められる。力を入れて砕けばまた別の剣を手に取り応戦を繰り返す。ようやく見つけた仇なのに、遊ばれている…!
「なるほどなるほど。その重量の剣はさすがに受け切ることができないと。もう少し硬度を上げるべきですねえ」
「自分、なに人と戦ってるのに分析してんねん!」
「これは実験だからですよ。仮面ライダーアクセル。貴女方、方相氏の力でどこまで私と張り合えるのか、というね」
「クソがあ!」
怒りのままに叩きつけて粉砕、したところにもう片方の手に握られていたナイフ型の氷が咄嗟に退いたうちの腹部を軽く斬り裂いた。血が滴る。並大抵では傷付かない方相氏の肉体に容易く傷をつけおった。
「うちは、お前を倒すまで死なへんぞ…!絶対なあ!」
「ほう!なら試してみましょうか!」
ナイフ型の氷を捨てて氷剣を二本握り、さらに冷気を吹き荒させて周囲に複数の氷の刃を展開、連続で生成しつつ一斉に飛ばしながら自分から斬りかかってくるホワイトアウト・ドーパントの斬撃と、刃の雨を何とか受け止める。こいつ自身が斬るではなく突く動きはいやらしいことこの上ない。
右肩を貫かれ、左足に刃が掠り、パキパキと右肩と左足が凍って行くのを感じて万事休す、かと思いきや。視界の隅にこちらに突っ込んでくるビートルフォンが見えて。左腕で握ったエンジンブレードを渾身の力で振り上げてホワイトアウト・ドーパントを吹き飛ばし、ビートルフォンが落としたアクセルドライバーを手に取り腹部に取りつける。完全に修理されておる、さすがやな。
《アクセル!》
「待たせたな桜乃空!さあ、振り切るで!変…身!」
《アクセル!》
変身と同時に凍てついた体の氷も溶け、エンジンブレードを構える。ようやく見つけた仇や、ここで倒す!
変身と同時に外に飛び出した私達。サーカス・ドーパントの火炎放射とフレンジー・ドーパントの爪が襲いかかる。
「動きが…よくなった!」
『これなら行けます!』
ついなさんに叱咤されてから初めての変身。ダブルの不調が治った。自由に動ける。サーカス・ドーパントとフレンジー・ドーパントの2人がかりの攻撃も捌いて行ける。
「ヨホホイ!プレゼントフォーユー!」
「死ねえ!」
サーカス・ドーパントがジャグリングした二つの爆弾を投げつけ、フレンジー・ドーパントは左腕の尻尾を伸ばして攻撃してきたが、爆発は跳躍で避け、尻尾の攻撃は蹴り飛ばして迎撃。何時もより動きがいいまである。
「クルォア…」
「『させるか!』」
「背中ががら空きだぜ!」
「ぐっ!?」
フレンジー・ドーパントの右肩のティラノサウルスが咆哮を上げようとしていたので顎を蹴り上げて阻止。しかし背中に投擲されたナイフを刺されて動きが止まったところにフレンジー・ドーパントの右手の爪の一撃を受けて吹き飛ばされる。
「復活したとはいえ1VS2はきついですね」
『如月追儺は幹部を相手にしてますし、どうしますかね』
ナイフを抜いて構えを取って二体から距離を取る。片方を攻撃すればもう片方の攻撃を受ける、しかもどちらも洒落にならない火力だ。しかもフレンジー・ドーパントは放っているとあの咆哮が来るため是が非でも止めないといけない。攻めあぐねている、どうしたものか。
「ヨホホイ!終わりだあ!」
火の輪を展開したサーカス・ドーパントから飛び出したライオンが襲いかかり、アッパーでかち上げる。しかしその隙をついてフレンジー・ドーパントがティラノサウルスの口を開いて咆哮を放っていて。
「っ!?」
思わず身構えたその時、私達とフレンジー・ドーパントの間に割り込んだ何かが咆哮を鳥の様な鳴き声で相殺させた。
「え?」
『これは……エクストリーム、メモリ』
「エクストリームってなんですかきりたん!?」
『いえ、何故か知っていて…って!?』
割り込んできた鳥の様なメカはそのまま屋敷の中に入ると窓から見えるきりたんの身体を粒子化させて取り込み、戻ってきた。あまりの出来事に一瞬固まる私達。
「き、きりたんの身体ぁあああ!?」
『落ち着いてくださいゆかりさん!これを、使いましょう!』
「この殺人鳥を!?」
『違います、私の肉体を中に取り込んだだけです。これを使うことで私達は本当の意味で二心同体に…なる、と知らない記憶が言ってます!』
「きりたんが言うなら信じますよ!」
きりたんが言うのでエクストリームメモリを装填しようとドライバーを変形させるとジョーカーメモリとサイクロンメモリが入ったスロットから二本の、緑と紫に輝く光の柱が立ち上り、エクストリームメモリはそれに重なるとレールの様にして降下。サイクロンメモリとジョーカーメモリを取り込みメモリの様な形状になってる足をドライバーに装填、勝手に展開する。
《エクストリーム!》
『なんですか、この沸き起こる力…!まるで地球そのものと一体化したような……!』
「それだけじゃない。私たちの、心と体が……!」
「『一つになる!』」
するとダブルの中央が輝き出し、荘厳なメロディーと共に私の身体ときりたんの身体が重なる感覚を得ると同時に中央のラインに手をかけると、力の限り開き白い輝く装甲クリスタルサーバーが現れ頭部の形状も変わる。私は、いや、私達は……ダブル!
「「名付けて仮面ライダーダブル、サイクロンジョーカーエクストリーム」」
私の口から二人の声が重なって聞こえる。
「「プリズムビッカー!」」
私が手をかざすとクリスタルサーバーから、四隅と上部にマキシマムスロットが取り付けられた盾プリズムビッカーが現れて握られる、怖気づいているフレンジー・ドーパントに歩いて行って殴りつける。ティラノサウルスの口も開こうとするのを見るなり殴りつけてやめさせ、私はクリスタルサーバーから現れた結晶の記憶が封じられたプリズムメモリを鳴らし、プリズムビッカーの上部の柄のスロットに装填。
《プリズム!》
「「解析完了。もう貴方の咆哮は通じない」」
上部の柄を引き抜いてプリズムソードとビッカーシールドに分離して、咆哮に向けて斬撃を繰り出して防御してプリズムソードの鍔部分にあるボタンを押す。
《プリズム!マキシマムドライブ!》
「「プリズムブレイク!!」」
プリズムメモリによって発生したエネルギーを纏った剣身でそのままフレンジー・ドーパントを斬り飛ばした。この形態は地球の本棚に直結している。相手の能力を閲覧し、その上でプリズムメモリを使うことで敵ドーパントの解析済みのガイアメモリの能力を無効化する一撃を放ち、フレンジー・ドーパントの咆哮を完全に無効化。フレンジー・ドーパントは吹き飛ばされた先で呻くと爆散。ブレイクされたメモリが散らばりフェイさんが倒れた。
「ふざけんなよ仮面ライダー!」
「「ふざけてるのは貴方です」」
サーカス・ドーパントが火球を放ってくるがビッカーシールドにプリズムソードを納刀したプリズムビッカーで容易く防御する。完全に検索済みの攻撃はちゃんと防御することで完全に防げる。
「「二重人格であるのをいいことに、何も悪くない加賀見鈴音の身体を使って三人も殺した。なんとも度し難い。メモリから生まれた悪魔なら、メモリを破壊することで消し去ってやりましょう」」
「はいそうですかって倒されてたまるかよ!俺は五人目のピエロ……面白おかしく観客を楽しませながら人を殺すことが存在意義なんだよお!」
「「お前の大道芸で喜ぶのは当の本人だけです!さあ、お前の罪を数えろ!」」
炎、ナイフの雨、ライオン。全ての攻撃を防ぎながらプリズムビッカーの四隅のスロットにメモリを装填させていく。
《サイクロン!マキシマムドライブ!》《ヒート!マキシマムドライブ!》《ルナ!マキシマムドライブ!》《ジョーカー!マキシマムドライブ!》
「「ビッカーファイナリュージョン!!」」
するとプリズムビッカーの中心にエネルギーが集まって七色の破壊光線を放ち、空中ブランコのアクロバティックな動きで避けようとしていたサーカス・ドーパントを撃ち抜き、爆散。
「すずねっ、鈴音ェエエエエエエ!?」
本来の己の名を叫ぶ断末魔を上げながらその姿が加賀見鈴音へと戻り、落ちてきたところを横抱きでキャッチ。メモリの破片が流星群の様に落ちてきてキラキラと輝いた。加賀見鈴音を地面に寝かせて、思い出す。
「「そうだ、
《アクセル!マキシマムドライブ!》
「アクセルグランツァー!」
「はーい残念。ハズレー!」
私が駆けつけると、すっかり氷漬けの漂白された世界となった広間でアクセルが必殺技を放つも喰らったホワイトアウト・ドーパントが砕け散る光景があった。あれは氷の偽物か。九王さん達はさすがに逃げたようだ。
「「能力を把握しても技量でカバーする相手…エクストリームでもきつい、か…?」」
「あれー?なんですかその姿。もしかしてダブル?もしかしてあの二人、ヤラレチャッタ?」
私の姿に気付いたホワイトアウト・ドーパントが漂白された虚空から現れる。白に溶け込む能力…ホワイトアウト。検索してわかりましたが強力なメモリです。
「そこにいたか、お前…覚悟せえや……がはっ」
アクセルはそれを見つけて今度はエンジンメモリをアクセルドライバーに装填してマキシマムドライブを発動しようとするが、疲労が溜まったのか強制的に変身が解除されて転倒し、慌てて駆け寄って受け止める。周囲を見れば、壊された氷像の様な物がいくつもあった。まさかこれ全部にマキシマムドライブを使ったというのなら、そりゃ倒れて当然だ。
「ああ、せっかくのネタが…ひどいことしますねダブル…と言いたいところですがその姿。ついにエクストリームに至りましたか、あの方にいい報告ができます」
「「逃がす気はありませんが?」」
「残念。私はもういないのです」
プリズムソードで斬りかかるが、ホワイトアウト・ドーパントが砕け散る。これも氷像…この広間全体が白い霧に包まれている。既にこの「白」に溶け込んで逃げられていたらしい。自身の空間を形成すればいくらでも武器を生成し、どこにでもいるという厄介な相手だ、あれがWのメモリの持ち主…ついなさんの仇。そう考えながら変身を解く。…と私ときりたんは変身解除と同時に分離、二人して床に降り立った。エクストリームメモリはどこかに去って行くがまた会えるだろう。
「とりあえず、凶行を止めれてよかったと思いましょう」
「はい。如月追儺…いいえ、ついなさんにも礼を言わなきゃいけませんね」
きりたんの呼び方が変わった。どうやらついなさんをある程度信用することにしたと分かるその変化に、私は笑みを浮かべるのだった。
あのあとは大変だった。水都署の警官たちがやってきて加賀見鈴音さんとフェイさんの逮捕をしたのはいいが、現場検証に付き合わされた。バットショットの写真も全部提出したから勘弁してほしい。鈴音さんとフェイさんはメモリ使用のことだけ咎められることとなった。なにせ黒幕である弥美さんと五人目のピエロが死んだのだ。鈴音さんは自分の罪だと受け入れるらしい。彼女がこれからどうなるかは神のみぞ知ることだろう。
九王さんは誰も選ぶことなく、屋敷も財産も売り払うことを決めたらしい。弥美さんの闇稼業で手にいしていた様な物である屋敷を残しておくことを許せなかったのだろう。あの人は誠実な男だ。あのあと涙さんと何やら話していたので、近々いい報告があることを期待したい。
「サイクロンジョーカーエクストリーム、ゆかりさんときりたんが二心同体になった姿…私も見たかったなあ!」
「そのうち見れるでしょう。悲しいことに、この街は桜乃空が言っていた通り犯罪に塗れている」
「アイツのことだ、どうせ我慢できんくて事件に関わってくるはずや。そこを叩く」
そう言うのは元気な姿のついなさん。かなりの負傷を負ったようだが普通に治ったらしい。方相氏って軽く人間やめてません?それから桜乃空は指名手配されたが、行方を晦ませたらしい。ついなさんの言う通り、あの性格ならまた会うだろう。そのときにシャーク、エクスタシー等と共に決着をつけたいものだ。
「…ゆかりさん。考えたんですが、やはりあのことはあかりさんと…ついなさんに話すべきじゃないでしょうか」
「きりたん、いいんですか?」
「ゆかりさん、きりたん?あのこととは?」
思い立った様子のきりたんに首を傾げるあかり。言うんですね、ついに。
「融合したことでゆかりさんが既に覚悟を決めていたことを図らずも知ってしまいました。私も、覚悟を決めました。この二人を信用します。だから、話したい」
きりたんの覚悟を受け止め、私も意を決する。あかりにおやっさんの死を教える事にもなるが…致し方ないだろう。何時までも隠してはおけない。
「…わかりました。あかり、ついなさん。聞いてもらえますか?私達の出会い、そしておやっさんとの別れた運命の日…
ホワイトアウト・ドーパントを出すタイミングが思いつかなくて詰め込み過ぎになってしまった。
というわけで加賀見鈴音は二重人格でした。名前からメタ的に推理できる仕様。五人目のピエロは某楽曲から。「番」ではなく「人」です。
以前の設定集を見ていた人ならなんとなく察せられる仕様になっていた桜乃空もとい東北奏楽/ホワイトアウト・ドーパント。Wのメモリのドーパントです。一定空間を己のテリトリーに変えて、武器の無限展開やら氷像生成、「白」に溶け込むなど圧倒的な能力を有しています。遊んでいてこれ。コンセプトは「氷雪系最強ドーパント」
そして原作より圧倒的に速く登場、サイクロンジョーカーエクストリーム。あんなに苦戦したフレンジー(ゆかりの精神的な障害)とサーカス(容姿がジョーカー+アクセル+スカルというきりたんにとって乗り越えるべき存在)をいとも簡単に撃破。フレンジーはエクストリームじゃないとダブルで勝つのは難しいです。
そして明かされるビギンズ・ナイトとは。次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。