ボイロ探偵W   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。今回はついにドーパントの正体発覚。ダンデライオン以来の病院を舞台に決着です。楽しんでいただけたら幸いです。


第三十六話:死人のO/見えざる敵の正体

 きりたんを後部座席に乗せたハードボイルダーで水都総合病院までやってくると、屋上の給水塔の上に佇むおやっさんの姿が見えた。ペストマスクで表情は見えないがこちらを見つけたようでその姿をスカルに変えるとスカルマグナムをこちらに向けて乱射してきた。

 

 

「いました!まさか撃ってくるとは思いませんでしたが!」

 

「デンデンセンサーで見ました!やはり口から弾丸を飛ばしています!」

 

 

 そうなのだ。あの時はきりたんが大阪からの帰り道だったので使えなかったが、デンデンセンサーで正体を探ることができたのだ。奴はおやっさんの姿に「擬態」している。神経毒を持ち、ぬめりがある擬態できる生物。ついでに言えば遠距離攻撃は吹きかける墨、見えない壁が奴の身体、不意打ちでもらった攻撃は恐らく触手。つまりは。

 

 

「オクトパス…誰だか知りませんけど絶対に許しません」

 

「単純明快故にわかりませんでしたね」

 

「とりあえず私が行きましょう」

 

《メタル!》

 

「私の身体はエクストリームメモリに回収してもらいます」

 

《ルナ!》

 

「「変身!」」

 

《ルナ!メタル!》

 

 

 ルナメタルに変身、同時にやってきたエクストリームメモリがきりたんを回収。メタルシャフトを伸ばして屋上まで一気にやってくる。そこには仮面ライダースカルの姿が…。デンデンセンサーごしに見てみると、そこにはタコをカツラの様に被って目元を隠した女性的なフォルムの、艶かしい触手の怪人がいた。

 

 

『擬態を解くには例の方法です!』

 

《トリガー!》《ルナ!トリガー!》

 

 

 ルナトリガーに変身して右腰のスロットにルナメモリを装填。掌にルナの力で作り出した光球を出現させる。

 

 

《ルナ!マキシマムドライブ!》

 

「『トリガーシャインフィールド』」

 

 

 光球を握り潰すことで粒子として周り一帯に散布。散布された領域内にいる目に見えない、または捉えきれない相手を感知できる索敵専用の裏技だ。粒子を受けて輝き出す蛸怪人のシルエットをしたスカル。自分の現状に気付いたのか、スカルの擬態を解いて姿を現した。頭のタコだけピンク色の、あとは全部真っ赤なぶよぶよしている触手の肉体。両手の五指はあるが足はハイヒールの様な形になっているものの触手だ。

 

 

「なぜ、私の事を…!」

 

「ついなさんが残した手がかりで正体に辿り着きました。オクトパス、スカルに化けていたことからミュージアムの関係者ですね?」

 

『スカルの情報を知るのは私達以外にはミュージアムしかありませんからね』

 

「ついでに言うなら、ナインテイルフォックスと戦う直前に出会っていた…あの売人が貴方でしょうか」

 

「ご明察よ」

 

 

 そう言ってメモリを引き抜くオクトパス・ドーパント。現れたのは男物の黒スーツを身に着けたピンク色のメッシュが一房入った黒髪ロングヘアーの美女だ。首元の赤い斑点がついた白いスカーフは売人の特徴だ。

 

 

「私はガイアメモリ売買成績二位、巡寧瑠夏(めぐりね ルカ)と申します。お見知りおきを」

 

「名前まで名乗るとは…逃げ切れるとでも?」

 

「いえいえ。ここで貴方達を潰すっていう表れよ。正々堂々するつもりは毛頭ありませんけど?」

 

《オクトパス!》

 

 

 タコが触手で丸を作ってOと描かれているメモリを鳴らし、ぐわっと開いたシャツの胸元から覗く豊満な胸に刻まれた生体コネクタに挿入する巡寧瑠夏。コネクタから噴き出した煙幕に包まれるようにしてオクトパス・ドーパントに変身。いちいち扇情的だな。胸がない私への当てつけか、ドーパントの姿でも巨乳であってからに。

 

 

「やれるものなら!」

 

 

 トリガーマグナムを構えて連射。六発放たれた誘導弾は奴の周りを一周してから速度を増して、一斉にその全身に炸裂。しかしぐにゃんと歪んだかと思えば全弾弾かれてしまう。

 

 

「私の軟体の肉体にその程度の攻撃、通じるはずもないわ」

 

 

 そう言って跳躍し、毒々しい黄色い液体…恐らく神経毒の滴る爪のついた右腕を振るってくるオクトパス・ドーパント。バックステップで回避してトリガーマグナムで殴りつけるがぶよんっと弾かれてしまう。さらに右腕を屋上の床に突き刺して身動きが取れないオクトパス・ドーパントに追撃を仕掛けようとしたが、髪の毛を形成している蛸の八本の足が蠢いて殴りつけられる。

 

 

「がはっ…普通に戦っても強いのは聞いてませんが!?」

 

『多彩な能力を持つメモリです、油断しないように!』

 

「ちょっと忠告が遅い…ぐああぁああ!?」

 

 

 さらに腕を引き抜いて立ち上がったオクトパス・ドーパントが口から真っ黒い球体を吐き出し、それは胸部で爆ぜて大爆発。大きく吹き飛ばされてフェンスに背中から激突する。墨の爆弾…!?

 

 

「これがスカルの銃撃の正体ですか…!」

 

「ご明察。威力を下げて撃ったのだけど、隠す必要がないのならこれぐらいの威力を出せるわ」

 

「ならばタコ焼きにしてやります!」

 

《メタル!》《ヒート!》

 

《ヒート!メタル!》

 

 

 ヒートメタルに変身、メタルシャフトを振るうが、オクトパス・ドーパントは宙返り。着地したところを狙おうとするが、オクトパス・ドーパントは足の吸盤で出入り口の壁にくっ付いてメタルシャフトは空振り。そのまま頭部のタコ足による連続ビンタを受けて後退すると、今度は真っ黒い煙幕を吐いて屋上を包み込んだ。

 

 

「なにを…!?」

 

「今の感触、防御力に特化した姿の様なので。私は力押しが苦手だからじわじわと甚振ってやろうかと思ってね。仮面ライダー、一般人を殺されたくなければ私を見つけてみなさい」

 

「待て!」

 

 

 シュルルルという滑る音が聞こえて。慌てて出入り口に入ると腹ばいになって階段を滑り降りて行くオクトパス・ドーパントの姿が。まさか病院にいる一般人を無差別に殺害する気ですか…!?

 

 

《ジョーカー!》《サイクロン!》

 

《サイクロン!ジョーカー!》

 

 

 さすがに屋内で長物を扱う訳にはいかないので、サイクロンジョーカーに変身。メタルの防御力じゃないと対抗できないのをわかっていてシャフトを使えない屋内に…頭の回る奴ですね。一階まで降りると、何十人もごった返す一般人の間を縫って廊下を高速で滑走するオクトパス・ドーパントを発見。襲わせるわけにはいかないと、走る。

 

 

「仮面ライダー!?」

 

「きゃあ!?ナニこれ!?」

 

「うわああああ、化け物だあ!?」

 

 

 廊下にいた人々は大混乱。押し寄せてくる人波を優しくどかして追いかけようとするが、ロビーでオクトパス・ドーパントの姿を見失った。

 

 

「消えた!?」

 

『ウィンディスタビライザーが反応しないってことは透明にはなっていません。どこに…?』

 

「え、きりたん?」

 

『え』

 

 

 聞き覚えのある声に振り向くと、そこには検診に来ていたらしい音街ウナちゃんがいて。右半身のきりたんが固まってしまった。何てタイミングで…しかも声でばれた!?普通、顔と声を合わせて認識するものですよね!?

 

 

「きりたん、私だよ、ウナだよ。何で仮面ライダー…?」

 

『いや、あの、それは…』

 

「危ない!」

 

 

 間一髪。ロビーに座っていた入院着を着た老人の頭上から黒い球が発射され、咄嗟にウナちゃんの前に出て受け止める。立ったまま座った老人に擬態するなんて小癪な真似を…!

 

 

「この!」

 

 

 ウナちゃんを庇いながらハイキック。しかし正体を現したオクトパス・ドーパントの肉体にぶよんと弾かれ、ウナちゃんと一緒に倒れ込んでしまう。

 

 

「一般人を守らないといけない仮面ライダーは大変ね」

 

 

 さらにはオクトパス・ドーパントは宙返りして天井にくっ付き、私やウナちゃん、さらには周りの患者や看護師にドクターまで、八本の触手で首を締め上げて持ち上げるオクトパス・ドーパント。変身している私でも苦しいってことは、ウナちゃんを始めに他の人々は失神間近だ。不味い。

 

 

「さあ仮面ライダー、守ってみなさい守れるものならね!」

 

「くっ、関係ない人まで巻き込んで…!」

 

『ウナちゃん…!来てください、エクストリーム!』

 

 

 するときりたんの呼び声に応えて自動ドアのガラスを突き破りエクストリームメモリが飛来。高速で飛び回って人々を締め上げている触手を斬り落として解放すると、私の伸ばした手に収まる。

 

 

「いったあ!?なに!?なんなの!?」

 

「『エクストリームで勝負です!』」

 

《エクストリーム!》

 

 

 そしてダブルドライバーに装填して展開。プリズムサーバーを開いてサイクロンジョーカーエクストリームに変身。

 

 

「なんだ、首領様にボコボコにされてた姿じゃない、爆ぜなさい!」

 

「「プリズムビッカー!」」

 

 

 天井からオクトパス・ドーパントが墨爆弾を放ちつつ、それをカモフラージュに飛び降りて爪で攻撃してきたが、左手を掲げて顕現したプリズムビッカーで受け止め、弾き返す。

 

 

「「斬撃に対抗できますか?」」

 

《プリズム!》

 

 

 ビッカーシールドからプリズムソードを引き抜いて、振りかざしていたオクトパス・ドーパントの左腕を手首から切断。しかし瞬時にニョキッと生えて再生した。よく見ればさっきエクストリームメモリに切断された触手髪も再生している。

 

 

「タコは再生能力を持ってるって知ってたかしら!」

 

「「解析完了。もう手品は通じません!」」

 

 

 伸ばしてきた触手髪に、プリズムエネルギーを纏った斬撃で迎撃。伸びてくる触手をズバズバズバズバ斬って行く。そのうち再生しないことに気付いたオクトパス・ドーパントはざんばら髪状態になってしまった。

 

 

「なんで、このメモリは一般メモリの中でも最強なのに…!?」

 

「「プリズムソードは解析済みのドーパントの能力を無効化します。全てのタコの力を有しており、物理攻撃を無効化する軟体、擬態、触手、吸盤、煙幕、墨爆弾、神経毒の毒棘、再生能力といった多彩な能力を持つ貴方にとって、エクストリームは天敵です」」

 

「くっ……こんなところで負けるわけには…首領様の命令をこなさないと、殺されるのよ…!」

 

 

 周囲の光景に擬態しながら煙幕を吐いて逃走を図るオクトパス・ドーパント。プリズムソードで煙幕を斬り裂くと、自動ドアが閉まるところだったので外に逃げたと判断。追いかける。

 

 

「私はこんなところで終わる器じゃないのよ…!」

 

 

 すると庭で待ち構えていたオクトパス・ドーパントの下半身が膨れ上がり、10メートル以上の巨大なタコの下半身を持つ怪物へと変貌。本体は10メートル以上もの上から墨爆弾を乱射し、巨大なタコ足で踏み潰そうとしてくる。ビッグオクトパスとでも呼ぼうか。

 

 

「「来て、リボルギャリー!」」

 

 

 停めていたハードボイルダーに乗り込み病院の敷地内を爆走。追いかけてくるビッグオクトパスのタコ足と墨爆弾を避けながらスタッグフォンを操作してリボルギャリーを呼び出す。

 

 

「これならどうかしら!」

 

 

 するとその巨体で透明に擬態してくるビッグオクトパス。ウィンディスタビライザーが無いので察知することはできず、ハードボイルダーごと見えないタコ足に蹴り飛ばされて病院の壁にクレーターを作りながら激突。そのまま落下し、倒れ伏す。

 

 

「「やりますね…だがでかいと見えなくても当てれますよ」」

 

「なに?ギャアア!?」

 

 

 するとリボルギャリーが到着。体当たりでビッグオクトパスを転倒させたらしく擬態が解かれて巨体が倒れ伏すもすぐに立ち上がる。本体に攻撃を決めれないとメモリブレイクは難しそうですね。とりあずハードタービュラーで…と、リボルギャリーを展開すると、そこには見慣れないマシンが収まっていた。

 

 

「「これは…たしかついなさんの、ガンナーA?」」

 

 

 尋ねると手?を上げて挨拶するガンナーA。そう言えば互換性があるとかないとか以前言ってたような…ならば!

 

 

「「貴方の主人の仇を打つためにも、力を貸してくださいガンナーA!」」

 

 

 ハードボイルダー車体後部をガンナーAに換装。砲撃形態ハードガンナーとなったそれを操り、大砲を浴びせてダメージを与えて行く。

 

 

「私はまだ、死にたくない…!」

 

 

 するとタコ足をバネの様にして大跳躍。空に舞い上がるビッグオクトパス。本体下部についている牙の生え揃った口で磨り潰す気なのだろう。ならばと私はハードガンナーから飛び降りて取り出したプリズムビッカーの四隅のスロットにメモリを装填。

 

 

《サイクロン!マキシマムドライブ!》《ヒート!マキシマムドライブ!》《ルナ!マキシマムドライブ!》《ジョーカー!マキシマムドライブ!》

 

 

プリズムビッカーの中心に七色のエネルギーが集めてからプリズムソードを引き抜いて、ビッカーシールドをハードガンナーの砲口に投擲。そのままビッカーシールドに飛び乗るとハードガンナーがビッカーシールドを射出。空飛ぶビッカーシールドに乗った私は宙に舞い上がり、ビッグオクトパスの本体に肉薄する。

 

 

「こ、来ないで!?私に近づくなぁあああああ!?」

 

「「ビッカーチャージブレイク!!」」

 

 

 すれ違い様に七色のエネルギーを纏ったプリズムソードを一閃。ビッグオクトパスは地上まで撃墜されて爆散。アスファルトに巡寧瑠夏と砕け散ったメモリの残骸が転がり、私達も無事に地上まで降りる。

 

 

「私は、まだ、まだ…首領様の、期待に……」

 

「「さあ、お前の罪を数えろ」」

 

「…ぐう」

 

 

 ボロボロの巡寧瑠夏はメモリの残骸に手を伸ばしていたが、私が指を突きつけて宣告すると、力尽きて気を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 サイクロンジョーカーエクストリームのまま、ハードボイルダーに乗って帰路につき、ガレージで変身を解除して二人に戻る。偽物事件の犯人はミュージアムのメモリ売買人でしたか。厄介な相手でした。これでリリィとついなさんの傷の回復は早まるはずです。

 

 

「…ん?」

 

「どうしました、ゆかりさん?」

 

 

 メモリ売買……思い、出した。星香さんと初めて出会った時。なんて名乗った?

 

 

―――――――「私、東北星香といいます。ここを知ってるとは貴方も通なんですねえ」

 

―――――――「私は探偵の結月ゆかりです。東北…というと水都の名家の?」

 

―――――――「お恥ずかしながら。養子に入れてもらい営業部長をやらせていただいてます」

 

 

 東北、星香。水都の名家、東北家の養子。今の今まで気付かなかった、いや、気付かないようにしていた。ミュージアムは東北家だ。…東北記理子。まさか、まさか。

 

 

「…きりたん。貴方の名前が東北記理子だと言うのなら…」

 

「?」

 

「おそらく、ミュージアム…東北家は、貴方の家族です」

 

「…え?」

 

 

 信じられないと言わんばかりの表情で固まるきりたんに、私はそれ以上言葉を告げることはできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「きりたん…生きてたんだ。よかったけど、なんで……」

 

 

 そして。今回の事件できりたんの生存を確信したアイドルが拳を握りしめていたことを、私達はまだ知らない。




というわけで正体はタコでした。神経毒とかぬめりで分かった人多そうかな。

巡寧瑠夏(めぐりね ルカ)/オクトパス・ドーパント
ナインテイルフォックス・ドーパントの配下。死人に化けて誘き寄せた客にメモリを購入させていたメモリ売買人。ミュージアムの集めた情報で虚音イフことスカル、神威岳、金堂雛菊らに化けてライダーを翻弄する。全てのタコの力を有しており、物理攻撃を無効化する軟体、擬態、触手、吸盤、煙幕、墨爆弾、毒棘、再生能力、巨大化といった多彩な能力を持つ。本人曰く一般メモリの中では最強の性能。

そしてついにゆかりが気付いた真実と、不穏なウナ。実は序盤も序盤で明かしてたのに気付こうとしなかったゆかりよ。声だけできりたんだと気付くウナも結構やばい。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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