戦いの舞台は家の壁をぶち壊して外の森に映る。空を飛び光弾を放ってくるタブー・ドーパント、光弾を放ちながら歩み寄ってくるクレイドール・ドーパント、地面にどす黒い粘液を展開するテラー・ドーパント。光弾を斬り払いながら粘液の足場を走りながらテラー・ドーパントに接近。斬撃を叩き込む。
「なっ…恐怖を抱かないというの!?」
「生憎とオレに精神攻撃は効かないんだとよ!」
驚くテラー・ドーパント二連続で斬撃。吹き飛ばすと頭部の蒼い部分から巨大なドラゴン?が出現。木々を薙ぎ払いながらオレを掴みあげ、空中に持っていくとタブーとクレイドールの光弾が動けないオレに襲いかかる。…うん?テラー・ドーパントはこのドラゴンを出しただけで何もしないな。そういうことか。
《ルーラー!》
ルーラーメモリを取り出して拘束されたままダブルドライバーNEOに装填。開閉して空中に展開されたいくつもの黄金の波紋から出現した西洋風の鎧がドラゴンに炸裂して解放、森に着地して全身に装着していく。
《ゴールデンルーラー!》
背中に赤いマントが展開されルーラテインを握った、王を思わせる荘厳な姿のゴールデンルーラーに変身したオレはルーラチェインを伸ばしてテラー・ドーパントを拘束して引き寄せ、引き抜いたメモリを腰のマキシマムスロットに装填する。
《ゴールド!マキシマムドライブ!》
「ゴールデンアービトゥラージ!」
そして地面に触れて黄金に変えたものを右腕に集めて右掌を振りかぶり、ルーラチェインで引き寄せたテラー・ドーパントに巨大な黄金の右掌による張り手が炸裂。ルーラチェインから解放されて吹き飛ばされたテラー・ドーパントはゴールドのメモリのGの刻印が胴体に刻まれ、ドラゴンに激突して爆散。
「お母様!?」
「よくも!シンデレラの分際で…!」
「オレはシンデレラじゃねえ。オレの名前を覚えて逝きな」
《サンダー!》《ゴールデンサンダー!》
メモリを交換すると装甲が消えて雷雲が発生して雷が落ち、それは黒に稲妻が描かれた和風の鎧武者風の装甲となり、イナズマサカリが握られる。ゴールデンサンダーだ。イナズマサカリを振り回してポーズを決めていく。
「陽光を、受けて輝く
「シンデレラの癖に頭に乗るなぁあああ!」
突撃してくるクレイドール・ドーパントの光弾をイナズマサカリで弾き飛ばし、メモリを装填して振りかぶる。
《サンダー!マキシマムドライブ!》
「オレはエルドラゴ、悪魔だ!サンダーバッシュ…!」
「キャアァアアアア!?」
刃を高速回転させ大電流を放出させたイナズマサカリで縦一閃。クレイドール・ドーパントは砕け散り、さらにその破片も大電流で消滅させる。あとはタブーだけか。あんな自由に浮かぶやつにはパイレーツの方がいいな。
《パイレーツ!》《ゴールデンパイレーツ!》
「くっ…こうなれば、助けて王子様!」
「は?」
瞬間、殺気を感じて後ろに回したパイレーツカリバーで不意打ちの剣を受け止める。弾き返して振り向けば、そこにいたのは白の衣装に身を包んだザ・王子様みたいな見た目の金髪のイケメンだった。
「ガラスの靴が似合う姫君を返してもらおうか…!」
「王子と言うだけあって美しいな。オレの方が美しいが!」
「くっ…!」
《ナスカ!》
斬りかかると、青い騎士風のドーパントとなり斬撃を受け止める王子、もといナスカ・ドーパント。タブー・ドーパントが空中から遠距離攻撃である光弾を繰り出し、ナスカが高速で動いて斬撃を幾度も繰り出してくる。厄介な組み合わせだ。せめて隙が出来れば……
《エンジン!マキシマムドライブ!》
「頭、どかんかい!」
「っ!」
頭を下げる。その瞬間、頭上を炎を纏って突撃していく不格好なバイクがタブー・ドーパントに激突。爆散させて着地し変形するバイク。仮面ライダーアクセル、如月ついなだった。
「お前もここに飲み込まれてたかついな!」
「恥ずかしながらな!で、こいつを倒せばいいんか?」
「シンデレラとしては王子様と結婚するのが正しいんだろうが、生憎とオレはレズビアンでな!」
「ツンデレラ?…え、うちのことをそんな目で見てたんか!?エッチ!」
「ちんちくりんの身体なんかに欲情するかロリコンじゃねえぞ!」
「誰がちんちくりんじゃいもっぺん言ってみい!」
「言ってる場合か!?こいつ速いんだからトライアルとかいうのにさっさとなれ!」
「お前、スタイルよくても胸はうちと同じぐらいなの知っとるからな!?」
「胸はステータスだから美しさにいらねーんだよ!?」
王子様そっちのけで口論するオレたち。するとその王子様…ナスカ・ドーパントがおずおずと尋ねてきた。
「あ、あの…そろそろ戦ってもいいかな?」
「「黙っとけ!」」
《エンジン!マキシマムドライブ!》
《パイレーツ!マキシマムドライブ!》
「ぐあぁああああ!?」
「「あ」」
しかし口論に夢中だったオレたちは反射的にパイレーツカリバーとエンジンブレードで無防備なナスカを叩き切ってしまい、思わず固まってしまう。変身が解けて倒れ伏し気絶した王子様に、オレとアクセルは顔を見合わせて、一緒に手を合わせて拝んだ。本当に申し訳ない。
「クルォアアアアアッ!」
「「!?」」
すると、森の向こう側からとんでもない咆哮と、烈風が吹き荒れる。さらに爆音まで聞こえてきた。
「……ゆかりたちがいるとしたら」
「ああ、そこやな。フルスロットルで飛ばすで!乗れ!」
「嫌な予感がする、急げ!」
バイクフォームになったアクセルの背に乗り走り出す。無事でいろよ、ゆかり、きりたん!
数刻前。
「…父親って、遠祢照みたいに子供のために自らも犠牲にする、そう言う人ですよね?そんな人に、私は殺された…?」
きりたんを見て狼狽えだした東北蛇門の衝撃的な言葉に放心するきりたん。私と純子さんも顔を見合わせるしかなかったが、狼狽える東北蛇門に姉である純子さんは信じられないとばかりに尋ねる。
「父様がきりたんを殺したなんて、そんな…あの父様よ?私達姉弟を大事に育てた、病弱で優しい父様が…!」
「僕だって信じられなかったのだ!でも、瞼を閉じれば何時だって思い出す…幼い僕の目の前で、ガイアゲートにきりたんを突き落した父様の姿を…!」
「…それが、東北蛇門の狂気の原因…」
そんな光景を幼心に見せられたら、そりゃ狂う。きりたんが生きているという衝撃で正気に戻っているところから、きりたんが蘇ったことを知らされてもいなかったのだろう。自ら狂うことで自我を保っていたんだ…。
「きりたん!きりたん!本当にきりたんなのだ!?偽物とかじゃないのだ!?」
「えっと、あの……記憶はないんですけど、きりたんです」
「あの頃のままなのだ、会いたかったのだ…!」
「お、おおおお」
「あの、純子さん。つかぬことをお聞きしますがその父親と言うのは…」
結構身長差がある蛇門に抱き着かれて何とも言えない声を上げてるきりたんを横目に純子さんに尋ねてみる。何かきな臭い。
「先代の東北家当主、
「…うーん?」
10年前。ウナちゃんから聞いたきりたんが亡くなった年と同じだから間違いないだろう。足を滑らせた事故だときりたんからの通信で純子さんの話から聞いていたが、東北蛇門の話によれば父親が突き落としたのだと言う。その結果きりたんは「運命の子」に選ばれ蘇った。そしてそのあとすぐ、一ヶ月後に死んで、それを長女が引き継いだ?作為的なものを感じるのは気のせいだろうか。
「…父親の事を調べるためにも、元の世界に早く戻らないとですね」
「で、でも!蛇門の思い違いだってことは…」
「…私も両親に捨てられたからおかしくないよ」
きりたんの訴えにそう言ってきたのはグレーテル。先程までの暴れようが嘘のように、蹲ってしまった蛇門の頭を撫でて安心させようとしている。
「…今わかった。なんでこの人が私のお兄ちゃんになったのか。同じだったんだね。親ってのは邪魔になったら容赦なく子供を捨てる。子供が傷付こうと、信じて帰っても平気で何度でも捨てる。上っ面だけ優しくても、信用しちゃ駄目」
「上っ面だけ優しい…」
「優しかった父様はやっぱり、嘘なのだ…?」
心当たりがあるのか押し黙る純子さんと、泣きじゃくる蛇門さん。見てられない。
「とりあえず、それを確認するためにも脱出しましょう。でも絵本の結末を目指そうとしてもループするんですよね…」
「私も試しました。まあラプンツェルの物語をそのままやってみただけですけど、魔女が死ぬ前に巻き戻って…」
純子さんも失敗した様だ。じゃあ普通にゴールを目指すのは悪手か。するとグレーテルが何やら納得したように頷くと私の顔をまっすぐ見てきた。
「決めた。私が本当のお兄ちゃんに会うためにも、協力する。物語を終わらせる方法は一つだけ。「おわり」を見つけることだよ」
「おわりって……絵本の最後に出てくるあの「おわり」の文字ですか?」
まさかの情報だ。きりたんは首を傾げているが純子さんと蛇門さんは「あー」とポンと手を打ってる。たしかにフェアリーテイル、お伽噺の記憶ならあってもおかしくないか。グレーテルは頷いて続ける。
「うん。でもその文字が封印されて、絶対に終わらない様になっているのがこの世界。神様は誰もここから出す気がないの」
「卑怯だ畜生だとは思ってましたがそこまでとは」
「文字は本来、お城から出てくるらしいんだけど…一番高い塔の天辺に閉じ込めてるんだって」
「…その城とは、トランプ城?」
「ううん、森を囲むように三つ存在するお城の全部。そのうち一つでも解放すれば「おわり」の文字が浮かんで強制的に終わらせられるはずだよ」
三つも城があるのか。…いや、少ない方だ。もしかして本人が知ってるお伽話しか使えないとかだろうか。なら納得だが。
「話はわかりました、とりあえず城に向かって突撃すればいいんですね!純子さん、一番近い城はどの方角かわかりますか?」
「ちょっと待ってね」
《アルテミス!》
アルテミス・ドーパントに変身して空に舞い上がる純子さん。周りを見渡して、南に弓矢を向けた。
「こっちの方角にトランプのマークが描かれた城があるよ!二キロちょい、かな?」
「トランプ城ですね。それぐらいの距離ならドーパントの二人の機動力ならすぐだと思うのですが…どうでしょう?」
「じゃあゆかりとグレーテルは僕に掴まるのだ。きりたんは姉様に連れてってもらうのだ」
《エクスタシー!》
蛇門さんがエクスタシー・ドーパントに変身して私とグレーテルを抱え上げ、アルテミス・ドーパントがきりたんを抱え上げる。スカートなんで持ち方気にしてほしいんですけど…まあいいか。
「さあ、いくのだ!」
「ちょまぁあああああ!?」
「これきらぁああああああいい!?」
瞬間、エクスタシー・ドーパントは跳躍。あまりの風圧に悲鳴が出る。隣でグレーテルも悲鳴を上げてる。後ろを見ればきりたんがすごく大事そうに横抱きされてアルテミス・ドーパントが飛んできていた。いいなあ。しかし、森の彼方に見えるトランプ城に凄まじい勢いで近づいて行き、もう目と鼻の先まで来た。よし、これであの高い塔まで……!
【散る、血る、満ちる。幸せを呼ぶ青い鳥気取りの裏切り者、可愛い可愛いグレーテルに私の幸せを呼んでほしいからこんなメモリを挿してみよう。カモン、青い鳥!】
「え?」
アナウンスが響いて、何かが森から飛んでくる。それは青い鳥。口に加えた黄金のメモリを凄まじい勢いで運んできて、呆けていたグレーテルのうなじに突き刺した。そんな…!?
《ケツァルコアトルス!》
「うっ、ううっ……お兄ちゃん、離れて…!うあぁあああああああ!?」
「グレーテル!」
むくむくと見る見るうちに巨大化し、翼と化した左腕でエクスタシー・ドーパントを吹き飛ばすグレーテルの姿が、嘴が三つに開く巨大な翼竜……ケツァルコアトルス・ドーパントへと姿を変えてしまう。さらに正気を失ったのか目についた私達に襲いかかってきたケツァルコアトルス・ドーパントの翼で城の手前の平原に四人纏めて叩きつけられてしまった。ぐう、痛い…。きりたんに助け起こされて立ち上がる。見上げればこちらに光弾を飛ばしてくるケツァルコアトルス・ドーパントが突撃して来ていて。
「…きりたん!」
《ジョーカー!》
「彼女を止めましょう!ずん姉さま、私の身体をお願いします!」
《サイクロン!》
「「変身!」」
ダブルに変身、アルテミス・ドーパントとエクスタシー・ドーパント共に立ち向かうのだった。
もはやコンビになってるついなとリリィ。意外と相性はいいです。
語られる東北家の父親、
グレーテルの証言から「おわり」の文字を見つければ出られるとわかったゆかりたち。しかしフェアリーテイル・ドーパントはそれを許さずよりにもよって幸せな青い鳥でメモリを運んできてケツァルコアトルスにするっていうね。この世界でのラスボスです。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。