ボイロ探偵W   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。今更ながらだいぶシリアスな話になりました。

↓蒼ニ・スールさんに書いていただいた前回強化されたブラックトゥース・ドーパント。

【挿絵表示】

ゆかりの親友との激闘。楽しんでいただけたら幸いです。


第四十四話:Tを止めろ/もうあの日々には

「ハハハハ、ハハハハハハッ!壊れてしまえ!私の夢を奪うもの、すべて!」

 

「「駄目です、マキさん…!」」

 

 

 高笑いを上げながら黒く染まった歯の弾丸を周囲にばらまくトゥース・ドーパント。いや、その姿は歯から沁み出してきたどす黒い粘質の液体により真っ黒に染まり、ブラックトゥース・ドーパントとも言うべき姿になっている。本来の標的の「すい屋」だけじゃない。関係ない他の商店街の店まで毒で蝕み融解させていく。

 

 

「何時か私の夢を……お父さんの店を脅かすかもしれない。そんなものは全部全部、なくなっちゃえ!」

 

「「駄目です!」」

 

 

 手を伸ばすが届かない。(ゆかり)の声も届かない。止めないといけないのに、体が痺れて、激痛に苛まれて、動けない。

 

 

《エンジン!マキシマムドライブ!》

 

「それ以上はさせへんで!」

 

 

 次の瞬間、商店街の入り口から炎を纏ったアクセル バイクフォームが突撃。ブラックトゥース・ドーパントに正面から前輪を掲げて激突するも、ブラックトゥース・ドーパントは何も臆せずに両手で前輪を受け止め、漆黒の猛毒で前輪を起点にアクセルを蝕んでいく。

 

 

「なんやこれは…!?」

 

「どこの誰だか知らないけど私の邪魔をするなら、容赦しないから!」

 

 

 そのまま融解させて取り外した前輪を投げ捨てると、人型に戻ったアクセルの装甲に連続で黒く染まった爪を叩き付け、分厚い装甲を融解させてダメージを与えて行く。アクセルは情報と違う容姿と能力に混乱しているようで、指で抉り取られた跡が残る装甲が痛々しい。

 

 

「噛み付きにさえ注意すりゃよかったんやないのか…!」

 

《エレクトリック!》

 

「ああ、ゆかりちゃんの仲間なんだ。悲しいなあ、悔しいなあ。ゆかりちゃんが悲しむことになるのが、心底嫌だなあ!」

 

 

 電撃迸る剣身を右手で掴み、握りしめ融解させてぽっきりと真ん中から折り砕くブラックトゥース・ドーパント。エンジンブレードを引っ張っていたせいで残骸を手にしてバランスを崩したアクセルにブラックトゥース・ドーパントは肉薄。リバーブローを腹部に叩き込んでアクセルを吹っ飛ばして壁に激突させるとそのまま突進しショルダータックルを顔面に叩き込み壁にめり込ませる。

 

 

「この程度…毒の鬼を退治した時に比べたらあ!」

 

《アクセル!マキシマムドライブ!》

 

 

 歯の形をした肩装甲と壁に頭部を挟まれもがきながらもアクセルドライバーのスロットルを回してマキシマムドライブを発動、ボディを赤熱させてブラックトゥース・ドーパントに距離を取らせてブレーキ痕を描くような飛び回し蹴りを叩き込むアクセル。しかしそれは、炸裂した瞬間その部位に出現した真っ黒な歯の口で噛み付かれて受け止められてしまう。

 

 

「そんなことするんだぁ?……私は誰も傷つけたくないのに。邪魔するなら、足一本喰われても文句は言わないよね?」

 

「ぐっ…あぁあああああ!?」

 

 

 ジュージューと鉄と肉の焼ける音と匂いがする。噛み付かれたアクセルの右足が、沁み出した黒い猛毒で侵食されて今まで聞いたことも無いついなさんの苦痛に喘ぐ声が響き渡る。

 

 

「「まさか骨まで溶かして…?駄目、です…!」」

 

 

 毒のダメージを受けながらもなんとか立ち上がる。こちらに気付いて放たれる黒い歯を、なんとか手にしたビッカーシールドにプリズムソードを突き刺しプリズムビッカーで防ぎながら歩み寄り、プリズムビッカーを投擲。黒い歯を弾きながらクルクルと回転してブラックトゥース・ドーパントの顔面に炸裂。よろけさせてアクセルを解放させることに成功し、戻ってきたプリズムビッカーを手に取り一息つく。

 

 

「「解析……トゥース・ドーパントの能力変容。使用者の感情で「虫歯」状態になったことによる、ありとあらゆる物体を蝕み朽ちさせる猛毒生成……解析完了。無効化!」」

 

 

 エクストリームの能力で地球の記憶に接続、クリスタルサーバーにこびりついた猛毒を無効化して復活する。解析して無効化するエクストリームが持つプリズムビッカー以外では守れないことが解析してわかった。ブラックトゥース・ドーパントから沁み出したあの黒い液体はどす黒い感情が実体化した、万物を蝕む虫歯菌の様な猛毒だ。

 

 

「ぐっ…そのまま倒れていればよかったのに……!私の邪魔をするというのなら…!」

 

 

 頭を押さえながら体勢を立て直し、頭部と胸部と両手から滴り溢れる漆黒の猛毒を胸部に溜めて行くブラックトゥース・ドーパント。大技が来ると確信し、こちらもアクセルを庇うように立って手にしたプリズムビッカーにメモリを装填させていく。

 

 

「全部終わるまで寝ていてよ、ゆかりちゃん!」

 

《サイクロン!マキシマムドライブ!》《ヒート!マキシマムドライブ!》《ルナ!マキシマムドライブ!》《メタル!マキシマムドライブ!》

 

「「ビッカーファイナリュージョン!!」」

 

 

 どす黒い毒液が圧縮された球体が発射され、いつものジョーカーメモリでなくメタルメモリを装填して防御よりにしたビッカーファイナリュージョンの、七色の光で構成された強固な盾を発生させて受け止めると、黒い煙が発生し何も見えなくなる。

 

 

「「くっ、何も見えない…っ!」」

 

 

 プリズムソードを引き抜いて警戒していると、何かが高速で向かってきたのでプリズムソードを振るって迎撃。しかし地面に落ちて消えたそれは黒い歯で。

 

 

「右や!」

 

「ゆかりちゃんは、考えるより前に反射的に動いてしまう……変わらないね。私とは大違いだ」

 

「「っ…!?」」

 

 

 ついなさんの言葉に反応してビッカーシールドを右に置くも、それすらフェイントで。いつの間にか右に体勢を低くして接近していたブラックトゥース・ドーパントの足払いを受けて転倒、したところに右足の爪先に出現した口の黒く染まった歯で右腕を噛み付かれる。

 

 

「「ぐっ…!?」」

 

「ゆかりちゃんは根性が凄いからな……ぐうの音も出ないほどに痛めつければ諦めてくれるかな?」

 

「「マキ、さん…があぁああああ!?」」

 

 

 そのまま左足を軸にグルグルと回転するブラックトゥース・ドーパントに竜巻の如く振り回されて、コンクリートの壁に何度も何度も、頭から、左腕から、足から、滅茶苦茶に叩きつけられ、意識が遠のいて行く。そして二十回転ぐらいしてからいったん立ち止まると、私達の右腕に噛み付いたままグルンと縦に一回転。

 

 

「「っ……」」

 

「…ごめんね」

 

「しまっ…!?」

 

 

 おぼろげな視界にアクセルが映った、かと思えば宙返りしてオーバーヘッドキックでもするかのようにブラックトゥース・ドーパントは私達を頭から、横たわっているアクセルに叩きつけられ、激突。同時に変身が解除されてついなさんと私、きりたんがボロボロの姿でその場に転がった。

 

 

「ついなちゃんだったんだ。たまにうちの店に来てくれて、常連になってくれそうな人だったんだけど…こうなったらもう来てくれないか。残念だなあ」

 

 

 気絶しているついなさんときりたんの襟元を両手で掴んで引き摺り、安全な路地裏に運びながらそう呟くブラックトゥース・ドーパント。その扱い方から優しさが見えて、涙が出てくる。なんで、こんなに優しい人が、ドーパントにならないといけないんですか……。

 

 

「マキ、さん…お願いです、もうやめてください……自首してくださいよ……」

 

「ゆかりちゃん。私からもお願いだ。お願いだから、黙って見過ごしてよ。全てが終わったらさ、ゆかりんブレンドのコーヒーと特製カルボナーラで歓迎するからさ。また、来てよ。私の、お父さんの店に」

 

「このまま、全てが元通りになることはもう、ありえません…!わかっているでしょう、メモリに手を出したその時から……!」

 

 

 頭から血が流れて意識が朧気になりながらも、意識を振り絞って声を張り上げ説得する。しかしブラックトゥース・ドーパントは止まらず。きりたんとついなさんを路地裏の壁に寄りかからせると、私に歩み寄ってくる。その頭部の歯の間の目に当たる部分から、黒い液体が滴った。それは涙の様だった。

 

 

「……なんでさ」

 

「マキさん…?」

 

「なんで、ゆかりちゃんが仮面ライダーなのさ!ゆかりちゃんが仮面ライダーでさえなければ!私がドーパントだと知られずに!店もずっと存続して!今までと同じように、過ごせたじゃん……」

 

「……私はおやっさんから引き継いだんです。人知れず水都を守る仮面ライダーと言う生き方を…!それに、もしも私が仮面ライダーじゃなかったとしても、壊される飲食店に疑問を抱き、独自に調査して…貴方に行きついていましたよ」

 

「…探偵だから?」

 

 

 そう尋ねてくるブラックトゥース・ドーパントが変身を解き、マキさんが顔を覗き込んできたので首を横に振る。

 

 

「違います。探偵以前に、親友として。親友の貴方が犯人だと信じたくないから、本気で調査して、貴方が犯人だと知って絶望していたことでしょう。でも…!」

 

「ぐっ…!?」

 

 

 全身に力を振り絞って、私を覗きこんでいたマキさんに頭突き。怯ませて、痛む身体に鞭打ち立ち上がり、額を押さえて呻くマキさんに飛びかかる。

 

 

「今、私は仮面ライダーでよかった!物怖じすることなく、マキさんを止めに行けるから!」

 

「きゃあ!?」

 

 

 衝撃で地面に倒れ込んだマキさんに組み付いて手を伸ばし、右手に握られたトゥースのガイアメモリを奪うべく暴れる。きりたんが気絶している。きりたんが目を覚まさない限り、仮面ライダーにはなれない。メモリガジェットはあるが、起動している間にまたドーパントになられたら勝ち目がない。だから…!

 

 

「くっ…離れてよ!」

 

「離れません!」

 

 

 この身一つで、マキさんから悪魔の小箱を没収する!それしかない!マキさんは長い両足で私に組み付き、締め上げられて左手を顔に押し付けられる。絞め技までできるなんて、マキさん戦闘センスが抜群すぎやしないだろうか!私も右手をマキさんの顔に押し付けて左手を懸命に伸ばすが届かない。あと、もう少し……!

 

 

「っ!?」

 

 

 その瞬間だった。本能的な恐怖が私に襲いかかって身がこわばる。なんとか恐怖を押し殺してマキさんの右手首を捻り上げてメモリを取り落とすことには成功。体勢を変えて手に取ろうとするマキさんを必死に押さえるが、この感覚は……まさか…!?

 

 

「戦いで勝てないからって醜い争いで勝とうだなんて。見苦しくてしかたありませんわ」

 

「お前は…!?」

 

 

 私とマキさんの目の前でメモリを細い指でつまみ、拾い上げた人物がいた。透き通った白髪に赤い目の和服美人。東北至子……なんでここに!?

 

 

「ほら、邪魔ですわよ」

 

「がっ!?」

 

 

 背中を掴まれて持ち上げられ、マキさんから引き離されると細腕からは考えられない怪力で投げ飛ばされる。壁に背中をぶつけて呻く私の前で、立ち上がるマキさんに手を伸ばす東北至子。

 

 

「弦巻マキですわね?わたくしについてくれば、貴方の店を立て直すチャンスを差し上げますわ」

 

「はあ、はあ…本当に…?」

 

 

 息を荒らげながら東北至子を見上げるマキさんに、東北至子はにやりと笑ってゴールドメモリを取り出す。

 

 

「本当ですわ。わたくし、あなたが気に入りましたの」

 

「…メモリを売ってくれた人の仲間…?わかった、ついていくよ」

 

「交渉成立ですわ!」

 

《ナインテイルフォックス!》

 

 

 ガイアドライバーにメモリを挿した東北至子が変貌したナインテイルフォックス・ドーパントの尻尾に包まれていくマキさんに手を伸ばす。

 

 

「マキさん!駄目です、そいつは…!」

 

「…ゆかりちゃん。私は店を救えるなら何でもするよ。その邪魔をするなら…絶交だから」

 

 

 そう言い残してマキさんはナインテイルフォックス・ドーパントの九尾に包まれて霞の様に姿を消し、私は限界を迎えて意識を失った。




どす黒い感情で虫歯めいたブラックトゥース・ドーパントに変貌し非常に攻撃的になったマキさん。ゆかりの癖を知っているのもあって現状最大の強敵となっています。

苦悩しながらも止めるべく奮闘するゆかりさん。あと一歩で止められたところに至子乱入でご破算に。仮面ライダー四人とも重症となった中、マキを止められるのか。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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