ボイロ探偵W   作:放仮ごdz

53 / 110
どうも、放仮ごです。モンハンXX購入してプレイしてたら滅茶苦茶遅れました申し訳ない。ボイロ探偵史上もっともやべーやつの愛を見よ。楽しんでいただけたら幸いです。


第四十八話:純愛のB/恐怖の新婚ハウス

「星香さん。水都に新しく現れたというケンタウロスのドーパントは貴方が?」

 

 

 週に一度の幹部召集。トゥース・ドーパントの件が思惑通りにいかず不機嫌な至子の問いかけに、委縮していた星香はビクッと反応する。

 

 

「い、いえ…全く身に覚えのないドーパントです……ここ数日で売ったメモリにあのようなものはないはず…」

 

「奏楽さんは?」

 

「ウェブのメモリの時の様に試したいメモリがあるので適格者を捜してますけど、それは知りませんねえ」

 

 

 メモリの売買を担当する星香と、メモリの実験を担当する奏楽の二人が知らないと言うドーパントの存在。東北至子…その内に潜む東北外道が思い出すのは、10年前に実験体を連れて逃げ出した己が妻の存在。そう言えば一緒に何本かメモリも奪い取られていたなと思い出す。ナインテイルフォックスと同格のメモリがいくつかあったはずだ。

 

 

「なるほど…10年前に盗み出したガイアメモリの可能性が高いですわね。10年前に運命の子を介さずに作成したメモリは強力な記憶が多い……これは、奴を見つけるチャンスかもしれませんわ。奏楽さん、任せられます?」

 

「おや、私の出番ですか?」

 

「謎のドーパントを近辺を見張っていてください。もしかしたら月読アイか、もしくは実験体が出るかもしれません。貴方の能力なら捕縛も簡単でしょう?」

 

「それはたしかに。実験体って確か……鳴花梅(なるはな うめ)、でしたっけ?」

 

 

 そう奏楽が確認を取ると、写真を取り出してぴんっと指で弾いて奏楽に手渡す至子。

 

 

「10年前の写真ですが実験の影響で見た目の年は取ってない筈ですわ」

 

「なるほど。…はて?どこかで見た様な……まあ気のせいですね、はい」

 

 

 奏楽は手に取った写真を確認して首を傾げながらその場を後にした。その写真には、鳴花ヒメ・ミコトと瓜二つな黒髪の少女が映っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目を覚ますと、どこかの部屋だった。拘束…はされていない。むしろご丁寧にふわっふわの枕に寝かせられていた。見渡してみると、窓が一つだけある四畳半ほどの洋室だ。何も置いてないが倉庫だろうか。思い出す。拘置所からの帰りに謎のケンタウロスのドーパントに襲われ、強力な一撃を受けて意識を刈り取られたんだった。見渡すと、天井の隅に監視カメラらしきものが付けられてるとわかった。誰かに見張られているらしい。

 

 

「そうだ、ドライバーにメモリ…」

 

 

 慌てて確認する。ダブルドライバーも、メモリもない。ジョーカーメモリも、メタルメモリも、トリガーメモリもなくなっている。手首に付けてたスパイダーショックも、懐に入れていたスタッグフォンとバットショットも無くなって完全に無力化されていて……うん?

 

 

「無いというか、服が着物に着替えさせられてる…?」

 

 

 慌てて頭を触る。帽子はあった。よかった。しかし濃紺色の着物に帽子を被っていると、着流しを着たおやっさんを思い出させる格好だ。しかし靴も靴下もなくなって裸足なのはいかがな物か。嫌な予感がして触ってみると、最悪なことに下着が上も下もなくなっていた。

 

 

「どんな変態なんですか…」

 

 

 深い溜め息を吐く。つまり私は、男か女かもわからないが誘拐犯に全裸に剥かれた挙句に無防備な姿をさらして着せ替えられたというのか。帽子だけ残してるのは何の優しさなのか。何が目的なんだ。私なんか攫ってもお金なんか……いや、あの両親を失ったことで一時期立ち直れなくなっていた弟妹たちなら全財産はたいてでも助け出そうとしそうだ。そう考えると私を攫ったのは妥当かもしれない。すっぽんぽんにひん剥いて着替えさせた理由は分からないですが!あーもう、すーすーする!

 

 

「さて、どうやって出ますか…」

 

 

 どうせ出入り口は鍵を閉められているだろうし、光源でもある窓を確認する。鍵は外せたが丁寧に溶接されていてビクともしない。誰だか知らんけど無駄に丁寧だなクソッ!溜め息を吐いてダメもとで扉の取っ手に手をかけると、あっさり扉が開いた。ええ…。

 

 

「…部屋からは出せるということはこの家から出られないようにしているということでしょうか?」

 

 

 ということは犯人はこの家にいない可能性が高い。もしくは隠し部屋かなにかで監視しているのだろうか。廊下に顔を出し、廊下の先に玄関を発見。きょろきょろと見渡すと一見普通の一軒家なのだが、よく見れば各所に監視カメラが設置されている。デスゲームでもしようってのか。

 

 

「…物音はしませんね」

 

 

 廊下を抜き足差し足忍び足で進み、玄関傍の廊下に置かれた台に配置されている据え置き電話の受話器を手に取り確認。通じない。見てみれば電話線が切られていた。さすがにそこは用意周到か。

 

 

「外には・・・あっつ!?」

 

 

 玄関の内鍵を開けて扉を開いた瞬間、とてつもない熱風が顔に打ち付ける。見れば扉の外は轟々と燃え盛る紅蓮の炎の壁に遮られていた。これじゃ脱出は不可能ですね…。窓は閉め切られ、出口の外には炎の壁。自由にはするが是が非でも出す気はないらしい。

 

 

「脱出手段を探りつつ……なにか武器の様な物…台所ならありますかね?」

 

 

 静かに移動して廊下を進むと何の変哲もない台所に出た。いや、変哲もないは嘘だ。置かれている包丁やナベにフライパンといった調理器具は全部ピカピカに綺麗にされて配置されており、冷蔵庫を開けば食材や調味料がぎっしり。よく見れば松坂牛とか本マグロとか高級なものばかりだ。しかも私の大好物のチーズケーキがホールで箱に入れられて冷蔵庫で冷やされていた。棚も漁ってみれば私の好物のカルボナーラの材料が山ほどあった。食器類はいわゆる夫婦(めおと)茶碗に夫婦箸といった二つ一組の物ばかり用意されているのが気になるが……夫婦でも住んでいるのか?とは思うが、あまりにも私の好物が多い気がするのはきのせいだろうか。

 

 

「いや本当に何がしたいんです?」

 

 

 疑問の声を上げながらとりあえず護身用に包丁を一本手に取り探索を続ける。お風呂場。特に変哲無し。しかし湿気と熱気を感じて湯船の蓋を開けてみたら常温を保たれてるお湯が張ってる湯船が用意されていた。調べたら監視カメラまで隠されて設置されているが、入れと?

 

 

「…うん?」

 

 

 洗面所を見れば歯ブラシやコップなどは二つずつ新品が置かれている。……これ夫婦じゃないな?夫婦なら、両方とも新品なのはおかしい。しかも私の好みの色である紫色の片方が私用だとしてもう片方は黒を基調としているものは犯人の…?

 

 

「私と結婚したとでも思い込んでる異常者でしょうか……」

 

 

 どうにかしてダブルドライバーを取り返してきりたんと交信しなければ…………そう思いながらトイレを覗いてみる。引くぐらい綺麗に便器が掃除されていた。築何十年かは経ってそうな家屋だが、犯人が必死になって掃除していたと思うとちょっと笑えてくる。笑いごとじゃないが。

 

 

「リビングは…?」

 

 

 リビングであろう部屋に入ると、さすがにびっくりした。紲星探偵事務所の間取りとそっくりなのだ。元おやっさんの席である私の愛用のデスクにそっくりな机と椅子にタイプライター、ポールハンガーにコーヒーメーカー、来客用のソファやお菓子類、古めかしいラジオにレコードプレイヤーまで。さらには仮眠ベッドや壁に取り付けられた帽子かけ、さらに棚にはこれまでの事件をあかりが丁寧に纏めていたファイルまでも完璧に再現されている。

 

 

「デンデンセンサーが配置される前はともかくそれ以降の事件のファイルまで完璧に再現されてるってどういう…?」

 

 

 ここまで来ると不気味だが、ある核心に至る。この家は、私の為だけに用意された家だ。あかりが持って来た最新式の薄型テレビまで……どれだけ金がかかってるんだこの家。

 

 

「って、テレビ!?」

 

 

 慌ててリモコンを探し、いつも適当に置いている場所に置かれていたことに恐怖を覚えながらリモコンを手に取りスイッチオン。ドーパントのニュースをたびたび取り上げている地方局「水都テレビ」にチャンネルを合わせると、やってるやってる私を襲ったドーパントの事件のニュース。

 

 

《「昨日(さくじつ)お昼頃、水都タワー前の道路にて凶行は行われました。突如出現したケンタウロスの様な怪物は通行中の自動車を蹴散らしながら道路を爆走し、駆けつけた仮面ライダーと対決。なんと打ち負かしてしまい、気絶した仮面ライダーを連れて空を駆けて行き、姿を消したとのことです。その目的等はわかっておらず、市民の間では仮面ライダー不在による不安が…」》

 

「昨日!?気絶してから一時間ぐらいしか経ってないと思ってましたが、丸一日経っていたってことですか!?」

 

 

 驚愕の事実に頭が痛くなる。包丁を落としそうになった。こ、これで一階は全部かな…?廊下に出て階段に向かう。気になるのは、まるで生活感がないと言う事だ。もはや理想の家の展示場とまで言っていい。まさか私を閉じ込めるためだけにこの家を購入したわけでもあるまい。…違うよね?

 

 

「二階は二部屋だけですかね…」

 

 

 一階に比べると狭い廊下をそろりそろりと歩いて行くと、最初に見えてきたのは寝室とハートマークで囲われて書かれたプレートがかけられた扉。嫌な予感がしながらも扉を開ける。

 

 

「うわあ」

 

 

 二人ギリギリ寝られそうなシングルベッドと、二つの枕。どこのホテルだ。布団とカーテンとカーペットの柄が私の自室のものと同じなのはもう気にしない方がいいかもしれない。枕も私の使ってるものとそっくりな気がしないでもないが気にしない!

 

 

「もう勘弁してください…」

 

 

 涙目になりながらもう一つの扉に向かう。ここまでどこにもダブルドライバーも、ガイアメモリも、メモリガジェットもなかった。だとするとこの最後の部屋にありそうだが……できれば入りたくないんですが。

 

 

「お邪魔します……」

 

「お待ちしておりました、結月ゆかり様」

 

 

 扉を開けると、その人物はいた。髪の毛先が虹色がかったカラーリングの透き通った銀髪を腰まで伸ばしている清楚そうな女性が、三つ指を立てて頭を下げて私を出迎えた。しかし驚くべきはそこではなく、その服装。たわわなもので押し上げられた白いシャツとその上に無理やり着せられた黒のベストに紫色のネクタイを締め、黒いスラックスに黒のソックス。私が着ていた一張羅だった。

 

 

「そ、その服は……」

 

「もちろん、すべて!下着までゆかり様の物ですわ!」

 

「ええ……」

 

 

 何故か自信満々に金色の目を輝かせながら胸を張る女性に頭を抱える。見れば、部屋に彼女のものであろう上品そうな服が脱ぎ捨てられている。いやあの、サイズがあってなくてはち切れそうなんですがあの。私の一張羅…。

 

 

「お気に召していただけましたか?わたくしの用意した新婚ハウスは。何時か貴方様と一緒に住んで満足していただくためにわたくし、全力でリフォームしましたの!食料も新鮮なものですわ!あとで手料理を食べさせてくださいまし!」

 

「いやあの手料理ならいくらでも作るんで…」

 

 

 押し押しで歩み寄ってくる女性にたじたじになりながら、部屋を見渡して、後悔した。「結月ゆかりファイル」なるタイトルが書かれた分厚いアルバムの様な本が本棚にぎっしり。壁中から天井まで私の隠し撮り写真が隙間なく貼られ、その中心にあるデスクに置かれたパソコンのデスクトップにはどこで撮ったのか私がボロボロに傷付きながらも立ち上がろうとしている動画が延々と繰り返されており、目を凝らして見ればファイル名は全て私の名が書かれていた。ぞわぞわっ!と凄まじい寒気が着物一枚しか着ていない私の身体を駆け巡り、後ずさりして出ようとすると両手を両手で握られて引き留められる。

 

 

「申し遅れました!わたくし、杏璃万結と申します!貴方の大大大大大大大大…もっと大がつく大ファンですわ!世界一の大ファンだと自負していますの!」

 

「そ、そうですね、ははは……」

 

 

 いやまあ私のファンは多分世界にあなた一人だと思う。悲しいけど。むしろ世界中の私のファンになってくれるはずだった人達の好意が全てこの人に集束したんじゃないかと思うぐらいだ。

 

 

「私達、一度会って話もしてますのよ?」

 

「え?」

 

 

 そう言われて記憶を引き出す。最近のから古いのまで…いや、このマユさんという方と出会いそうなシチュエーションを思い出す……ああ!

 

 

「もしかして、千絵美尾大学で聞き込みをした…?」

 

「思い出してくれて嬉しいですわ!これで私達、夫婦ですわね!」

 

「いやいやいやいや」

 

 

 覚えていた方が奇跡ですからね?全力で頭を振りながら逃げようとする。だが逃げられない。がっしりと手を掴まれてしまっている。私も鍛えているのに、とんでもない身体能力だ。

 

 

「義理堅い貴方様の事ですもの、既成事実を作れば認めてくださりますよね?」

 

「え?え?え?」

 

 

 唐突に足払いをかけられ、仰向けに倒れた所に組み伏せられる。傍から見ればはだけた着物姿の女が男装した巨乳の美女に押し倒されている様に見えるはずだ、とか現実逃避している場合じゃなくて。

 

 

「わたくしのはじめて、さしあげますわ!」

 

「いやいらないし私もはじめて……待って本当に待ってください私だって女ですできることなら好きな人と……」

 

 

 …詳細は省くが、それはもう、蹂躙された。もうお嫁に行けない。




ゆかりさんの純潔は犠牲となったのだ……ギャグに見えるけど冷静に考えるとかーなーり、ヤバい奴です。家丸ごとゆかりと新婚生活するために大改造した上に炎の壁で閉じ込めてるっていう。

地味に実験体の正体も発覚。鳴花ーズとの関係は…?

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。