ボイロ探偵W   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。今日も今日とてやべーやつが大暴れ。楽しんでいただけたら幸いです。


第五十話:純愛のB/火焔幻想・姉妹降臨

「ご苦労様ですわ、クロックロウ」

 

 

 機械仕掛けのフクロウが飛んで行ったのは琴葉神社。まさか茜さんか葵さんが!?と気の迷いをしながらミダスホイーラーから降りて石段を登って行くと、境内に佇むその人物を見つけた。

 

 

「おや、クロックロウを迎えに来てみれば。ネット上の情報は完全に消したのにまさか盗聴器の存在に気付き見張っていたクロックロウをも見破るとは。ただの頭でっかちじゃないみたいですわね」

 

 

 機械仕掛けのフクロウを止まり木の様に腕に止めたのは、髪の毛先が虹色がかったカラーリングの透き通った銀髪を腰まで伸ばし、鍵盤やスピーカーの意匠をあしらった黒のロリィタファッションに身を包んでいる、一見清楚で可憐なお嬢様。しかしハイライトが消えた金色の目はただ者ではないとわかる。

 

 

「そのフクロウ、お前のか?」

 

「ええ。クロックロウ。ゆかり様のメモリガジェットを元に、ギジメモリと一緒に作成した置時計型監視用メモリガジェットですわ」

 

「まさか、見ただけで作ったと…?」

 

「わたくし、ゆかり様のためならなんだってできますのよ」

 

 

 フクロウ…クロックロウを撫でて飛び立たせた女が私を睨みつける。見覚えのない敵意の宿った瞳に思わずリリィの後ろに隠れてしまうと女は嘲笑した。

 

 

「ふふっ、おかわいいこと。わたくしは……本名を言うと「地球の本棚」で閲覧されてしまうかもしれませんわね?ならば私は仮面ライダーダブルという正義の味方をよしとしないこの世全ての悪を敷く者。ゾロアスター教の悪の神「アンラ・マンユ」と名乗りましょう。我が伴侶、ゆかり様の唯一の味方ですわ」

 

「は、伴侶ぉ!?」

 

「ゆかり、オレと同じレズビアンだったのか!?」

 

「いやそこじゃないです」

 

 

 いきなりとんでもないことを言い出したアンラ・マンユと名乗った女は私を値踏みするように見ると「勝った」とでも言いたげに嗤った。

 

 

「やはりゆかり様の伴侶には私がふさわしいですわ。こんな、ゆかり様に甘えてばかり、助けられてばかりの人間もどき。ゆかり様がいないとなにもできないデクノボー。貴方はゆかり様にふさわしくありませんわ。諦めて新しい相方を見つけなさいな」

 

「なんで初対面の貴方にそこまで言われないといけないんですか!?ゆかりさん以外とだなんて考えられません!」

 

「オレも、ゆかりときりたん以外のコンビがダブルなのは納得いかないな?」

 

「それは貴方達の都合ですわ。ナインテイルフォックス相手にぼろ負けして気まぐれに見逃されたのを忘れましたか?あんなのと戦ったら、肉体を担当しているゆかり様が無事ですむとは思えません。ゆかり様を死の戦いに巻き込まないでくださいまし」

 

「っ、それは…」

 

 

 たしかに、ミュージアムは私の敵で、私の家族だ。本当は虚音イフと変身するはずだったのに、ゆかりさんは巻き込まれただけだ。ダブルを作った月読アイが新しい相棒を見つけてくれたのに、私のわがままでゆかりさんを戦わせ続けた挙句、親友と戦わせて苦悩させてしまった。

 

 

「それを選んだのはゆかりのやつだ。お前がどうこう言う権利はない」

 

「心配する権利はありますわ!だってわたくし、ゆかり様を愛してますもの!愛した人間を心配する権利も無いというのですか!」

 

「誘拐しているやつにどうこういう権利があるか!」

 

「リリィ金堂!貴方こそIAを始めとして何人も誘拐していたじゃないですか!」

 

「それを言われると言い返せないな!」

 

「ええ!?」

 

 

 私が悩んでいる間にかっこよく啖呵を切ったかと思えば言い負かされてしまうリリィに思わずずっこけてしまう。いや確かにゆかりさん一人誘拐してストーカーしていただけのアンラ・マンユと異なり、誘拐強盗監禁殺人なんでもござれな大犯罪者だったリリィの方が悪人ではあるが。思い返してみればよく許せてるな私達。

 

 

「…とにかく!愛してるからってオレたちの仲間を誘拐するんじゃねえ!」

 

「強硬手段に出るしかなくなったのですわ!……早くゆかり様の待っている我が家に帰りたいと言うのに、邪魔をするというのなら容赦しませんわよ?」

 

《ブリュンヒルデ!》

 

 

 そう言ってアンラ・マンユは炎を纏った槍を手にした女でBと描かれたメモリを取り出すと、ブラウスの胸元のボタンを外して大きく開いて左胸の上部に浮かび上がった生体コネクタにメモリを突き刺すと、その姿が件のドーパント……ブリュンヒルデ・ドーパントへと変わり、槍を構える。

 

 

《サイクロン!》

 

「ゆかりさん!…あっ」

 

「下がれきりたん!オレが相手だ馬女」

 

《ゴールド!》《パイレーツ!》

 

 

 咄嗟にサイクロンメモリを取り出して鳴らすが返事はせず。我に返って悔しさに歯ぎしりしながらメモリを懐に戻すと、リリィが前に出てダブルドライバーNEOを腰に取りつけ二本のメモリを同時に装填。まるでジョリーロジャーを思い出させる両腕を胸の前で交差するポーズを取って振り下ろすのと同時にダブルドライバーNEOを展開する。

 

 

「変身!」

 

《ゴールデンパイレーツ!》

 

「さあ!派手に行こうか!」

 

「私の愛の炎で燃やし尽くして差し上げましょう!」

 

 

 エルドラゴのパイレーツカリバーとブリュンヒルデ・ドーパントの槍が激突する。ブリュンヒルデ・ドーパントは四つ足を大きく踏み込ませてエルドラゴを押しのけ、槍を頭上で高速で回転させて炎を纏うとそのまま横に回転させて炎の竜巻を放って来た。

 

 

「ちい!」

 

《パイレーツ!マキシマムドライブ!》

 

 

 エルドラゴは避けようとするが背後に私と神社本殿があるのを見てドライバーから引き抜いたメモリをパイレーツカリバーに装填、黄金の光を纏って縦に振い、打ち消すまではいかなかったものの真っ二つに裂いて軌道を逸らすことに成功する。

 

 

「ちい…炎を操るドーパントか。ダブルのヒートの比じゃあないな」

 

「検索完了しました。ブリュンヒルデは北欧神話の大神オーディンの娘にして戦乙女ワルキューレの長女であり、リヒャルト・ワーグナーの『ニーベルングの指環』にてヒロインとして最も知られている戦乙女です。偽名のアンラ・マンユとまるで関係ないとは、恐れ入る」

 

「ニーベ…?横文字が多すぎるぞ!」

 

「別名シグルドリーヴァ。名高きジークフリートもしくはシグルドのヒロインと言えば分かりますか!?」

 

「ああ、ラインの黄金の」

 

 

 黄金で思い出すのがリリィらしいですね…。呪われた黄金だろうと手を出すんだろうなあ…。とか考えている場合じゃない、警告しなければ。

 

 

「炎に包まれた館の中で眠りについたという逸話があの炎を操る力の元でしょう。それより気を付けてください。あの下半身の馬がブリュンヒルデの愛馬である灰色の天馬「グラーネ」だとしたら…飛びます!」

 

「は!?」

 

「ご明察。頭だけはいい頭でっかちなだけはありますわ」

 

 

 そう言った瞬間、下半身の馬の背中から翼が生えて羽ばたき、ブリュンヒルデ・ドーパントが飛翔する。高速で空中を舞ってエルドラゴに斬撃を叩き込んで吹き飛ばす。

 

 

「ゆかりさんを攫った時も今思い出せば飛んでました……飛べると言うだけでかなり厄介です」

 

「作戦は!」

 

「これを!」

 

《ヒート!》

 

 

 そう言って私がボタンを押して投げ渡したのはヒートメモリ。危なげなく片手で受け取ったエルドラゴはヒートメモリを腰のマキシマムスロットに装填。炎に包まれて飛び上がる。

 

 

《ヒート!マキシマムドライブ!》

 

「なるほど炎を推進力にするわけか!」

 

「さすが、ゆかり様を支えた頭脳は伊達じゃありませんわね!」

 

 

 炎に包まれ空を自在に飛ぶエルドラゴと、四つ足の足首に炎を纏って空を駆け回るブリュンヒルデ・ドーパントが激突。巧みな槍捌きと剣捌きが琴葉神社の上空で斬り交わされる。

 

 

「お得意の炎は今のオレには効かないなあ!」

 

「おやそれはどうでしょう。我が炎は我が愛を薪に燃え上がる。さらに燃やせば火力も倍増ですわ!」

 

 

 一度距離を取ったブリュンヒルデ・ドーパントがばら撒いた火球の雨をまともに受けながら突撃するエルドラゴだったが、ブリュンヒルデは突如全身に紅蓮の炎を纏い、槍を振るって炎が動き、周囲に槍を手にした天使の様な翼が生えた戦乙女…ワルキューレが九体炎で形成。いっせいに炎の槍をエルドラゴに投擲してきた。

 

 

「なに!?」

 

「ブリュンヒルデはワルキューレの長女。姉が望めば妹達は手伝ってくれますわ!名づけて火焔幻想・姉妹降臨(ブレイジング・リーヴスラシル)!」

 

「ぐああああ!?」

 

 

 パイレーツカリバーで斬り弾いていたエルドラゴだったが、斬り損ねた一本の炎の槍が左肩に突き刺さり、悲鳴が上がる。

 

 

「リリィ!」

 

「ぐっ……トゥースの頭突きに比べれば大したことない。だが…」

 

 

 ブリュンヒルデ・ドーパントを中心に炎の槍を手に並び立つ炎のワルキューレ九体。その戦力差は絶望的だ。

 

 

「…ダブルの変身を封じてこいつは、なかなか性格悪いな?」

 

「お褒めに預かり光栄ですわ。わたくし、ゆかり様の為ならなんでもできますの。DIYからパルクールまで!なんでもしてみせますわ!愛に生きるのですわ!」

 

「そうかい。オレの腹心の西友みたいだな?」

 

「狂信者と一緒にされては困りますわ!」

 

「うるさいヤンデレサイコメンヘラめ」

 

「失礼な!私は純愛者ですわ!」

 

 

 なるほど。リリィの人を見る目は確かだ。ヤンデレでサイコでメンヘラ、なるほど。ゆかりさんのことが大好きで一般常識分かってるけど自分ルール行使して、ゆかりさんが好きな自分が好き、そんな人だと言う事ですね。

 

 

「いい加減帰らせてもらいますわ。いち、にの!」

 

「っ!?」

 

 

 炎の槍を手に突撃していく炎のワルキューレ九体。エルドラゴは炎を纏った状態で何とか避けていくが、いつの間にか全方位を囲まれてしまう。

 

 

「さん、はい!」

 

「しまっ……ぐあぁあああああ!?」

 

 

 いっせいに全身を炎の槍で貫かれ、炎のワルキューレ九体に組み付かれて大爆発。境内に落下して変身解除されるリリィ。全身火傷や焦げ跡だらけで見るに堪えない。

 

 

「あ、これいただきますね。あの人の指示ですので」

 

「あの人…?」

 

 

 境内に降り立ち、リリィの傍らに落ちていたヒートメモリを摘み上げるブリュンヒルデ・ドーパントに首を傾げる。まさか、ルナメモリを奪ったのも、ダブルドライバーを奪ったのも偶然じゃない…?

 

 

「ではでは。二度と会わないことを祈りますわ。アデュー」

 

 

 そう言って四つ足に炎を纏って空中をパカラッパカラッと駆けて行くブリュンヒルデ・ドーパント。咄嗟にスタッグフォンを取り出し追跡させるも、即座に撃墜されてしまう。

 

 

「待て!待ちなさい!ゆかりさんを、返せ!」

 

 

 飛んでいくブリュンヒルデ・ドーパント…アンラ・マンユに手を伸ばすしかない私の悲痛の叫びが境内に木霊した。そんな私の腰にダブルドライバーが出現したのは、ブリュンヒルデ・ドーパントが立ち去って五分後のことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目を覚ますと寝室で一人で寝かされていて。…着せられたままの着物のある部位に変なシミができてるのは気にしないことにする。ふらつきながらもマユさんの自室に侵入し、金庫を調べる。駄目だ、開かない。何かキーワードの番号がある筈だ。……まさか?

 

 

「いやいや。いくら私が好きだからってまさか……」

 

 

 まさかな、と思いながら試しにと私の誕生日である「12月22日」…1→2→2→2と合わせてみる。ちなみにあかりも同じ誕生日だ。そんなことを考えていると、カチャッという音と共に金庫が開いた。

 

 

「ええ…」

 

 

 ドン引きしながらも、金庫の中に納められていた私の一張羅…なんか胸元が大きく広げられているが気にしないことにする…に着替える。そして一緒に納められていたトランクケースを開けると、丁寧にダブルドライバーとジョーカーメモリ、メタルメモリ、トリガーメモリ、ルナメモリが納められていた。

 

 

「これは…おやっさんに渡しに行った時のトランクケースと一緒…?」

 

 

 とりあえずダブルドライバーを手に取り、腰に取りつけると、脳裏に声が響いた。

 

 

【ゆかりさん!?ゆかりさんですか!?今、どこですか!?】

 

「きりたん!今いる場所は分かりません。ですがダブルなら脱出できるはず……」

 

「なにをしているのでしょうか、ゆかり様」

 

「!?」

 

 

 背後から声をかけられて、おそるおそる振り向くと、目のハイライトを完全に失ったマユさんがいた。

 

 

「えっと、これは…」

 

「私が留守の間に乙女の秘密を探るなんて…おいたがすぎますわね。少しお仕置きさせてもらいますわ」

 

《ブリュンヒルデ!》

 

「っ、きりたん!」

 

《ジョーカー!》

 

【はい、ゆかりさん!《サイクロン!》】

 

「【変身!】」

 

 

 マユさんの自室に疾風が吹き荒れてアルバムやらが浮かび上がり、床に落ちる。サイクロンジョーカーに変身した私達はブリュンヒルデ・ドーパントに立ち向かうのだった。




ブリュンヒルデ・ドーパントのモチーフ及び炎のワルキューレは思いっきりFGOです。

ゆかり以外にはまるで容赦がないマユ。アンラ・マンユを名乗るだけはあります。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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