今回は再起を図るゆかりたち。楽しんでいただけたら幸いです。
「……」
なんとか事務所まで帰り着いた私たち。全員ズタボロ、リリィに至っては頭から血を流しており、みんな黒焦げで、最悪の状況に無言で各々の治療をする。
「……きりたん。最後のあれ、どう思います?」
「敵は何かしらの手段でメモリをアップグレードする手段を得たようですね。ただでさえ発火能力の高いフレア・ドーパントがプロミネンス・ドーパントとなって火力もさらに上がった様です。短時間で水都を燃やせる火力があると思います。ですがその分、大火力を出した後はエネルギー切れで動けなくなるはずです。最後のアレがそうかと」
「ということはフレア改めプロミネンス・ドーパントは当分動けないわけですね、問題はホワイトアウトですか…今はダブルとエルドラゴしかないと言うのに」
「…あいつがうちの記憶を奪って岳や快子を殺した東北奏楽やな。悔しいが、うちじゃ勝てる気がせえへんかった」
火傷に薬をつけて包帯を巻きながら悔しげにぷるぷると震えるついなさん。
「あいつは…恵はホワイトアウトのドーパントにダブルが押されているのを見た途端、一度変身を解いて取り出した変な機械にガイアメモリを装填してああなったんや。まるで、希望が潰えたかのような絶望した表情やった」
「…今回の事件はホワイトアウトが発端かもしれませんね」
ついなさんの説明に少し考え込んで、思い浮かんだことを言ってみると全員の視線がこちらを向く。
「恐らくですが、ついなさんが記憶を奪われたのと同時に、ホワイトアウトが恵さんに接触したんだと思います。そしてメモリを渡してドーパント化させ、命を奪うなどの脅しで暴れさせたのが今回の事件。そして恐らく以前、ウェブ・ドーパントを相手に戦った私達がホワイトアウトに勝つことに一縷の望みをかけた…だけどそれも、断たれてしまった」
「あの反則の能力だな。特にオレの場合、ゴールドのメモリが漂白されたら変身もできねえ。迂闊に相手できないぞ」
「そう言えばそうでしたね」
リリィのベルト…ダブルドライバーNEOはゴールドメモリと、パイレーツもしくはサンダーまたはルーラーメモリを同時に使用して変身できる「一人版ダブル」だ。メモリを漂白して使えなくするホワイトアウトとは相性最悪だろう。やはりダブルでどうにかするしかないか。
「ダブルの使えるメモリは…メタル、トリガー、サイクロン、ルナですか…奴の単純な凍結能力に対抗する手段であるヒートメモリが無力化されたのが痛いですね」
「ファングメモリもこうですし…特にジョーカーメモリも漂白されてしまってエクストリームになれませんね」
そう言って漂白されて沈黙しているファングメモリを取り出すきりたん。何時もちょこちょこと動いていたファングメモリがこうも痛々しい姿になるとは…。
「どうにかして直せないんですか?きりたん、ガイアメモリを作れましたし新調するとか…」
「残念ながらあそこの設備が無いと無理です。それに直そうにも、これはガイアメモリの能力による漂白です。あのメモリをブレイクするしか直す手段はありません」
「あのー……エクストリームになれないという話ですが、サイクロンジョーカー以外にもなれないんですか?ほら、ルナトリガーエクストリームとか強そうじゃないですか」
そんなあかりの言葉に、きりたんと顔を見合わせ苦笑する。それは私も以前考えましたね。
「結論から言うと、私と相性のいいサイクロンとゆかりさんと相性のいいジョーカーメモリの組み合わせでないとエクストリームを使用できないんですよね。ファングジョーカーも同様の理由でジョーカーしか使えません」
「なるほどわからん」
「オレとゴールドメモリと同じ理屈だな。…そうだ、一つだけホワイトアウトに対抗する手段があるぞ」
するとなにか思いついた様子のリリィ。自分の私物を置いてあるスペースに歩いて行きゴソゴソ漁ると、なにやら資料の束の様なものを持って来た。
「これは月読アイから渡されたダブルドライバーNEOの説明書だ。エクストリームメモリも参考にしたらしくてな、ドライバーを開閉することである能力を使用することができる」
「ほれ」と言って手渡してくるリリィから受け取ったその内容をきりたん、あかり、ついなさんと共に覗きこむ。そこにはこうあった。
「ドライバーを一度開閉することで「ゴールドラッシュ」を発動可能…?10秒間だけ金色に煌めく無敵状態となってパワーとスピードを増した怒涛の攻撃を繰り出すことができる。こんなのあったんですか」
「たまに思い出した時に使ってたがあるんだよ」
「…この能力ならば10秒間だけあの漂白能力も無効化できますね」
きりたんが資料を読んでそんな結論を出す。これでホワイトアウト・ドーパントへの対抗手段は得た訳だ。
「ならば私ときりたんがプロミネンス・ドーパントは引き受けます。リリィ、頼みました」
「了解だ」
「ホワイトアウトとプロミネンスの居場所を探るとして……とりあえず、ついなさん。記憶が戻らない限りはもう戦わないでください」
「なんでや!うちが駆けつけなかったらどうなってたことか…」
「もうその域を越えたんです!」
私の言葉に反論するので大声で言い返すと怯むついなさん。あかりまでびくっとしてしまった。申し訳ない。
「フレア・ドーパントはどうにかなったかもしれませんが、パワーアップしてるんです。それこそ人間を一瞬で蒸発させることも可能でしょう。いくら普通の人間と違う方相氏でも、無事では済まないかもしれないんです!」
「そんなの予想でしかないやろ!恵を救えるのはうちだけや!」
「私達が必ず恵さんを助けます!記憶を失った貴方にとってはまだ信用できないかもしれない。だけど、私達を信じてください!」
「お前の記憶もホワイトアウトを倒して必ず取り戻す。待っていてくれ」
私に続いてリリィもそう言うと、納得したのか頷くついなさん。
「……わーったわ。大人しゅう待っとくわ」
「きりたんとあかりを頼みます。きりたんはホワイトアウトとプロミネンスの弱点を探ってください。行きますよ、リリィ!」
「おうよ」
リリィと共に外に出て、それぞれの愛車に向かいエンジンを回しながら向かい合う。
「…あれは納得してない顔でしたね」
「アイツは知らないだろうがそこそこの付き合いだからな。オレでもわかる」
「…ついなさんが来ないうちに終わらせましょう」
「同感だ」
その後、ネルさんやJKコンビの情報網を用いてプロミネンス・ドーパントの行く先を探ると、燃える人影が空を飛んで水都タワーの屋上に向かっていったという情報を聞いて乗り込む私とリリィ。風車の動力部まで来ると、黒焦げの石炭の様な姿の燃え尽きた状態と思われるプロミネンス・ドーパントを傍に侍らせた東北奏楽がニコニコしながら待っていた。
「ようやく来ましたね。待ってましたよ、仮面ライダー」
「東北奏楽…!…罠でしたか」
「妙に目立っているなと思ったらわざとか。面倒な真似をする」
「ついなさんはいないのですか?面白くないですねえ」
《ホワイトアウト!》
つまらなそうにしながらガイアウィスパーを鳴らしたメモリをガイアドライバーに突き刺し、ホワイトアウト・ドーパントに変貌する東北奏楽。同時に冷気が吹き荒れると、それに反応する様に燃え上がるプロミネンス・ドーパント。私とリリィもドライバーを腰に取りつけメモリを鳴らす。
【《サイクロン!》】
《トリガー!》
《ゴールド!》《パイレーツ!》
「【「変身」】」
《サイクロン!トリガー!》
《ゴールデンパイレーツ!》
変身するのと同時にカットラスを振り回し、ビシッ!ビシッ!とポーズを決めて行くエルドラゴと共に指を拳銃の様にして付きつける。
「陽光が、なくとも輝く
「『さあ、お前の罪を数えろ!』」
「いいですね、面白いですね!決め台詞!それ小説のネタにいただきです!」
「笑っていられるのも今のうちだ!」
やんややんやと拍手喝采するホワイトアウト・ドーパントに、カットラスを振り回しながら突撃するエルドラゴに続いて私たちもトリガーマグナムから疾風を纏った弾丸を撃ってプロミネンス・ドーパントを撃ちながら突撃、ショルダータックルで壁をぶち抜き、水都タワー前広場まで落下。人々が逃げて行く。
「貴方を止めます。ついなさんと約束したので…!」
「アァアアアアアアアッ!」
右手に特大の火球を形成し、ぶん投げると徐々に巨大化して広場を飲み込んでいくプロミネンス・ドーパントの攻撃を側転で回避。トリガーマグナムで狙い撃つも、炎に煽られて弾かれてしまう。
『胴体は炎が強くて攻撃が届きません!』
「ならば、炎の少ない四肢を狙います!」
両手を突き出し、灼熱の火炎を放出するプロミネンス・ドーパントの炎を疾風を纏った弾丸で軌道を逸らしながら連射。次々と手足を撃ち抜いて行く。やはり動きは単調だ。火力こそ石畳が融解するゾッとする威力だが、これならなんとかなる。
『急所のメモリだけを撃ち抜けばなんとか無傷で解放できるかもしれません』
「バットショットの出番ですね」
きりたんの言葉に頷き、隙を見て取り出したバットショットをスコープに変形させてトリガーマグナムに合体。トリガーメモリを引き抜いてトリガーマグナムに装填して現れた照準をプロミネンス・ドーパントに合わせる。
《トリガー!マキシマムドライブ!》
「『トリガー・バットシューティング!』」
「アァアアァアアアアッ!」
炎の太刀を生み出して迎撃しようとするプロミネンス・ドーパントだったが炎の太刀と真っ向からぶつかり刀身を弾き飛ばしてプロミネンス・ドーパントの心臓を撃ち抜くと、纏っていた灼熱の炎も吹き飛ばされ、脱皮するかのように恵さんが元の姿に戻って崩れ落ちる。よかった、なんとかなった……。
「よし、リリィの援護に……」
『ゆかりさん!』
きりたんの絶叫に、右を振り返る。そこには、水都タワーを中心に吹き荒れ銀世界に変えて行くブリザードの壁があって。瞬く間に、あっけなく飲み込まれてしまった。しまった、過去についなさんから聞いた話で想像できたはずなのに……―――――
「くそっ、くそっ…くそっ!」
数分前、突如襲ってきた膨大な冷気から自身を庇って氷像になってしまったあかりの下から抜け出して、エンジンブレードで凍り付いた扉を斬りつける。こうなってしまった理由は明白だ。ホワイトアウトの仕業だろう。ゆかりたちもやられてしまったのだろう。
「うちは、この無力感を知っている……なのになんでや、なんで思い出せないんや!」
なんとか外に出ようと方相氏のパワーで斬りつけるもビクともしない。このままじゃ体力も尽きて終わってしまう。なんとか…なんとかする方法は…!
「そうだ、アクセルドライバー…!変身すればこんな氷……!」
《アクセル!》
アクセルドライバーを取り出して腰につけ、アクセルメモリのボタンを押して装填。すると自然に、右のグリップを回していた。ブゥンブゥン!とエンジン音が轟く。
「…うちは、この感覚を知っている」
《アクセル!》
そして仮面ライダーに姿を変えたうちは、直感と共にグリップを回し続けた。
《アクセル!アクセル!アクセル!》
「うおおおおおおおっ!」
そして扉を蹴破り、銀世界となった外に出る。思い出した、うちは……仮面ライダーアクセルや!
「さあ、振り切るで…!」
ついなの過去編の時点で街を凍らせていたホワイトアウト。こんなこともできるわけです。10秒じゃ分身戦法には勝てなかった。
プロミネンス・ドーパントは強すぎる力に理性まで焼けてただただ炎を出すだけの怪物になっていたので攻略できました。簡単に言うと暴走状態のバードみたいな。
ついなの記憶が戻った理由は次回にて。次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。