「はあああああ!」
仮面ライダールクス、つまりは仮面ライダーを名乗ったあかりは、その覚悟を示す様に勇猛果敢にヒート・ドーパントに殴りかかる。ヒート・ドーパントは腕を次々と振るって火球を飛ばして迎撃せんとするが、そのすべてを真正面から受け止めながら突撃するルクス。怯みもしないとはとんでもない防御力だ。
「この!」
「無駄です!」
炎を纏って打ち上げる様に加速させた蹴りを叩き込むヒート・ドーパントだったが、X状の装甲で受け止めて背中に手をかけて引き抜いたメタルシャフトを打ち付けて地面に叩き付け、そのままゴルフでもするかの様にスイング。大の字に倒れたヒート・ドーパントを殴り飛ばして事務所の外に吹き飛ばすと追いかけようとするルクス。
「こいつはどうだ!」
「ぐう!?」
すると背後に立ったトリガー・ドーパントが銃口をルクスの背中に突きつけて接射。爆発を起こして怯み、よろめくルクスに銃身をバットの様に頭部に叩きつけて殴り飛ばし転倒させるトリガー・ドーパント。
「調子に乗るなよ、何が仮面ライダーだ!」
「くっ…!」
ダメージによろめきながらも立ち上がったルクスの振るった拳を左掌で受け止めてその衝撃をバックステップすることで受け流し、背後に向けた銃身から弾丸を撃った反動で左拳を叩き込むトリガー・ドーパントは、そのまま弾丸と拳でルクスを滅多打ちにする。
《ジョーカー!》
「あかり…!変身!」
それを見て、咄嗟にジョーカーメモリを拾い上げてボタンを鳴らして腰に装着したままだったロストドライバーに装填しながら走り、変身。トリガー・ドーパントに殴りかかろうとするも、炎の壁で阻まれる。足から炎を出して復帰してきたヒート・ドーパントだ。
「邪魔はさせません」
「それはこっちの台詞です。後輩の初舞台なのでね!」
事務所の横、空中にいるヒート・ドーパントに半壊した壁から飛び込んで組み付く。ヒート・ドーパントは殴って落とそうとしてくるが、私はそれに耐えながら身体を揺らしてヒート・ドーパントの体勢を無理やり崩して壁に激突させ、ふら付いたその身体を引っ張って地面に撃墜する。
「があ!?この…!」
「どこぞのコックを思い出す蹴りですね…!」
《ジョーカー!マキシマムドライブ!》
逆立ちで立ち上がりながらクルクルとその場で回転して放った炎の竜巻を、ジョーカーメモリをマキシマムスロットに装填しながら跳躍してバックステップで回避。逆立ちをやめて次々と火球を飛ばしてくるヒート・ドーパントの攻撃を避けながら鳴花-ズの壁を蹴って反転、左側頭部目掛けて飛び蹴りを叩き込む。
「蹴りには蹴りです。ライダーキック…!」
「っ!」
しかし紫の炎を纏った飛び蹴りは空振り、ヒート・ドーパントを突きぬけて転がる私。どういうことだと困惑していると、ヒート・ドーパントの形が崩れて炎が揺らめく。それは
「変身できたからと強くなった気でいるのか?なにが罪の重さを知れだ、罪を背負う程人間は強くなる…!のうのうと幸せに安全に生きてきたお前が、私に勝てるわけがない…!」
「…それは、違います!」
トリガー・ドーパントにタコ殴りにされていたルクスが奮起し、両腕で頭部を庇いながら立ち上がる。やはり傷一つついてない。衝撃での押されていただけの様だ。
「お爺さまは言っていた。人は、己の罪を数えることで成長できる。数えないで罪から目を背ける人間は、決して成長できないと!私は……私は、自分の異常性からこれまで目を逸らし続けてきた!仲間を信じることができなかった!信じきれずに仲間を裏切って、挙句の果てに裏切ったはずの仲間に庇われて、傷つけた!」
「なにを…?」
「私は己の罪を数えましたよ。さあ、お前の罪を…数えろ!」
そう言って指を拳銃の様に突きつける姿は、仮面ライダースカルと……おやっさんと重なった。例えCLEARだとしても、おやっさんの孫である貴方は……ちゃんと、おやっさんの魂を受け継いでますよ、あかり。
「私は……私は、結月ゆかりになりたいだけだ!私は結月ゆかりよりも強い、結月ゆかりよりも殺せる、私は結月ゆかりよりも優秀だ!そう証明して私が結月ゆかりになるために犯した罪だ!それを数えろだと!?ふざけるのも大概にしろ……オリジナルが死んでその代わりに生み出された者になにがわかる!」
激怒したトリガー・ドーパントの発露。あまりに理解できない、恐らく私では絶対理解が及ばない身勝手な動機を語るトリガー・ドーパントの構えた銃身が上方に弾かれ弾丸が天井を撃ち抜く。ルクスが、手にしたメタルシャフトが振り上げたのだ。
「なにもわかりませんよ!でも貴方は身勝手だということはわかります!!罪は罪です!理由を持たせて正当化するな!」
メタルシャフトの打突が炸裂、そのままトリガー・ドーパントの右腕の銃身を握って引っ張り、ショルダータックルを叩き込んで吹き飛ばすルクス。メタルメモリを引き抜いてメタルシャフトのマキシマムスロットに装填、背中のメタルシャフトをもう一本引き抜いて、片手で一本ずつ握ると銀と赤の光を纏い、振り回して次々とトリガー・ドーパントに打ち付けていく。
《メタル!マキシマムドライブ!》
「認めない、こんな奴に負けるなんて、認めない…!」
トリガー・ドーパントも弾丸を撃って反撃せんとするが、全てを受け止めて物ともせずに猛連打を叩き込んでいくルクス。その勢いは嵐が如く、ついにはトリガー・ドーパントの身体が浮かび始めて打ち上げられていく。
「メタルエクストリーム…!」
恐らく私たちのジョーカーエクストリームから名前を取ったのだろう、猛連撃。最後に交差する様にメタルシャフト二本を叩き付け、地面に叩き潰されたトリガー・ドーパントは爆散。トリガーメモリが排出されて変身が解け、ウララは左手を空に伸ばす。ジョーカーメモリで底上げされた目は捉えていた、あの猛連撃で左側頭部のチップを破壊したところを。その身体が指先から粒子化していく。
「私は、偽物なのが嫌で……結月ゆかりに、なりたくて………」
「…例えCLEAR…クローンだとしても、私は私なんです。…貴方も貴方でしかないですよ」
「……そう、だな。そのとおりだ……」
ルクスの言葉に満足したような笑みを浮かべ、ウララはチップの残骸を残して完全に消滅した。……私と同じ顔の人間が消えて行くのは、やはり複雑な気分だ。クローンとはいえ人を殺してしまったからか、虚しそうにチップの残骸を見下ろしていたルクスに合流する。
「…あかり、お疲れ様です。おやっさんのようでした」
「ゆかりさん……私、エターナルと同じように勝手に仮面ライダーを名乗って……」
「アイツとは違いますよ。あかりの在り方は、正しく仮面ライダーです」
「そいつは聞き捨てなりませんね。姉さんも仮面ライダーです」
言いながらトリガーメモリを拾おうとすると、炎の壁に遮られてしまい、あまりの熱さに手を引っ込める。壁の向こうでトリガーメモリを拾い上げたのは、ヒート・ドーパント…ミリアルだ。その手にはBとPのメモリまで握られている。何時の間に…!
「…まさか、ブロッサだけでなくウララまでやられるとは思いませんでした。その三つのT2メモリは私一人じゃ奪えそうにないので預けます。水都タワーまで届けに来てくださいね?」
そう言って路地裏に隠していた赤いバイクに搭乗して走り去っていくヒート・ドーパントを、見送るしかなかった。
「…ゆかりさん、いきましょう。私達できりたんを取り戻すんです」
「あかり……ええ、そうですね」
そうだ。きりたんも恐らくそこにいる。…リリィとついなさんがやられた今、戦えるのは私とあかりのみ。…やるしかない、か。
ウララ退場。その動機は分かりにくかったかもしれないが説明が難しい。簡単に言うとコンプレックスの塊。
スカルと重なるルクス。例えCLEARでも祖父と孫。受け継がれる魂。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。