ボイロ探偵W   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。今回はCOEFONTsideの話となります。楽しんでいただけると幸いです。


第七十四話:AtoZフォーエバー/孤独のNEVER LAND

 水都タワーに戻ってきたミリアルの報告を、傍にサイクロン・ドーパントを侍らせたアリアルはメモリを受け取りながら特に動揺することなく聞いていた。

 

 

「…ブロッサとウララがやられた、か。ご苦労、ミリアル。アベルーニに手を貸してやってくれ」

 

 

 トレーラーに偽装し水都に持ち込んだアベルーニの簡易研究室にしてCOEFONTの仮拠点を映したカメラの映像内の、緑色の液体に満たされたポッドで培養されたもう起きもしない空っぽのブロッサとウララのボディをモニター越しで見つめながら冷めた目でそう呟くアリアル。仲間が倒されたというのに特に怒りもしない様子を、中央に据えられたマキシマムスロットが26個付いた巨大な装置「エクスビッカー」の椅子に縛られたきりたんは信じられないものを見るような目で見つめている。

 

 

「なんで、仲間が倒されたんですよ!?なんで、そんな顔ができるんですか…!」

 

「何を言う。ブロッサもウララも替えの効く代用品だ。元々死ぬことを前提として作っているのにいちいち涙を流すのは水分の無駄だ。壊れてしまってもまた作ればいい。また精神を教育するのは億劫だがね」

 

「クローンだって生きてるんですよ!なんでそんなこと言えるんですか…!人の心が無いんですか!」

 

「私は悪魔だからね、心なんて持ち合わせてないさ。どうした?自分と似た境遇のCLEARを同情しているのかい?」

 

 

 きりたんに歩み寄り、その顎を掴んで自身の眼前に引き寄せるアリアル。その目に光はなく、きりたんは思わず怯むとアリアルは笑って手を放す。

 

 

「驚いたかい?私はNEVER。生きる死体だ。生気なんてないんだ、生者のCLEARと違ってね。NEVERは死体の適合率が異様に低くてね、成功例はこの私だけだ。この世で唯一の存在、それが私だ。君の恐怖も正当なものだ、誰だって自分と違うもの、異物は恐ろしいものだからね。君とは同じ、この世で唯一の存在として仲良くなれると思ったが……異物は異物らしい、残念なことだ。私は孤独のままだということか」

 

 

 自分の胸に手を置いて死んだ目で淡々と告げてくるアリアル。きりたんは悟る。この目の前の女は自身のIFなのだと。残酷な真実(既に死んでいること)を知った際に、支える者(ゆかりたち)がいなかったら自身もこうなっていただろうと。

 

 

「…このエクスビッカーと言う兵器、もしかして貴方の目的は……」

 

「ああ。T2メモリとエクスビッカーを使って私と同じ、NEVERを量産する事さ」

 

 

 なんでもないことの様にさらっと語られた悪夢の様な目的。水都の解放と言う言葉の真の意味を知ったきりたんは動揺する。知らなかったのかサイクロン・ドーパントも激しく動揺した。

 

 

「私の孤独を癒す方法を兄さんがついに見つけてくれてね。実践するために財団Xに従事してT2メモリを作る障害を排除し、エクスビッカーを開発しこの街に戻ってきた。生前の私の住んでいた街にね」

 

「そんなことをしたら、適合しなかった人間が……街の住人の半数以上が死にますよ!?正気ですか!?」

 

「正気なわけがないだろう。私は心を失ってなお孤独でどうかなりそうなんだ。もう狂ってるかもしれないが、私の悲願だ。数人でもNEVERが増えれば上出来だ。そのために何人死のうが知ったことじゃない」

 

 

 必死に訴えるきりたんに、真顔で返すアリアル。その狂気すら感じない瞳に、きりたんは思わず目をそらして、決意したのか後ろ手に風を集めているサイクロン・ドーパントを見た。なにをするのか察したきりたんは注意を惹こうと話題を変える。

 

 

「…アベルーニは、貴女の兄はそれを承知で……?」

 

「ああ、兄さんかい?よく尽くしてくれてるよ。私は彼の「妹を失いたくない」と言う願いから生まれた存在だ。研究費のために財団Xを介した紲星財閥の依頼で君も知る紲星あかりを作った。「妹」が欲しいと望んだら私の遺伝子を使ったCLEARであるミリアルを作った。他のCLEARも私が「仲間」を望んだ故に作られた存在だ。だがそれでも私の孤独は癒されなかった。同じCOEFONTと括られていようがNEVERは私一人だった」

 

 

 アリアルが手にしたリモコンを操作してモニターの映像を切り返る。そこには、アベルーニとミリアルが、水都タワー傍の公園にて集う数多の人間の相手をしていた。十億に釣られて、よくわかってない水都市民がミュージアムの旧型ガイアメモリをどこからか集めて持ち寄ってきているのだ。そんな地獄みたいな光景を一瞥してアリアルは無感情に続ける。

 

 

「それにどうでもいいだろう?こんな醜い者達がどうなろうと。こんな街に君達仮面ライダーが救う価値はあるのかい?」

 

「…私は信じています。相棒が、ゆかりさんが愛した街に住む人々を!」

 

「…ふむ。不快だ。この上なく不快だ。最悪の気分だよ、同類だと思っていた君の口からそんな言葉が紡がれるだなんて」

 

《エターナル!》

 

 

 腹立たしげにしながらエターナルメモリを取り出して腰のロストドライバーに装填してスロットを倒し、仮面ライダーエターナルに変身するアリアル。ファングメモリを取り出すと腰のマキシマムスロットに装填する。同時に、それを止めようとサイクロン・ドーパントが手の間に形成した鎌鼬を放たんとする。

 

 

「ああ、あぁあああああっ!」

 

《ファング!マキシマムドライブ!》

 

「…ファングストライザー」

 

 

 そしてマント、エターナルローブを翻して鎌鼬を弾きながらマキシマムセイバーを右足首に生成したエターナルは高速回転してサイクロン・ドーパントに回し蹴り。Fの文字が刻まれたサイクロン・ドーパントは爆散してキリエとCのメモリが転がる。

 

 

「キリエ。君は一応同じCOEFONTで東北記理子の予備だからまた仲間に引き入れたが信用はしてなかった。君を国際警察に潜入させた結果、人の心を学んでしまったからね。そしたら案の定、だ。道具に心など不要だとよくわかった」

 

「ぐうう……」

 

「そのまま道具として使命を全うしてくれ」

 

 

 言いながらキリエを引き摺り、きりたんと反対側の椅子に無理やり座らせ機械を頭に乗せるエターナル。そしてZ…ゾーンのメモリをエクスビッカーのマキシマムスロットの一本に装填、ボタンを押す。

 

 

《ゾーン!マキシマムドライブ!》

 

「「うああぁあああああっ!?」」

 

 

 すると使用者であるエターナルの意思を汲み取り、エターナルの変身を解除させながらゆかりとあかりの有しているJ-ジョーカー、M-メタル、X-エクストリーム以外の22本の、COEFONTが有しているメモリが転送されてきてエクスビッカーのマキシマムスロットに装填。電流が走ってきりたんとキリエは悲鳴を上げる。

 

 

《アクセル!》

《バード!》

《サイクロン!》

《ダミー!》

《エターナル!》

《ファング!》

《ジーン!》

《ヒート!》

《アイスエイジ!》

《キー!》

《ルナ!》

《ナスカ!》

《オーシャン!》

《パペティアー!》

《クイーン!》

《ロケット!》

《スカル!》

《トリガー!》

《ユニコーン!》

《バイオレンス!》

《ウェザー!》

《イエスタデイ!》

《ゾーン!》

《マキシマムドライブ!!!!!!!!!!!》

 

 

「君達はこの装置を起動するための生体ユニットだ。メモリの数こそ足りないが、二人もいれば起動するには十分だろう。そして…」

 

 

 ぐったりとしたきりたんとキリエを満足げに見やり、エクスビッカーから二本のメモリを引き抜いて意識を失っているきりたんに歩み寄るアリアル。

 

 

「東北記理子…きりたん。君は私を怒らせた。心を取り込まれた抜け殻の君の身体、利用させてもらうとするよ」

 

 

 そう言って孤高の白き悪魔は心底楽しげな笑みを浮かべるのだった。




明かされたアリアルの動機と目的。まさしく悪魔です。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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