「そんな!?なんで、姉さんが…失敗した!?」
「危なかったな、このまま水都と心中するのも悪くないと思っていてしまっていた」
対峙するはメタルトリガー・ドーパントのミリアルと、その武器を奪い取り互角の戦いを繰り広げていたリリィ。ゴールドメモリの力が戻ってきたことを感じはしたが、あかりがダブルドライバーNEOを持っていったため変身はできない状態だ。
「だけど姉さんは凄いから次の策も考えている。むしろこっちの策の方がお前たちにとっては最悪です。エクスビッカーを止めたことは無駄でしたね」
相方の方から街中にばら撒かれるドーパントの幻影たちを見上げながらそうのたまうメタルトリガー・ドーパントに、リリィは不敵に笑う。
「そいつはどうかな?」
「…なに?」
「お前たちは一つミスを犯した。あんな大々的に宣戦布告すりゃあ他の街にも伝わる。そしてこの近くの街にはな、俺達エル・ドラードが手を出そうにも出せなかった理由が存在するのさ」
「…何の話ですか?」
「分の悪い賭けだったがな。存外、お人好しだったらしい」
そうフッと笑ったリリィの背後の上空にて、何かが飛翔する。それはホーク・ドーパントとカラスを思わせる姿の仮面ライダーだった。
少し時を遡って、水都アウトレットモール。以前、ホーク・ドーパントが暴れたそこでは、ホーク・ドーパントを含めた四体のドーパントに襲われていた。他はジャックザリッパー・ドーパント、ギロチン・ドーパント、マッド・ドーパントだ。その四体による被害を押さえるべく奮闘している者がいた。仮面ライダー獄王である。
「妖怪と同じで厄介な奴等だな…!」
右手に握った大型拳銃ヘルガンと、左手に握った日本刀の様な剣ヘルソードを巧みに振るい、ホーク・ドーパントの放った羽手裏剣を弾丸で迎撃し、ジャックザリッパー・ドーパントの短針と長針を模したメスとハイヒール、ギロチン・ドーパントの腕から生やした刃を斬り弾き、マッド・ドーパントの放って来た泥の塊を跳躍して回避する。
「特に厄介なのはお前だ、泥田坊みたいなやつ」
《オニビ!》
「大人しくしてろ!」
「ゴボボォ!?」
ヘルガンの側面からマガジンを引き出し、取り出したアヤカシバレットのボタンを押して装填する獄王。
《アヤカシバレット!オニビ・フレイム!》
赤く光り輝いて炎を纏ったヘルガンから火炎弾を発射。直撃して自身の力の源である水分が蒸発したマッド・ドーパントは慌てて近くの水路に向かう。フレイムルナ・ドーパントから生み出された幻影だが元の弱点までそのまま再現しているらしい。
「オ前ノ身体モ血ニ塗ッテヤルゼ…」
「切リ刻ンデヤリマスヨォオオオ!」
「物騒だな。ならこうだ」
一度距離を取って突撃してくるジャックザリッパー・ドーパントとギロチン・ドーパントに、専用バイクであるヘルスピーダーに搭乗しハンドルを捻って走り出す獄王。空を飛ぶホーク・ドーパントと、アウトレットモールの店舗の壁を足場にして駆けて追いかけてくるジャックザリッパー・ドーパントとギロチン・ドーパントに、獄王はハンドルを切って車体の前方を向けるとスイッチを押した。
「ハシィ!?」
「ギャアア!?」
車体に搭載されたマシンガンから弾丸が乱射される。ジャックザリッパー・ドーパントはアウトレットモール内を「路地裏」としたのか靄に包まれ瞬間移動して回避するが、ホーク・ドーパントとギロチン・ドーパントは避けきれずに撃墜されて地面を転がる。そして獄王はアクセル全開、姿を再度現したジャックザリッパー・ドーパントに体当たりして吹き飛ばした。
「頭ガ痛イゼェ!」
「まずはお前からだ。瞬間移動する力になんでも斬り裂く剣…そういうのに対抗する力は、生憎と持っている」
そう言って、ゴクオードライバー上部の左端にあるボタンを押すと左側面からマガジンが展開、一番上にある羅刹のアヤカシバレットを取り外し、マガジンを収納すると別のアヤカシバレットを取り出してスイッチを押した。
《イヌガミ!》
そしてゴクオードライバー右端にあるボタンを押して展開されたマガジンの中央のスロットに装填。マガジンを戻すとドライバー上部の中心にあるボタンを押す獄王。すると円柱状の黄色いエネルギーが取り囲んでジャックザリッパー・ドーパントの斬撃を弾き、獄王は銃の形に変えた右手を正面に突き出して撃った様な動作を行った。
《ゲキコウ・ライコウ・ホウコウ!》
《ゴクオー・イヌガミ!》
すると円柱状のエネルギーが弾けて獄王の姿が黄色をメインカラーにした犬を模した姿「犬神バレット」に変身。白く染まった複眼がジャックザリッパー・ドーパントを睨みつける。
「血ヲ見セロ!赤ク染マレ!」
靄に包まれ瞬間移動を繰り返して惑わす様にして獄王に迫りくるジャックザリッパー・ドーパント。それに対して獄王は右足を後ろに下げて息を大きく、限界まで吸い切ると犬の如き遠吠えを上げると空気を震わせ、目に見える衝撃波となってジャックザリッパー・ドーパントに襲いかかった。
「ウォォォォォォォォォォ!!」
「!?」
すると自身を包んでいた靄が消滅し、無理やり実体を引き摺り出されたことに困惑するジャックザリッパー・ドーパントに、獄王は両腕を上に掲げてクロスさせると両腕のアーマーが光り輝いて犬の爪を模したかぎ爪が展開。次々と斬撃を叩き込んでジャックザリッパー・ドーパントを吹き飛ばす。
「イヌガミバレットの破邪の咆哮。お前らにも通用するようだな」
《ファイナルバレット!》
無様に転がるつぎはぎの怪人を一瞥し、ゴクオードライバー上部中央のボタンを二回連続で押す獄王。黄色いエネルギーが全身に広がると黄色い犬が召喚。雄叫びを上げると突撃し、五体に分身してジャックザリッパー・ドーパントに噛み付いて行く。
《獄王犬神粉砕拳!》
そして獄王も走り出し、全身に行き渡ったエネルギーが両腕に集約して光り輝いた爪を突き刺した。そこから破壊のためのエネルギーが流れ込み、崩壊していったジャックザリッパー・ドーパントは爆散した。
「まずは一人……っ!?」
「ハシィ!」
すると突如襲いかかってきた上昇気流に打ち上げられる獄王。その正体は空を舞うホーク・ドーパントの起こした突風だった。このままでは高所から落とされて落下死してしまう。ならばと新たなアヤカシバレットを取り出し先程と同じ動作で取り換える獄王。
《ヤタガラス!》
《テンクウ・カックウ・シンカク!》
《ゴクオー・ヤタガラス!》
そして姿を変えたのは黒をメインカラーとし背中から黒い翼を生やした、黄色い複眼が輝くカラスの如き姿「八咫烏バレット」。右腰のホルスターからヘルガンを抜いて放たれた弾丸は、瞬時に黒い羽根へと変化、鋭い音と共にホーク・ドーパントの身体を斬り裂いた。
「生意気ハシィ!」
「行くぞ!」
高速で飛翔し、ぶつかり合う両者。鍵爪による蹴りを繰り出したホーク・ドーパントの胴体を蹴って距離を取った獄王の放った黒い羽根の弾丸がホーク・ドーパントの翼を切り裂いてバランスを崩して撃墜、それを逃さず追いかけながらドライバー上部の真ん中のボタンを2回押す獄王。
《ファイナルバレット!》
ゴクオードライバーから黒と白のエネルギーが溢れ、両腕に集うと身体を回転させ、どんどん速くなっていく回転は小さな竜巻の様になり突撃する獄王。
《獄王八咫烏殲滅刃!》
「ハアアアアアアアッ!!」
「ハシィイイイイ!?」
エネルギーを纏った手刀を構えた獄王は連続で叩き付け、切り刻まれたホーク・ドーパントは天高く打ち上げられて爆散。獄王はアウトレットモールの中心に着地した。
「あとは二体…!?」
「刃全力展開ィ!」
咄嗟に構えたヘルソードで受け止めたのは、両腕、両肩、五指、頭頂部、両頬、側頭部、背中、胴体、両太腿、両爪先、両足の間にと全身に刃を展開したギロチン・ドーパント。跳躍してアウトレットモールの店舗の壁を足場にして高速で駆け巡り斬撃の嵐を叩き込んでくるギロチン・ドーパントに、獄王はヘルソードで耐えながら別のアヤカシバレットを取り出して起動する。
《ウラ!》
すると、赤い稲妻のようなエネルギーが全身を包み込んで右手に収束、顎の下に持っていき、自ら撃ち抜く獄王。解き放たれたエネルギーが、アンダースーツを銀色に染め上げ、その上に真紅の装甲が装備されて黒、白、黄色のラインが並んで刻まれる。
《キジン・センジン・カイジン!》
《ゴクオー・ウラ!》
羅刹・八咫烏・犬神の力を掛け合わせ、強化された形態「温羅バレット」へと姿を変えた獄王はヘルガンとヘルソードを原子分解して生み出された金棒型の武器、ヘルズロッドを携えると両手で持って力いっぱい下から打ち上げギロチン・ドーパントを吹き飛ばした。
「お前は特に強そうだったから全力だ…!」
「死ネェ…!?」
ギロチン・ドーパントの振るった刃をヘルズロッドで粉砕し、殴り飛ばすと黄色のラインが光り輝かせ高速で追い付いて首を掴み、勢いよく地面に叩きつける獄王。八咫烏バレットの能力でスピードを極限まで高めて高速で移動したのだ。
「こいつで終わりだ」
《カノンモード!》
《ファイナルバレット!》
ゴクオードライバーから温羅バレットを取り出すとヘルズロッドのスロットに装填、真紅のエネルギーがチャージされて柄を九十度展開する獄王。すると金棒部分が左右に開いて砲身が現れたカノンモードへと変形したヘルズロッドの砲身にエネルギーが集まって行く。
《獄王温羅爆発弾!》
「ギャアアアアアっ!?」
そして引き金を引くと解き放たれた赤と白のエネルギーで構成されたビームがギロチン・ドーパントを貫き、爆散させた。すると視界の端で逃げて行く流動体を捉える獄王。マッド・ドーパントだ。
《ラセツ!》
「さあ、裁きの時間だ。閻魔様に許しを請うなら今のうちだぞ」
《ジゴク・レンゴク・ヘンゴク!》
《ゴクオー・ラセツ!!》
再度羅刹バレットに変身した獄王はゴクオードライバーの真ん中にあるボタンを2回連続で押して溢れだしたエネルギーを両足に集束、上空に飛び上がって飛び蹴りの体勢で勢いよく急降下した。
「地獄に――堕ちろ!」
《ファイナルバレット!》
「ハアアアアアアッ!!」
《獄王・羅刹破壊脚!》
そして逃げようとしていたマッド・ドーパントを背後からぶち抜き、エネルギーが全身に伝達してマッド・ドーパントは爆散。獄王は着地すると周りを見渡して各地で煙が上がっているのを見るとヘルスピーダーに搭乗した。
「まだまだいるみたいだな。早苗、場所は分かるか?…わかった、すぐに向かう!」
スマホを取り出してどこかと連絡を取った獄王はアクセルを全開にして水都アウトレットモールを後にするのだった。
ゆかりたちと違い水都の外で活動していたついなとリリィだから知り得る外の仮面ライダーたち。
獄王はフォームチェンジがバランス良くて中間形態の温羅バレットも強くてかなりいいライダーですね。アーニャさん、お借りさせていただきありがとうございました。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。