ダブルがエターナルと決戦を始めた頃。リリィ金堂はミリアル…メタルトリガー・ドーパントの猛攻を耐え凌いでいたところであった。あかりにダブルドライバーNEOを託したためメモリの力を取り戻してなお変身できないのだ。
「ちい!」
「いい加減、諦めろ!」
ラッシュ。ラッシュ。ラッシュ。両手に持った鉄棒の二刀流による乱舞を生身のリリィに何度も何度も打ち付けるメタルトリガー・ドーパント。奪い取った鉄棒を弾かれ、ハイドープ故の頑強な肉体で耐えるが全身血に濡れて打ち身だらけのリリィだったが、その目は諦めていなかった。
「こっちだ、来い!」
水都タワー下にまで追い詰められると、一瞬上を見てから中に入り非常階段を駆け上るリリィ。辿り着いたのはエクスビッカーの置かれた中枢部。そこには逆転の一手を預けた少女が、キリエを介抱していた。
「あかり!いるか!?」
「リリィさん!?そうだ、これ…!?」
「渡すか!」
ダブルドライバーNEOを取り出して手渡そうとしたあかりの手に弾丸が撃ち込まれダブルドライバーNEOは宙を舞う。追い付いてきたメタルトリガー・ドーパントだ。銃に組み立てていた鉄棒を構えてそのままリリィに照準を向けるメタルトリガー・ドーパント。リリィはそれを見てエクスビッカーが間に来る様に移動し、メタルトリガー・ドーパントが躊躇したところで転がったダブルドライバーNEOを手に取り転がりながら腰に取りつけるリリィは懐から二本のメモリを取り出してボタンを押した。
《ゴールド!》《パイレーツ!》
「形勢逆転だ。変身」
《ゴールデンパイレーツ!》
「くっ…!」
そしてダブルドライバーNEOに装填して展開し、エルドラゴに変身。パイレーツカリバーを振り回してメタルトリガー・ドーパントの弾丸を斬り弾きながら近づいたエルドラゴは、鉄棒銃の銃身を握りしめて銃口を上に向けると、そのままパイレーツカリバーで叩き切った。
「無駄だ、いくらでも出せ……」
「慣れてない能力だからか知らんがタイムラグがあるんだよ」
《パイレーツ!マキシマムドライブ!》
鉄棒を再度生成して反撃しようと試みるメタルトリガー・ドーパントだったが手に取る前に連続で斬撃を叩き込まれ、鉄棒を取りこぼして立ち尽くしたところにダブルドライバーNEOから引き抜いたパイレーツメモリをパイレーツカリバーの柄のスロットに装填、グルングルンと振り回し溢れだした黄金の光を刀身に集束させるエルドラゴ。
「そんな、姉…さん……」
「ド派手に行こうか!ゴールデンストラッシュ!」
そして虚空に手を伸ばして隙だらけなメタルトリガー・ドーパントに、袈裟斬り一閃。爆散して元に戻ったミリアルはすとんと腰から崩れ落ちて、壁にもたれかかり手を伸ばす。
「姉さん、姉さん……ごめん、なさい……」
「…お前のアリアルへの愛は本物だった。その美しい感情が、通じているといいな」
「ああ、私は……姉さんに、認められたかった……」
変身を解いたリリィの言葉に合点が言った様に笑ったミリアルはそのまま崩れ落ち、消滅した。……メモリの残骸と、無傷のチップを残して。
《アクセル!》
「どうやらゆかりたちがやったみたいやな。お前らの目論見も外の仮面ライダーが対処しているようだし残念やったなアベルーニ。変……身!」
一方、アクセルに変身してヒートルナ・ドーパントと対峙するついな。ヒートルナ・ドーパントことアベルーニは反論することも忘れ、心配する様にちらちらと水都タワーを見上げていた。
「アリアル、アリアルの身に何かが起きたのか…!?邪魔だ、どけアクセル!」
「どけと言われてどく奴がいるか阿呆!」
炎を纏った触手を振り回しながら知性の欠片も無く突進するヒートルナ・ドーパントの攻撃を、エンジンブレードで捌き切るアクセル。すると火の輪を形作る様に両腕を回転させ、軌道上の全てを焼き切って行くヒートルナ・ドーパントの猛攻を避ける。
「アリアルのもとに行かせろ!俺は、お兄ちゃんなんだ!」
「なんや!?いきなり豹変してどうした!?」
「俺は、アリアルの為だけに生きてきた!幼い頃に事故で死んでしまった俺の妹!アリアルを蘇らせるためだけに研究して、財団Xの勧誘にも乗った!妹が欲しいというからアリアルのクローンでミリアルを作った!資金のために財団Xを介した紲星財閥の依頼で紲星あかりを作った!アリアルが望んだから、結月ゆかりのクローンを含むCOEFONTという戦闘集団を作った!アリアルの願いは全て叶える!アリアルが死んだら全部台無しだ!不死身なNEVERでも限度がある!万が一にもそんなことがあってたまるか!」
「ふざけんなド阿呆」
早口でまくしたてたヒートルナ・ドーパントの伸ばした炎を纏った触手を、一瞬で叩き切るアクセル。仮面の下は怒りで燃えていた。
「なんだと!?俺は天才だ、阿呆ではない!」
「お前は阿呆や。妹のためになんでもする、その心意気は認めてやるわ。でもそのために、何人犠牲にした?何人の尊厳を奪ってきた?何度命を軽々しく作って浪費してきた?許されると思うなよ?」
《アクセル!マキシマムドライブ!》
ドライバーの左グリップ下にあるマキシマムクラッチレバーを引くアクセルの身体が赤熱していきヒートルナ・ドーパントの触手を弾いて行く。そして臨界点までパワーを上昇させると右グリップのパワースロットルを捻って跳躍。全身に高熱の炎を纏って突撃し、キックの軌跡にタイヤの跡が残る後ろ跳び回し蹴りを叩き込んだ。
「アクセルグランツァー!」
「アリアル…アリアルァアアアアアアアアッ!?」
そして爆散。アベルーニは崩れ落ち、その傍にメモリの破片が転がる。アベルーニはTFメモリを使った影響か、過剰エネルギーが回った全身が麻痺して動けないようで、そのまま倒れ伏す。
「あ、アリアル…お兄ちゃんが、今行く…ぞ……」
「絶望がお前のゴールや」
「…兄と妹もやられたらしい。…ウララもブロッサも仲間だった。満たされはしなかったが救われていたよ。彼女たちの魂は永遠に一緒だ。だから私は、負けるわけにはいかないんだ!」
恐らくついなさんとリリィがやってくれた、ミリアルとアベルーニのことだろう。サイクロンファング・ドーパントの偽物を作って攻撃させると、それを突き破るようにしてファングストライザーを叩き込んでくるエターナル。
「燃えろ!」
拳を床に突き刺して遺伝子操作を行ったのか右手を樹木に変化させて私達を拘束すると再生するのを利用してナイフで斬り放し、火炎を放って炎上させたかと思えばその上から凍らせ、紫の炎を灯した拳を叩き込んで氷塊ごと砕いて私達を殴り飛ばす。あまりの猛攻に、エクストリームでも対抗できない。
「連続マキシマム、NEVERだからこそ耐えられるが普通の人間がやれば自殺行為だ!」
そのまま吹き飛ばされた体勢のまま空中で施錠されて固定され、手にした伸縮させたメタルシャフトでの連撃、続けざまに手にした剣での水を纏った斬撃、糸で拘束されて振り回され、その軌道上に出現した城壁の様なエネルギーに叩きつけられる。
「「ぐ、ぬ…」」
「ははは、私はバケモノだ!」
そのまま右肘からロケットの如く炎を出して加速して拳で打ち出した髑髏状のエネルギーに噛み付かれ、手にしたトリガーマグナムでの螺旋を描く貫くような銃撃で撃ち抜かれたかと思えば脚を掴まれて振り回され、投げ飛ばされたところに赤い雷が直撃。勝手に体が動き出してエターナルに自ら向かったところに、ダブルエクストリームの様な両足蹴りを受けて吹き飛ばされる。
《エターナル!マキシマムドライブ!》
「ブラッディヘルブレイド。これで終わりだあ!」
そしてエターナルメモリをナイフに装填してボタンを押しながら跳躍して水都タワーの天辺に飛び乗ると、風車に蓄積されたエネルギーを吸い上げて巨大な緑色のエネルギーの刃を形作ると風車を一撃で斬り裂いて、落ちてきた風車に巻き込まれて私達は屋上から落下してしまった。
「「うわあぁああああああっ!?」
プリズムビッカーを手放し、なすすべもなく落ちて行く私達。もう、ダメだと思ったその時。
仮面ライダー!
仮面ライダー!
仮面ライダー!
仮面ライダー!
声援が聞こえた。それは、水都の人々の祈りだった。そして、声援が形になった様に一陣の風が吹く。その風は私達に集まり、プリズムサーバーが黄金に輝いた。
「ゆかりさん、これは…!」
「風です…水都の風が、私達に、力を!」
次の瞬間、私達は翼を得て飛んでいた。黄金に輝いたプリズムサーバーの背中から風車の様な六枚の翼を生やして、空を舞っていたのだ。名付けならサイクロンジョーカーゴールドエクストリームか、リリィが好きそうだ。水都タワーの風車が地面に激突する中で、私達は上空に向けて舞い上がる。目指すは頂上のエターナルだ。
「どこまでも私に抗うか、水都!地獄の楽園に送ってやる…ネバーエンディングヘルゥ!」
するとエターナルはナイフに溜めたエネルギーを球状に纏めて発射。緑色のエネルギーの巨大な弾が渦を巻いて襲いかかってくるも、私達は空中で回転して風を纏いバリア状にして激突。回転の勢いで吹き飛ばす様にして、そのままエターナルに飛び蹴りを叩き込んだ。
「がああああっ!?これが…そうかあ!これがあ!」
「そうです。それが死ですよ。アリアル・ボルコフ」
「もっと違う形で会いたかったですよ…」
「ははは、こうならないと会ってもいないだろうさ!久しぶりだなあ、死ぬのは!」
「「さあ、お前の罪を数えろ…!」」
そしてエターナルは仮面が割れてアリアルの顔を露出させて笑いながら爆散。同時に装填されていたT2メモリも次々とブレイクされていき、最後にエターナルメモリが粉々に砕け散って、この事件は幕を閉じたのだった。
ミリアルは姉の孤独を知りながら自分がその支えになればと殉じた妹。
アベルーニは妹の死から狂ってしまった天才の兄。
アリアルは孤独を抱えながらも、仲間を仲間と思いながらも自分の異質さから認めることができなかった姉で妹、となっております。
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