ボイロ探偵W   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。今回から物語の核心に近づく新章「怪盗I参上」です。豪華客船を舞台に船上ミステリーが始まります。

今回はミリアルが加わった探偵事務所の日常。楽しんでいただけると幸いです。


最終局面W
第八十三話:怪盗I参上/豪華客船インペリアルスター


 COEFONTの事件から数日。最終決戦にてエターナルに破壊された水都タワーが修理されているのを眺めながら自分で淹れたコーヒーを啜る。…うん、やっぱり喫茶「弦巻」から仕入れたコーヒーは美味いな。下手くそな私でも美味くなるのはいいものだ。マキさんのお父さんには感謝しなくては。マキさんも早く釈放されるといいのですけど。知り合いの腕のいい弁護士を紹介したし、器物損壊罪(と仮面ライダーの負傷)ぐらいしか罪が無いから大丈夫だとは思うが。

 

 

「ゆかりさん、これ美味しいですね」

 

「初めて…初めて、他人に私の淹れたコーヒーを美味しいと言ってもらえた…!」

 

 

 私の淹れたコーヒーを飲んだミリアルに笑顔で言われて、思わずぐっと拳を握り震わせる。嬉しい。いつもいつも不味い不味い言われて……やっと私のコーヒーの味が分かる人が…!すると携帯ゲームをしていたきりたんが横目で見てきて口を開く。

 

 

「単純にミリアルが味音痴なだけだと思いますよ。CLEARは食事で回復しますが味には無頓着だったみたいですし」

 

「きりたん!?」

 

「アベルーニの淹れたコーヒーより美味しいですよ?」

 

「へえ。ちなみにアベルーニは料理の類は?」

 

「クソ不味かったです。もっぱらジャンクフードで補ってました」

 

「ぐふっ」

 

 

 リリィの質問に感情を失った真顔で応えたミリアルに、精神的ダメージを受けて机に突っ伏す。

 

 

「そ、それでも私の淹れたコーヒーが美味しい可能性…」

 

「ゆかりさん、いつもよりは美味しいですけどついなさんのが美味しいです」

 

「ついなさんは反則ですって!」

 

 

 ついなさんどんな豆でも美味しく淹れるの卑怯だと思う。完全敗北した私は突っ伏したまま気分を変えようとリモコンを手に取りテレビをつけると、水都テレビのチャンネルで仮面ライダー特集をやっていた。

 

 

「しっかし閑古鳥が鳴いてますねー。水都の話題は仮面ライダー一色なのに、そのせいかドーパント事件が減少したせいですかね」

 

「まったくだな。公表とか駄目なのか?仮面ライダーが経営している探偵事務所とか絶対話題になるぞ」

 

「人知れず街と人を守るのが仮面ライダーですよ、新参ライダーなら知っておいてください」

 

 

 リリィの言葉にきりたんのゲームしながらの辛辣な言葉。どうでもいいけどゲームに集中しながらこっちの会話も聞いているんだろうか。

 

 

「私もう変身できませんし…」

 

「? ロストドライバーなりを作ってもらえばいいじゃないですか。ライダーシステムの開発者も仲間なんでしょう?」

 

「…月読アイのことですか?」

 

 

 人差し指同士をつんつんしながら言うあかりにこてんと首を傾げたミリアルの言葉に思わず訪ね返す。COEFONTでは私達と月読アイは仲間と言う認識だったのか。

 

 

「月読?東北、じゃなくてですか?」

 

「…どこまで知ってるんだ?」

 

「えっと……東北藍という東北家の裏切者がライダーシステムを作ってミュージアムに対抗している、ということぐらいですかね」

 

「月読アイが仲間なのは微妙なところですね。時に助けられ、時に敵対し……どういう関係なんですかね?」

 

「協力者でよいのでは?」

 

 

 あかりはそう言うが、きりたんもリリィもノーコメントだ。それもそうだろう。エターナルの件では世話になりましたし、主についなさんメインで要所要所で助けられてもいるのだが……杏璃万結の一件の黒幕が月読アイだということが尾を引いている。全ては私にダブルをやめさせて代わりについなさんかリリィできりたんをダブルに変身させるためだ。邪魔な私を排除しようとしている。そして……

 

 

「エターナルに敗北した際、私達は月読アイに助けられました。その時見た光景から…恐らく、月読アイは東北外道を憎んでいる。…だけど、実の娘であろう東北至子の肉体に手を出すことはできなかった…」

 

「…ずん姉さまに見られたことで狼狽もしていましたね」

 

「…あれ以降音沙汰ないですし、心配ですね」

 

 

 恐らく東北外道への復讐のためにきりたんすら利用しようとしているけど……それでも悪い人じゃないと思う。なんで東北外道を憎んでいるのか、子供の身体なのか、何も知らないけれど……。

 

 

「そういやエターナルのロストドライバーってどこで手に入れたんだ?」

 

「財団Xがミュージアムから入手した試作型の設計図でアベルーニが作りました」

 

「アベルーニ優秀すぎません?」

 

 

 そんな会話をしているとピンポーンとインターホンが鳴る。お客さんかな?あかりが立ち上がって扉を開けると、紫髪をポニーテールにしているメイドがいた。な、何ごと?

 

 

「ごきげんよう、紲星探偵事務所の皆さま。私はラグナ・ポンド。初峯家当主、初峯九王様からの命により招待状を渡しに参りました」

 

「九王、ってあの?」

 

 

 サイクロンジョーカーエクストリームに初変身を果たした事件、フレンジーの事件で訪れた屋敷の主の名前だ。私達が仮面ライダーだと言うことを知っている数少ない…ということはないが、まあ数少ない人間の一人だ。祖母がミュージアムの関係者だったり、メイドがドーパントだったりと数多の不幸を乗り越えて、婚約者を決めて再スタートしたはずだが……ラグナ・ポンドを名乗ったメイドが取り出した捺印された封筒をあかりが受け取り、封を切って中身に目を通してから私に手渡してきた。

 

 

「どれどれ…【前略。以前、事件を解決してもらった様に、今回のCOEFONTの事件でも君達が助けてくれたのだろう?初峯家は恩義を決して忘れない。そこで君達を、初峯家が主導して建造した豪華客船「インペリアルスター号」の処女航海で行われる船上パーティーに招待したい。二泊三日で水都に戻るツアーだ。ぜひ堪能してくれ。初峯九王】…船上パーティーですか。」

 

「…ほう、豪華客船」

 

「パーティー…ごちそう…じゅるり」

 

「ミリアルさん、気持ちは分かりますがよだれ垂れてます」

 

「旅行ですか?ゆかりさん」

 

「そのようですね。でもこれは丁寧に断りま……」

 

「待った待った待った!」

 

 

 断ろうとしたら止めてきたのはリリィ。その目は「興味あります!」と書いているように見えた。

 

 

「初峯家といやあ水都でも指折りの富豪だ。お前たちが関係しているのは知らなかったが、そんなところの主がわざわざ招待してくれてるんだ。無下にするのも駄目だろ」

 

「いや貴方が興味あるだけでしょう?」

 

「あ、あの、私も乗ってみたいです…!」

 

「私も豪華客船は久しぶりだし乗りたいです!」

 

「いや貴方達の意見は尊重したいですが水都を守らないと…」

 

「ついなさんに街のことは任せてたまにはゆっくり休んでいいと思いますよ。何より興味深い!」

 

「きりたんまで…」

 

 

 リリィ、ミリアル、あかり、きりたんと私以外の事務所のメンバーは賛成らしい。私一人だけ突っぱねても無駄ですね。

 

 

「はあ…わかりましたよ。ご厚意に甘えるとしましょう」

 

「わーい、やったー!」

 

「やりましたね、あかり!」

 

「よし、そうと決まればキクと西友にも伝えるか」

 

「ゆかりさんも気になってはいたんでしょう?」

 

「…そりゃあまあ」

 

 

 そんなこんなで旅行することになった私達紲星探偵事務所の面々。まさか、同時刻に初峯九王のもとにある手紙が送られていたとはつゆとも考えなかったのだ。

 

 

 

 

【予告する!今宵、インペリアルスター号で行われるオークションの目玉「真実の愛」をいただきに参上仕る。怪盗I】




普通に馴染んでいるミリアル。地味にマキとかの話題も出してみました。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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