ボイロ探偵W   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。過去最高に登場人物の数が多くて四苦八苦してます。楽しんでいただけると幸いです。


第八十四話:怪盗I参上/予告状、白き影

 豪華客船インペリアルスター号。巨大なクルーズ客船。あの事件が起きる前から初峯家の初峯弥美(はつみね やみ)が主体となって建造していた豪華客船で、水都を盛り上げる意図で計画していたものを九王さんが引き継いで完成させたらしい。…ミュージアムの関係者だった故・初峯弥美が計画していたものというのが不安点だが、まあ豪華客船に偽装したメモリ工場と言うことはないだろう。

 

 

「というわけでやってきました。豪華客船!」

 

「私達みたいな貧乏探偵じゃ絶対お目にかかれない船ですねえ」

 

「豪華客船には何度か乗ったことがありますがここまでのは初めてです!」

 

「ははは!やっぱり豪勢なのはいいな!金ぴかじゃないのが残念だが!」

 

「今すぐ金に塗ります……!」

 

「やめい。洒落にならない」

 

「エル・ドラードってこんなのばっかなんですか…?」

 

 

 上から私、きりたん、あかり、リリィ、西友、キクさん、ミリアルと紲星探偵事務所とその部下(?)のフルメンバーだ。ついなさんたち警察組やJKコンビ、鳴花ーズといった水都イレギュラーズの面々はさすがに誘えなかった。警察組はそもそもCOEFONTの後処理に追われ、私達が仮面ライダー故のお誘いなためそれを知らないJKコンビやネルさんは誘えず、鳴花ーズの二人はお店があるからと断られた。ちなみにエル・ドラードの二人はリリィの一声であっさり来た。COEFONTの事件のことで落ち込んでいたため渡りに船だったらしい。

 

 

「とりあえず九王さんの元に行ってきます。招待してもらったのだから挨拶をしないと」

 

「じゃあ私達は先に船上パーティーに向かいますね」

 

「ごちそう!」

 

「きりたんの守りは私に任せておけ。ミュージアムの幹部勢揃いでも蹴散らしてやる」

 

「私も力及ばずながら…!」

 

「ミリアルはともかくリリィ、ホワイトアウト一人に負けてませんでしたか?」

 

「リリィ様をなめるな……!」

 

「リリィさんを侮られているのは癪に障るのはわかるけど落ち着け西友」

 

 

 リリィの言葉に反応したら部下二人にキレられた。なんかキクさん素直になった気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 きりたんたちと別れて、見晴らしのいいデッキに向かう途中。見覚えのある顔があったので駆け寄る。

 

 

「あ、ラグナさん。こんにちは。九王さんがどこにいるか知りません?お礼を言いたくて……」

 

「? ……ああ、探偵の結月ゆかり様。九王様ならこの上の操舵室で船長と話していらっしゃいますよ」

 

 

 私の顔を覚えてなかったのか疑問符を浮かべて首をかしげていたメイドのラグナ・ポンドさんだったが無事思い出してくれたらしい。よかった。するとラグナさんの隣に立っている警備員の恰好をした金髪の青年が気になった。

 

 

「あの、ラグナさん。そちらの方は…?」

 

「ああ、こちらは警備主任の…」

 

加賀煉(かが れん)です。九王様の言っていた探偵ですね。お待ちしていました」

 

「私を待っていた?」

 

 

 佇まいを正して敬礼する煉さんに首をかしげる。なんのことだ。今回は依頼ではなく招待のはずなのだが。…何か事件でも起きたのだろうか。

 

 

「どうぞこちらに。…九王様、結月ゆかり様をお連れしました」

 

 

 階段を昇るとそこは操舵室になっていて。煉さんが扉を開けて中に入って行くので続くと、そこには九王さんと、深紅の赤毛で船長帽と白と青のコートを着ていて右目に眼帯を付けている男装の麗人がいた。

 

 

「やあ、結月ゆかり!よく来てくれた!招待しておいて悪いが君の力を借りたかったんだ!」

 

「九王さん。このたびはお誘いどうも……そちらは?」

 

「私は船長の赤城苅南(あかぎ かるな)だ。九王様、この方は?」

 

「おばばが亡くなったあの事件を解決してくれた探偵だ。名探偵だ、今回のこともきっと力になってくれる」

 

「なにかあったんですか?」

 

 

 船のオーナー、船長、警備主任が一堂に介して探偵を待っていたというのもおかしな話だと思いそう尋ねると、神妙な顔で懐から封が切られた封筒を取り出し差し出してくる九王さん。受け取って中身を見てみると、こう書いてあった。

 

 

【予告する!今宵、インペリアルスター号で行われるオークションの目玉「真実の愛」をいただきに参上仕る。怪盗I】

 

「……怪盗Ⅰからの予告状?」

 

 

 見たことも聞いたこともない怪盗からの予告状。いたずらかなにかの可能性はあるが、本当なら大変だ。

 

 

「ああ、そうだ。君達に招待状をラグナに言って渡したその日に送られてきた。聞いたことのない怪盗だが、「真実の愛」はおばばが生きていた頃に計画していたオークションの品だ。盗まれるわけにはいかない。警備主任と船長に話して警備を強化してもらっていたところだ。だがどこに潜んでいるかわからない。怪盗Ⅰを見つけ出すために結月探偵、君の力をお借りしたい」

 

「そういうことでしたか……一応念のために仕事道具も持って来たので調査できますが…」

 

 

 念のためスタッグフォン、スパイダーショック、バットショット、フロッグポッド、デンデンセンサー、リリィのビートルフォン、あと旅行の記録用に杏璃万結から手に入れたクロックロウを持って来てある。最後だけ置時計型だからただの荷物だったのだが、役立つ時が来るとは。エターナルのマキシマムドライブで活躍どころを奪われていたのだ、ちょうどいい機会だろう。

 

 

「あとで紲星探偵事務所の所長に話して正式な依頼として依頼させていただく。どうだろうか?」

 

「…本来なら休暇中に依頼は受けないのですが、知らない仲じゃありませんし…引き受けましょう」

 

 

 実質私がリーダーみたいなところがあるので、了承する。みんなには悪いが休暇に仕事を割り込ませてもらおう。

 

 

「そうか、そうか!ありがたい!赤城船長、加賀警備主任。君達も彼女に協力してくれ。頼んだぞ」

 

「「了解」」

 

「よしよし。私はパーティーに戻るとしよう。主催がいないのもおかしな話だからね」

 

 

 船長と警備主任が了承し、それに満足げにした九王さんは操舵室を去って行った。

 

 

「早速質問なんですが…船長。船員に怪しい人間はいますか?」

 

「私は雇われ船長だ。船の人間について完全に詳しいとは言えないが……露骨に怪しい者はいないな」

 

 

 ふむ。確証は持てないがひとまず放置。こんな大きな船の船員を全部覚えろと言うのも無茶な話か。

 

 

「では警備主任。怪しい人間は乗船しましたか?」

 

「船員以外は招待状を持っているお客様しかお通ししていないので、怪しい人間はいないと思います。…目につく二人組は見かけましたが」

 

「というと?」

 

「いえ…揃いの白づくめの服を着ていたので目に入ったというだけですので。東北至子様と仲良く談笑していました」

 

「東北至子!?それに白づくめ……」

 

 

 そうか、東北家も水都の名家で九王さんは彼女がミュージアムの首魁とは知らないからいてもおかしくないのか。…リリィの言ってたことが本当になりそうだ。それよりも東北至子と話していた白づくめの二人組と言うのが気になる。そんな特徴、最近も聞いたような…えっと、たしかCOEFONTの事件で………あ。

 

 

「まさか……警備主任、東北至子は何処に!?」

 

「動いてなければ恐らく二番デッキかと……」

 

「ありがとうございます!」

 

 

 慌てて操舵室を飛び出す。思い出した、白づくめの衣装はリリィから聞いた財団Xの構成員の特徴だ。アリアルやアベルーニが白い衣装を着ていたのもそれだとかミリアルから聞いた気がする!つまり、東北至子と話していたのは取引かなにか!道中の壁に付けられた地図で位置を確認しながら二番デッキに飛び出すと、楽しげに海を眺めていた白づくめの服で赤みがかった金髪をツインテールに結んだ、キャリーケースを携えた少女を見つける。こんな少女が財団X…!?

 

 

「見つけましたよ…財団X!」

 

「あら?見つかっちゃったわ。こんにちは、水都の探偵さん」

 

 

 振り返る少女。鋭く尖った八重歯が覗く綺麗な笑顔で、少女は手にした茨の蔦でⅠと書かれているシルバーメモリをひらひらと掲げる。隠す気もないってことですか…!

 

 

「この間はうちの裏切者を排除してもらって、お礼を言うわ。私は財団Xの幹部、グラン・S・ベル。以後、お見知りおきを?」

 

《アイビー!》

 

 

 そして鳴らしたメモリを首筋に浮かび上がった生体スロットに突き刺すと、メモリを突き刺した場所から茨の蔦が伸びてグルグルと巻き付いて行き、茨の蔦に巻き付かれたミイラの様な緑色の女性型ドーパントに変貌する。私は他に人がいないことを確認、ダブルドライバーを取り出して腰に装着、ジョーカーメモリを鳴らす。

 

 

《ジョーカー!》

 

「きりたん!財団Xです!」

 

【ぶふっ!?スイーツバイキングをいただいてたところだったんですが…ええい、ままよ!あかりさん、身体をお願いします!《サイクロン!》】

 

「それはすみませんでした!【変身!】」

 

《サイクロン!ジョーカー!》

 

 

 そしてダブル サイクロンジョーカーに変身。右手を拳銃の形で掲げて楽しげに眺めていたアイビー・ドーパントに告げる。

 

 

「『さあ、お前の罪を数えろ!』」

 

「数えたくても生憎と忘れちゃったわ!」

 

 

 そして、アイビー・ドーパントの右手から伸びた茨の蔦と私の左拳がぶつかった。




グラン・S・ベルは名前こそ違いますが、いつもお世話になっている秋塚翔さんからお借りしたキャラとなってます。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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