ボイロ探偵W   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。トリックはすぐ決まるけどそこに至るまでの推理を考えるのが一番難解よねって。楽しんでいただけると幸いです。


第九十二話:怪盗I参上/現場百回は基本

 戦いを終えて戻るなり、加賀さんに事のあらましを私たちが仮面ライダーだということ以外を説明して厳戒態勢をしいてもらった。やはり初峰九王の信頼している探偵という肩書きがでかい、信用してもらえる。そして集まったあかり、ミリアル、リリィ、キクさんとも共有した。

 

 

「オレが西友探している間に一戦交えていたのか。呼べよ」

 

「そんな暇もなかったんですよ……でも今回のドーパントはおそらく三体います。財団Xがグラン・S・ベルと名乗っていたアイビー・ドーパントともう一体、ドロドロとしたドーパント。そしておそらくドロドロしたドーパントが交戦していた……怪盗Iと思われるドーパント。こちらは姿を確認できませんでしたが……恐らくこれはその人物の落としたものです」

 

「これは……」

 

「写真ですか?」

 

 

 あそこで拾ったドロドロの液体で汚れた写真を見せると、ミリアルとあかりが興味津々で覗き込んでくる。リリィとキクは一瞥しながらもキョロキョロしている。西友が居なくなった、だったか。なにかあったんでしょうか。まあリリィ大好きな彼がリリィから長時間離れるとは思えませんので心配はいらないでしょう。

 

 

「事務所ならまだしもここじゃこの汚れを取ることはできませんね……古びた写真ということしかわかりません」

 

 

 きりたんの指摘する通り、この写真はだいぶ色褪せているように見える。上半身が黒い液体で隠れてしまっているが、着物を着た女性と思われる三人と袴を履いているおそらく男性が一人、そして女性のうち二人に抱えられるようにして子供二人の足だけが見える、おそらく晴れ着の6人の人物の集合写真の様だ。……なんだろう、今何かが引っかかった。私はこの数を知っている…?

 

 

「これを怪盗Iが落としたんですか?」

 

「おそらく、ですが。このドロドロは財団Xの変身していたドロドロのドーパントが攻撃に用いていたものと同じものです。おそらく、手傷を負って逃げ出した際に落としたのだろうと思われます」

 

「ということは少なくともその時はドーパントの変身は解けていたってことだな。おそらく乗客に紛れているのも能力の物だから、本来の姿になっていた時間があったということだ。西友探すついでに見慣れない人物がいなかったかどうかオレたちで聞き込みしてくる。行くぞキク」

 

「あ、はい。了解です」

 

「…どうした?」

 

 

 探偵らしく推理してキクさんを引き連れて聞き込みに向かおうとしたリリィだったが、そのキクさんが明らかに心ここにあらずなのを見て問いかける。さっきからキョロキョロと視線を彷徨わせていたがなにか探し物だろうか。

 

 

「いや……さっきからIAの姿が見えないな、と」

 

「じゃあIAも探すぞ。オレたちみたいにあいつを攫って金儲けしようとするやつもいるかもしれないからな」

 

「素直に心配だと言えばいいのに。あいたー!?」

 

 

 あかりがからかってぽかんと殴られ、そのままリリィはキクさんを引き連れて去っていった。今のはあかりが悪いけど照れ隠しにしては乱暴な気がする。西友がいなくなって焦っているのだろうか。

 

 

「私一応所長なんですけどー!?」

 

「文句あるなら給料差っ引けばいいじゃないですか」

 

「COEFONT事件の借りがあるからそれは無理ですー!」

 

「変なところで義理堅いですね……」

 

 

 たんこぶ作って泣きながら喚くあかりに呆れる。すると、先ほどから黙って写真を見ていたミリアルが手を挙げた。

 

 

「私、COEFONTでこういう物の汚れを取り除くこともしてたのでやってみましょうか?」

 

「それはいいですけど……道具なしでできるんですか?」

 

「あー……身近にあるもので何とかなると思うので調達してきますよ。それ預かってもいいですか?」

 

「いいですよ」

 

 

 ミリアルに写真を手渡すと、一礼してとてとてと早歩きで去っていくミリアル。……変な走り方ですね。………可能性はある、か。左手首に着けているスパイダーショックをミリアルに向けて、発信器を発射する。これでよし。

 

 

「ゆかりさん?なにを?」

 

「いや、西友みたいに迷子になるのも困りますし念のためです。おそらく窃盗犯である怪盗Iはリリィたちとミリアルに任せて、私たちは殺人犯を追いましょう。あの攻撃手段から、おそらく伊藤廻を殺害したのは財団Xで間違いありません。先ずはメモリの正体が知りたい」

 

「でも検索しようにも手掛かりがありませんよ?」

 

「こういうときは現場百回です。伊藤廻の殺人現場に戻りましょう」

 

 

 そして加賀さんに言って、警備員二名同伴で現場に戻ってきた私たち。警備員二名に見張られながらも、保存されている死体の周りを手分けして探索する。

 

 

「死体の撃ち抜かれた跡は黒ずんでいて火傷の跡だということがわかるので、恐らく銃で撃たれたことは間違いありません。アームドみたいな銃器を装備するドーパントでしょうか…?」

 

 

 きりたんの見解はおそらく正しい。でも、銃弾なんてどこにもないのも事実なのだ。……銃弾がなかった、それとも消えた……?

 

 

「暗闇で撃ったのに正確に心臓を撃ち抜いてますね……」

 

 

 状況を思い出す。よく考えてみたらそれもおかしいのだ。あの暗闇で正確に狙い撃つなど不可能だ。それこそ目印でもない限りは……。

 

 

「あ、これが弾痕ですね。でもやっぱり弾丸はありませんね……」

 

 

 あかりが壁の弾痕を見つける。改めてみると、真っ黒な染みがついた直径9mの穴が壁にできていた。しかしやはり弾丸はどこにもない。これがカギだ。敵ドーパントの正体を探る、カギ……。

 

 

「しかしせっかくのジェラートも溶けた頃ですね……スイーツどころじゃなくなったのでしょうがありませんが」

 

「本当に残念です……」

 

「呑気か。私なんか一つも食べられなかったんですからね。………溶ける?」

 

 

 撃ち抜かれた、黒ずんだ銃創。真っ暗な空間での狙撃。弾痕の真っ黒な染み。真っ黒なドロドロに覆われたドーパント。黒、黒、黒……全部黒だ。真っ黒だ。それも痕跡ばっかり。

 

 

「痕跡であることに意味がある…?」

 

「ゆかりさん…?」

 

「きりたん、検索です!」

 

「わ、わかりました…!でも、いつもの本が……」

 

「本なら何でもいいんですかね?なら、この手帳をどうぞ!」

 

 

 手帳を取り出しきりたんに手渡すあかり。きりたんは不満げにしながらも手帳をぱらぱら開き、集中。髪がふんわりと浮き上がる。地球の本棚に入った。

 

 

「一つ目のキーワードは「黒」です」

 

「……さすがにそれだけじゃ絞り込めませんね。二つ目は?」

 

 

 だろうな。黒に関連する記憶などいくらでもあるだろう。

 

 

「次に、「液体」です」

 

「…タールとかが残りましたが……弾丸とは思えないんですが」

 

「そこで次です。最後のキーワードは「溶ける」です」

 

 

 するときりたんは手帳に何かを書き記していく。書かれていたのは、身近にありすぎてまさかそんなものが、と気づけなかった凶器。

 

 

「警備員さん、ここの明かりだけ消せますか?」

 

 

 そう尋ねると、頷いた警備員がどこかに連絡、程なくしてこの区域だけ明かりが消えて、浮かび上がる伊藤廻の胸の輝き。

 

 

「これは…!?」

 

「おそらく、これの正体は蛍光塗料。黒いから明かりがついていると見えなかった……恐らくこれを目印に狙撃したのでしょう。弾丸は溶けてなくなったんです。あの跡はその痕跡。私たちが戦ったドロドロのドーパントの正体は……」

 

「【INK】……そんなものが」

 

 

 インク・ドーパント。それが財団Xのメモリの正体だ。




というわけで財団Xのメモリの正体はインクでした。実はゆかりたちは話の都合上気付いてなかったけど、四角いヘルメットの頭はインク瓶、腕は万年筆と示唆してたんですよね。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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