「坂本ぉぉぉお前は屑だ!!外道だ!!俺が知っている転生者の中でも邪悪な存在だ!!!」
岸本は唾を飛ばすがごとく、腹のそこから声を響かせ、怒鳴りつける。
それも色んな色のバインドに蓑虫みたいにされて地面に横たわりながら
「お、おう。さすがにそこまで言われると俺も傷つくんだが・・・」
「まぁなんにしても主の催眠を解いてもらっていいか?」
シグナムはそういうとある方向・・・八神はやての方に指を向ける。
そこにはつまらないアメリカン・ジョークを自分で言っては落ち込みを繰り返す少女、もとい八神はやてが居た。
「HAHAHA~ってなんやねん。全然おもろくないやんけ!?」
割と大丈夫そうに見えるはやてだが、そばでシャマルとザフィーラはオロオロするばかりで役に立たない。
「全くはやての部下を名乗るんならば、たとえ意味不明な事でも、つまんなくても笑う努力ぐらいしろよな」
銀次はそういうとはやての正面に立ち、一指し指をはやてに突きつけくるくる回し、呪文を唱える。
それは三日に一回のペースで嫌な事が起きるとある金持ちのバイクチームのリーダーである岡ミドリ(30代でカツラ)に同じバイクチームである床屋の伊藤(仮)がかけた魔法の言葉。
「忘れろー忘れろー」
「てめーふざけるなぁぁぁぁぁぁ」
銀次の行動にとうとう堪忍袋の破裂した岸本が魔力を開放し、バインドを一瞬にして破り銀次に殴りかかろうとした瞬間
「忘れた!!!!」
百万ドルの夜景も霞みそうな程の笑顔ではやてはそう宣言し、歌いだす。
「たっぬきがでったぞ~♪。たっぬきがでったぞ~♪」
その場の空気が凍りつく、誰もが奇怪な目ではやてを見る。岸本も振り上げたこぶしをどこにぶつければいいのかわからない。
そんななかあっけらかんとはやては銀次にどこまでも普通に話しかける。
「なんや銀次君?はやく家まで車椅子押してーな。私の夕飯食ってくやろ?そういえばなのはちゃんたち何時からいるんや?」
「えっと・・・今さっきだけど?はやてちゃんさっき言ってもが?」
聞かれたなのは答えようとしたが、途中でフェイトの手により途中で口をふさがれる
「うん?さっき?何のことや?」
頭を捻って考えてみてもさっきまでの黒歴史ははやての頭からきれいさっぱり抜け落ちているので?マークが頭上に噴出す。
「ちょっとなのは!!はやてはどうもしてないわよ。ね、すずか?」
「う、うん。いつも通りのはやてちゃんだったんじゃないかな?・・・よくわかんないけど?」
「???ま~些細な事やしええか、じゃあ皆家に行くで~」
そして一同ははやてを先頭に動き出す。
「たっぬきがでったぞ~♪。たっぬきがでったぞ~♪」
はやての奇妙な歌とともに・・・
はやては家に着くと早速料理を作りにキッチンに消えた。
そのためリビングにはシグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラとなのは、フェイト、岸本がまるで対立でもするのかのようにテーブルを挟んで睨み合っている。
そこに銀次は我関せず、はやての部屋にあった漫画を勝手に拝借して待ったり寛いでいる。
その銀次の両サイドにはまるで借りてきた猫の様におとなしく座っているアリサとすずかが居る。
ただ、二人とも銀次の腕に抱きつく形ではあるが、それほどまでに目の前の音無き無言のにらみ合いは二人の精神を削るものであった。
「「((はやて(ちゃん)はやくもどって来なさいよ(来て)))」」
まぁ二人の少女の願いは案外早く叶ったわけではあるが・・・
「みんなーカレー出来たでー銀次君配膳手伝ってやー」
「おお、わーったよ」
銀次はそういうと立ち上がる。
すると銀次の腕に抱きついていた二人も当然立ち上がる分けで・・・
「わ、わたひも手伝うにょ」
「う、うん人数が多い方が速く終わるもんね。」
そして三人はリビングに向かう
三人は見た。
少し大きめなお皿に湯気が出ている熱々のおいしそうなカレーライス
「銀次君一人でイケルやろ?」
はやての指さした先には11皿のカレーライスがある。
「いや、俺中国雑技団でも何でもないんだけど?」
「まぁまぁええから腕伸ばしてなー」
はやてはそれだけ言うと銀次の頭に一皿、両肩に一皿づつ、両腕に三皿づつ。計9皿乗せる事に成功した。
「まぁ乗っけた私が言うのもなんやけど、落としたらただじゃ済まさんからね。」
はやての目がマジな事に気がついた銀次はただ、ただため息を一つ吐いたのだった。
とはいっても、脅威のバランス感覚を誇る銀次に取っては別段何一つ恐れる物がないので問題なくリビングに歩いていった。
なお残りの二皿はアリサとすずかが仲良く持ってきている。
リビングに戻った銀次の姿を見た一堂はそれぞれがすばらしい反応をしていた。
中でも岸本は頭に皿を乗せている事に酷く激怒しており、銀次に怒鳴り散らす。
「坂本お前が今やっていることは食に対する冒涜であり、作ってくれたはやてに失礼だろうが!!!」
「そのはやてが俺の頭に皿を乗っけた張本人なんだが?」
「うるさい!どうせお前が何かやったに決まっているんだ!!」
「あ~も~、それでいいよ。めんどくさい」
銀次はそう言いながらも器用に皿をテーブルに置き、最後に頭の皿を自分の前に置いた。
「ほら、シグナム達も聞いたろ?結局こいつは最低の屑野郎なんだ。だけど安心してくれ俺が必ずはやてを救うから」
ドヤ顔を披露し、シグナム達に振り返るも・・・
「お前は一体何を言っているんだ?」
話の流れが一向にわからないシグナムは単純に聞き返し
「もう、ほっといてカレーだっけ?シグナムも食べようぜ。ギガうめぇから、な?」
「そうですよ。私こんなにおいしい食べ物初めてですし」
「うむ、うまい」
シャマルとヴィータとザフィーラはカレーに夢中だった。
「坂本また催眠術をかけやがったな!!!」
「元凶ははやての作ったカレーで間違いないだろ?つーかメガネは何かに付けて俺を悪者扱いしようとするけどなんでなん?もしかして、この前鉄山靠したことまだ根に持ってんの?あれだって先に手を出したのはお前だから俺は悪くないぞ?それとも覚醒して強くなった後なのに、手刀一発で敗れたのがそんなに気に入らないのか?自分の弱さを人のせいにしないで貰いたいものだね。」
「違うお前が踏み台転生者で悪だからだ!!!」
「踏み台?はまー良いとして、俺が悪ってどういうことだ?」
「かなり前になのはのショートケーキ銀次君食べたの」
「なのはちゃん今良い所だから黙ってようね。諭吉上げるから静かにしているんだよ」
銀次は懐から財布取り出し諭吉一枚を取り出し、なのはに渡す。
なのははそれを受け取り自分のポケットに突っ込む。
あまりにも自然に行う買収行為にみんなのなのはを見る目が変わる。
それに気がついたなのはは「違うの~違うの~今月はちょっとピンチだったから、銀次君に融資してもらっただけなの。お金は死ぬまで借りてるだけだから問題ないし・・」
まごう事無き悪はなのはであった。
そんな空気を払拭するためか、アリサがこの前の体育授業を思い出した。
「そういえばあんた体育の授業で握力計壊したわね。」
「か、軽く握っただけで壊れるとは思わなかったんだ。今じゃ諭吉が飛んでいったのは良い思い出だ。」
そしてすずかのターンに変わり
「校舎の時計に弾丸ランナー決めたもんね。」
「あれは正直反省したし、だから俺の金で業者呼んで速攻で直してもらったんだから良いじゃん?・・・じゃん」
目がしどろもどろになっている銀次
「そういえば銀次君って前科持ちなんやろ?」
最後に超特大級の爆弾をぶん投げたはやて
「ほとんどしょ、書類送検だからセーフだし、保釈金にはちゃんと色付けてるし、問題ないだろ?」
「悪なの」
「悪だわ」
「悪だよ」
「でも、うちは悪でもかまわへんよ。この前助けてもらったし・・・」
「そうだよ!!!俺意識がほとんどなかったけど、大型トラックに鉄山靠かましてはやて助けたし、俺可愛いし=正義だし」
「まぁ~結論から言えば悪っちゃあ悪やろな~。でも害は無いし・・・ま、ええんちゃうん。身近にそういうやかましいのが居てもおもろいやろ?」
この日この場所に居たものは悟った。
八神はやての心の広さは鋼のシスコン番長と同等と言う事に・・・