内惑星艦隊の奮闘   作:島田愛里寿

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第八十三話 イスカンダル星沖海戦 中編

イスカンダル星沖に到達したヤマト、アマテラス、雪風改、アリゾナ、無人重駆逐艦五隻とディッツ率いるガミラス艦隊はイスカンダル星を制圧しようとしているデーダー率いる艦隊と交戦を開始することとなった。

 

 

 

「デ、デーダー司令!て、敵の新たな援軍が!」

 

地球艦隊とディッツ艦隊が交戦を開始しようとしていた頃。

 

不明艦隊…暗黒星団帝国軍デーダー艦隊旗艦プレアデスではレーダー員が司令官のデーダーに報告を上げていた。

 

「うろたえるな。援軍と言えどその数はたかが知れた数ではないか!?ふん、あの程度の数でこのデーダー率いるプレアデスに戦いを挑むなど片腹痛いわ!!」

 

「し、しかしイスカンダルに降下した艦載機部隊がすでにその援軍の攻撃で押されています!敵のうちイスカンダルに降下しているのは艦載機のみのようですが、大気圏内での戦闘はこちらに不利だと思われます!」

 

「うぬぬぬぬ!役立たずどもめが…進撃中の左舷大隊・右舷大隊に転進を命じろ!こうなれば戦力を一点に集結させてこの軌道上で一気にカタを付けてやる!」

 

「ち、地上にいる敵はどうされますか?」

 

「地上にいる敵とていずれは飛び立たねばなるまい。のこのこと上昇してきた所を迎え撃てばよいわ!」

 

そうしてデーダーの指示の元、地表に降下中だった右翼と左翼の艦隊は引き返してデーダー率いる中央集団と合流しようとしたがすでに大気圏内にいたのですぐには無理だった。

 

そこで、航空隊への追撃はプレアデスが搭載している艦載機隊が行った。

 

そうしてアマテラス、ヤマト、雪風・改、アリゾナに艦載機部隊が殺到してきた。

 

「敵機来襲!」

 

「対空戦闘はじめ!」

 

「了解!対空戦闘!格納式パルスレーザー及び対空ミサイル攻撃用意!」

 

そうして束とディアーチェの指示で副砲、対空パルスレーザー砲が仰角をかけ、ミサイル発射管の蓋が開放された。

 

『敵機射程圏内に侵入』

 

「対空戦闘始め!!」

 

そうしてアマテラス以下地球艦隊各艦は各個に対空戦闘を開始した。

 

特に猛烈なのはヤマトで、その次が僅差でアマテラスとアリゾナであったのだが、アリゾナでは大きな問題が発生していた。

 

「WHY!?なんで煙突型パルスレーザーが使えないの!?」

 

「構造上の欠陥です!敵機が煙突部の直上に来ないと当たりません!」

 

「shit!やっぱり役に立たないじゃないの!!これなら、ヤマトと同じ煙突型のVLSにした方が使えたじゃない!!」

 

まぁ、少し考えれば分かるはずなのだが煙突部という直上方向に固定されている部分に固定式でパルスレーザー砲塔を設置すればこうなると開発担当は考えなかったのか?

 

ミサイルにすれば、ホーミング機能で敵を追い掛けるのだから、固定式のパルスレーザーよりは使えるだろう。

 

「帰ったら、造艦所の技師に文句言ってやる!!」

 

アイロは地球に戻ったら今回の戦闘データを基に技師にクレームを入れると息巻く。

 

それはともかくヤマト、アマテラス、雪風・改、アリゾナによる対空砲火はすさまじく、対空ミサイルによる飽和攻撃に加えショックカノンによる砲撃で艦載機部隊は壊滅状態に追い込んだ。

 

なお、この戦闘後に束は懲りずに『対空ミサイルを改造して周辺一帯ごと焼き払う対空ミサイルを作ったら面白そう!』と思って地球に帰還後に出雲とクロエ・千冬とともに大量に余っていた巡航ミサイルを改造して大気圏内専用ではあるが対空巡航ミサイル『ヘリオス』を開発するに至り、デザリアムの地球侵攻の際に大いに活躍したのはまた別のお話。

 

(ちなみにこれもまた勝手にやったのでディアーチェにしこたま怒られたとか…)

 

その被害に敵編隊は一旦体制を整えるべく後退を開始したがそこへ別の砲火が襲った。

 

ディッツ率いるガミラス艦隊がようやく別働隊を殲滅して追いつき、主砲と対空ミサイルを撃ってきたのだ。

 

「我らの母なるガミラスの仇に情けは無用!一機たりとも生かして帰すな!」

 

ディッツ艦隊の怒りの砲火は、雨のごとく敵機に降り注いだ。

 

そうして双方ともに艦隊決戦へと移行しようとしている最中、アマテラスの医務室では、リニスや鏑木らの医療班が、治療に使う薬や包帯、怪我人を運ぶ担架を準備して、何時でも動けるようにしていた。

 

先程艦内放送で「対艦戦闘用意」が告げられた。

 

間もなく宇宙戦艦同士の殴り合いが再び始まろうとしているのだ。

 

そこへ、自室に居た筈のフェイトたちがやって来た。

 

やはり、モニターで見ているだけではどうにも手持ち無沙汰となり、何か自分たちにも出来ないかと思ってきたのだ。

 

「あ、あのリニス‥‥」

 

「あら?どうしたのですかフェイト。今は戦闘中なので、部屋に戻った方がいいですよ」

 

「でも、私たちだけ何もしないで部屋に居るなんて‥な、何か私たちでも出来る事は無いかな?」

 

「‥‥わかりました。本来ならばこんなことを救助者であるフェイトたちにやらせるわけにはいきませんが、戦闘中と言う事で負傷者も来ることでしょう‥‥簡単な手当てをお願いします」

 

「分かったよ。リニス」

 

リニスたち医療科の乗員らと待機している中、

 

「ヤマトを含めた地球防衛軍の艦船は、敵方より少ない数で戦ってきたの?」

 

フェイトはリニスにこれまでの防衛軍の戦いについて尋ねる。

 

「ええ」

 

リニスが肯定の返答をする。

 

「ヤマトはイスカンダルまでの航海の時は、一隻で29万6千光年の旅をしたし、冥王星海戦の時は、防衛軍が三倍以上の数のガミラス艦隊に戦いを挑んだわ。白色彗星の時も同じだったわね‥‥この時も、地球も軍も再建したてだったから、2199年当時よりも最も数が多かったわ。それでも敵である白色彗星の艦隊の方が数は地球艦隊よりも多かったわね。だからこそ、地球艦隊は、地の利を活かした戦法で数の問題を少しでも和らげた。それでも、あの都市帝国によって全滅寸前までに撃ち減らされ、死兵同然で戦って、ギリギリの勝利を掴んだのよ」

 

「そう‥なんだ‥‥」

 

敵より多数の戦力で臨むのが戦術の基本であり、少数で多勢に挑むのは下の下だ。管理局ではそう学んできた。

 

しかし、戦力が整わないうちに敵が来ては仕方ないだろう。

 

実際にJS事件の際、管理局の魔導師たちはスカリエッティの無数のガジェットに苦戦を強いられたし、フェイト自身もスカリエッティのアジトにてトーレとセッテ、スカリエッティ自身の三対一の状況下で苦しい戦いをした事がある。

 

ただ、目の前のリニスや鏑木たちは、うろたえることなく、特に緊張した様子もなく、平然とその時を待っている。

 

その話を聞いていたティアナは自分たちがいかに恵まれた環境下であったのかを思い知った。

 

自分たちが六課に配属され、ファーストアラートの時は、現場に向かう途中のヘリの中で緊張しっぱなしだった。

 

その前に行ったBランク試験の時も同じだった。

 

ホテル・アグスタの時は、周りのコンプレックスと緊張からミスショットをした。

 

つい最近では、執務官補佐官試験でも同様だ。

 

(映像に出てこない過去に、もっと辛く悲しい思いをしてきたのかも‥‥)

 

先日見せてもらった映像は時間の問題でダイジェストだった。

 

しかし、戦争と言う事は、実際にはもっと血生臭い地獄のような修羅場も存在したはずだ。

 

(正直、想像がつかないな‥‥)

 

しかし、ヤマトや地球防衛軍は、決して諦めることなく、絶望的な状況に立ち向かい、奇跡的な逆転勝ちをおさめてきたという。

 

(地球防衛軍の戦いぶりを見れば、奇跡を起こしてきた所以がわかるかも知れない)

 

そう思うティアナの背後にある医務室の壁に掛けてある薄型スクリーンに映った宇宙空間が光芒で満たされた。

 

 

アマテラス 艦橋

 

「敵艦隊なおも接近中!」

 

「船体前部、側面の全主砲発射用意!アマテラスの本領発揮だ!」

 

敵の艦隊の巡洋艦、護衛艦、駆逐艦が高速で距離を詰めてくる。

 

そこにヤマトの進から通信が入った。

 

「え?拡散波動砲を?」

 

『ええ。急接近する敵艦に対して、拡散波動砲を撃ち、撃ち漏らした敵を我々が仕留めます!!幸い、接近する敵はイスカンダルの射線上に居ませんので、拡散波動砲を撃っても問題はありません!!』

 

「了解!‥砲撃中止、波動砲発射準備!!」

 

ヤマトからの要請でアマテラスは砲撃から波動砲の発射準備に入る。

 

『エっ?うちの特型波動砲じゃダメなの?」

 

一方、アリゾナのアイロは何故、自分たちアリゾナではなく、アマテラスなのかとやや不満そうに尋ねる。

 

「アイロ艦長、あのね?おたくのアリゾナの特型波動砲はまだ試射もしてないんだよ?」

 

『アっ!?そうでした‥‥』

 

流石にまだ試射もしていないアリゾナの波動砲を使用するのはリスクがある。

 

少々グダグダしつつも拡散波動砲の発射準備が進められた。

 

「波動砲チャージャーに接続!!チャージを加速します!!」

 

古代の戦略プランにより、まず敵艦隊を十分に引き付け、そこをアマテラスが拡散波動砲を放ち、続いて撃ち漏らした敵は、ヤマト・アリゾナとディッツ艦隊の一斉射、次いで、ガミラス艦が得意とする中・近距離の砲雷撃戦に持ち込む作戦だ。

 

「距離、12000!‥‥10000!‥‥」

 

「拡散波動砲、発射準備完了!!」

 

敵の巡洋艦が撃ち始めるが、まだ至近弾はない。

 

「9500!」

 

距離は一万をきり、やがて至近弾が出始める。

 

戦艦はともかく、装甲が薄い駆逐艦にはボチボチきつくなる距離だ。

 

「距離、9000!」

 

「対ショック・対閃光防御!」

 

「艦首、拡散波動砲、発射!!」

 

そうしてアマテラスの艦首から拡散波動砲が発射された。

 

アマテラスも改造艦とはいえアンドロメダ級の端くれ、敵艦隊を殲滅するほどの勢いで発射されたが前衛艦隊とともに進撃してきた旗艦と思しき艦にも一撃を与えたにも関わらず沈めることができなかった。

 

「沈んでいない!?」

 

「ギリギリで射程外に居たのか!?」

 

「いや、確かに当たっていた筈だぞ!?」

 

「じゃあ、あの戦艦は波動砲の直撃を耐えたのか!?」

 

「そ、そんな馬鹿な!波動砲を耐えるなんて‥‥」

 

「いや、耐えた訳じゃない‥‥」

 

『『『えっ?』』』

 

艦橋メンバーが動揺する中、束は冷静に分析していた。

 

「偏向バリアーだ。それも恐ろしいレベルで強度の物だよ…まさか拡散型とはいえ波動砲の威力まで低減させてしまうとは‥‥」

 

彗星帝国の彗星本体はその大きさと質量から分かるが、今回の相手は大型とは言え戦艦クラスなのだ。

 

戦艦が波動砲の直撃を耐えるなんて、信じられない強力なバリアーであることが窺える。

 

 

暗黒星団帝国 第一艦隊 旗艦 プレアデス 艦橋

 

「な、何だ!?今の攻撃は!?」

 

味方の前衛部隊を一瞬の内に壊滅させた敵の兵器に驚愕するデーダー。

 

「て、敵はタキオン波動砲を搭載している様です!!」

 

「ぬぅぅぅぅ~プレアデスを敵とイスカンダルを結ぶ線上に移動させろ!!イスカンダルを背にしておれば、そうそう敵も撃ってはこれまい!!」

 

プレアデスは、味方を見捨てるような形で、一隻だけ安全圏へと退避した。

 

「主砲撃ぇっ!!」

 

続いて、ヤマト、アリゾナ、ディッツ艦隊の艦船からら放たれた光の束は、拡散波動砲から逃れた敵艦隊へと突き刺さる。

 

着弾地点では幾つもの爆発の閃光が煌めいた。

 

その煌めきは大勢の命が散っている事を証明する犠牲の煌めきでもあった。

 

拡散波動砲、ヤマト、アリゾナ、ディッツ艦隊からの一斉射撃で動揺したか、戦術を転換したかはわからないが、敵艦隊両翼に動きが見られる。

 

「包囲に転換したか‥‥だが遅い!全艦、敵艦隊に楔を打ち込め!!」

 

不敵に笑うディッツの号令一下、ガミラス艦隊が突撃を始めた。

 

「侵略者共と地球の若造共にガミラスの電撃戦の真髄を見せてやれ!」

 

ディッツ艦隊は敵艦隊左翼の包囲攻撃隊形が完成しないうちに襲いかかった。

 

たちまち敵艦が続けざまに火を噴き、爆発する。

 

 

アリゾナ 艦橋

 

「Fire! Fire !撃って撃って撃ちまくるのよ!アメリカの…いや防衛軍最新鋭戦艦のアリゾナの底力を発揮しなさい!」

 

『『『yes, mam!!』』』

 

護衛戦艦アリゾナの奮戦っぷりはすさまじい物であった。

 

先ほどの対空戦での失態を覆さんと向かってくる艦に主砲を連続して浴びせて叩きのめしていった。

 

 

その頃、アマテラスの医務室では、モニターに表示されている戦闘状況にフェイトたちは見入っていた。

 

「‥‥」

 

「凄い‥‥」

 

「「…」」

 

ガミラスの電撃戦を見て、四人とも言葉を失っていた。

 

敵艦船の数が多く、大型の戦艦まで登場してきたにも関わらず、ヤマト、アマテラス、雪風・改、アリゾナそして同行しているガミラス艦隊は浮足立つことなく数の劣勢を感じさせない奮闘っぷりを見せ、敵を迎撃して蹴散らしにかかっている。

 

「戦艦の装甲は巡洋艦や駆逐艦よりも厚いから火線を集中しての精密射撃‥‥」

 

「いかに早く確実に相手の弱点をつかみ、攻撃を集中させて無力化する‥‥これも数で劣って来た防衛軍の戦術の一つね」

 

「なるほど」

 

(相手のウィークポイントを素早く見抜いて、正確に多くの弾丸を撃ち込む、か‥‥)

 

射撃型魔導師のティアナは思うところが多々あるようだった。

 

「それにガミラスの電撃戦とも言える、高速の接近戦‥‥懐に潜り込まれたらあっという間に蹂躙されてしまいますね‥‥」

 

「それ以前に被弾するかもしれない中、恐れることなく敵に高速で突っ込んでいく勇敢さが無ければ、あそこまでの電撃戦は出来ないわ」

 

地球以外にも管理局の次元航行艦では行えない電撃接近戦を見せたガミラス艦隊。

 

とても管理局では真似できない戦い方だ。

 

そもそも、管理局の艦は単独行動が多いが、仮に艦隊行動をしていたとしても自分たちよりも数に勝る相手に戦いを挑もうなんてしないし、これまでは管理局以外に宇宙を航行する艦との遭遇がなかったことから単独行動がほぼ当たり前化していた。

 

艦隊行動をして、ロストロギアや管理世界になりうる世界を見つけた時、手柄を他の者に横取りされることを嫌う艦長や提督が居る事も管理局の艦が単独行動をする一因でもあるが‥‥

 

 

アマテラス 艦橋

 

「敵旗艦、撃ってきましたっ!」

 

「くそっ、アウトレンジされたか‥‥」

 

主砲の有効射程では、図体の分、あちらの方が有利のようだ。

 

橙色をしたビームの束はヤマト、アマテラス、アリゾナの脇を通り過ぎた。

 

そして、三射目でヤマト、アマテラスを捉えた。

 

「ヤマト、右舷に被弾!!本艦も左舷中央部に被弾しました!!」

 

ズガン!

 

ドーン!

 

いきなり凄まじい震動が艦を襲い、フェイトたちはイスに座ったまま前後左右に揉みくちゃにされた。

 

咄嗟に壁や手すりにつかまり転倒だけは避ける事が出来た。

 

(直撃を受けた!?)

 

モニターを見る限り、敵艦とはかなり距離が有った筈なのに、衝撃がさほど変わらないのは敵艦の攻撃エネルギーが強いからだろう。

 

フェイトとティアナは思わず顔を見合わせる。

 

「左舷中央部に被弾!!応急修理班、メディカルは現場に急行せよ!!」

 

鏑木たち、衛生士は救急箱や担架を持って現場に行き、リニスは手術着に着替えスタンバイする。

 

しかも焦っている様子は全くない。

 

(この位の被弾は慣れっ子だということ!?)

 

フェイトたちは唖然としたが、同時に僅かながら緊張を緩めた。

 

「主砲一番二番、撃っ!!」

 

「十一時方向から接近!!」

 

「っ!?両舷、ミサイルランチャー撃て!!」

 

敵の旗艦(プレアデス)はどうやら、ヤマトを狙い、他の戦艦部隊が総出で アマテラス、アリゾナ、雪風・改とディッツ艦隊を押さえ込むつもりだろう。

 

イスカンダル近海はまさに激戦地となっていった。




次回 イスカンダル星沖海戦 後編

再びリリカル世界のキャラを地球側につかせる予定なのですが誰がいいですか?戦闘機人らは確定しているのですが‥‥

  • Dr.スカリエッティ
  • エルトリア組
  • アインハルト&ヴィヴィオ友御一行様
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