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「なに?結婚式だと?」
「うん。守くんとスターシア陛下の結婚式。真田くんとさっき私通信で話したんだけど、多分二人は結婚式をやってないんじゃないかって話になって、守くんもスターシア陛下もイスカンダルが消滅しちゃってきっと意気消沈しているだろうから、何か明るい催し物をやって気分転換にならないかな?って思って‥新人の乗組員たちもイスカンダルでは戦闘が予想されていたとはいえ、頑張ってくれたからね」
「なるほどな」
束がディアーチェに守とスターシアの結婚式の開催を提案する。
そして、赤道祭以来の大休止も含まれている。
「それで、真田は承知したのか?」
「うん。多分、今頃進くんや森さんに提案している頃じゃないかな?」
「そうか‥‥それで式を挙げる本人たちには確認をとったのか?」
「ううん、まだ。先にあちこちに根回しをして包囲したところで本人たちの了承をとろうと思っている」
「確かにあの二人なら、ちゃんと根回しをしておかなければ断りそうだしな。よかろう、我も協力しよう」
「ありがとう、ディアーチェ」
こうしてディアーチェからの協力をとりつけた束。
束の予測通りヤマトでも真田が古代や雪をはじめとして賛同者を増やしており、着々と守とスターシアの包囲網は作られ、狭まれていった。
守とスターシアの結婚式包囲網が作られている中、アマテラスの女性士官予備室ではフェイトがティアナたちを前に自分とプレシアとの関係を話していた。
「フェイトさんにそんな過去が‥‥」
「それで、あのプレシアって女の人がフェイトさんの生みの親‥‥」
「うん‥でも、さっきのプレシア母さんの様子だと記憶が、アリシアが死ぬ前まで後退している感じだった。だから、project fateで私を生み出したことも、海鳴でのPT事件の事も多分覚えていないと思う」
フェイトがプレシアの現状を推測ながらもティアナたちに言うと、
「確かPT事件の犯人は虚数空間に落ちて生死不明になったってデータベースにはありましたけど?」
「うん」
「それで、フェイトさんはどうするつもりですか?」
「『どう』って?」
「プレシア・テスタロッサはPT事件の主犯です。例え記憶が無くても身柄を拘束して、私たちがミッドへ戻る際、プレシア・テスタロッサもミッドへ護送しますか?」
ティアナが執務補佐官として執務官のフェイトにプレシアについて尋ねた。
「そ、それは‥‥」
フェイト自身、管理局員としては当然ティアナの言う通りプレシアを護送するべきであった。
しかし、今の彼女はヒュードラの暴走事故後からの記憶が無い。
そんな記憶喪失のプレシアを今更管理局の裁判所へつれて裁判にかけても意味があるのだろうか?
それに彼女をミッドへ護送するには防衛軍・地球連邦政府にまずはプレシアの事を伝え、自分たちがミッドに還る際、プレシアを護送しなければならないが、プレシアの事を伝える際、彼女が記憶喪失状態である事も伝えなければならない‥‥と言うか、周りの人からプレシアが記憶喪失状態であることは地球連邦政府・防衛軍に指摘される事になるだろう。
記憶喪失の人を異世界へ護送して裁判にかける‥‥
それを地球連邦政府・防衛軍が見過ごすだろうか?
倫理的には難しいだろう。
だからといって管理局の執務官の権利を主張したところで管理外世界のもう一つの地球で言ったところで、鼻で笑われるのがオチだ。
「プレシア・テスタロッサは既に生死不明と言う決断が既に下されています。今更蒸し返す必要は無いと判断します」
と、プレシアの事を見逃す決断を下した。
「い、いんですか?」
「もし、管理局にプレシア・テスタロッサの事がバレたらフェイトさんの立場が‥‥」
「そもそも私たちは遭難者であり、防衛軍の手によって助け出された救助者だよ。その私たちがプレシア・テスタロッサの身柄について意見できる立場じゃないんだよ」
プレシアもアリシアもイスカンダルで防衛軍が救助した一救助者である為、決定権が地球連邦政府・防衛軍にあるので、自分たちがとやかく言える立場ではなかった。
フェイトが出来るのはプレシアとアリシアの二人が管理局にバレない事を祈るしかできなかった。
まぁ、その辺はきっとリニスが束に助言するだろうと思った。
フェイトとプレシアの関係が管理局組に伝えらえた頃、守・スターシアの結婚式包囲網が完成し、束が守とスターシアに伝えた。
「ん?ちょっと待ってくれ、今何て言った?月村」
「結婚式だよ。ケ・ッ・コ・ン・シ・キ」
「だから、誰の!?」
「『誰の』って、決まっているでしょう?君とスターシア陛下の結婚式に決まっているでしょう」
束はさも当然のように答える。
「馬鹿を言うな、俺たちはとうに夫婦だぞ。今さら式を開く意味があるのか?」
「意味は大ありだぞ、守。お前たちは、人前で結婚式を挙げてないだろう。それに、地球に帰ればあちこちに引っ張り回されて、スターシア陛下や娘のサーシアと思うようにいられなくなるし、帰還祝いのパーティーじゃあ、会いたくない連中とも会わなきゃならないんだぞ」
束の援護射撃にディアーチェが守に助言する。
「それに、スターシア陛下も地球に住むんだから、地球の文化に触れてもらういい機会じゃない?」
「‥‥」
「なお、この話はヤマトの真田くんと進くんたちにも伝わっているよ」
「い、いつの間に‥‥」
束の根回しの舌を巻く守。
結婚式を渋る守に予想外かつ決め手となる言動をとった者がいた。
それは‥‥
「守、皆さんのお気持ち、お受けしましょう‥‥」
「す、スターシア!?」
守の妻であり、結婚式におけるもう一方の当事者たるスターシア本人だった。
スターシア本人が結婚式に賛成した事で守も陥落し、結婚式を行うことに同意した。
(守‥‥完全にスターシア陛下の尻に敷かれているな‥‥)
そんな守の姿を見て、彼が完全にスターシアの尻に敷かれているのだと思ったディアーチェであった。
守とスターシアが結婚式に同意した事を束はヤマトとアリゾナに伝える。
「守くんとスターシア陛下がOKしてくれたよ」
「そうか、分かった」
「それで、そっちの準備はどう?」
束は真田に何かを依頼していた。
「問題ない、古代とスターシアの為に至高の一品を仕上げてみせるさ」
真田の方も問題なく依頼の品を仕上げてくれているみたいだ。
「そう言えば、救助したお客さんたちには伝えたのか?」
「あとで伝えに行くよ」
「そうか、わかった」
真田と確認の通信を終えた束はフェイトたちに守とスターシアの結婚式が行われることを伝えに向かった。
「えっ?」
「結婚式!?」
「スターシア陛下と古代さんの!?」
「艦内でやるんですか!?」
「うん、そのつもり」
管理局組は束から齎された話に絶句した。
スターシアと守の結婚式をこの宇宙で執り行うと言うのだから当然だ。
一応、船上結婚式は地球、ミッドでも執り行われており決して珍しいモノではない。
しかし、宇宙戦艦での結婚式は初めてだ。
それは束も同じであり、フェイトたちも同様であった。
更に驚愕する点が式に出席するどころか、手伝ってほしいと言うのだ。
「でも、良いんですか?本来なら私たちは部外者なのに‥‥」
「赤道祭にも参加したんだし、細かい事は気にしなくて良いんだよ」
「は、はぁ‥‥」
どうしたものかと思ったが、女性に生まれてきたからにはこれも一つの経験。
ましてや、ささやかながら女王陛下の結婚式の手伝い等、そうそうできるものではない。
否、望むところだ。
「分かりました。全力でやらせていただきます」
「うん、ありがとう」
二人の結婚式会場はヤマトになった。
面倒ながらもスターシア、守、サーシアにはアマテラスからヤマトへ移乗してもらうことになった。
会場がヤマトになったのは守とスターシアに所縁があるからだ。
ヤマトを中心に両舷にはアマテラスとアリゾナが停止し、タラップがヤマトへ接続され三隻の行き来が可能となり、ヤマトには結婚式に必要なモノや人が集まっていく。
フェイトたち管理局組もヤマトへ移乗し、一先ずヤマトの医務室で待機していた。
「「「「‥‥」」」」
そして、ヤマトの医務室ではこの後始まる結婚式に必要なある物が保管されていた。
それを見たフェイトたちは目を奪われ絶句していた。
「ほお~、なかなかの代物じゃのう!流石は真田君じゃ!!」
「真田サンデスカラ、驚ク程ノコトハアリマセン」
さも当然のように言う佐渡とアナライザーに、フェイトは恐る恐る尋ねる。
「あ、あの‥この指輪についている石ってダイヤですよね?」
フェイトたちが見て驚愕したのはこの後の結婚式で使用する結婚式指輪だった。
「ああ、これはイスカンダル産のダイヤだ」
そして、指輪についている石について答えたのはこの指輪を製作した真田本人だ。
「このリングは‥‥ハイコスモナイトかな?」
束が指輪のリングに使用している鉱物を尋ねる。
「ああ、タイタン南極から初採掘した分だ」
「このダイヤは‥‥5カラットというところかな?」
流石、良家出身の束はちょっと見ただけでダイヤのカット数を言い当てる。
「ああ、藪の一件の時に救助ヘリに落ちていた原石を一応保管しておいたんだ」
「‥‥そう」
真田の言った『藪の一件』‥‥
これはヤマトの乗員にとってはまさに汚点とも言える黒歴史な出来事である為、真田も束も渋面になったが、
「で、でもこのダイヤ自体に罪はないし、イスカンダリウムが消滅してしまった今では宇宙にイスカンダルと言う惑星が存在したという貴重な証だよ」
「‥‥そうだな」
束が割り切るように言うと真田も同意した。
「品質では地球産の10カラット分以上に相当するんじゃないかな?」
「えっ?そんなに!?」
地球での滞在経験があるフェイトは思わず驚愕の声を漏らす。
そして、『見てみるか』と、真田からケースごと手渡され、まじまじと見てみると、確かに今まで目にしたダイヤとは根本的な何かが違うように思えた。
(こんなダイヤ、地球でもミッドでも見た事ないよ‥‥)
(私もです)
(私も‥‥)
(こんな鉱石が存在した事に驚きです)
心が躍るというより、癒される輝きというべき輝きを放つイスカンダル産のダイヤ。
「此奴は驚くべき原石だよ。どの部分を調べても組成と品質がほぼ一定しているんだ」
「えっ?何その反則品質!?イスカンダルの地殻とマントルの組成はどうなっていたんだろう?」
「今回の敵がイスカンダルを狙うのも分かる。連中が狙っていたイスカンダリウムが一体どんな鉱物だったのか気になる所だが、今となっては永遠の謎になってしまったがね」
科学者の一人としては、真田は今回の敵が狙っていたイスカンダリウムが一体どんな鉱物だったのか興味はあった。
しかし肝心のイスカンダルが消滅してしまった今ではイスカンダリウムが一体どんな鉱物だったのかを知る由もなく、今後手に入れる事もない事に少々残念そうだった。
(ホントに反則だよ、このダイヤ。今まで見た宝石が石ころ同然じゃない‥‥)
(管理局がイスカンダルを見つけなくて良かった‥‥)
(管理局がイスカンダルを認知していたら、きっと鉱山世界として管理世界にしようとしていたわね)
(もし、そんなことをしようとしていたら、管理局は防衛軍とガミラスの両方を敵に回していたところだった‥‥)
真田と束からイスカンダル産のダイヤの説明を聞いたフェイトたちはイスカンダルと言う星の凄さと管理局が今回の騒動の前にイスカンダルを認知しなくて良かったと思った。
「あの‥このリングは、どこで加工したんですか?」
ティアナが真田にこの指輪をどこで製造したのかを質問した。
リングにせよダイヤにせよ、加工と研磨の精度が半端ではない。
宝石にはまだ縁薄いティアナでもわかるほどの代物、否、業物だからだ。
「ああ、それはヤマトの艦内ファクトリーで加工したのさ」
ティアナの質問に真田が答える。
「えっ?ヤマトの艦内で、ですか!?」
この凄い指輪がヤマトの艦内で作られたことにティアナが信じられない表情をしたが、真田と束の説明でなるほどという表情になる。
「ヤマトは単独で長距離長期間の行動をするための艦だからな。ある程度の生産設備は不可欠なのさ」
「ドレッドノート級の量産型戦艦は、ヤマトのような使い方はしないから、ヤマトほどの規模の作業スペースは設けていないけど、アマテラスやアリゾナみたいな艦隊旗艦級の戦艦ではヤマトに習って、ヤマトほどの規模の作業スペースを設けているよ」
「そういえば、ドレスの仮縫いはもう済んだのか?」
佐渡が結婚指輪に続いて、結婚式に必要な服‥‥ウェディングドレスについて尋ねる。
「ええ、雪がモデルを買って出てくれて今はデータ再入力中です」
ヤマトの乗員でスターシアと体形が一番近いのが雪だったので、ドレスの仮縫いにはもってこいだった。
「あ、あの‥‥もしかして、ウェディングドレスの縫製もヤマトでやっているんですか?」
半ば呆然としながら尋ねるフェイトに、アナライザーが無言のまま頭部を青く明滅させた。
守とスターシアの結婚式は急遽決まった事なので、予知能力でもなければ結婚指輪もウェディングドレスも用意なんて出来ない。
((((何なの!?この艦は!?))))
思わずツッコミそうになるフェイトたちだった。
着々と守とスターシアの結婚式の準備が進んで行く中、それぞれの艦の厨房でも厨房員たちが腕によりをかけて披露宴用の宴会料理を作っていた。
アマテラスの厨房でもディアーチェが指揮を執り宴会料理の他にウェディングケーキ等を製作し、結婚式の準備を万全に期そうとしていた。
そんなこんなで結婚式は目前に迫っていった。
次回 めでたいめでたい結婚式 後編
再びリリカル世界のキャラを地球側につかせる予定なのですが誰がいいですか?戦闘機人らは確定しているのですが‥‥
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Dr.スカリエッティ
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エルトリア組
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アインハルト&ヴィヴィオ友御一行様