内惑星艦隊の奮闘   作:島田愛里寿

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第百話 魔法世界と科学世界出身者同士のゲーム勝負!後編

第二次大戦をモデルにしたチーム対戦の次に始まったゾンビゲームの概要はこうだった。

 

時はガミラスとの戦争前の218X年‥‥ユーラシア管区の奥地にて突如として発生した暴動の鎮圧にあたっていた部隊との連絡が途絶えたのを皮切りに各地にて死体が人を襲う事象が多発。

 

これを受けて国連本部は直ちに各地に残っていた国連陸軍に鎮圧にあたらせたが噛まれたら発症するこの奇病とも呼んでいい事態に対応する部隊は次々と壊滅して相手の数を増やしてしまうだけであった。

 

一応噛まれても発症しない者もいたので各地の部隊で生存者を中心に再編させたが数が足りない。

 

この有様を受けて国連本部は本部を宇宙空間へと退避。地球圏にこのころはまだ残っていたコロニーへの避難を呼びかけたが各地の主要都市に残っていた者以外は脱出できなかった。

 

プレイヤーたちが所属する部隊は国連陸軍第44独立機械化混成連隊であり、欧州方面統合軍指揮下の部隊であったがその総合司令部が死体に襲われたので指揮官の独断で各地に分散して退却。

 

その後、救助のミデア輸送隊が来るまでの間各地に設けられたシェルターか陸舟艇に向かえ‥‥という内容であった。*1

 

リアライズし、廃墟に降り立った昴たちは周囲を見渡す。

 

「う~ん‥‥やっぱり廃墟しかないね」

 

「ゆ、油断するなよ?いつ襲ってくるかわからんぞ」

 

昴の発言に箒が注意を促した。

 

とは言え、戦う相手がゾンビと言う事で箒の声は震えている。

 

「うう…ちょっとこわいかも」

 

箒同様、倒す相手がゾンビと言う事でフェイトもやや震えている。

 

ドラゴン等の幻獣生物が確認されている管理世界があってもゾンビが存在する世界はこれまでの管理局の探索で確認されはいないが、今回のゲームの内容と同じ様にホラー映画のフィクションでゾンビと言う存在ぐらいはフェイトも知っており、ゾンビの容姿や特徴から生理的に受け付けないのかシルビアに心配されていた。

 

「フェイトさん大丈夫ですか?」

 

「う、うん。ダイジョウブダヨ‥‥」

 

「なんか、言葉が片言になっていますけど‥‥?」

 

フェイト本人は大丈夫と言うが、彼女の口ぶりから言動が一致していない。

 

そうして部隊は広場に到着すると…

 

「前方にゾンビを確認!大群で向かってくるぞ!!」

 

『っ!?』

 

先行していた61式の車長がゾンビを確認した。

 

ゾンビが居たという報告を受け、昴たちはビクッと身体を震わせた。

 

「撃て!撃て!!」

 

「くっそ!近づかせるな!!」

 

そうして隊員になっていたプレイヤー達は各個に応戦を開始したが…

 

『ア“ア“ア“ア“ア“ア“ア“ア“~!!』

 

『ウォォォォォォぉー!!』

 

「くそ!なんだ!?こいつら!!」

 

「前方にゾンビ・タンクだ!戦車応戦!」

 

あまりの多さに各所で格闘戦を余儀なくされる事態が多発していた。

 

「はぁ!昴!星奈!リンネ!無事か!?」

 

「う、うん!」

 

「‥‥すごいですね箒さんの実力、剣道をやっていたんですか?」

 

「あれはどっちかと言うと実戦向きの剣術ですね。箒と昴が月村家に来る前に住んでいた篠ノ之家の実家には篠ノ之流という剣術の指南書が大量にあったそうで、月村家に引き取られた後に実家跡地に残っていた書物を基にたまに独学で鍛錬していましたから」

 

そんな中、箒は拾ったアイテムの日本刀でゾンビをバッタバッタと切り捨てており、その光景に昴たちはその姿に見とれていた。

 

リアライズしたばかりの時は戦う相手がゾンビと言う事で怖がっていた箒であるが、相手が丸腰で、反対に自分は武器を持ち、十分に太刀打ちできるレベルと戦っている中で興奮状態となっている箒にはゾンビはもはや恐怖の対象ではなく駆逐対象に変わっていた。

 

(箒の剣技、凄い‥‥彼女がもう少し大きくなれば私やシグナムと戦えるレベルになるんじゃあ‥‥)

 

箒の剣技に驚き魅了されたのはフェイトも同じであり、将来は魔法なしの剣技のみで戦ってみたいと思ってしまうのはフェイトもシグナム同様、バトルマニアなのだろう。

 

「おい、ガキンチョども!見とれてないで応戦しろ!!」

 

「「「はっはい!!」」」

 

箒の剣技に見とれていて応戦していなかったので他のプレイヤーに怒られてしまったが…

 

「ひいいい!!!」

 

箒の剣技に魅了していたが、こうして駆逐対象のゾンビを目の前にすると、やっぱり怖かったのか思わず悲鳴を上げてしまう。

 

「フェ、フェイトさん大丈夫ですか!?」

 

フェイトに至ってはジョッキーにとびかかられて拾っていた竹やりで何とか攻撃を防いでいた所を神堂が射撃して救出していた。

 

アリシアとプレシアは61式戦車の後部の人員室で治療を行っていて戦闘には加わっていなかったがかなり忙しく、ティアナは…

 

「あはははははは…!!!化け物めぇ~~!!死ねぇぇぇぇぇー!!」

 

ブォォォォォォォォン!!!!!!!

 

「「テ、ティアナさん…怖い!」」

 

仮想空間でありリアルでは支障がないと分かっているせいか、もうどうにでもなれと思ってしまったようで、瞳孔が開いた単色の眼をして、どこから拾ってきたのか携行式のM134(通称ミニガン)をゾンビの軍団に乱射しておりシャルロットとシルビアは引いていた。

 

そんなこんなありつつも広場にてゾンビの大群を殲滅したプレイヤーたちは前進していったが‥‥

 

「あれ?」

 

「どうしたの?リンネ??」

 

「あれ‥‥」

 

<うううう・・・ううううう・・・・>

 

奥の方に泣いている女性型ゾンビがいた。

 

「な~んか攻撃しないほうがいいような‥‥」

 

「そうですね。関わらない方がこちらの被害が少ないような気がします」

 

普通のゾンビと異なる動きをしているゾンビだったので、これは何かあると思い無視を決め込む一同。

 

そうして彼らは前進していった。

 

実はこの判断は正解であり、もし彼女を攻撃していたら怒り狂って長く伸びた爪で攻撃してくる上に耐久力も高い個体のゾンビであり、正式版で結構嫌われる相手であったのだ。

 

そうして彼女たちの部隊は街を抜け港エリアに到着した。

 

「あ、前方にビッグ・トレーを確認!」

 

「やった!ゴールだ!」

 

そうして全員が油断したその時…

 

ドガァアン!!

 

「うわぁ!」

 

 

「敵襲!!一人やられた!!」

 

≪エリアボスのチャージャーが現れた!≫

 

「くそ!アサルトライフルの弾が効かないぞ!」

 

「M2も効果が薄い!」

 

「ティアナさん!バルカン砲は!?」

 

「とっくに弾切れよ!!」

 

「あんなに乱射するからですよ!!」

 

「仕方ないじゃない!!あんなに沢山いたんだから、チマチマ撃つよりも、ばら撒いたほうが効率が良かったのよ!!」

 

エリアボスはかなり強くアサルトライフルやブローニングの弾が効かず、ティアナが持っていたM134は弾を切らしてしまい使えなくなっていた。

 

「リジーナ用意!吹き飛ばせ!!」

 

 

・AMAT 対戦車重誘導弾リジーナ

 

対戦車重誘導弾であり旧式の有線誘導方式のTOWミサイルを原型として2167年頃に開発された。

 

その威力はすさまじく性能試験のために用意された61式2型を吹き飛ばしたほどだ。デザリアム戦役の時にはかなり旧式化していたのだか対戦車火器の不足から引っ張り出されて実戦に参加。

 

パトロール戦車や掃討三脚戦車に多大な威力を発揮し、デザリアム軍戦車隊を恐怖のどん底に叩き落とした。

 

欠点は機動力の低さと即応能力の低さだが、ジープや軍用トラック等に乗る歩兵部隊の高火力兵器として重宝されている。

 

 

「組み立て始め!歩兵部隊は完成まで支援しろ!!」

 

そしてリジーナを発射することになったが手が空いていたのはプレシアのみであったので射手を任せられた。

 

「誘導弾ステータスよし!」

 

「ジャイロ立ち上がりよし!」

 

「電波状況よし!!」

 

「みんな、離れて!撃つわよ!!」

 

 

そして発射されたリジーナは刺さりゲームはクリアとなり、体験者たちは現実世界へと戻って来た。

 

「お疲れ様です。皆さん」

 

現実世界に戻ってきた体験者たちをグランツが出迎える。

 

「それで、どうでしたか?今回のゲーム内容は?」

 

そして、グランツは皆にゲーム内容を尋ねる。

 

 

「まぁ、この前体験したあのホラーゲームよりは幾分楽しめたような‥‥」

 

箒は化け物から逃げるゲームよりも化け物が登場しても対峙することが出来る今回のゲームの方がマシだと感想を述べる。

 

「私はちょっと怖かったかも‥‥」

 

リンネには今回のゲームの内容は少々刺激が強かったみたいだ。

 

まぁ、リンネは普通の小学生なので無理はない。

 

もし、昴たちがいなければ恐怖で足がすくんで何もできないままリタイアしていただろう。

 

「保護者の視点から見ると、こういった内容のゲームは年齢制限をかけた方がいいわね」

 

プレシアからは年齢制限を設けるべきだと言う意見も出た。

 

プレイヤー全員から今回のゲームの感想を聞いたグランツは、

 

「貴重な意見、どうもありがとうございました。これらの意見と感想を基に今後もゲーム開発を続けますので、今後もBRAVE DUELをよろしくお願いします」

 

と、BRAVE DUELを売り込んだ。

 

グランツ研究所から月村邸までの帰宅の最中、フェイトたち管理局組は改めて今回プレイしたBRAVE DUELの内容の意見交換をする。

 

「あのBRAVE DUELってゲームどうだった?」

 

フェイトがティアナたちにBRAVE DUELの感想を尋ねる。

 

「六課で使っていたシミュレーション装置とは違いますが、実際の肉体ではなく仮想空間でのアバターでプレイをするので、安全面ではシミュレーション装置よりも上な気がします」

 

シミュレーション装置経験者のティアナは管理局で採用しているシミュレーション装置よりもBRAVE DUELの仮想装置の方が優秀だと言う。

 

「でも、あのゲーム内容は衝撃的でしたね‥‥」

 

「う、うん‥‥」

 

フェイトはあのゾンビゲームの事を思い出し顔色が青い。

 

「あんな体験は管理局の仕事内では絶対にありえませんね」

 

「しかも使用する武器はデバイスではなく、質量兵器‥‥」

 

「私、仮想とはいえ、初めて質量兵器を手にして使用しましたよ」

 

「私も‥‥」

 

流石に管理世界・管理局とは無縁なグランツにこのような感想は言えないのでこうして管理局組同士での感想となった。

 

 

そしてゲームが終わって家に戻ったその日の夜‥‥

 

ガチャ

 

「「た、ただいま‥‥」」

 

束とディアーチェが帰ってきたようだがどうもかなり疲れているようだ。

 

「あっ!帰って来たみたい!お帰り…って‥うわ、二人ともくっさ!!」

 

「昴!!姉さんたちは疲れて帰って来たんだぞ!いくらなんでも失礼…いやほんとにくっさ!!」 

 

昴は帰宅した束とディアーチェに遠慮なく二人から異臭がしていたので、それを口にする。

 

束とディアーチェは異臭に加え身に纏っている服もかなり汚れていた。

 

箒はそんな昴を窘めるが、束とディアーチェが放つ異臭に思わず口にするぐらいのモノだった。

 

「な、なにがあったんですか!?」

 

星奈は何故二人がこんなにも異臭を放っているのか、その訳を尋ねる。

 

とは言え、やはり星奈も二人が放つ異臭は耐えられなかったので、手で鼻をつまんでいる。

 

「い、いや~。欧州方面に帰還していたうちの艦隊所属の金剛改型戦艦のウォースパイトでトラブルが発生したからすぐに行ってこいって言われて行ってきたんだけど‥‥」

 

「まったく!イギリス人は食に関しては阿呆しかおらんのか!?」

 

ディアーチェはかなり怒り狂っていた。

 

二人によると概要はこうである。

 

なんでも元々欧州方面に残っていた金剛改型戦艦のウォースパイトはイギリス本土の港に到着して半上陸をしていたのだがO・M・C・S(オムシス)が故障してしまい主計課が自前で用意しなければならなくなり調理した物を出したのだがそのブツが大問題な品だったのだ。

 

その問題のブツの正体は熱く煮たトマトソースに漬けたニシンだったのだ。

 

それはまずいのか?

 

昴たちや管理局組は思ったがそれについてディアーチェは…

 

「どの角度で言っても『まずい』の感想しかでん代物だ!!しかも腐っておったのが原因だぞ!!??」

 

そう、かなり不味くおまけにその原因が全部腐りかけていて悪臭を放っていたというとんでもない代物だったのだ。

 

これにはウォースパイトの女性艦長も激怒して『こんな物、食えるわけないでしょう!?』と主計課を怒鳴りつけたのだ。

 

結局チーズとピクルスのみが配布されたのだがそんな物で腹が満たされるわけもなく一部の乗員の不満も満たされなかったので事件が起こった。

 

なんと食料買い付け責任者の主計課長の部屋と主計課の共同部屋にそのニシン漬けを辺りかまわずぶちまけたのだ!*2

 

これによってあまりの悪臭で艦の運用に支障が出てしまい艦隊司令官の束と副司令官のディアーチェが呼び出されて清掃作業の指揮をとっていたのだが同じ港に偶々停泊していたトラファルガー級戦闘空母のゴトラントにて倉庫が爆発したのだ!

 

そしてそっちの調査を行ったのだが世界一臭いと言われているシュールストレミングを何を考えたのか倉庫に満載していたらしくおまけに缶に穴が開いていたせいで爆発したようだ。

 

その調査も行ったのだがあまりの臭さに乗員の半数がぶっ倒れ化学防護隊を呼び出さずを得ず、清掃に一日を要する羽目になったのだとか‥‥

 

後にこの話を聞いた朝田は「休みでよかった…」と語ったとかいないとか。

*1
ちなみに司令部の高官共はさっさと宇宙に脱出するポットに乗って逃げているという設定

*2
クイーン・エリザベス級戦艦2番艦ウォースパイトが修理のためにジブラルタルに停泊中に実際に起きた実話です






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