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ガトランティス残党軍による第二次地球侵攻。
これに対処するべく防衛宇宙軍は現在防衛軍・各管区が保有しているすべての艦隊を総動員して土星圏に防衛線を展開させて対処に当たった。
しかし、この戦闘の最中に敵艦隊の約半数が別動隊として地球に向かっていることが発覚し、急遽アマテラス・アリゾナ・キーロフが引き返しているがそれまでの時間は問題児ぞろいの内惑星艦隊の中でもさらに問題児の集まりであるホワイト艦隊で対処せざるを得なくなった。
ホワイト艦隊旗艦 ホワイトアヴェンジャーⅠ 艦橋
「敵艦隊、前方にて陣形を形成中!横陣を組んで直進してくる!」
「第五装甲巡洋艦戦隊を前進させて!旧式戦列艦部隊は後方を警戒!」
副官のアキは即座に金剛型を改装した結果誕生した装甲巡洋艦を前進させた。
この金剛改型装甲巡洋艦は改オマハ級のような長大な航続距離や機動力は持ち合わせていないが拠点防衛や戦艦の穴の埋め合わせにはもってこいの性能を有しており、このホワイト艦隊においては貴重な戦力であったのだ。
ポロロン~♪
敵がいきなり現れ、そして自分たちの下へ迫っている状況下でもミカは慌てふためく様子もなくカンテレを弾いていた。
「もう!いい加減にしてよ!!ミカ!これから戦闘が始まるんだよ!!」
「…わかっているさ」
そしてミカは‥‥
♪~♪~♪~
フィンランドの民謡【
「おっ!?ミカのあれが始まったか!?通信長!!ホワイト艦隊全艦艇にオープン回線で流しちゃって!!」
「はい、は~い!!」
ミッコはミカが奏でているサッキヤルヴェン・ポルッカをホワイト艦隊全艦に流すように言うと、通信長はノリノリな様子でホワイト艦隊全艦の回線チャンネルを開いてミカが奏でるサッキヤルヴェン・ポルッカを聴けるようにする。
この民謡をミカが流し始めたということはミカが本気で敵に対処するということの現れでもあるのでホワイト艦隊の士気も上がるのだ。
ホワイト艦隊 ホワイトアーチャーⅢ 艦橋
「艦長!旗艦よりオープン回線で通信が入っています!!」
「ほへ?流してみて」
「はい!」
♪~♪~♪~♪~
「こ、これって…」
「はい。司令官が奏でているサッキヤルヴェン・ポルッカです!」
「司令殿は本気のか‥‥よろしい!!では我々もやるぞ!!総員!奮起せよ!!」
「「「「はい!!!」」」」
ホワイト艦隊 旗艦ホワイトアヴェンジャーⅠ 艦橋
「第三戦隊士気高揚!いつでも突撃可能と言ってきました!」
「第五装甲巡洋艦戦隊敵の側面に展開完了!」
「さて…地球の問題児の底力を連中に見せようか…」
ミカにしては久しぶりの本気モードで鋭い目つきで迫りくるガトランティス残党艦隊を睨んだ。
ガトランティス残党軍 地球侵攻艦隊 旗艦メガトーリ 艦橋
「地球艦隊前方に視認!!」
「くそっ、やはり読まれていたか‥‥それで敵の戦力は!?」
地球本土を強襲した残党軍司令官のネメッツは前方に展開する地球艦隊の規模をオペレーターに問う。
「そ、それが‥‥」
「どうした?」
すると、オペレーターは何だか答えづらそうな様子だ。
「ぜ、前方に展開している地球艦隊は、我がガトランティスの艦艇にそっくりなんです!」
「なにぃ!?」
オペレーターの報告にガトランティス残党艦隊も驚愕した。
パネルには確かに見慣れた艦影の艦艇が陣形をとり自分たちを迎え撃とうとしている。
そりゃあそうである‥元々自分たちの艦艇の性能の高さは使っている自分たちが一番よく知っている。
その敵に回したら厄介極まりない艦を地球側が艦隊規模で運用してきているのだから‥‥
「おのれぇ~蛮族共が‥‥高貴な我が帝国の艦をあのような無様な型にしおって‥‥!!」
ネメッツには何故地球艦隊が自分たちの艦に似た艦艇を運用しているのかすぐに察しがついた。
鹵獲し、自分たちが扱いやすいように改造したのだろう。
地球人とガトランティス人は育った環境も技術力も異なり、ガトランティス人であるネメッツから見た鹵獲・改造されたホワイト艦隊の艦影は醜く見え憤慨した。
「ど、どうしますか?ネメッツ提督」
「ええい、恐れるな!!たとえ我らの艦であったとしてもあの様を見よ!あんなとりあえずあったものを寄せ集めたような陣容を!?寄せ集めの艦隊など我らの敵ではないわ!!」
まぁ、ネメッツの言う通り確かにホワイト艦隊に所属する元ガトランティス艦はその外観を大いに変貌させているが、性能は一緒かそれ以上に強化されている艦もいるのでこの指揮官の発言は誤りなのである。
「いいからさっさと撃て!!目標は敵のメダルーサ級殲滅型重戦艦!!火炎直撃砲発射用意!!」
「はっはい。k「左右より砲撃!!来ます!!」」
「なにっ!?」
ネメッツは自分でも厄介な相手であると分かっているメダルーサ級殲滅型重戦艦‥‥ホワイト艦隊の旗艦であるホワイトアヴェンジャーⅠへ火炎直撃砲を放とうとした。
しかし次の瞬間、
ドガァッ
ドオオッ
ズオオオ
ガトランティス残党艦隊別動隊の三割の艦が轟沈した。
おまけに…
「て、提督!本艦の火炎直撃砲に直撃弾!!火炎直撃砲発射不能です!!」
メガトーリの艦首にある火炎直撃砲の瞬間エネルギー転送機が被弾した。
火炎直撃砲は瞬間エネルギー転送機で長距離かつ回避不能な超高熱エネルギー弾で敵を撃破するのが兵器であり、エネルギー弾の発射装置と瞬間エネルギー転送機の二つで一つなのだが、そのどちらかが破損すればその優位性を一気に失ってしまう。
メガトーリは瞬間エネルギー転送機が破損した事により火炎直撃砲を封じられてしまった。
「す、すぐに直せ!!修理班を向かわせるのだ!!」
「無理です!専門の技術者は第十一番惑星にいるのでドック修理しないと使えません!!」
しかも破損具合は応急修理で直せる規模でなかった事も不運であった。
「な…なんだ…と!!??」
この時、ホワイト艦隊指揮官の島田ミカがとった陣形は至極単純かつ明快な物だった。
鶴翼の陣である。
鶴翼の陣は自軍の部隊を、敵に対峙して左右に長く広げた隊形に配置する陣形であり、単に横一線に並ぶのではなく、左右が敵方向にせりだした形をとると言ったものである。
この左右の敵に最も近い部隊にミカは細工を加えていた。
左右には第五装甲巡洋艦戦隊と第六装甲巡洋艦戦隊を展開させており、金剛型装甲巡洋艦の中でも遠距離砲戦に特化している乙型艦に遠距離砲戦を行わせたのだ。
これによって敵の火炎直撃砲を無力化するついでに敵艦隊を削ごうと考えていたのである。
そしてミカはノリノリでカンテレを弾きながら…
「アキ?」
「はいはい!『巡洋艦戦隊と駆逐戦隊は左右から敵艦隊の後背を脅かせ!!ただし!ホワイトアヴェンジャー隊の軸線上には入らないように!』ってミカが言っているって伝えて!!」
相変わらずミカは言葉足らずなのでホワイト艦隊一の名翻訳・意訳家と言われるアキが通訳じみた手法で各艦に命令を伝達しているがミカの指示は的確である。
このミカの作戦はうまくはまれば敵艦隊を問題児部隊のホワイト艦隊や寄せ集めの守備艦隊でどうにかできるだろうがもし鶴翼の陣の外側に回り込まれれば一気に瓦解しかねないのだ。
「防衛軍主力艦隊より通信です!『現在アマテラス・アリゾナ・キーロフが急行中である。それまで耐えてくれ』とのこと」
「ふ~ん。でも全ての敵を倒してしまっても別に構わないんだろう?」
「ミカ。フラグっぽいセリフを言うのは止めて」
ミカの言う幸先が悪い言葉は大抵現実化するので、アキはミカにフラグを立てる言葉は慎よう釘を刺した。
第五装甲巡洋艦戦隊 旗艦 愛宕 艦橋
「敵艦隊の後方よりホワイトバンカーとホワイトアーチャーの混成艦隊が攻撃を開始しました」
「絶対に誤射するなよ?誤射したら世界の奇食一気食いの刑らしいからな?」
「絶対に誤射しません!!」
この第五装甲巡洋艦戦隊旗艦の金剛型装甲巡洋艦愛宕は艦隊陣形の右翼側の中間に展開していた。
「というか火炎直撃砲を最初から発射しとけば陣形を展開させなくてもよかったのではないですか??」
「あぁ~。実はな?その肝心の転送装置なんだが…」
「???」
「技術部が回収していて使えないんだ」
「「「「はぁ!?」」」」
そう、実は転移波動砲計画が実行されていてそのデータ取りのためにホワイトアヴェンジャー級の艦首にあった転送装置がすべて撤去されて研究所に送られていたのだ。
これでは転送ができない。
とはいえそれを何とかするのが艦隊指揮官であるミカの仕事である。
敵艦隊の主力を鶴翼の陣の最奥に陣取るホワイトアヴェンジャー級三隻の艦首軸線上に誘導して火炎直撃砲による直接射撃をもってして溶かしてしまうという作戦である。
「あちらも火炎直撃砲は使えないから対等さ」
「戦力はまだ向こうの方が上だよ!!それに艦の性能もね!!」
メガトーリ、ホワイトアヴェンジャー、互いに瞬間エネルギー転送機が使用不可で火炎直撃砲が使えない状況なので、ミカの言う通りメガトーリ、ホワイトアヴェンジャーの性能で言えばミカの言う通り対等だ。
つまり勝負を左右するのは指揮官の指示と乗員の腕と言う事になる。
その頃…
内惑星艦隊 臨時総旗艦アマテラス 艦橋
「ワープ終了!!軌道上では交戦が始まっているようです!!」
「アリゾナ、キーロフともに艦に異常なし!全力発揮可能とのこと!!」
「よし!急いでホワイト艦隊と合流するよ!!」
「「「「了解!!!」」」」
ワープアウトをしたアマテラス、アリゾナ、キーロフは現在、地球本土を強襲しているガトランティス残党軍と戦闘をしているホワイト艦隊との合流を目指し、全速で急行していた。
そのホワイト艦隊とガトランティス残党軍との戦闘は‥‥
ガトランティス残党軍 地球侵攻艦隊 旗艦メガトーリ 艦橋
「このまま前進してはマズイ!!艦隊を二つに分け、敵の両翼を狙う!!」
「はっ!!」
ネメッツはホワイト艦隊がとっている鶴翼の陣の中で両翼へと目をつけた。
鶴翼の陣の両翼の役割は陣の中に深く入り込んだ敵の退路を遮断して袋の鼠にする任務を担う。
なので、袋の蓋の部分を潰していけば退路を遮断される事はない。
それにガトランティス残党軍にしてみれば無理にホワイト艦隊を殲滅する必要はない。
自分たちの目的はただ一つ、地球本土なので、ホワイト艦隊の防衛網を振り切って地球本土を攻撃する意気込みでホワイト艦隊の両翼を狙う。
ホワイト艦隊 旗艦ホワイトアヴェンジャーⅠ 艦橋
「敵は艦隊を二つに分け、両翼を狙う様です」
「では、此方も陣形を変えよう‥‥こちらも艦隊を二つに分け、単縦陣で敵を迎え撃ちつつ一度やり過ごした後、敵の背後を狙う」
ミカは艦隊を少し後退させ鶴翼の陣から艦隊を二つに分け二列の単縦陣を成し、平行戦で敵とやり合う。
「前方に敵、メダルーサ級殲滅型重戦艦!!」
「主砲用意!!‥‥トゥータ」
メガトーリとホワイトアヴェンジャーⅠは近距離で撃ち合う。
至近で撃ち合ったので両艦には当然損害も出る。
「右舷、第一~第三ブロック被弾!!」
「火災発生!!」
「人員が足りない箇所は隔壁をロック!!」
「医療班は負傷者の手当てを!!」
「敵艦隊、我が艦隊の両翼を通過!!」
「反転!!敵を背後から狙い撃て!!」
ホワイト艦隊は地球本土の強襲を狙うガトランティス残党軍を追撃する。
すると、ホワイト艦隊の後方からショックカノンが飛んで来てガトランティス残党軍の最後尾の艦へと命中する。
「後方からショックカノン!?」
「一体、誰が‥‥」
「友軍です!!後方から友軍艦艇が接近してきます!!」
「艦種と艦名は?どこの艦かな?」
「アマテラス、アリゾナ、キーロフの三隻です!!」
「土星圏に居た筈なのに‥‥」
「鬼竜からの援軍と言う事だろう」
「援軍って‥私たちの事を信頼していないのかな?」
「いや、総司令の立場上、確実な手を打たなければならない。上に立つと言う事は失敗を許されない窮屈な椅子に座ると言う事なのさ。覚えておくといいよ、アキ」
「また訳の分からない事を‥‥」
(私には愛里寿が居るが、アマテラスの月村艦長には兄弟が居ない‥‥後継ぎ問題となると私よりも厄介になるだろうな‥‥)
アマテラスを見てミカは、束は近い将来自分よりも窮屈な思いをするのではないかと予想した。
ガトランティス残党軍 地球侵攻艦隊 旗艦メガトーリ 艦橋
「提督!!味方が次々と‥‥!!」
地球艦隊の追撃を受けて味方の艦は次々と被弾し、落伍もしくは撃沈されていく。
「このままむざむざやられはせんぞ!!艦首回頭!!」
ネメッツは残存艦に回頭を命じる。
ホワイト艦隊 旗艦ホワイトアヴェンジャーⅠ 艦橋
「敵艦隊反転!!」
「敵はいよいよ最後の戦いを挑んで来たみたいだね」
ポロロロ~ン♪~
「砲撃戦用意!!」
「通信長。アマテラス・アリゾナ・キーロフに通信を送ってくれるかい?」
「はい!なんと?」
アマテラス 艦橋
「月村司令!ホワイトアヴェンジャーⅠより通信!『ワレ、敵旗艦に対する統制砲撃戦を希望す!』とのこと!!」
「…へぇ。砲術長!問題ないかな?」
「まったくありません!むしろあちらさんが心配ですけどね!!」
「さっすが!ギンガちゃん返信!『アマテラス了解!我ら防衛軍内惑星系艦隊の砲術の誉を見せようか!』ってね!」
そしてホワイト艦隊、アマテラス、アリゾナ、キーロフが主砲をガトランティス残党軍…特に敵旗艦へと向ける。
「トゥータ」
ホワイトアヴェンジャーⅠの砲撃を皮切りに地球艦隊が一斉に砲撃を開始する。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!‥‥」
メガトーリは地球艦隊の集中砲火を浴びて船体が真っ二つに割れ轟沈した。
土星圏、そして地球圏に侵攻したガトランティス残党軍を殲滅した事で地球側は勝利し、ガトランティス残党軍側は貴重な艦艇を失う大敗北と言う結果に終わった。
そして土星沖でも護衛艦猿島が多数の敵艦を沈めたことによって空いた穴を土方提督の指揮により的確についた防衛軍艦隊の活躍でその過半数を沈めることに成功し第二次土星沖海戦は地球側の完全勝利によって幕を閉じた。
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銀河鉄道物語の小説を一話試し書きしたのですが読みたいですか?
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