ステルス兄貴さんありがとうございます‼️
ガトランティス残党艦隊の襲撃と管理局艦の領海侵犯で管理局良識派と防衛軍・地球連邦政府が頭を抱えていた頃。
地球市民は襲撃から数日たったのですでに日常に戻っていた。
カプセルトイ‥‥ガチャガチャやガチャポンと呼ばれる商品で、お金を入れてハンドルを回すと中からプラスチック製の球体カプセルに小さなおもちゃが入って落ちてくる。
主に駄菓子屋やスーパーマーケット、ショッピングモールなどの商業施設に設置されている。
1965年にアメリカから日本に輸入されて、1970年代には日本全国に広がった歴史があり、2200年代になってもその商品は消滅することなく、現存していた。
「あっ、ハイパーボールだ!!」
とある駄菓子屋の店の前に置かれているカプセルトイを見て昴は思わず声をあげる。
「えっ?ハイパーボール?‥‥それは何ですか?昴」
「えっと、リンネはスーパーボールって知っている?ゴムで出来ている小さな弾むボールなんだけど‥‥」
「ええ‥‥知っています‥‥」
「この前、テレビのCMでやっていたんだけど、このハイパーボールは、そのスーパーボールの三十倍弾むらしいんだよ」
「えっ?さ、三十倍!?凄いですね、それは!?」
「うん‥‥ちょっと、私やってみる」
昴はポケットからお財布を取り出し硬貨を一枚、カプセルトイにセットしてハンドルを回す。
すると、プラスチック製の球体カプセルが一個、取り出し口に落ちてくる。
「あっ、出た‥‥さてさて‥‥」
昴はワクワクしながらカプセルを手に取りパカッと割って、早速中身を見る。
この時、リンネの方もハイパーボールの性能次第では、自分も買ってみようと思っていた。
しかし、カプセルの中身を見た昴はワクワクから一転して、戸惑いへと変わる。
「あ、あれ?えっ?何これ?えっ?」
「ど、どうかしましたか?昴」
昴の様子にリンネの方も戸惑う。
「えっと‥‥リンネ、私は今、ハイパーボールのガチャガチャをやったよね?」
昴はリンネに自分が回したカプセルトイがハイパーボールのカプセルトイであることを確認する。
「え、ええ‥‥確かに昴はハイパーボールのガチャガチャをやりましたよ」
昴の問いにリンネも間違いないと答える。
「あれ?えっ?‥‥ちょっと、おじさん!!」
昴がカプセルの中身について事情を聞こうと駄菓子屋の店主を呼ぶ。
しかし、駄菓子屋の中から店主の応答が無ければ、その姿も出てこない。
「あれ?おじさん!!‥おじさん!!」
昴がもう一度、声を上げて店主を呼ぶと、
「はい、はい、はい、もぉ~‥‥何じゃ?騒々しい」
やっと駄菓子屋の店主が店から出て来た。
ただこの時の店主は『めんどくさい』と言いたげな態度であった。
「いや、『騒々しい』じゃないよ!?コレ、どういう事なの!?」
昴は店主に声を荒げながらカプセルの中身を見せる。
彼女の手にはハイパーボールではなく、プラスチック製の薄い緑色の葉っぱの様なものが握られていた。
「これ、よくコンビニやスーパーのお弁当の中に入っているプラスチックの葉っぱじゃない!!」
「‥‥」
昴が店主にカプセルの中身の違いを指摘するが、店主は黙ったまま‥‥
「‥‥いや、何とか言ってよ!!私、ハイパーボールのガチャガチャをやったのに!!なんでこんな葉っぱが出てくるのさ!?」
「‥‥自分の思い通りにならんこともあるじゃろが‥‥」
「( ゚Д゚)ハァ?」
「当たりはずれがあるのが、人生の醍醐味じゃないんか?そうじゃろう?」
「‥‥おじさん、何言っての?」
あまりにも見当違いな店主の言動に呆れる昴。
「‥‥」
心なしリンネの方も昴と同じリアクションである。
「いや、違うでしょう!!だったら、ハイパーボールの色や柄が違うとか大きさが違うとかならわかるけど、これは明らかに詐欺でしょう!?」
いくら昴が子供でもこの店の行為はどう見ても詐欺である。
「あぁ~わしが子供の頃は大喜びしておったがのぉ~‥‥今の子は『やれ、ゲームだの、何だの‥‥』と‥‥」
昴の反論に店主はかなり苦しい言い訳をする。
「いや、いくらおじさんが子供の頃でもこんなプラスチックの葉っぱを貰って喜ぶ子なんて居ないでしょう!?大体、この葉っぱ、何なの!?」
店主の苦しい言い訳に昴は珍しくツッコム。
いくら昴が子供でもこんな苦しい言い訳では騙されることもないし、納得もしない。
もし、ティアナが今の昴の様子を見ていたら、
『あのスバルがツッコンでいる!?』
と驚いていたかもしれない。
「‥‥知りたいか?」
「えっ?」
「その葉っぱの名前、知りたいか?」
「えっ?この葉っぱに名前なんてあったの?」
「ああ、あるぞ」
「‥‥何て言うの?」
昴もリンネも一応、このプラスチック製の葉っぱの名前が気になったので、店主に聞いてみる。
「それは、『バラン』と言うんじゃ‥‥」
「へぇ~、この葉っぱ『バラン』って言うんだ‥‥」
「そうじゃ‥良かったのぉ~。一つ賢くなって」
「うん‥‥」
そう言って店主は再び店の中に入っていく。
店主としてはこれで話を逸らすことに成功したと思ったに違いない。
しかし‥‥
「‥って、良くないよ!!なんか、誤魔化されるところだった。ちょっと、おじさん!!」
昴は慌てて店主の後を追いかけ、バランを返す代わりにお金を返してもらった。
やはり、こんな見え見えの行為ではいくら子供の昴でも騙すことは出来なかった。
勿論、お金を返して貰った後で昴があのハイパーボールのカプセルトイをやることは無かった。
「まったく、ひどい目にあったよ」
「確かにアレは酷かったですね」
「リンネもああ言う誇大広告には気を付けた方が良いよ。子供だからって舐めてくる大人もいるから」
「そうですね」
今回の駄菓子屋の店主以外にも昴はかつて姉である箒と星奈と共に収容されていた児童養護施設と言う名の人身売買組織が居た事を知ってからは、世の中には自分たち子供を平気で騙す汚い大人が存在している事を小学生低学年ながらそれを経験してきた事からリンネにも注意を促した。
此処で時間は進み、太陽は既に西の彼方に沈もうとしている中、黒髪を靡かせ歩いている一人の少女が川原の芝生の上で一人の男子学生が横になって本を読んでいるのを見つけた。
(‥‥風が強くてまったく読めねぇ)
この日は夕方になってから風が強くなり始め、川原の芝生は風によってユラユラと揺れており、男子学生が持っている本のページがぱらぱらと勢いよく捲れていく。
(失敗したな、川原で本なんか読むんじゃなかった)
そう思いながら男子学生が起き上がると、
「‥‥」
「っ!?」
いつのまにか近くに自分より年下な印象を受ける黒髪の少女が立っていた。
「‥‥」
少女は何かを話す訳でもなく、無言で自分の傍に立って居て自分の事をジッと見ている。
「‥‥」
当然、見ず知らずの少女なので、男子学生も話しかける事は無いし、向こうも話しかけてくる事は無いが、少女は自分の事をジッと見ている。
(‥‥き、気まずい!何?何なの?ってか誰だよ!?この子!?)
男子学生は顔や声には出さないがいつの間にか自分の傍に立っている女子に慌てている。
「‥‥」
「‥‥」
(なんで無言なんだ?このクソ広い川原でわざわざ俺の後ろに無言で突っ立っていて‥‥何の用か知らんが、やっぱり俺から声をかけるべきなんだろうか?いや、でもなんで?とにかく、見ず知らずの初対面の女の子に気の利いたセリフなんて言えねぇーよ!)
男子学生は異性との交流が極端に少ないのか声をかけるべきか?
またどんなことを言えば良いのか戸惑っていた。
「‥‥」
「‥‥」
互いに沈黙のこの時間、男子学生は気まずさを感じていた。
(夕焼けが綺麗ですね?駄目だ、駄目だ、駄目だ!そんなありきたりなセリフ、この状況に合わない!第一、そんなくさいセリフ俺が言えるわけねぇ!)
男子学生は何とかこの気まずい空気を払拭しようと頭の中で思考を巡らせる。
「‥‥」
「‥‥」
(そもそもこの女子が一体何を考えているのか全く理解できない!!)
(もしかして、この子、非現実的なボ-イミーツガールを期待しているのか?)
男子学生がチラッと少女の方をチラッと振り返ると少女は何だかそわそわとしている様子が見られる。
(どうもそんな感じだ‥‥となるとイカした一言だな‥‥)
(大体俺は、友人がバイトで忙しく暇だから一人で読書しているだけであってなんの設定もない普通の少年なんですけど‥‥?)
(まぁ、いい‥とにかく彼女の期待を裏切るわけにはいかん!飛ばすぜ、すかした言葉を!!)
と、男子学生が頭の中でこの沈黙の空気の打開策を練っている中、黒髪の少女こと、箒の方は‥‥
(えっと‥‥昴との待ち合わせ場所、此処で合っている筈だよな‥‥?)
と、男子学生の思いとは裏腹に箒はただ昴との待ち合わせ場所がこの川原だったという何の変哲もない理由だった。
箒がそわそわしていたのも此処が待ち合わせ場所で合っているのか少し不安がっているだけである。
そんな中、川原の芝生で本を読んでいた自分より年上の男子学生が何やら考え込む仕草を取り始めた。
そして、
「今日は……風が騒がしいな……」
と、何かセリフっぽい言葉を放って来た。
(いや‥‥なんか死にたくなってきた、なんだ?こりゃ?恥かしいとかそういうのではなくなんかこう‥‥死にたい‥‥こりゃあやっちまったか?ちょっと精神が崩壊しかけたが言ったぞ!!さあ、どう返す!?)
男子学生は自分が吐いた言葉に自己嫌悪な気分となる。
一方で箒の方は、
(えっ?この人、突然何を言っているの?)
と、男子学生の言葉に度肝を抜かれた。
(この人、もしかして私に意見を求めているのか?)
(今日は風が騒がしい‥‥?た、確かに風は吹いているが、一体どういう意味何だ?)
(何かセリフっぽい言葉だし‥‥あっ、もしかしてこの人、演劇の練習でもしているのか?)
(本を見ていたし、あれはきっと台本なのか?)
(考え込んでいたのはこの先のセリフがまだないからなのか?)
(そ、それなら協力するのもやぶさかではないな‥‥えっと、この場合何て返した方がいいのだろうか?)
箒は男子学生が演劇の練習をしているのだと思い、この後に続くセリフを考え口にした。
「で、でも、少しこの風‥泣いています」
(あははははははははははははははは! おもしれーわ!!この人!!)
男子学生は箒の返答を聞いて心の中で大爆笑する。
(うわぁ~何か変なセリフになってしまった‥‥だ、大丈夫だろうか?)
(えっと、この後の返しは何て言うんだろう?)
一方で箒は男子学生の次のセリフを待つ。
(ごめんなさい。勘弁してくれませんか?もう限界です。俺には空想力ってやつはないみたいでどうやらこの空間に耐えられんようです。ですから既に呼ばせてもらっています。救助隊を‥‥)
(来い!!戦士よ!!この結界を破壊しておくれ!!)
箒は次につながる男子学生のセリフを待っていたのだが、男子学生の方は沈黙の空間と同じくこの厨二チックになりかけているこの空間にも精神的苦痛を感じていた。
そこで、打開策として友人を密かに呼んでいた。
すると、川原に第三者‥もとい、男子学生の友人が到着した。
(来たッ! 早いな!?)
「急ぐぞ!!相棒!!‥‥どうやら風が街によくないモノを運んできちまったようだ!!」
(なんで今日に限ってテンション高いんだ!?お前はぁぁぁぁー!?)
すると、到着した男子学生の友人もセリフっぽい言葉を口走る。
「あっ‥‥」
すると、友人は箒の存在に気づき、カァァッと顔を赤らめて顔を隠す。
(カアァァッ‥‥じゃねぇーよ!!死ね!!)
そんな友人の態度に心の中で毒づく男子学生。
(なるほど、こういう展開なのか‥‥でも、このセリフ少し恥ずかしいな‥‥)
友人が箒の存在を認識して恥ずかしがったように箒の方もセリフを聞いて共感性羞恥を覚えて顔を赤らめて男子学生から顔を逸らす。
(うわぁ~メッチャ嬉しそう!?もう嫌だ!!俺を現実世界へ帰してください!!)
箒の態度を見た男子学生は彼女が嬉しそうにしていると勘違いした。
(もういい、こんな茶番は終わりだ!!この空間をぶち抜いて帰らせてもらうよ、現実的な一言でな!!)
この場からの脱出を決意して歩き出す男子学生。
しかし、彼の口から出た言葉は‥‥
「急ごう‥風が止む前に‥‥」
またもや男子学生の口から出てきたのはセリフっぽい言葉。
(何を言っているんだ!?俺はぁぁぁぁ!?もういいよ!!行けるところまで行ってやるよ!!ちくしょう!!)
表面上の態度は冷静に見えるが、心の中は羞恥と自己嫌悪で一杯な男子学生。
そこに、
「あっ、居た!!居た!!箒姉!!」
「あっ、昴にリンネ‥‥」
待ち合わせ相手の昴がリンネと共にやってきた。
「箒姉、超ヤバイよ!!そこのコンビニ!!ポテト半額だって!!行こうよ!!」
昴は近くのコンビニでポテトのセールをやっている事を知らせる。
「あ、ああ‥‥」
待ち合わせ相手の昴が来たので、箒は昴の方へ駆け寄る。
ただ、その前に箒は男子学生に向けて、
「あ、あの‥お芝居、頑張ってください!!」
と、一声かける。
「えっ?」
箒から声をかけられた男子学生は呆然とする。
「それじゃあ‥‥」
(えっ?お芝居?どういう事?今までのやり取りがこの子には芝居に見えたのか?)
此処に来て自分と箒との認識の違いを知る事となった男子学生なのであった‥‥
ちなみに後日、リンネと昴からこの話を聞いた忍はその駄菓子屋の店主に問いただしてこようとしたが大人気無いからと箒・束・ノエル・ディアーチェに止められたと言う。
銀河鉄道物語の小説を一話試し書きしたのですが読みたいですか?
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