内惑星艦隊の奮闘   作:島田愛里寿

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お待たせしました!ようやく学校のテストが終わったので書けました!

ちなみに今回出てきたバンビーノ・ムースと海賊船はステルス兄貴さんからご意見をいただきました。


バンビーノ・ムースのイメージはデジモンのムースモンで犯罪者たちの艦のイメージはガンダムのザンジバルだそうです。


第百五話 地球次元潜航艦と管理局の遭遇

年末に管理局と行った交信によって新たな問題が浮上した地球防衛軍であったが、新年の三が日は休暇となっていた。

 

 

さて、正月から数日後‥‥

 

 

地球連邦 太陽系外延部 オールトの雲

 

太陽系を通る彗星が一番減速する宙域、ここには多数の彗星が存在しており彗星の巣やオールトの雲と呼ばれる。

 

この宙域をある一隻の次元潜航艦が亜空間航行をしていた。

 

今回航行していたのはSS 伊400ではなく、SS 伊400に次いで新たに建造された極東管区所属のSS 伊14であった。

 

【挿絵表示】

 

しかし、実のところこの艦は本来、哨戒任務に出る予定はなかったのだ。

 

ではなぜSS 伊14は哨戒任務をしているのか?

 

それは新年になった直後にさかのぼる。

 

このSS伊14はイタリア艦隊同様に横須賀港に停泊していたが艦長と副長が司令部に報告に行っていて代理指揮官が水雷長しかいなったのだ。

 

その際に‥‥

 

『お前ら!うるさい艦長たちがいないなら忘年会と新年会を一緒にやろうぜ!』

 

『『『『おおおお~~~~!!』』』』

 

『宴じゃ~!』

 

‥‥と、待機中にも関わらず酒を持ち込んで艦内で宴会をやらかしたのだ。

 

飲めや歌えやの大騒ぎの最中にイタリア艦隊は花火を打ち上げたので盛り上がっていたその時‥‥

 

『おい‥‥!』

 

 

『お前らぁ!なぁにやっとるかぁぁ…!!!』

 

 

『ひぃ…!!かかかか、艦長!?一体何故ここに!?』

 

『聞こえてくるんだよぉ!!軍官民ともに新年を厳かに祝っているのにぃ(# ゚Д゚)!横須賀港内にお前らの歌声がぁ!!!司令部からも聞こえたぞぉ!!!』恥ずかしい(*ノωノ)!!

 

『『『『『あ‥‥‥』』』』』

 

と、言うわけで艦長・副長にどちゃくそ怒られて防衛宇宙軍総司令官の土方司令からも本気で怒られて三が日間は謹慎となり、今日から罰の哨戒任務に就いていたのだ。*1

 

(艦長・副長は完全なとばっちりだが‥‥)

 

ちなみにこの酒飲んでバカ騒ぎして怒られるというのは第二次世界大戦中に大日本帝国海軍の伊14が昭和二十年五月二十七日の海軍記念日に門司湾にて実際にやらかした事件でもある。

 

「はぁぁ~‥‥休暇取り消しかぁ~‥‥」

 

「馬鹿もん!懲戒免職処分にならなかっただけでもありがたいと思わんか!!!」

 

中にはまったく反省していない乗員も居たようだが‥‥。

 

さて、何故SS伊14が亜空間で哨戒しているかと言うと太陽系の最外縁部は第十一番惑星近郊なのだがさすがに冥王星からも遠く、防衛ラインにスキマが空きかけている現状、第十一番惑星宙域以外には監視衛星をばらまく予定だった。

 

しかし、これまでの星間戦争により経済的にも疲弊していた地球としては、そんな大規模かつ大量の監視衛星を開発・設置する余裕はないし、拠点を作るにしても予算がかかるので先延ばしとなってしまった。

 

そのため、伊14のような特殊艦艇が哨戒業務に就くこととなったわけである。

 

ちなみに補足としてユリシーズが艦隊を組んでいる第一外縁部哨戒艦隊もこの宙域を哨戒することがある。

 

 

SS伊14がオールトの雲の周辺を哨戒する二日前。

 

時空管理局 本局ドックでは‥‥

 

 

時空管理局 本局 ドック

 

「ほないってくるな」

 

「うん…はやてちゃん。気を付けてね?」

 

地球との交信から数日が経ったある日。

 

はやては新型艦のLS級『ヴォルフラム』*2の艦長に就任し、その処女航海に出ることとなった。

 

管理局以上の科学力を持つ星間国家の存在の他に此処の所、フッケバイン一家という時空犯罪者集団による船舶襲撃事件が相次いでおり『これ以上管理局の威信を落とさないためにも』‥‥と上層部が無理やり日程を組み込んだのだ。

 

フェイトたちの遭難もあったことから、なのはに心配されつつもはやてを艦長としたヴォルフラムは本局を出航していった。

 

それから時間を戻り、ヴォルフラムが本局を出航してから二日後の現在‥‥

 

航海は平穏そのもので、残念ながらフッケバインの手掛かり等は掴めない状況だった。

 

「平穏な航海はええんやけど‥‥」

 

「フッケバインの手掛かりが一切つかめない状況ですからね」

 

副長のグリフィスがはやて同様、フッケバインの手掛かりが掴めない現状に焦りはないが、何だか物足りなさを覚えていた。

 

そんな中‥‥

 

「艦長、レーダーに感有り」

 

ヴォルフラムのレーダーがある反応を捉えた。

 

オペレーターは、早速はやてに報告を入れる。

 

「位相は?」

 

「八一七宙域です。目標は停船している次元貨物船の様です」

 

「こんな次元の海(宇宙空間)のど真ん中に停船‥‥妙ですね」

 

「せやね。もしかして、エンジントラブルとかで止まっているんやろうか?」

 

貨物を運ぶ筈の貨物船が宇宙空間のど真ん中で停船している事に違和感を覚えるグリフィス。

 

一方、はやてはもしかしたら貨物船にエンジンか何らからのトラブルが起きて立ち往生しているのかと思った。

 

「その貨物船から遭難信号もしくは救難信号は出とるか?」

 

そこではやては通信士に貨物船から遭難信号・救難信号が出ていないか確認をとる。

 

「いえ、そのような信号は出ていません」

 

しかし、貨物船からは遭難信号や救難信号は出ていないと返答がくる。

 

「ますます妙ですね」

 

「せやな‥‥貨物船にこちらから通信を送ってや」

 

「了解。停船中の貨物船、こちら時空管理局所属次元航行艦、ヴォルフラム。応答されたし、繰り返す、こちら時空管理局所属次元航行艦、ヴォルフラム。停船中の貨物船、応答されたし」

 

通信士が貨物船へ通信を送ると貨物船からの返答はなく代わりに‥‥

 

「ん?艦長、貨物船の死角より飛行物体が急速に離脱していきます!!」

 

オペレーターが貨物船から離れていく飛行物体の存在を捕捉した。

 

「艦長、もしかしたら‥‥」

 

「ああ、フッケバインの連中かもしれへん。グリフィス君」

 

「はっ!!」

 

「武装隊をシャトルに乗せて貨物船の調査に向かわせてや。本艦はこのまま貨物船から逃げた飛行物体を追うで!!」

 

「了解!!」

 

はやてはフッケバインの一味が貨物船を襲撃したのかもしれないと判断し、貨物船の状況を調査する為に武装局員たちを貨物船へ向かわせ、ヴォルフラムは逃げた飛行物体を追いかけ始めた。

 

貨物船から離脱した飛行物体は小型の快速艦で機動力ではヴォルフラムよりも相手の方が若干優れていた。

 

「くっ、すばしっこい。艦長、少し荒っぽくなりますがいいですか!?」

 

「ええで!!何としても捕捉してや!!」

 

「了解!!」

 

ヴォルフラムを操艦するルキノは相手を何とか補足しようと必死に操艦する。

 

そんな中、

 

「艦長、貨物船へ臨検に赴いた調査隊より通信です!!」

 

「内容は?」

 

「はっ、調査隊の報告によりますと、船長以下、貨物船の乗員は全員無事みたいです」

 

「襲撃前に我々が到着したと言う事でしょうか?」

 

「それならグッドタイミングやね」

 

「はい」

 

はやてとグリフィスは貨物船がフッケバインの一味に襲撃される直前に救助できたのかもしれないと胸を撫で下ろしたが、続く通信士の報告で違和感を再び覚える。

 

「ただ、続きがあります!!」

 

「続き?」

 

「はい。調査隊が積荷の臨検をしようとしたのですが、船長がそれに反対しているみたいです」

 

「反対?積荷の臨検を?」

 

「はい。船長が言うには『積荷の被害はない』 『積荷の臨検は必要ない』 と主張して積荷の臨検が出来ない状況みたいです」

 

「こちらは公務だぞ、貨物船の船長は一体何を考えているんや?」

 

何か積荷に被害がないか調査隊が貨物船の積荷を臨検しようとしたところ、船長が臨検に反対しているらしい。

 

こちらはれっきとした公務なのだから押し切ればよいのだが、どういうわけか手間取っている。

 

「怪しいですね」

 

「せやな‥‥」

 

船長の行動にグリフィスもはやても怪しむ。

 

(なんや?管理局に見られては困るモンでも積んでいるんか?)

 

(いや、船長の態度から十中八九そうやろう‥‥)

 

「いかがなさいますか?」

 

「しゃーない。これ以上、非協力的な態度を取るなら、公務執行妨害で身柄を拘束してええで、調査隊にはそう伝えてや」

 

「りょ、了解」

 

此方は此方でフッケバインの手掛かりをつかめるかもしれない事から貨物船の船長の態度にこれ以上、付き合いきれない。

 

そもそもこちらは公務で調査をしようというのだから、邪魔をするのであるならばそれは公務執行妨害となる。

 

はやてはやや強硬な手段となるが、調査隊に公務執行妨害を適用してでも貨物船の積荷を調査する様に伝える。

 

結局、調査隊は船長を公務執行妨害で身柄を拘束し、船員も一か所に集めた。

 

勿論、抵抗する船員に対しても公務執行妨害を適用させ身柄を拘束させた。

 

そして、調査隊の一隊は積荷が保管されている船倉へとやって来た。

 

積荷は四つのコンテナに格納されていた。

 

調査隊は積荷のリストを貨物船の倉庫にあるコンピュータから検索をかけると積荷のリストを見つけた。

 

そのリストを基に調査隊はコンテナの積荷と照合する作業に入る。

 

四つのコンテナの内、三つまでは問題は無かった。

 

積荷のリストと現物の食い違いは無かったのだ。

 

だが残りの一つのコンテナに問題が有った。

 

リストに無い積荷が有ったのだ。

 

コンテナはこれまで調査したコンテナと異なり厳重にロックがかけられていた。

 

念の為、爆発物や生物兵器の類ではないか確認し、問題が無かったので、コンテナの搬出口を壊して中身の調査を行った。

 

すると、コンテナの中には‥‥

 

「こ、これはっ!?」

 

「動物の毛皮や角のようですが……」

 

コンテナの中には包装紙に包まれた白い動物の毛皮や青い角らしきモノが大量に入っていた。

 

しかもかなり大きい動物の毛皮と角だ。

 

「うーん‥この毛皮に角はまさか‥‥」

 

調査員の一人はこの動物の毛皮と角に見覚えがある様子だ。

 

「ん?なんだ?この毛皮や角を知っているのか?」

 

「これはもしかしてバンビーノ・ムースの毛皮と角じゃないか?俺の同期が自然保護官をやっていて前に押収品を見せてもらった事があるから間違いない」

 

「でもバンビーノ・ムースって‥‥」

 

「ああ、狩猟禁止の保護動物だ」

 

毛皮と角の正体を聞き調査員は思わず声が掠れ気味になった。

 

この毛皮と角の正体であるバンビーノ・ムースはとある自然保護世界に生息する白い毛皮と青い角が特徴的な鹿の姿をした哺乳類動物である。

 

ただ、その神秘的な毛皮と角を持って生まれたせいで人間による乱獲が行われ、個体数を大幅に減らし、絶滅が危惧され現在バンビーノ・ムースは保護動物に指定されて、狩猟が禁止にされている動物だ。

 

しかし、狩猟が禁止となると、禁止前に獲られたバンビーノ・ムースの毛皮、角、剥製は必然的に価値が上がり、大金欲しさに未だにバンビーノ・ムースの密猟が行われている。

 

自然保護官も手はつくしているが、大金欲しさの密猟者は後を絶たないし、そう言ったご禁制の品を欲しがる金持ちも大勢いる。

 

「本来なら、市場に出回るのは狩猟禁止前にされた古いモノばかりだが‥‥此処にある毛皮も角も全て最近になって獲られた新しいモノばかりだ‥‥」

 

入念に毛皮と角を調べるとそれらはつい最近、獲られた様な新しいモノばかりだった。

 

「船長があれだけ積荷の臨検を拒む理由はコレか‥‥」

 

「ああ。だとすればさっきこの船から逃げて行った飛行物体は‥‥」

 

「密猟者か密輸関係者か?」

 

「多分な」

 

「八神艦長に至急連絡だ!!」

 

調査員は急ぎこの発見をはやてに伝えた。

 

 

ヴォルフラム 艦橋

 

 

「そうか、密輸品か‥‥」

 

「はい。今、艦長が追っているのはその密輸に関係のある者か密猟者の可能性が高いと思われます」

 

「フッケバインとは関係なさそうですが‥‥」

 

「犯罪者には変わらへん!!何としてでもあの連中を取っ捕まえるで!!」

 

フッケバインとは関係がないかもしれないが、彼らは密猟または密輸を行ったかもしれない。

 

しかし、犯罪には変わらないので、はやてはそのまま時空犯罪者たちが乗る艦を追いかけた。

 

「通信士」

 

「はい!!」

 

「あの逃走中の艦に通信を送ってや!!」

 

「は、はい」

 

通信士は逃走中の時空犯罪者たちが乗る艦へ通信回線を開かせる。

 

「またんかいあほぉ~~!!!」

 

はやてが停船を促すと、

 

「誰が待つかー!」

 

相手からは返答が来たが、相手は指示に従う様には思えない。

 

「前方の艦、次元跳躍をした模様!!」

 

「こっちも航跡をトレースして追撃や!!」

 

ヴォルフラムは逃走車両を追いかけるパトカーの様に時空犯罪者たちが乗る艦を追いかけた。

 

しかしこの二隻は不運にも進行方向を誤っていた。

 

その進行方向は地球連邦のピケットライン…哨戒ラインだったからである。

 

 

SS 伊14 艦橋

 

「艦長!周辺の空間に歪みが発生!何かがワープアウトしようとしているようです」

 

「なに!?潜望鏡深度まで浮上!潜望鏡上げろ!!」

 

そうして潜望鏡をあげて観測を行っていると‥‥

 

「ん!?あれは‥‥」

 

ヴォルフラムと犯罪組織の艦が次元転移してきた。

 

「よし!このままあの星系に逃げ込むぞ!」

 

「はい!」

 

犯罪組織の艦はそのまま太陽系に侵入を図って来たのだ。

 

地球防衛軍の艦としては所属不明の艦の太陽系への侵入を止めないわけにはいかない。

 

「通信アンテナを上げろ!!通信長!前方の艦に警告文を打電しろ!」

 

「はい!!『所属不明艦群に告ぐ!!貴艦は地球連邦の領域に侵入している!!ただちに所属を明らかにし、停船されたし!繰り返す、所属不明艦群に告ぐ!!貴艦は地球連邦の領域に侵入している!!ただちに所属を明らかにし、停船されたし!』」

 

SS伊14は潜望鏡の他に通信アンテナを亜空間から通常の宇宙空間へと伸ばし、所属不明艦らへ通信を送る。

 

 

ヴォルフラム 艦橋

 

 

「八神艦長!どこからか電文がきました!」

 

SS 伊14の通信はヴォルフラムでも受信した。

 

「ん?電文!?読み上げてくれるか?」

 

「はい。『貴艦は地球連邦の領域に侵入している!ただちに所属を明らかにし、停船されたし!』‥以上です!」

 

「な、なんやて!?そりゃまずいな‥‥やむを得ない一旦停船や!そんでもって返信で『こちらは時空管理局次元航行艦 ヴォルフラム こちらは現在犯罪者の船を追跡中なり。航行を許可されたし』って送ってな。第97管理外世界の英文で頼むわ、うちは日本語を書くから」

 

(防衛軍からの電文‥一体何処から送って来たんや‥‥)

 

はやては周辺に防衛軍の艦艇の姿が見えないにもかかわらず防衛軍は自分たちの姿を捕捉している。

 

此処は防衛軍の指示に従った方が良いと判断した。

 

「わ、分かりまし‥「しかし、八神艦長!艦を止めては目標が逃げてしまいます!?そんなことをやっていては…!!」」

 

グリフィスが慌ててはやての行動に意見するが、

 

「あのな?んなことして外交問題に発展したら、グリフィス君。君は責任を取れるんか?」

 

「そ、それは‥‥」

 

確かにはやての言う事は最もであり、防衛軍・地球連邦政府との間でいざこざが起きれば責任は自分一人で到底とれるものではない。

 

母親のレティにまでその責任問題が行くかもしれない。

 

犯罪者たちの追撃に自分は少々熱くなっていたみたいだ。

 

何より此方は防衛軍の艦艇の姿を捕捉してはいないが、向こうは自分たちを捕捉している。

 

下手な言動を取れば自分たちの身にも危険がある。

 

「そ、そうですね。申し訳ございません」

 

「目標逃走をやめません!!!」

 

「んな!?あほか!?私らも受信したんや、あの連中にも防衛軍の通信を受信している筈やのに‥‥」

 

(あいつらは自分たちの死刑執行書にサインをしたも同然や‥‥)

 

(領海侵犯した連中がどうなるのかわからんのか?)

 

はやては『クライスラー』の件から防衛軍の指示に従い停船するも犯罪組織の艦はそのまま逃走を続ける。

 

 

 

犯罪組織 海賊船

 

「リーダー。なんか止まれって言う警告文が来ていますぜぇ」

 

「なに?何処からだ?」

 

「正確な位置は分かりません。ですが、通信の内容から管理局の船じゃない所から来ていますけど?」

 

「へっ。無視だ、無視、どうせ警告だけさ。管理局以外に武装航行艦を持っている奴なんて俺たちの様な同業者か海賊くらいなもんなんだからよぉ」

 

彼らもまた管理局同様、井の中の蛙であった。

 

「そ、それもそうっすね」

 

‥‥そして、この時をもって彼らの運命は決まった。

 

 

SS伊14 艦橋

 

「目標αは依然として航行中。目標βは停船しました」

 

「司令部より『警告文を受なかった場合、浮上して再度警告し、所属を明かさず攻撃してきた場合撃沈を許可』ときました」

 

「よし、浮上する」

 

「浮上ですか?」

 

「そうだ。相手は我々の姿を確認できていない様だ。姿を見せ警告を発する」

 

「しかし、危険ではありませんか?」

 

「多少のリスクは承知の上だ」

 

「もし、相手が発砲してきたら?」

 

「その時は、この艦に初スコアが付くだけだ。総員、第一種戦闘配置!!浮上魚雷戦用意!!通信士、通信はこのまま継続して送れ!!」

 

「了解!!」

 

「総員、第一種戦闘配置!!」

 

「前部発射管室、二式空間魚雷発射準備!!」

 

「所属不明艦はこちらに正面から突っ込んで来る。ならば、此方は正面から撃ち込む。艦長より、前部発射管室!!魚雷の準備はいいか?」

 

「こちら前部発射管室、発射用意良し!!」

 

「相手の位置は掴んでいる。万が一の時は一発で仕留めろ」

 

「了解!!」

 

「まもなく、通常空間へ浮上します!!」

 

そしてSS伊14は姿を現した。

 

 

ヴォルフラム 艦橋

 

 

「や、八神艦長!前方に正体不明の艦が突然出現しました!」

 

「な、なんやて!?」

 

「映像は出せるか!?」

 

「出ます!」

 

ヴォルフラムが映し出すモニターには第二次世界大戦中の潜水艦のようなシルエットの艦がいた。

 

【挿絵表示】

 

「正体不明艦、再度警告文を確認!目標に向けてです!」

 

「ま、まさか‥‥」

 

「あれは十中八九、防衛軍の艦や‥‥」

 

防衛軍からの警告が何処からともなく送られてきた後で、正体不明の艦が出現したのだから、突如出現したあの艦は防衛軍の艦であると判断したはやて。

 

「しかし、何処から現れたんだ?」

 

「レーダーには出現するまで反応はありませんでした」

 

「次元跳躍開けした形跡もありません!!」

 

「‥‥」

 

報告を受けながらもはやては突如出現した防衛軍の艦を見つめる。

 

(あの艦影はまるで潜水艦や‥‥)

 

(それに次元跳躍開けの反応が無い‥‥)

 

(ってことは防衛軍の艦は別の空間‥‥異次元にでも隠れていたんか!?)

 

(もう一つの地球の艦は、私ら管理局の次元航行艦と同じく異次元の航行能力を持つ艦も持っていたんか!?)

 

はやてはSS伊14の艦影とレーダーに映らなかった事を含め、SS伊14が自分たちと同じく異次元を航行する艦ではないかと判断した。

 

 

SS伊14 艦橋

 

「‥‥所属不明艦αより返答なし!!」

 

「針路変わらず突っ込んで来る!!」

 

「発射管扉一番、二番開け!!」

 

「発射管準備良し!!」

 

SS伊14は突っ込んで来る所属不明艦‥もとい犯罪組織の艦へ魚雷発射管を向ける。

 

「撃ち方はじめ!!」

 

「てぇー!!」

 

SS伊14の発射管より空間魚雷が二本、犯罪組織の艦へと向かって行く。

 

半ば不意をうたれたような形で攻撃を受けた時空犯罪者たちが乗る艦は一瞬で轟沈した。

 

その後、伊14はヴォルフラムと真正面で対峙した。

 

いつでもVLSから誘導弾を‥魚雷発射からは魚雷を発射できるようにして‥‥

 

 

ヴォルフラム 艦橋

 

「そ、そんな‥‥」

 

「あ、あんな小さな艦なのに‥‥」

 

「たった二発の質量兵器で轟沈かよ‥‥」

 

SS伊14は自分たちが追っていた犯罪組織の艦と比べ小さかった。

 

だが、SS伊14はその大きさのハンデをもろともせずに犯罪組織の艦を二本の魚雷で葬り去った。

 

「八神艦長!あの艦を拿捕しましょう!!あんな行為をして放置するのはあまりにも危険です!!」

 

「いや、此処は撤退や‥‥」

 

乗員の中にはSS伊14を拿捕すべきだと言う意見もあったが、はやては踵を返して帰る事を選択した。

 

「な、何故ですか!!」

 

「ええか?此処はもう一つの地球側の領域なんや言う事は地球側の法が適用される、つまり此処で変な事をすれば私らの方が拿捕されかねんのや。ええな?撤退や‥‥追っていた連中もあんな姿になってしもうたし、私らが追いかける意味はなくなった」

 

「‥‥」

 

宇宙空間にはさっきまで自分たちが追っていた犯罪者たちの艦が残骸と化して漂っている。

 

その様子から生存者はゼロである事は簡単に想像がつく。

 

「それに貨物船の曳航作業や乗員たちの取り調べもあるしな」

 

「は、はい」

 

渋々と言った様子ではあるが、恐らくSS伊14の拿捕を進言した乗員を含め、ヴォルフラムの誰もが内心ホッとしたに違いない。

 

やがてヴォルフラムは艦首を180度回頭してもう一つの太陽系内から撤退した。

 

その後、伊14からの一切の状況がすべて報告され、地球側では次元航行艦や次元潜航艦を探知できる亜空ソナー開発や爆雷等の研究を進めることとなった。

 

そして防衛宇宙軍では次元潜航艦の有用性に気づき、新たに次元潜航航空母艦の研究を始め、防衛陸軍では独自に砲撃が行える輸送用次元潜航艦の独自建造を開始した。

 

 

一方、はやての方は取引相手もしくは密輸品を輸送していた貨物船を近くの管理世界へ護送した後、事件の顛末を報告書に纏めた。

 

その中で管理局高官たちの興味と言うか、脅威を抱かせたのは防衛軍が保有しているであろう次元潜行艦の存在であった。

 

「かの世界がまさか、我々と同じ様に異次元空間を航行出来る艦を持っていたとは‥‥」

 

「魔法もロクに使えない野蛮人どもと思っていたが‥‥」

 

「技術だけは一丁前みたいですな」

 

「そんな悠長な事を言っている場合か!?」

 

「このままあの世界を放置しておくといずれはミッドや本局へ大挙して攻め込んで来るのではないか?」

 

「そうなる前にやはりあの世界は管理下に置いたほうが‥‥」

 

「しかし、出来るのか?我々に‥‥」

 

『‥‥』

 

自分たちが井の中の蛙である事を認識させられつつある中、管理局の悩みは深まるだけであった。

*1
なお隣に停泊していたSS 伊13の乗組員たちは穴があったら入りたいほど恥ずかしかったという

*2
漫画のForceに出てきた感じそのまんまです




次回 新型艦達

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