内惑星艦隊の奮闘   作:島田愛里寿

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第百十二話 首都陥落

外宇宙から突如飛来した正体不明の未確認物体の太陽系侵入による各外惑星系基地群の沈黙‥‥

 

ヤマトから第十パトロール艇の艇長になった古代からの報告では火星基地の職員たちは外傷無しの状態で全員が死亡していた。

 

死亡原因は不明であるが、火星基地の状態を見る限り他の基地も同じ状態だろう。

 

地球が混乱状態になりながらもホワイト艦隊と地上基地からの迎撃により、一基は何とか撃墜した防衛軍であったが最後の一基には地球へ着陸されてしまった。

 

防衛軍がこの飛来物に注意が向いている隙に敵はさらに追撃を行い、ついに地球本土に敵軍の上陸さえも許してしまった。

 

 

内惑星系艦隊地上防衛担当部隊 第一都市防衛守備連隊駐屯地

 

 

「‥に‥し‥‥一等宙佐!西住一等宙佐!!御無事ですか!!」

 

「ん‥‥うぅ‥‥あ、ああ。なんとかな‥貴官は?」

 

「はい!私は小島エミ三等宙佐です!!このガーディアン連隊にて連隊司令部付きをしていました!」

 

爆風を受けて気絶していたまほを起こしたのはガーディアン連隊にて連隊司令部にて勉強中だった新人である小島エミ三等宙佐であった。

 

「そうか…っ!連隊長は!連隊幕僚の方々は!!」

 

「‥‥西住一等宙佐」

 

まほの問いにエミは神妙な顔つきで報告をする。

 

「な、なんだ?」

 

「現在この駐屯地にいる士官で無事な上に最高位なのは西住一等宙佐のみです」

 

「‥‥は?」

 

エミからの報告を理解できるのにまほはしばしの時間を要した。

 

「西住一等宙佐。連隊の指揮をお願いいたします!」

 

エミの他にも士官や下士官らが集まってきて敬礼してきたことでようやく再起動したまほは…

 

「な、なんてこった…。い、いや!私は総司令部所属なんだぞ!?すぐに司令部に戻らなければ!!」

 

「一等宙佐…いやもう一佐でいいか。一佐、すでに司令部は敵軍に包囲されていますので無理です。これは既に確認済みなので、今司令部へ戻るのは危険です。それに周辺の政府・軍関連施設も占領されているみたいです。この基地にもいずれ敵がやって来るでしょう」

 

「なっ‥‥!?」

 

エミの報告にこの時まほは瞬時に理解した。

 

自分の決断にこの連隊約500名の命運は自身の双肩にかかっていると‥‥

 

「や、やむを得んか‥‥全部隊に通達!現時刻を持って駐屯地を放棄!!郊外の未開発エリアの地下都市部に退避するぞ!急げ!!」

 

「「「「了解!!」」」」

 

まほたちは武器を手に第一都市防衛守備連隊駐屯地を放棄した。

 

突然の宇宙からの飛来物の襲来と敵部隊の地球本土の上陸で混乱していたのはメトロポリス東京だけはなかった。

 

海鳴市 月村邸

 

 

「みんな!急いで!!すぐに避難するわよ!!」

 

(束から事前の忠告があったとは言え、こうもあっさりと敵の上陸を許すなんて‥‥)

 

(今回地球へ襲来した敵はこれまで地球が戦ったガミラスや彗星帝国よりも強いって事かしら?)

 

忍は事前に用意していた荷物を持って月村邸に居る皆に避難指示を出す。

 

「はっ、はい!!」

 

「昴!そこの避難バックを持って!フェイトさんたちも必要最低限の物を持って行ってください!!」

 

「う、うん!」

 

月村邸では警報が鳴ったと同時に避難を始めていた。

 

「昴早く!!」

 

しかし、昴は周囲をウロウロと見ながら足取りが遅い。

 

そんな昴に箒は昴の手を取り、避難する。

 

「で、でも‥リンネが‥‥」

 

昴は学友のリンネの事が心配になっていた。

 

「彼女もきっとこの警報を受けて避難している筈だ!!シェルターで会える!!」

 

「そ、そうだよね」

 

箒は自分たちもこうして避難しているのだから、リンネもきっと避難していると判断し、昴にそれを伝える。

 

昴も箒の言葉を理解して歩みを早める。

 

この時幸いだったのは、プレシアとアリシアのテスタロッサ親子はジャブロー要塞司令部に親子で出張していたのでいなかったことである。

 

しかし、フェイトたちはテスタロッサ親子と違い不幸である。

 

なにせ、この時初めて地上における実際の戦場に放り出されたのであるから‥‥

 

しかもJS事件の決戦時とは比較にならない大規模で‥‥地獄の様な戦場に‥‥

 

「こっちです!急いで!!」

 

空間騎兵隊員の避難誘導に従って市民とともに近くの地下都市出入り口に走っている中、

 

ドカーン!!

 

「ぐぁぁぁ!!」

 

「ぎゃぁぁぁー!!」

 

「止めろ!!おい!誰か!衛生兵はいないか!!」

 

「ダメだ!!二十一号車は見捨てろ!!あの状態じゃあ誰も助からん!!」

 

「機関銃分隊前へ!避難民を援護しろ!!防衛軍軍人の本懐を見せろ!!」

 

「もう嫌だぁー!!」

 

「ダメだ!!撤退だ!!」

 

「こら!!逃げるなぁ!戦闘中だぞ!対戦車兵!敵のどてっ腹に対戦車弾をぶつけろ!!」

 

(な、なんなの!!この地獄絵図は!!??)

 

フェイトは‥‥いや管理局局員たちはこの時、管理局史上局員が誰も経験してこなかった実際の戦闘を目撃した。

 

JS事件の決戦におけるミッドチルダの市街戦もガジェットとナンバーズ、局員との戦いは凄まじいモノだった。

 

フェイトはその時、スカリエッティのアジトに突入していたので、市街戦の様子は記録映像で見たが、局員となって物凄い戦いだったと記憶している。

 

だが、今目の前で繰り広げられている光景はなんだ?

 

地上戦では最強の筈で鋼鉄の獅子とまで市民から言われる戦車がいとも簡単に吹っ飛び、さっきまで生きていた兵士が屍に変わっていく。

 

「敵機来襲!!」

 

「61式対空戦車撃て!撃ち方はじめ!!」

 

 

・61式対空戦車

 

61式戦車4型から主砲を取っ払いコスモパイソン用に開発された57㎜陽電子機関砲を砲塔両側面に搭載して対空戦車として運用できるようにした車両。島田財閥主導による61式延命計画で生まれた異端児であるが都市守備連隊に少数が配備されていた。

 

さらには敵の航空機がすぐに襲ってくるので逃げる側も落ち着く暇もない。

 

 

「くそぉ!防空隊は何をしている!!」

 

「航空機基地が最初に空襲を受けたそうで機体がないそうです!というか滑走路も爆撃を受けたので発進そのものが不可能と!」

 

「くそっ!!」

 

敵は軍部でもまず制空権確保のために航空機基地を空爆して航空機と滑走路を破壊していた。

 

これでは航空支援は期待できない。

 

 

防衛軍本部

 

 

「長官!コントロールタワーが出ました!」

 

雪は軍でまだ生きている基地や施設がないか探していた。

 

そんな中、島と徳川が勤務している無人艦隊コントロールセンターはまだ回線が生きていた。

 

「モニターに出してくれ」

 

「了解」

 

雪は急ぎ無人艦隊コントロールセンターと回線を開く。

 

『島です』

 

「島君、直ちにすべての衛星軌道上にある無人艦隊を直ちに第七周回軌道上に集結させ、敵艦隊迎撃と地上援護に当たらせてくれ」

 

『了解しました!』

 

「無人艦隊の地球到着までどれくらいかかる?」

 

『艦隊集結から地球までの所要時間は約10分です。それまで持ちこたえてもらえれば敵を背後より奇襲する事が出来ます』

 

「よし、頼んだぞ、島」

 

『はい』

 

「無人艦隊‥‥これは地球の最後の頼みの綱ですな!」

 

長官は無人艦隊の管制を行っているコントロールセンターにて無人艦隊管制を行っている島に無人艦隊による敵迎撃を命じた。

 

参謀長も無人艦隊に最後の希望をゆだねていた。

 

「ちょ、長官!敵がコントロールセンターに!!」

 

「なにっ!?」

 

「‥‥島!!」

 

無人艦隊を操作している島に退避命令はもう間に合わない。

 

長官と雪は島の無事を祈るしか出来なかった。

 

 

無人艦隊コントロールセンター 管制室

 

コントロールセンターの無人艦隊制御室では島と徳川が詰めていた。

 

「いったい何がどうなっているんですか!?島さん!」

 

「見ての通りだ!敵襲だよ!!…おい!無人艦隊の後背に敵艦隊が!それにコントロールセンター上空にも!!」

 

「爆撃機と戦闘艇!?くそぉ!この忙しいときに!うわぁぁ!」

 

そして同時刻、軌道上になんとか集結していた無人巡洋艦部隊はコントロールセンターが爆撃で破壊されてしまった影響で管制コントロールを失い、カカシ同然となってしまい背後に回り込んでいた敵艦隊の集中砲火を浴びで全滅してしまった。

 

実のところこのラジコン方式のコントロールシステムは無人艦隊構想が持ち上がったころから問題視されており、原作情報を思い出していた束経由で自立思考型AIの搭載が進言され、研究も進められていたが自立思考型戦闘AIの開発は難関どころの話ではないレベルで至難の業で、出雲や束ならすぐに作れるかもしれないが軍用かつ大量運用を想定するといろいろと難しいのだ。

 

なので現在戦闘用の自立思考型AI搭載の無人兵器は演習に出た武御雷にこっそり搭載されていた月村財閥・島田財閥・ボーイング社の三社共同開発によって開発・製造された『ADF-11F レーベン』の試作機『フギン』『ムニン』のみである。

 

そのため一部の艦を有人仕様に改装して管制を引き継ぐという対処法を検討されていたがそれすら進んでいなかったので原作通りの上に束が危惧した通りに無人艦隊はあっさりと壊滅してしまった。

 

なお、この時古代が艇長を務める第十パトロール艇も無人艦隊の傍を航行していた為、敵の流れ弾により被弾するが、古代は脱出ポッドにより一命を取り留め戦場となっているメトロポリス東京へと降り立った。

 

「こ、コントロール装置が‥‥これではもう艦隊へのコマンド入力が出来ませんよ!!」

 

「‥‥無人ではなくせめて俺が‥俺があの艦隊に乗り込んでいたら‥‥徳川、銃を取れ!!」

 

「えっ!?」

 

「いずれ敵は此処にも来る!!脱出だ!!」

 

「で、でも何処に‥‥?」

 

「俺たちが行くのはあそこしかないだろう」

 

島と徳川は武装した無人艦隊コントロールセンターを後にした。

 

 

第一首都にして地球連邦首都メガロポリスとなっていた極東管区首都『東京』では激戦が繰り広げられていたが敵は地球各地に降下しているのだ。

 

地球連邦第二都市 北米管区 『ワシントンD.C.』

 

「ひるむな!撃て!撃て!」

 

北米管区では旧米軍が運用していた北アメリカ航空宇宙防衛司令部『ノーラッド』によって捕捉された大量のボギー*1を警戒し、極東管区に次いで戒厳令を発令したが発令した頃には敵空挺部隊が降下を開始していたのですぐに市街戦が勃発し北米管区守備隊は必死に抵抗をしていた。

 

『こちらワシントンモニュメント守備隊!敵の猛攻によって市民の避難は難航!現在市民も銃器を持ってワシントンモニュメントの防衛に当たっている!!』

 

『正体不明の敵軍の猛攻によって死傷者多数!衛生兵の増援を乞う!』

 

『くそっ!敵が陣地内に突入してきた!!義勇兵として防衛戦に参加してくれていた市民を虐殺している!!自分も前線に戻る!誰でもいい!増援に来てくれ!!』

 

‥‥この二十三時間後にワシントンD.C.は陥落し、ニューヨークも敵の占領下となった。

 

 

地球連邦第三都市 欧州管区 『ロンドン』

 

『こ、こちら英国本土防衛軍統合司令本部‥‥ペンウッド中将。まもなくここは占領される…敵がもう扉の目の前まで来ている!本司令部からのこの通信を聞いているすべての者に最後の命令を送る。‥‥抵抗し、勤めを果たせ!!

 

この五分後彼は突入してきた敵司令官と敵幕僚などを巻き込んで自爆した。

 

この彼と彼に従い、決死隊となった統合司令本部幕僚団と守備隊、擲弾兵近衛連隊の必死の抵抗によって英国首脳部や英国王室の関係者らはロンドンからの脱出に成功し、王室関係者はイギリス軍区所属の次元潜航艦『ネレイド』によって宇宙要塞アクシズへの脱出に成功した。

 

 

地球連邦第五都市 ユーラシア管区 『モスクワ』

 

「戦え!同志諸君!武器は三人につき一丁だ!」

 

「映画『スターリングラード』かよ!?」

 

「言っている場合か!?侵略者を撃滅しろ!!敵に撃たれたくなかったらな!!ついでに逃げる者も敵前逃亡で撃て!!」

 

「もう滅茶苦茶だな‥‥」

 

ユーラシア管区ではソ連時代からの伝統とも言うべき指揮官の無茶ぶりがあったが必死に戦っていた。

 

とはいえ武器を入手できた部隊はまだいい方で‥‥

 

「武器が何でないんですか!?」

 

「ああん?目の前に大量に転がってるだろうが!!敵のでも味方の死体からでもなんでもいいから使え!」

 

「Даааーーー!」

 

‥‥(-_-;)

 

「いやいやいや!?なんですかこれ!T-90!?1990年代の骨董品をどうしてここに!?」

 

「博物館から引っ張り出してきた!!T-61A5*2だって使ってるんだ!ならこれでも使えるだろ!!」

 

「無茶苦茶だーーー!!」

 

とはいえ彼らの奮戦も無駄ではない。

 

「同志司令官!クラスノヤルスク基地の遺跡群が敵の超大型揚陸艦の撃沈に成功したとのことです!!」

 

「おお!本当か!!」

 

「ただ基地も陥落しましたけども…(-_-;)」

 

また督戦隊まで出して襲来した敵と戦った結果、敵よりも味方のほうに甚大な被害をもたらす事となった。

 

 

地球連邦第四都市 欧州管区 『ベルリン』近郊

 

 

「ベルテンヒンガー!貴様は今の今まで一体何をやっておったのだ!?敵の降下開始から一体何時間経っていると思っている!!市街地守備隊はとうの昔に壊滅し市民とともに敗走しているのだぞ!!」

 

「ぐ…!」(-_-;)

 

「ベルリン郊外の基地から三時間もかけて行軍してきたというのか!!なぜいつまでも基地にこもっていた!何たる決断力の無さ!何たる敢闘精神の無さ!機甲師団の運用など貴様には務まらん!!」

 

「た、大将!いくら何でもそれはあんまりなお言葉で…!」

 

「ええい黙れ!!もはや貴様には任せておけん!!これから行われるベルリン奪還作戦の指揮は私が執り行う!文句はあるまいな!!」

 

「ぐぐぐぐぐ‥‥!!」

 

「だから早く出撃しましょうと言ったのに‥‥」

 

ベルリン近郊の平原ではベルリン郊外の基地から必死に駆けつけてきた機甲師団の師団長が激怒した大将に詰められ指揮権を一時剥奪されていた。というかそもそもこのベルテンヒンガーという師団長。元々は陸軍の砲兵部隊出身だったため機甲師団の指揮はド素人という人事上のミスによって決断が遅れた側面もあるのだ。

 

‥‥まぁこの機甲師団はベルリンが陥落してからベルリン近郊に到着したことは擁護のしようがないが‥‥

 

 

各国でも敗戦濃厚となっている戦況を見て藤堂は急ぎ一通の命令書を認める。

 

「雪」

 

「はい」

 

「此処もいずれは敵に占領される。その前にこの命令書を持って有人機基地へ行け」

 

「えっ?」

 

「古代はきっとそこへ向かったに違いない」

 

「分かりました」

 

外は危険であるが、それは此処も例外ではない。

 

それに古代が待っている 事を思えば多少の危険なんて雪にとっては何でもない。

 

雪は長官から命令書を受け取って地下通路を通り有人機基地へと向かった。

 

その最中、無人艦隊コントロールセンターから避難してきた島と徳川の二人と運よく合流出来た。

 

雪が二人に事情を話し三人で有人機基地へと向かった。

 

有人機基地では滑走路もそうだが、配備されていたコスモタイガー、コスモパイソン、コスモゼロ等の航空機は全て破壊されていたが長官の読み通り、古代が居た。

 

そして、長官から渡された命令書を開封する。

 

命令書には、

 

『古代進。旧ヤマト乗組員を集め、イカルス天文台に居る真田志郎と連絡をとれ』

 

「真田さんと‥‥?」

 

「でも、真田さんと連絡を取るのは分かるが、どうやってみんなを‥‥」

 

この戦場を駆け回りヤマトの元乗組員を集めるのはかなり危険だ。

 

「古代、英雄の丘に行こう」

 

すると島は古代に英雄の丘へ行く事を提案する。

 

「英雄の丘に‥‥?」

 

「ああ、俺たちも雪と合流する前、英雄の丘へ行くつもりだった。生き残っているなら、きっと他の皆も英雄の丘に居る筈だ」

 

「英雄の丘‥‥沖田艦長‥‥」

 

島の言う事も尤もであり、古代たちは英雄の丘へと向かった。

 

その古代たちが向かっている英雄の丘では‥‥

 

「沖田艦長‥‥とうとう地球もこんなザマになってしまったよ‥‥」

 

「‥‥」

 

ヤマトの船医である佐渡が居り、記念碑の台座に酒をかける。

 

佐渡の傍にはアナライザーの姿もあり、黙って座っている。

 

「ワシはあんたと二人で地球が滅ぶ姿を見ようとは思ってもおらんかったよ‥‥艦長‥‥もう何もかも終わりじゃよ‥‥」

 

酒を煽りながら涙を流す佐渡。

 

その時、背後から誰が走って来た。

 

「はぁ‥‥はぁ‥‥はぁ‥‥はぁ‥‥」

 

「ん?相原じゃないか!!よう生きとったのう、相原」

 

「勝手に‥‥殺さないでくださいよ」

 

英雄の丘のやって来たのはヤマト通信長の相原だった。

 

彼は宇宙からの飛来物が地球へ来た際、科学調査隊として現地に赴いていたのだが、上空から敵の攻撃を受け、命からがら英雄の丘へとやって来たのだ。

 

しかも背中には野戦通信機を背負って‥‥

 

まさに職業病である。

 

そして相原が来たのを皮切りにヤマト航海長補佐の太田、砲術長の南部もやって来た。

 

「太田、南部も来たか!!」

 

そこへ、古代たちも合流した。

 

「古代、雪、島に徳川も‥‥沖田艦長‥‥流石アンタの息子たちじゃよ‥‥みんなよう生きておった‥‥」

 

「これで真田さんが居てくれれば‥‥」

 

「真田さんは確か今、イカルス天文台に居るんですよね?」

 

「ああ‥‥真田さんとヤマトがあれば、地球はこんな状態には‥‥」

 

古代は燃えているメトロポリス東京の市街地を悔しそうに見つめる。

 

「相原、その通信機で真田さんと連絡は取れないか?」

 

「やってみます」

 

島が相原の背負っている通信機に気づき、彼に真田とのコンタクトを図るよう頼むと相原は早速イカルス天文台へ通信を送る。

 

「古代さん、地球はこのまま征服されてしまうのでしょうか?」

 

徳川が古代に質問すると、

 

「いや、そんな事はさせない‥‥俺は絶対に諦めないぞ」

 

古代は沖田から受け継いだ不屈の精神で必ず地球を奪還してみせると意気込む。

 

「真田さんと連絡がつきました!!」

 

そこへ、イカルス天文台と連絡が取れた。

 

モニターには真田の姿が映し出されるが映像が荒い。

 

「真田さん、そちらの状況は?」

 

『なんの‥‥被害も‥‥ない。小惑星‥だったから‥敵も油断‥‥したのだろう‥‥我々も敵の‥‥存在は‥‥キャッチ‥‥していたが‥‥強力な妨害‥‥電波のせいで‥‥地球と‥‥交信‥‥出来なかった』

 

「真田さん、ヤマトを知りませんか?どこでどうなっているのか」

 

『そうか‥‥実は私も‥‥待っていたんだ』

 

「待っていた?」

 

『あるんだよ、ヤマトが‥‥』

 

真田の回答に驚く一同。

 

「えっ!?ヤマトが!?」

 

『そうだ‥‥あるんだ‥‥ヤマトは‥‥私が此処で‥‥』

 

真田のその言葉を最後に通信は切れた。

 

「おい、どうしたんだ?」

 

「一番大事なところじゃないか!?」

 

古代と島が相原に問うも、

 

「ダメです。敵の妨害電波のせいで‥‥」

 

敵は妨害電波により防衛軍の通信系統を完全に遮断したようだ。

 

「しかし、はっきりと『此処で』と言ったぞ」

 

「行きましょう!!真田さんの所へ!!」

 

「そうだ!!ヤマトのあるイカルスへ行こう!!」

 

真田の最後の一言からヤマトはイカルスにあると確信する一同。

 

地球を取り戻すにはイカルスへ行き、真田とヤマトに合流するしかない。

 

ただ一つ問題があった。

 

「でも、古代さん。火星の向こうまでどうやって‥‥」

 

イカルスがあるのは火星の沖合い‥‥

 

宇宙港も当然敵が抑えており、宇宙船は破壊されているか敵が占領している。

 

そんな中で敵の包囲網を突破して火星まで行くのは困難だ。

 

「それなら私に任せて。司令部の地下に秘密ターミナルがあるの。そこにある大統領緊急避難用の高速連絡艇に乗ればイカルスへ行けるわ」

 

大統領官邸は既に包囲されていたので、恐らく大統領の身柄は敵に拘束されただろう。

 

ならば、司令部の地下にある高速連絡艇はまだ司令部の地下にある筈だ。

 

「よし、行こう!!」

 

「はい!!」

 

「ええ!!」

 

「雪、案内してくれ」

 

「もちろんよ」

 

雪の案内の下、古代たちは地下ターミナルにある高速連絡艇を目指した。

 

地下道を走る古代たちであったが、佐渡は体力が続かなかったので、途中でアナライザーが抱きかかえて地下ターミナルへと向かう。

 

しかし、司令部にも敵が迫っており後ろから敵が追いかけて来る。

 

「此処よ!!」

 

雪が地下ターミナル前のシャッターを開けターミナル内に入っていく一同。

 

勿論、地下道からは敵も追いかけて来る。

 

「雪、早く中に入れ」

 

古代は雪をターミナル内に入れると敵をコスモガンで撃っていたが、あまりにも数が多い。

 

そこでシャッターの開閉装置をコスモガンで破壊すると異常を感知してシャッターが再び閉まる。

 

古代はシャッターが閉まる直前に滑り込む様にターミナル内に入る。

 

「くそっ、シャッターが‥‥」

 

「開閉装置も破壊されている!!」

 

「撃ち破れ!!」

 

追って来た敵は手榴弾の様な爆弾を所持していなかったのか、シャッターに向けてレーザーガンを撃ち始める。

 

その間にも古代たちは高速連絡艇に乗り込み、島と徳川がエンジンと航海機器を作動させるが、

 

「ダメだ、天井の装甲シャッターが開かない。これでは発進出来ない」

 

発進口の開閉装置はこの連絡艇には無く、また秘密ターミナルだけあって発進口を塞いでいる装甲シャッターは分厚く連絡艇が体当たりをしても壊せそうになく、逆に連絡艇の方がダメージを負いそうだ。

 

「確か外のコンピューターのロックだわ」

 

雪がターミナル内にある管制室に装甲シャッターの開閉スイッチがある事を思い出し、連絡艇の外へ出る。

 

「雪、危険だ!!俺が行く!!」

 

「パスワードを知っているの私しかいないから私がやるわ!!」

 

「雪、自動発進まで60秒だぞ!!」

 

「大丈夫よ。それまでには間に合わせるわ!!」

 

雪は管制室に入り、コンピューターで発進口を塞いでいる装甲シャッターを開口させる。

 

その間、地下道のシャッターが敵に破られそうであり、古代はコスモガンをホルスターから抜く。

 

やがて、ロックが解除され発進口を塞いでいた装甲シャッターがゆっくりと開き始める。

 

「雪!!早く乗れ!!」

 

開口を確認した雪は管制室から急いで連絡艇へと向かう。

 

やがて地下道のシャッターが破られターミナル内に敵が入って来た。

 

古代はターミナル内に侵入した敵兵に対して銃撃を加える。

 

連絡艇も自動発信装置が働き浮上し始める。

 

搭乗口で古代は手を伸ばして雪を拾い上げようとする。

 

雪がタラップを駆け上り、あと少しと言う時、上方から一本のレーザーが雪の左肩を掠める。

 

直撃ではなかったが、雪の肩からは彼女の鮮血が吹き出る。

 

「雪!!」

 

それでも古代は必死に手を伸ばし、雪を拾い上げる。

 

しかし、銃撃された雪は力が入らず、掴んだ古代の手からズルズルと離れていく。

 

古代も無理な体制で雪を支え拾い上げようとしているので力が入らない。

 

やがて、雪の手は古代の手からすり抜け、やがてターミナルへと落ちていく。

 

「雪!!くそっ!!」

 

古代は連絡艇から飛び降りようとしたが、

 

「古代さんダメです!!」

 

相原の手によって止められた。

 

「離せ!!相原!!」

 

古代は雪を何としてでも助けようとするが、連絡艇の搭乗口は無情にも閉じられた。

 

無事に飛び去って行く連絡艇を見た後、雪は意識を失った。

 

 

連絡艇が飛び立った頃、防衛軍司令部の管制室にもとうとう敵が侵入し、激しい銃撃戦が繰り広げられていた。

 

床には敵、味方区別なく、死傷者が転がっている。

 

「ぐぁっ!!」

 

「参謀長!!」

 

その最中、西郷が敵弾に倒れた。

 

「ちょ、長官‥‥あれを‥‥」

 

破壊された壁の向こう側には地球を飛び立っていく連絡艇の姿があった。

 

「まだまだ‥‥希望は‥‥残っていた‥‥様ですな‥‥」

 

傷口を押さえながら弱弱しく呟く西郷。 

 

「頼んだぞ‥‥古代」

 

長官は飛び去って行く連絡艇に最後の望みをかけた。

 

その後、身柄を拘束された大統領より防衛軍に対し戦闘中止命令が下された。

 

この知らせは地球が敵に‥‥暗黒星団帝国に敗北した事を意味していた。

 

それはたった一夜の出来事であった。

*1
レーダー上に表示される敵機の可能性がある所属不明航空機

*2
61式戦車5型のこと




次回 臥薪嘗胆

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