内惑星艦隊の奮闘   作:島田愛里寿

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お待たせしました!いろいろあって別作品に逃亡していました(^^;


これからは更新の前に活動報告で予告しておいたほうがいいですかね?


第百十三話 臥薪嘗胆

地球がデザリアムからの侵攻を受けてからたったの一日。

 

ガミラスもガトランティスをも退けた地球はたったの一日で陥落した。

 

これによって大統領命令により、各地で徹底抗戦中の防衛各軍に武装解除命令が出たがその残存部隊のうち八割が武装解除を拒否し、レジスタンスやパルチザンとして各地に潜伏した。

 

暗黒星団帝国の侵略・占領を受けて地球は混沌と化していた。 

 

防衛軍総司令部庁舎  現・暗黒星団帝国 地球占領軍総司令部

 

「私が暗黒星団帝国地球占領軍総司令長官のカザンである。本日、我が暗黒星団帝国は地球全土を完全に占領したことをここに宣言する」

 

カザンと名乗る暗黒星団帝国の軍人が地球全土に対して地球の全権を掌握した旨を宣言する。

 

この会議室での様子は地球全土に生放送されており、地球市民は愕然とする。

 

「万が一我らに反抗する者がいれば首都周辺に打ち込んだ重核子爆弾を直ちに爆発させる!」

 

そして、カザンは地球市民に対して自分たちが人質であるかのような脅し文句を放つ。

 

「重核子爆弾‥‥?」

 

カザンの発言に困惑する地球連邦政府・軍関係者たち。

 

するとカザンの後ろのモニターにあの外宇宙から飛来した不明物体が表示された。

 

「見るがいい、我が文明の粋を究めて開発された爆弾だ。あの爆弾一発でこの地球の自然環境にはなんら影響を与えることなく一瞬のうちにある特定の生物の脳細胞を完全に破壊し、絶滅させることができるのだ。‥‥この『特定の生物』というのがなんなのか‥‥懸命な諸君らならもうお分かりだろう?」

 

「‥‥っ!人間!!我々地球人類の脳細胞のみを破壊するというのか!?」

 

カザンのこの発言に地球連邦政府官僚は更に愕然とした。

 

このカザンの発言が決して脅しでもはったりでもない事をこの会議場へ連行された藤堂には思う所があった。

 

(我々地球人類のみの脳細胞を破壊して死に至らしめる‥‥)

 

(古代から報告があった火星基地での死亡者たちはあの重核子爆弾の余波を受けて死亡したのか?)

 

古代から報告があった火星基地で死亡していた者たちは外傷も無く、送られた映像からも自分たちの身に何が起きたのかを認識する前に死亡していた印象があったので、一瞬の内に脳細胞が破壊され死亡した事がカザンの発言から予測されたので、あの重核子爆弾の威力はまさに本物であった。

 

「左様‥‥この脅威にさらされたくなければ我らの命令に抵抗せずに服従することだな。では最初の命令を下す」

 

そう一言置いてカザンは‥‥

 

「『宇宙戦艦ヤマト』の所在を明らかにせよ」

 

ヤマトが何処に置かれているのか教えろと言い放つ。

 

「ヤマト‥だって?」

 

その単語に連邦官僚たちは目を見合わせた、何故ヤマトの所在を??とはいえ彼らは知らないのでヤマトが所属し、指揮下にある極東管区および地球連邦政府にて軍事関係を担当している藤堂長官に目を向けた。

 

「‥‥」

 

しかし藤堂は目をふさぎ黙ったままだ。

 

「そこの男、貴様は地球連邦軍の長官だそうだな?貴様なら知っていよう。ヤマトはどこだ?」

 

「‥‥ふん。ヤマトの所在を知ってどうしようというのだ??」

 

藤堂は余裕のある顔でそう答えた。

 

実際に自分の質問にカザンが答えるとは思えないが、このまま黙っているのは癪に感じたからだ。

 

「質問は許さん。貴様は質問に答えればよい」

 

やはり、カザンは何故ヤマトの行方を知りたがっているのかを答えずに逆に高圧的な態度を取って来た。

 

「ふっ、恐ろしいのか、ヤマトが?たかが戦艦一隻に何をそんなに恐れるのだ?」

 

そんなカザンの態度に対しても藤堂は怯むことなく、逆に挑発する。

 

「なんだと!?」

 

「そうだ!!貴様らが恐れるようにヤマトは地球の希望だ!!地球にはまだまだ力が残っておるわ!!我々は今だ正式に降伏文書に調印したわけではないから降伏したわけではない!!知りたいのであれば貴様らが自分で探すがいい」

 

藤堂はカザンに対して堂々と言い切った。

 

まぁ、確かに降伏文書にサインしないと国際社会的には正式に降伏したわけではないので筋は通っている。

 

「愚か者め!!ええい!この男を連行せよ!!地球人たちへの見せしめのために処刑するのだ!!」

 

そして藤堂は会議室から処刑場へと連行されていった。

 

 

一方、その頃‥‥

 

火星沖 アステロイドベルト 小惑星イカルス

 

現在、暗黒星団帝国側が必死になって捜索しているヤマトであるがヤマトは現在出航のための準備に追われていた。

 

地球から何とか無事に脱出して来た古代たちを迎え入れたまではよかったが、例の重核子爆弾が問題にあがり、このまま地球に居る暗黒星団帝国の占領軍に手を出せば、奴らは重核子爆弾を起爆させる可能性が高い。

 

そうなれば、地球人類は一瞬で滅んでしまう。

 

恐らく魔導師であるフェイトやティアナ、夜の一族である忍も例外なく重核子爆弾が起爆すれば死んでしまうだろう。

 

真田との議論の結果、この爆弾の起爆装置は敵の本星にあると推定された。

 

そこまで向かいその装置の破壊、もしくは無力化をすれば地球を救うことが出来るだろうと言う事になり、最初のイスカンダル以来の大航海に打って出ることになったのだ。

 

とはいえ艦の乗員たちは第一艦橋勤めの面々については、雪を除いていつものメンバーなので、まぁいいが他の乗組員はほぼ新人ぞろいなので大変なのだ。

 

最初のイスカンダルへの航海で、イスカンダルが大マゼラン星雲の中にあると言う情報だけで、航海の途中でガミラスの妨害もあった。

 

今回の航海も同じで自分たちは暗黒星団帝国の本星が何処にあるのか掴めておらず、本星へ向かう途中には当然、暗黒星団帝国の妨害も考えられる。

 

まぁ、これまで訓練を重ねてきたのだがそれでも手間取るのだ。

 

ところが出航に際してある問題が浮上していた。

 

そう、先日イカルス付近で遭難して、収容してそのままだったミッドチルダからの遭難者である高町ヴィヴィオとアインハルト・ストラトスの処遇だ。

 

ヤマト出航後にはどのみちこのイカルスは放棄されるので、置いて行く訳にもいかないし、かといってヤマトに乗せて危険な航海に巻き込んでよいものだろうか?

 

見た所、彼女たちは十代前半の未成年で、この先の航海では戦闘も当然行われるだろう。

 

ヤマト幹部で少々揉めたのだ。

 

結局二人の希望と安全性を考慮してヤマトに乗せていくこととなった‥‥

 

その要因は澪がこのままヤマトに乗せていくのに、ヴィヴィオとアインハルトを置いていくわけにはいかないと言うのは決定打であった。

 

さらに視点を移そう。

 

シリウス恒星系にて第七艦隊と演習予定だった内惑星系艦隊特別選抜演習艦隊旗艦の武御雷の艦橋では、

 

 

「ええい!一体どうなっとるんだ!!第七艦隊の春藍はおろか地球との交信すらつながらんとは!?」

 

ディアーチェが春藍とも地球とも連絡がつかないことに困惑していた。

 

「わ、分かりません!しかし、一旦明石さんに見てもらった方がいいのではないでしょうか?」

 

通信担当のギンガも武御雷の通信設備に何か異状があるのかと思い、技師長の明石に点検してもらうことにした。

 

 

「うむむ‥やむを得んか。おい束!一旦明石の奴を呼んでくるぞ!!」

 

「‥‥」 (-_-)

 

「ん?おい!束!!おい!!」

 

(まずい…!やっぱりこうなったか!!いやでもヤマトは出航できるはずだからここにとどまってヤマトと合流するか?いやでもこのまま待機している間に春藍が撃沈されてしまう可能性もある!)

 

(ゲームでは、ヤマトが第七艦隊の窮地を救うシナリオになっていたが、此処はゲームの世界ではなく現実だ。それに私を含め、イレギュラーな事が含まれているからこの先の出来事がゲームと同じ展開となる確証は一切ない‥‥)

 

束は春藍と地球と連絡がとれないのは、武御雷の通信機器が故障したのではなく、地球と第七艦隊が暗黒星団帝国の襲撃を受けたからだろうと前世の知識から予測は出来ていた。

 

しかし、その先の出来事に関しては前世の知識通りに展開していく自信がなかった。

 

万が一、春藍を含め第七艦隊が全滅となれば、地球の残存艦隊の主力を失う事を意味している。

 

「束!!」

 

「うぇ!?な、なに!!」

 

この先の事を考えている中、ディアーチェの大声で我に返る束。

 

「通信機器が不調なんだ。点検の為に明石の奴を呼ぶぞ!!」

 

「あ、ああ。うん」

 

そして明石技師長が艦橋に呼ばれて点検がおこなわれたのだが‥‥

 

「うーん、通信機器に異常は見られませんね。おそらく受け取り側に何かあったのでは?」

 

明石が言うには武御雷の通信機器は正常に稼働しているので、こちらが通信を送っても返信が無いのは春藍を含む第七艦隊側、地球側の通信機器に異常があるのだと判断した。

 

「なに?」

 

明石のこの発言にディアーチェは困惑したが、

 

「束」

 

「ん?何かな?」

 

「チョット話したい事があるから、我の部屋まで来い」

 

「う、うん」

 

すぐに束に自分の副長室に来るように呼びつけた。

 

「もてなしの茶菓子を用意できずにすまんな。だが、今は一分一秒でも惜しい」

 

「それは分かっているよ」

 

「単刀直入に聞く‥‥束、あの封印命令書は一体どういうことだ?」 

 

「な、何のことかな?」

 

ディアーチェは分かったのだ。

 

束が演習艦隊出航前に各有人艦隊指揮官にあてて送った封印命令書の内容の意図を‥‥

 

「とぼけても無駄だぞ?美香のやつとともにすでに開封して我も内容を読んだからな」

 

「…ったく。有事の時以外は開封禁止って長官命令も同時に出ていたでしょう?」

 

「この演習に参加する艦隊編成を見た時から異常だと思ったのだ。あまりにも過剰戦力過ぎる。通常ならばそんな艦隊編成の演習に許可など下りる筈がない。だが、現状はその許可が下り、我らはシリウスまで来ている。つまり貴様‥いや、藤堂長官も想定していた有事が地球で起ったということだろう?」

 

ディアーチェはあの命令書に藤堂長官の名前も記載されていたことから長官も承知して許可していた内容であったと判断し、これは束が上層部のごく一部と結託してこの大規模な演習艦隊を編成したと見抜いた。

 

「‥‥おそらくね。通信拠点が陥落したかそれとも地球全土が占領されたか、もしくは本当に向こうの故障かもしれない、どれかは分からないけど、第七艦隊、そして地球で何かが起きた事は間違いない」

 

「ならば貴様!何故我に相談しなかった!!」

 

とディアーチェは束の胸倉をつかんで問い詰めた。

 

「言える訳がないじゃん!!全ては私の予測の範疇!予感に近い案件で軍や政府を動かせる訳がないでしょう!!」

 

束も声を荒げてディアーチェに言い放つ。

 

「ディアーチェも知っている筈だよ!?ヤマトが‥‥古代君と真田君がテレサのメッセージとアンドロメダ星雲から飛来する白色彗星の影を見て、宇宙に‥地球に危機が迫っていると資料を用意してまで防衛会議に提出した事を!!」

 

「ああ、知っている」

 

「だったら、その時の政府と軍の対応はどうだった?アンドロメダ級やドレッドノート級があるから例え白色彗星が地球に飛来しても簡単に撃破できるから大丈夫だなんて楽観視して、その結果があの大戦の結果じゃないか!!どこが簡単だったの!?あそこまで大勢の犠牲者を出した泥沼化した戦争だったじゃないか!!土星圏で事前に準備してあの結果だよ!?もし、ヤマトがテレザート星までいかなければ、地球は彗星帝国から奇襲を受けて壊滅的打撃を受けていた筈だ!!」

 

「‥‥」

 

「第二次イスカンダル遠征でイスカンダルに襲来した暗黒星団帝国‥‥ゴルバに乗っていたメルダースはこちらに通信を送ってきた際、『地球の戦艦よ』と言って来た。つまり暗黒星団帝国は地球の事を既に知っていた。それならば、地球に対して報復戦を挑んで来る可能性を私は密かに考慮して少しでも対策できるように準備していた。この過剰戦力とも言える演習もその一環だった。藤堂長官もそのことを理解してくれた。でも、あくまでも私の推測であり、確たる確証も保証もない。政治家連中が聞けば『税金の無駄だ』と一蹴することは目に見えていた。だからこそ、ごく一部の人しか知らない様にしたんだよ!!そりゃあディアーチェに言わなかったのは悪かったと思っているし、ディアーチェを信じていない訳じゃない。でも、万が一、取り越し苦労で終わった時、責任を取る者が居て、後を継ぐ者も必要でしょう!?」

 

「つまり、お前は取り越し苦労で終わった時、責任は自分がとり、内惑星系艦隊の指揮権を我に継がせるつもりだったのか?」

 

「ディアーチェの他にこの異端児だらけの艦隊の指揮を誰が執れると言うのさ」

 

「お前は色々と面倒事を起こすが、責任をとって去る時も面倒事を残していく気か?『立つ鳥跡を濁さず』という言葉を知らんのか?少なくとも取り越し苦労ではないようなので、お前が責任を取る事態にはならぬようだが、この先どうするつもりだ?」

 

「ん?」

 

「連絡が取れないのは第七艦隊と地球の両方だ。第七艦隊については宇宙気象や通信機器の故障が考えられるが、第七艦隊の身に何かあった可能性もあるのだろう?」

 

「うん。地球で何かあった事は間違いない。暗黒星団帝国が地球に対してイスカンダルでの復讐戦をしかけてきてその針路にシリウスがあり、第七艦隊がその侵攻艦隊と接触した可能性もある」

 

「‥‥いずれにせよ、我々はまず第七艦隊と接触した方が良いと思うが?」

 

地球に何かが起きた事は間違いないと言うのであるならば、その為には戦力確保は必須である。

 

今回の演習がそれを見越しての艦隊編成ならば、第七艦隊と合流した方が、戦力的に有利となるので、ディアーチェは束に第七艦隊との合流を提案した。

 

「‥‥そうだね。準備が出来次第、第七艦隊と合流する。全艦に出航準備を下令」

 

束もディアーチェの提案に従い第七艦隊との合流を図る事にした。




次回 行動

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