内惑星艦隊の奮闘   作:島田愛里寿

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第百十六話 合流

束が藤堂長官らとともに計画して実行した特別選抜演習艦隊の真実。

 

これを聞かされた内惑星系艦隊特別選抜演習艦隊の各艦長や幹部らは驚愕するとともに意見が真っ二つに分かれた。

 

今すぐに地球に戻って本土を奪還するべしという帰還派とまず第七艦隊との合流を図ってから判断するべきであるという合流派。

 

武御雷艦内にある大型作戦室にて他艦の艦長たちとモニター会議をしていた束たちの元にヤマトが出現したという一報が来たのはまさに天祐とも言えた。

 

 

内惑星系艦隊総旗艦 武御雷

 

「や、ヤマト!?」

 

「なんでヤマトが此処に!?」

 

地球の危機に何故シリウス星系にヤマトが来たのか驚愕するが、

 

「通信長!!直ちにヤマトに通信を送れ!!」

 

「了解!」

 

ディアーチェがギンガにヤマトへ通信を送るように指示する。

 

そしてギンガは急ぎ、ヤマトへ通信を送る。

 

「ちーちゃん!!今すぐ各艦に通信!!第一種戦闘態勢のまま待機!!各艦の航空隊もパイロットは即応可能状態で待機させて!!」

 

『分かった!!』

 

武御雷艦橋は大わらわであった。

 

帰るか第七艦隊との合流を目指すかでもめていた最中に地球の現状を一番把握できているであろうヤマトが現れたのだ。

 

これで地球の現状が分かるかもしれない‥‥

 

 

ヤマト 艦橋

 

 

「コスモレーダーに反応あり!多数の艦隊がシリウス星系で停船しています!!」

 

雪の代わりにレーダー長を代行していた真田澪が慌てて報告する。

 

シリウス恒星系にユキカゼ・改と蝦夷、明石とともにワープアウトし、最初は特に異常がなかったのでコスモタイガー隊の偵察が終了次第、次の超長距離連続ワープに挑む予定だったのだがこれは一大事だ。

 

「っ!?相原!!急いで識別を!!」

 

古代は相原にシリウス星系に居る艦隊の識別を急がせた。

 

イカルスを出航したばかりの際、ヤマトは暗黒星団帝国の艦隊に追撃を受け、ワープにてその艦隊を振り切った。

 

追撃してきたあの艦隊があのままあっさりと地球へ引き上げるとは到底思えない。

 

となると、ワープで先回りをして待ち伏せを仕掛けてくる可能性は十分にあり得たからだ。

 

「了解!‥‥出ました!!識別番号《AAASS-01》、武御雷です!!」

 

「武御雷?それって確か内惑星系艦隊の総旗艦じゃあないか。それが、なんでこんなところに‥‥?」

 

古代からの指示を受けた相原が識別した結果を聞いた島は首を傾けた。

 

シリウス星系は内惑星系から離れた外周だからだ。

 

そんな島の疑問に真田が答えた。

 

「武御雷は進宙式典後、艦隊の練度向上と主力艦隊との連携力強化をかねて春藍指揮下の第七艦隊の長期航海テストに内惑星系艦隊から特別選抜演習艦隊を編成して参加していたはずだ。あぁ~つまり‥‥」

 

「演習中の内惑星系艦隊って事ですね。しかし、周囲に春藍以下の第七艦隊の姿が見えませんね」

 

「その辺は月村の奴に事情を聞こう」

 

「艦長代理、武御雷より通信が入っています」

 

「丁度いい、春藍の件も含めて現在の地球の状況についても説明しよう」

 

その後、ヤマトは直ちに武御雷麾下の特別選抜演習艦隊と合流した。

 

 

武御雷 艦橋

 

 

「まさか、ヤマトが此処に来るなんて意外だったなぁ~」

 

(本当は知っていたけどね‥‥)

 

「そうだな。さて、そもそもヤマトは本来シリウス恒星系までの航海は予定されては、おらん筈だ。と言う事はのっぴきならない状況が地球で起ったということだ。事態が分かる者がヤマトに乗っていればよいが‥‥」

 

「そうだね」

 

(多分原作通りだろうなぁ…)

 

ディアーチェは多少なりとも希望を持っていたが束は多分原作通りの事態が発生したと思っていた。

 

「ヤマトと通信が繋がりました」

 

「モニターにまわせ」

 

「了解」

 

武御雷の艦橋にあるメインモニターに古代の姿が映し出される。

 

『月村艦長!!』

 

「古代艦長代理、どうしてシリウス星系へ?確かヤマトにはシリウス星系までの航海計画は無かった筈だが‥‥?」

 

(やっぱり、レーダー席には雪さんが居らず、代わりにサーシアちゃんが居る‥‥)

 

束は何も知らない振りをして古代にヤマトの航海目的を訊ねつつ、レーダー席に雪が居ない事を確認した。

 

『じ、実は‥‥』

 

古代は束たち内惑星系艦隊の全員に地球の現状を報告する。

 

「な、なんてこった‥‥」

 

「地球が占領された!?」

 

柳原機関長と朝田砲術長は驚愕して開いた口がふさがらなかった。

 

かつて二度も強力な異星人からの侵略を跳ね返した地球がたったの一日で陥落したのだ。

 

しかも伝えられた内容から外惑星の各基地の職員は全滅と思われる。

 

(助けられなかった‥‥わかっちゃいたけど‥‥やっぱりその事実を突きつけられるとキツイな‥‥)

 

束は藤堂長官との連携で何とか艦艇の人材を何とか確保していたが各拠点の基地要員は移動させられなかったので悔やんでいた。

 

 

『それでそちらは春藍以下、第七艦隊の姿が見えませんけど、これから第七艦隊との合流を図ろうとしていたんですか?』

 

「うん。演習内容の関係でシリウス星系に入った後で、第七艦隊と別行動になったんだよ。多分、星系の反対側にいるとは思うんだけど少し前から第七艦隊と通信が途絶えたままでね」

 

古代の質問に束はそう答える。

 

あれからずっと呼びかけは続けているのだが、いまだに春藍以下第七艦隊からの応答はない。

 

此処まで来ると第七艦隊で何かあったとみるべきであるのは必然である。

 

「束、地球の現状を鑑みると、第七艦隊はもしや暗黒星団帝国の地球侵攻艦隊の第二陣に見つかったのではないか?」

 

ディアーチェは古代の話から第七艦隊と暗黒星団帝国の艦隊が遭遇した可能性を指摘する。

 

「その可能性はあるね。とりあえず第七艦隊の無事を確認する事を優先する各艦に下令して」

 

重核子爆弾のせいで、地球を占領している暗黒星団帝国に手を出せない事から、自然と選択肢は第七艦隊の捜索・合流となった。

 

その後、ヤマトのコスモタイガー隊による偵察によって、四万宇宙キロ前方に暗黒星団帝国の艦隊が展開していることが分かった。

 

その艦隊の針路等を千冬とアインスがヤマトクルーとともに逆算した所、『ワープアウトしてきた直後から何かを追いかけ続けてこの宙域にとどまっているのではないか?』と想定された。

 

つまりその何かとは‥‥

 

「第七艦隊か!?」

 

「おそらくね…!!」

 

(やっぱり艦隊を無理にでも動かしたほうがよかったかな!?)

 

束はその結果を受けて古代と協議した結果、即座に全艦艇に出撃命令を発令するとともにヤマトのコスモタイガー隊とともに先行して第七艦隊を捕捉し、援護させるべく武御雷航空隊と赤城・加賀・隼鷹・飛鷹の各航空隊を全力出撃させることとした。

 

 

赤城型戦闘空母 赤城 格納庫 

 

「ごくっごくっごく!!ぷはぁー!!やはり出撃前のきつけは牛乳に限るな!!」

 

そう言いながら待機所で爆笑しているのはハンナ・ウルリーケ・ルーデル。

 

欧州管区ドイツ軍区出身で、ガトランティス戦役にも参戦した歴戦の猛者である。

 

23歳の一見普通の女性だが、彼女は同僚から『化け物』 『魔王』 と呼ばれていたりする。

 

なんせガトランティス戦役時には壊滅した機動部隊の数少ない生き残りであった上に負傷していたにも関わらず、軍医の制止を無視してコスモタイガーⅡを借パクして勝手に彗星都市攻撃に参加するわ、その際に敵の駆逐艦五隻に空母六隻、ミサイル戦艦二隻を撃沈し、ついでに敵の艦載機も手負いの状況下で五機撃墜して帰還するという戦果を挙げているのだ。

 

その後、第二次ガトランティス侵攻においても出撃し、第二次土星沖海戦において護衛艦猿島の次に戦果を挙げた。

 

第十一番惑星奪還作戦への参加は新型機の慣熟訓練のためにドイツ軍区に相棒のアーデルハイトとともに帰っていたので見送られたが彼女としては参加する気満々だったという‥‥

 

ガトランティス戦役後に宇宙戦士訓練学校航空隊養成の教官職と勲章の受賞が決まったのだが、その受賞式の時に彼女は勲章を授与しようとした上官に対して、

 

「もう二度と私に地上勤務をしろと言わないのであれば、その勲章‥‥ありがたく頂戴いたしましょう」

 

と、宇宙戦士訓練学校の教官職を蹴って、宇宙での前線勤務を希望したのだ。

 

そんな彼女はその後、本人の強い希望により艦載機搭乗員としての経験を積ませるべく赤城の艦上爆撃隊隊長として今回の大規模演習に参加していたのだ。

 

 

ヴィー!!ヴィー!!ヴィー!!

 

 

「うん?」

 

ルーデルが突然の警報に頭をひねっている束の間、艦内電話のそばにいた赤城航空隊制空隊隊長の服部静夏が受話器を取って‥‥

 

「スクランブル!!!」

 

彼女の一声でその場にいた全搭乗員たちは愛機へと走った。

 

無論ルーデルも相棒のアーデルハイトとともに新鋭機のコスモスツーカへと走った。

 

 

・87式空間艦上攻撃機 コスモスツーカ 

 

【挿絵表示】

 

ガミラス軍が運用していた空間艦上攻撃機DMB87『スヌーカ』を参考に欧州管区が生産した機体。

 

イスカンダル星救援作戦の際にガミラスと行った技術交換の際に受け取っていたスヌーカだったが、当初は北米管区が生産する予定であった。

 

とはいえ十一月事件や北米管区の覇権拡大を危惧した欧州管区からの猛烈な反発を受け、スヌーカは欧州管区が扱うこととなった。

 

その後、解析等を終えた欧州管区によって生産が行われかつての名機、『スツーカ』から名前を受け継ぎ『コスモスツーカ』と命名された。

 

ちなみに機体の性能の良さから対地襲撃機型や防空型の生産も検討されている。

 

 

愛機のコックピットに飛び乗ったルーデルは慣れた手つきで各システムの立ち上げや点検を行っていたがそこに艦長からの艦内放送が入った。

 

『皆さん、艦長の青木です。現在第七艦隊との連絡がつかないことは皆さんも知っているでしょう。しかし、ヤマトからの情報提供等を考慮した結果、イスカンダル星救援作戦の際にイスカンダル星等を襲っていた敵に襲われていると思われます。なので、皆さんには艦隊から先行してヤマトのコスモタイガー隊が捕捉した宙域に展開し敵艦隊を攻撃し、時間を稼いでください!!』

 

「ふっ…だが撃滅しても構わないんだろう?」

 

「る、ルーデル?落とされそうなフラグを立てないでください!!」

 

撃墜フラグのようなセリフを吐くルーデルであるが、彼女の場合、例え機体が撃墜されても宇宙遊泳してでも帰ってきそうだった。

 

 

同時刻 武御雷 格納庫

 

「これより各航空隊は速やかに第七艦隊救援に向かう!!」

 

 

「各員奮励努力せよ!!」

 

山本玲と坂本美緒の指示とともに各飛行隊は速やかに発進準備に取り掛かっているが、

 

「あれ?坂本隊長」

 

「ん?どうした宮藤」

 

「あの機体は何ですか??」

 

そう言って芳香が指さした方向には戦闘機とは思えない機体が二機発進体制を取っていた。

 

それはキャノピーが存在せず、コスモパイソンのようにステルス性能を求めるような形状であるが、コスモタイガーⅠほどではないものの大柄な機体規模であった。

 

「ああ、あれは月村財閥と島田財閥、ボーイング社が三社共同開発した試作無人戦闘機だ。一応しっかり動作するそうだから安心しろ」

 

「は、はぁ‥‥」

 

ADF-11F 『レーベン』コックピット

 

『こちら武御雷管制AIの千冬だ。フギン聞こえるか?』

 

・フギン

【挿絵表示】

 

「ああ。なにも問題はない」

 

『現状はある意味最悪だ。第七艦隊は現在多大な損害を被っている可能性が高い。貴様はムニンと共に先発する航空隊よりもさらに早く敵艦隊に接近し、敵を攻撃せよ』

 

「了解した」

 

『相変わらずだな?多少は感情を有したほうがいいぞ?ムニンのやつなんか私やアインスと同レベルにまで感情レベルが上がっているからな?』

 

「そんなものにシステムの演算容量を割く意味が分からないな。私たちはあくまで兵器だ、それ以上でもそれ以下でもないだろう」

 

『…まぁ、貴様もそのうちわかるさ。さて、ADF-11F一号機発進準備完了だ』

 

「了解、『レーベン』一番機フギン発進する!!」

 

こうしてヤマト、内惑星系艦隊特別選抜演習艦隊は第七艦隊を救うべく行動を開始した。




次回 地球の状況

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