ヤマトと成り行きで合流に成功した内惑星系艦隊特別選抜演習艦隊。
そのヤマトからの情報により地球が暗黒星団帝国により占領された事、
地球本土に重核子爆弾が撃ち込まれ、その爆弾の機能から地球全人類が人質に取られている事実を知り、このままでは地球に居る暗黒星団帝国の占領軍には手が出せない状況であった。
しかし、真田が言うにはこの爆弾の機能・目的から敵の本星に爆弾の起爆装置がある事が予測されるので、敵の本星まで行き、起爆装置を停止または破壊すれば地球を救うことが出来ると予測された。
そこで、内惑星系艦隊特別選抜演習艦隊はヤマトと共にまずは第七艦隊との合流を目指すこととなり、哨戒の為に航空隊を発進させた。
シリウス星系にて第七艦隊の行方が捜索されている中、此処で視点を一旦地球に戻そう。
海鳴市 某所 月村家所有のセカンドハウス
「リンネ‥‥」
「うん‥大丈夫だよ‥‥昴‥‥」
月村家では暗い空気が満ちていた。
地球が占領された翌日、地球占領軍総司令官のカザンからの放送によって地下都市に避難していた地球市民は全員が地上へと戻された。
その際に保護者でもあった忍がノエル、ファリンとともに占領軍にどこかへ連行されてしまったのだ。
どうも、地球防衛軍に協力的だった大企業の技術者・幹部は全員が拘束されてとある収容所に収容されるのだという。
身柄が拘束される前に忍は一緒に避難していたフェイトに自宅とは異なるセカンドハウスの場所が描かれたメモと鍵を渡していたので一行は何とか忍が用意したセカンドハウスへ辿り着く事ができたがその際、同行者がいた。
それは地下都市で出会ったリンネ・ベルリネッタと彼女の祖父である。
彼女の実家もドイツでは有名な重工業会社で、防衛軍にも多くの品物を卸していた。
そのために彼女の両親も忍たち同様、身柄を拘束されてしまった。
さらに彼女が地下都市で昴とともに探していたリンネの祖父も暗黒星団帝国軍による爆撃により、重傷を負ってしまい意識不明となっていた。
彼だけは意識不明の重体と言う事で拘束されなかったものの、両親はどこかに連れ去れてしまい安否不明の状態で、祖父は意識不明の重体‥‥リンネの胸中は図りしれない‥‥
しかし、それは昴たちも同じことが言えた。
あの忍の事だし、ノエルやファリンも傍に居るだろうから大丈夫だと思ってもやはり、普段から自分たちの面倒を見てくれる近しい人が居ない状況は不安をかきたてる。
地下都市を出る際、忍が何故、フェイトに自宅ではなくセカンドハウスの場所を教えて鍵を渡したのか?
それは、月村家は海鳴市でも目立つ大きな屋敷であり、そんな屋敷を暗黒星団帝国の占領軍が見れば、屋敷の住人は政財界または軍の要人だと直ぐにバレてしまう。
そんな状況下でのこのこと月村家に戻ればフェイトたちも身柄を拘束されてしまうし、大人たちが全員捕まってしまったら残された子供たちを誰が守るのか?
本来ならば、フェイトたちに頼むのは筋違いであると忍は当然理解していたが、それでも子供たちの安全の為にフェイトたちに託すしかなかったのだ。
尤もフェイトは例え筋違いな話でもこの状況下で忍の頼みを断る程、人として腐ってはいない。
それはティアナたちも同じ事で、命に代えても子供たちを守る覚悟でいた。
そんな中でも地球情勢は現在もなお収まっていない。
各地で軍を中心としたパルチザンが結成され、抵抗が始まるとともにフランス等を中心に市民によるレジスタンスが結成され、暗黒星団帝国軍に対する破壊活動・情報収集等を行い、暗黒星団帝国軍の動きを封じ始めたのだ。
欧州管区…ヨーロッパではベルリン・パリ・ロンドン等の首都奪還をかけて各地から機甲師団や歩兵部隊、自走砲部隊、戦闘ヘリ、垂直離着陸攻撃機、爆撃機、対地砲撃機等が動員され、イタリアやオランダ等に集結していた。
アフリカ管区では北アフリカを中心に制圧されていたが中央アフリカ等に存在する密林によって暗黒星団帝国軍の展開が遅れていることを逆に利用してゲリラ戦を展開。
インド管区ではその民族の多さで問題が多発している関係で現状は不明…。
北米管区では西海岸を中心に軍部主導による東海岸奪還作戦を継続中。
ユーラシア管区はモスクワにおいていまだに交戦状態が続いている。
中国管区及び東南アジア管区ではその気候や抵抗運動によって対処が追いつかない。
極東管区は一見平穏だが、レジスタンス・パルチザンが活発化し、地下都市では謎の存在によって損害多発。
中東管区ではその面倒さから地球連邦政府が国連政府時代からほとんど匙を投げる状態であった宗教関係を完全否定して暗黒星団帝国式に変えようとしたせいで各宗教派閥を過剰に刺激した結果、戦国乱世状態に…。
おまけに南米管区は送り込んだ部隊が待ち伏せと現地の病気に感染したったの一週間で部隊が全滅する有様である。
はっきり言って暗黒星団帝国軍による地球占領作戦は、占領そのものは奇襲であった事もあって大成功であったが、占領統治は地球人類の特性や精神と地球環境のリサーチ不足から大失敗と言っていい程の醜態であった。
おまけに此処の所、補給も満足にできていない。
暗黒星団帝国本星から太陽系の地球までは四十万光年以上の超長距離である関係上、一応中間補給基地を構えているのだがそこから増援やら補給やらを行う関係上どうしても太陽系内を艦隊が航行する必要がある。
だが、ここ最近輸送船団や増援艦隊が太陽系外延部の小惑星帯や彗星の巣、更には木星~火星間に存在する小惑星帯でたびたび襲撃に遭い、一隻たりとも地球にたどり着いていないのだ。
おかげで食糧等は現地調達できなくはないが掃討三脚戦車やパトロール戦車、レーザー銃等の修理部品やエネルギーパックが早々に各地で枯渇し始め、現地に工廠を突貫で用意して拘束した地球人たちの中で研究者・技師や技術者、腕に覚えがある者たちを動員して作らせる事態に陥っていた。
しかし、そのような事態に陥っているにもかかわらず、暗黒星団帝国は切り札とされる重核子爆弾を起爆させたくても起爆できないある事情があった。
その為、暗黒星団帝国地球占領軍は日に日に被害を増やす結果となっていた。
「くそっ、グノンの奴め!!また補給と護衛を渋りおって!!」
暗黒星団帝国地球占領軍の司令部は防衛軍司令部におかれ、藤堂が使用していた執務室にて、地球占領軍総司令官であるカザンは中間補給基地司令官のグノンに対して怒りと不満を露にしていた。
「今回の地球占領作戦が我が帝国にとってどれほど重要な作戦なのかアイツは理解していないのか!?」
自分たちが此処までの醜態を晒しているのは地球人の抵抗は勿論であるが、中間補給基地の補給計画にも問題があるとカザンは判断していた。
「くそっ、状況が好転したあかつきにはあのような無能者は基地司令官から奴隷に格下げしてもらえるよう聖総統閣下に進言してやる!!‥‥それで、肝心のヤマトについてはどうなっておるか?」
次いで、占領作戦の要の一つである宇宙戦艦ヤマトの行方についての報告を尋ねる。
「はっ、火星沖を哨戒中でありました第二特務艦隊のミヨーズ大佐からの報告ではヤマトは我が母星へ向かっている模様です」
ミヨーズからの報告でヤマトは既に地球には不在である事実は判明したが、それでもヤマトが自分たちの母星へ向かった報告は看過できない。
「なに!?ヤマトが我が母星へ向かっているだと!?それで、ミヨーズはヤマトを沈めたのだろうな?」
暗黒星団帝国でも『狩人』の二つ名を持ち、艦隊には暗黒星団帝国が誇るあのプレアデス級が含まれている艦隊なのだから、カザンは当然ミヨーズがヤマトを沈めたのだと思った。
だが、
「いえ、残念ながらヤマトはワープでミヨーズ大佐の追撃を振り切った様です」
「なんだと!?取り逃がしたと言うのか!?」
「は、はい。ですが、ミヨーズ大佐は引き続きヤマトを追跡するとの事ですが、遭遇戦で第二特務艦隊は一個駆逐艦部隊を喪失した模様で、戦力補充の要請も来ています」
「くっ‥‥まぁ、駆逐艦一個部隊ならば現状差し引いても問題はない。直ぐに手配して合流させろ」
「はっ!!」
カザンは現在、地球の近海に防衛軍の艦は存在しないモノと判断した。
それは此処に来るまでの間の基地は全て人員を潰しているので、人の乗らない宇宙艦船など、ただの宇宙金属の塊に過ぎないと思い、現状は地球上のパルチザンとヤマトが目の上のたん瘤だったので、その一つであるヤマトを潰す為ならば、一個駆逐艦部隊など地球に居なくても問題ないと判断した。
だが、カザンのこの判断は裏目に出る結果となった。
此処で視点は暗礁宙域ともいえる小惑星帯に変わる。
地球防衛宇宙海軍 次元潜航艦SS伊400 艦橋
「西住殿、逸見殿からの情報が来ました!現在狩場に接近してきているのは駆逐艦級が五隻に輸送艦級が二十六隻ですね」
SS伊400副長の秋山ゆかりが哨戒に出ていたエリカからの報告をみほに伝える。
「二十六隻?今回はやけに輸送艦が多いね?」
「どうも最近の我々の群狼戦術のせいで補給線が滞っているのでしびれを切らして数に物を言わせて一隻でもたどり着ければいいと考えたようです」
防衛軍所属の宇宙戦闘艦の中でいまだに太陽系内に展開している数少ない艦艇である次元潜航艦SS伊400は小惑星帯にて次元潜航して潜んでいた。
地球占領の報を聞いた際には艦橋要員全員どころか艦内の乗組員全員が取り乱す事態となってしまったが、束が事前に渡していた封印命令書と何とか無事だった宇宙要塞アクシズ・宇宙要塞ソロモン・宇宙要塞ア・バオア・クーを拠点に宇宙での群狼戦術を用いた作戦を行うという臨時総司令官となったマクファティ・ティアンム中将からの指示を受けて全艦健在であった他の次元潜航艦とともに潜伏していたのだ。
暗黒星団帝国地球占領軍の物資が枯渇しているのは決して中間補給基地の怠慢ではなかった。
そして攻撃のためにコスモ・セイランを展開させ、哨戒機として活用して雷撃を行うこととなっていた。
「イギリス軍区のネレイドは?」
・イギリス軍区所属 次元潜航艦 『ネレイド』
イギリス軍区所属の重雷装次元潜航艦である。元々は本土防衛艦隊所属であり、暗黒星団帝国のイギリス襲来の際にはイギリス本土のリバプール港に係留されていたが非常事態を受けて女王陛下と『私は市民と共にある!!』と言ってきかなかった首相一行を無理やり乗せて緊急出航。
なんとか暗黒星団帝国軍の包囲を突破して宇宙要塞アクシズに避難したのちにティアンム提督の指示により群狼作戦への動員が命令された。
「配置につきました。他にも伊19、伊14、伊15、U-511も同じく準備完了です」
「よし!配置につけ!!赤色灯を点灯!!」
みほからの命令に基づき、艦内灯が赤色灯に変わり、乗員たちの空気が変わった。
『こちら魚雷発射管室の松本だ!!今日のウナギ《魚雷》は何にする?』
発射管室の松本 里子班長からみほに何の魚雷を使うか催促が来た。
「二式亜空間魚雷を全発射管に装填でお願いします。ミサイル類は亜空間に潜航中は使えませんので」
『分かった。二式亜空間魚雷、全菅装填!!』
みほからの指示を受け、伊400の艦首魚雷発射管すべてに亜空間魚雷が装填された。
「潜望鏡をあげてください!」
「潜望鏡上げ!!」
そして潜望鏡をあげさせると同時にみほは潜望鏡を覗いた。
そこにはゆかりがエリカからの報告書を読み上げたとおりの敵艦隊が航行していた。
「‥‥魚雷進路一番、三番、五番、七番発射管は右に二度ずつずらしてください二番、四番、六番、八番は左に二度ずつ」
「発射管室聞こえていましたね?」
『了解!』
みほの指示を聞いた水雷長の五十鈴は松本に指示を伝達し、各発射管の発射準備が整った。
「‥全門斉射!!」
「ってぇ!!!」
伊400から八本の亜空間魚雷が斉射された。
ドガァアアアアン!!
「な、何事だ!?」
「て、敵の攻撃と思われます!!」
「ど、何処からだ!?何処から攻撃が!?」
「れ、レーダーには艦船の反応はありません!!」
「では、この魚雷は何処から来たと言うのだ!?」
「わ、分かりません!!」
地球よりも科学技術が進んでいる暗黒星団帝国でも、次元潜航艦の技術はまだ存在していなかったので、彼らはどこから魚雷が来たのか分からず、混乱し逃げ惑うしか出来なかった。
「転舵一杯!!この宙域から一刻も早く離れろ!!」
暗黒星団帝国軍の輸送船団は船団内で突如として発生した爆発を敵の攻撃と判断し、退避を選択したが‥‥
ドガァアアアアン!!
そこにはネレイドや伊19が展開していたのだ。
「ま、また魚雷だ!!」
「い、一体何処から‥‥?」
「地球軍‥魚雷艇の待ち伏せか!?」
暗黒星団帝国は姿の見えない魚雷攻撃に恐怖し、恐れおののきながら、この魚雷攻撃は小型の宇宙魚雷艇からの攻撃ではないかと推測した。
「いかん!!艦を戻せ!!うわぁぁ!?」
こうして輸送船団は再び壊滅し、占領軍の補給はままならない状況が続くことになった。
次回 第七艦隊
銀河鉄道物語の小説を一話試し書きしたのですが読みたいですか?
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