内惑星艦隊の奮闘   作:島田愛里寿

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第百十八話 第七艦隊

地球では軍・民を合わせた抵抗勢力によって暗黒星団帝国の占領政策は揺らぎ始めていた。

 

レジスタンス・パルチザンによる破壊工作、次元潜航艦部隊による補給線攪乱。

 

それでもなお地球奪還の道は遠い。

 

しかし、そんな抵抗に遭いつつも暗黒星団帝国は何故か地球へ撃ち込んだ重核子爆弾を起爆させる兆候を見せない。

 

暗黒星団帝国が地球人類に発した『起爆させれば、地球人類のみ絶滅させる』と言う警告が一見ブラフに見えるが、ヤマトがイカルスを出航する寸前、地下に潜った藤堂が地球の現状を伝える際、藤堂は真田に重核子爆弾の意見を聞いた。

 

その際、真田は重核子爆弾の正体がハイペロン爆弾である事を見抜き、カザンの宣言は事実である事を伝えた。

 

真田の見解を聞いた藤堂は、パルチザン各部隊に連絡を取り、当分の目的を地球解放からまずは、ハイペロン爆弾占領とした。

 

 

地球にて人類が地球解放の為、戦っている中、ここで視点を地球からシリウス恒星系へと戻そう。

 

ヤマトとの合流を果たした内惑星系艦隊特別選抜演習艦隊であったが地球の現状を伝えられ、演習のために分離して以降連絡がつかなかった第七艦隊が暗黒星団帝国軍の攻撃を受けていると判断し、全艦載機を発艦させるとともに全艦隊をシリウス恒星系の反対側へと急行させていた。

 

 

無人戦闘機ADF-11Fレーベン 一番機

 

武御雷から発艦したフギンの操作する無人機は小惑星帯を艦載機隊の中から一番早くに潜り抜け、第七艦隊を捜索していた。

 

「ん?あれは‥‥」

 

そして暗黒星団帝国艦隊の攻撃を受けている第七艦隊を捕捉したのだ。

 

「こちらフギン、第七艦隊を捕捉した。しかし敵の攻撃を受けている」

 

 

特別選抜演習艦隊旗艦 武御雷 艦橋

 

『‥‥とのことだ、束!!』

 

「くっそ!嫌な予感が当たったか!!全艦載機隊を現場に急行させて!!レーベン各機は第七艦隊を攻撃しようと前進してくる敵艦に回して!!全艦最高速度で第七艦隊が居る宙域へ急行!!」

 

「機関長!!さっさと機関出力を全開にせい!!航海長!!怖がっている場合か!!船体が傷つこうが多少の傷でダメージを負う武御雷ではない!!構わんから急げ!!!」

 

「お、おう!!クロちゃん!!全速だ!」

 

『はぁ!?いきなりそんなことをしたら波動エンジンにダメージが‥‥!!』

 

束は全艦隊全速で第七艦隊が奮戦している宙域に向かうように指示し、同時に航空隊に攻撃命令を下した。

 

それと同時にディアーチェは機関出力を最大にしたうえで知床航海長に全速一杯で急行するように指示を出した。

 

それを受けて柳原機関長は機関部で指揮をとっている機関副長の黒木洋美に全速を出すように指示を出したが黒木としてはそんなことをしたら新型機関とはいえダメージが発生する恐れがあったので心配だった。

 

「そのようなことを言っている場合か黒木!!機関が壊れれば修理すればよかろう!!しかし第七艦隊が全滅した場合は貴様が戦犯扱いになるぞ!!いやだったらさっさと全速を出せい!!」

 

『ああもう!分かったわよ!!』

 

「航海長!全速一杯OKでぃ!!」

 

「はっはい~~!!」

 

結局、ディアーチェが黒木を一喝して全速を出させたことで武御雷はさらに速度を上げた。

 

武御雷に同行する形でヤマトが進み、続いて晴風型重雷装駆逐艦の晴風、沖風、時津風、天津風が全速で続いている。

 

その後方に主力艦隊が続く形で艦隊は全力で小惑星帯からの脱出を図っていたのだ。

 

 

 

赤城所属 赤城攻撃隊

 

「まったく!まさか無人機ごときに先陣を取られるとは!」

 

「し、仕方ありませんよ、ルーデル。無人機は搭乗者の心配なしに速度を上げられるんですから‥‥」

 

先陣を奪われて赤城航空隊攻撃隊隊長のハンナ・ウルリーケ・ルーデルはご立腹であった。

 

とは言え、アーデルハイトの言う事は尤もであった。

 

第二次イスカンダル遠征にてゴルバが使用した無人駆逐艇テンタクルスも無人だった故に艦内にかかる重力を無視した動きをすることが出来た。

 

無人艦の操縦性能があがれば、威力偵察等の偵察と敵に対する先制攻撃など、メリットが増えるだろうが、地球占領軍に無人艦隊が全滅させられた経緯を見ると、無人艦の運用は地球にとってまだまだ課題がある発展途上であった。

 

しかし、ルーデルとしては先陣を切って一番槍の誉を得ようとしていたのだが、レーベンのフギン、ムニンにあっという間に追い越されてしまい、ようやく第七艦隊を捕捉したのだ。

 

(と言っても有人機部隊の中ではルーデルが先陣を切っているけど、それじゃあ満足できないのかな?)

 

相棒であるアーデルハイトはそんなルーデルをなだめていた。

 

「むっ!アーデルハイト!!下方を見てみろ!!」

 

「え?」

 

ルーデルに言われてアーデルハイトは下を見てみると、

 

「かなりの大型艦ですね。しかも他の艦と比べると明らかに大きいです」

 

「ああ、おそらく奴が艦隊旗艦なんだろう。よし!私たちはあいつに攻撃を仕掛けるぞ!!全機に通達!!ルーデル隊は私に続いて敵艦隊の中で一番デカい奴を叩くぞ!雷撃隊は他の取り巻き共の中で中くらいのやつを叩くんだ!!」

 

そう言いながらルーデルは機体を反転させて急降下を開始した。

 

ウゥゥゥウウウウウ―――‐!!!!

 

「よし!ジェリコの喇叭も正常に作動しているな!!」

 

「このサイレンみたいな音は何でガミラスのころから設定されていたんですかね?」

 

「機体の構造が関係しているんじゃないか?」

 

第七艦隊を襲っている暗黒星団帝国軍艦隊の旗艦であるプレアデス改級めがけて急降下を始めたコスモスツーカにはかつてのスツーカの鳴らしていたジェリコの喇叭のような音が流れるようにガミラスのスヌーカ時代から設計されていたのだ。

 

そのためかつてソ連兵を恐怖のどん底にたたき込んだジェリコの喇叭と同じ音色を鳴らしながらルーデルのスツーカがほぼ直角で降下し、敵旗艦の艦橋に空対艦ミサイルと航宙爆弾を叩きつけた。

 

「まったく!あの魔王は相変わらず勝手だな!!」

 

「まぁいいではないですか。あいつのおかげで我々にはこれっぽちも対空砲火が来ていないんですから」

 

ルーデルに置いて行かれた雷撃隊ではルーデルの勝手さに怒っていたが対空砲火が来ていなかったので雷撃隊は悠々と暗黒星団帝国艦隊に接近していた。

 

「艦爆隊!ルーデル機に続け!!」

 

「よし!各機!アタックポジション!!」

 

 

・コスモ・アヴェンジャー

 

【挿絵表示】

 

北米管区がガミラスの『DMT-97型空間雷撃機』を基に開発した新型雷撃機。元来防衛軍ではコスモタイガーⅡを基にしたコスモタイガーⅡ雷撃型を運用していたがガトランティス戦役において、カラクルム級大型戦艦と遭遇した航空隊がいくら雷撃を行っても効果が見られなかったことから現場から対艦能力の高い魚雷を装備した新型機の開発が要望されていた。

 

そんな時にイスカンダル星救援作戦の際に行われた技術交換にて得られたドルシーラを基に機動性の向上と機首機銃の搭載を行って開発された。

 

20mを超える大型魚雷はその大きさと炸薬量がかなりあることもあって威力は絶大で、並みの巡洋艦であれば一発で船体がへし折れるほどである。

 

元となったガミラスのDMT-97は機体の下部に魚雷を二本装備しているが、コスモ・アヴェンジャーは魚雷の大型化と威力を高めるために一本になっている。

 

 

雷撃隊隊長の指示を受けた一航戦雷撃隊はすぐに攻撃体制を整えた。

 

「全機、突入進路を確保!!アタックポイントまであと少しです!」

 

雷撃隊とルーデル隊から少し遅れた爆撃隊はそれぞれの攻撃位置についていた。

 

そしてルーデル機が敵旗艦らしき大型艦に攻撃を叩き込むと同時に、

 

「全機突入!!」

 

「「「「「了解!!」」」」」

 

この一言を合図に暗黒星団帝国地球侵攻艦隊第二陣にとっての地獄が始まった。

 

突如として出現した謎の無人機が先行していた駆逐艦二隻を血祭に上げると同時に艦隊旗艦の艦橋が爆発したのだ。

 

この事態に艦隊全体が混乱状態に陥ったその瞬間に小惑星帯から突如として出現した大編隊が側面から殴りかかって来たのだ。

 

戦艦や空母に多数のスツーカが殴りかかり、援護に回ろうと反転する巡洋艦、護衛艦にアヴェンジャーの20m空間魚雷が叩き込まれる。

 

戦艦は巧みな急降下爆撃によって艦橋部や機関部に直撃を受けすぐに戦闘・指揮不能になるか誘爆して爆沈。

 

空母は制空戦闘機を慌てて発艦させようと発艦口を開けるとそこに爆弾が直撃して艦載機に誘爆を繰り返して戦闘行動不能にとなる。

 

巡洋艦や護衛艦に至っては対空砲火を多少放つことができたものの、コスモ・アヴェンジャーの魚雷で船体をへし折られ、手が空いていたコスモタイガー隊による対艦ミサイルで瞬く間に仕留められていく。

 

航空隊の攻撃のみで、壊滅寸前に追い込まれてしまったために急ぎ撤退を図ろうとしたもののそこに逃がさんとばかりにヤマト、武御雷、晴風、沖風、天津風、時津風を先頭に内惑星系艦隊特別選抜演習艦隊が鬼神の加護があるかの如く殴りかかって来たので、暗黒星団帝国側としてはたまったものではない。

 

暗黒星団帝国軍地球占領艦隊第二陣としては地球の最新鋭艦を奇襲により撃沈する事が出来るチャンスであったが、まさかのどんでん返しをうける羽目になり、第七艦隊を数の暴力でいたぶっていた暗黒星団帝国軍地球占領艦隊第二陣はたったの数時間で殲滅された。

 

 

武御雷 艦橋

 

「ふぅ~‥これで全部でしょうか?」

 

『ああ、現在のところはコスモレーダーに反応は見られない。敵艦隊は全滅したと判断していいだろう』

 

「よかった。第七艦隊は無事かな?通信長、通信は開けそう?」

 

「はい、無線はまだ無理ですがおそらく有線通信なら大丈夫だと思います」

 

「よし、ヤマトも接舷するみたいだし、こっちも接舷しようか?」

 

「うむ、航海長。頼むぞ?」

 

ギンガからの意見具申を聞き入れた束とディアーチェはヤマトとともに春藍に接舷するために武御雷を春藍に寄せさせた。

 

「通信ケーブル接続完了しました。月村司令、早速春藍から通信が来ていますのでパネルに回しますね?」

 

「うん、よろしく」

 

そして通信回路が開かれてモニターに山南の姿が表示された。

 

 

『ヤマトの諸君、そして内惑星系艦隊の諸君も久しぶりだな。よくぞ我々を見つけてくれたな?恩にきるよ』

 

『山南司令?山南司令が乗っておられたんですか!?』

 

「あぁ~そう言えば古代君には説明してなかったね」

 

「まぁ、仕方あるまい。彼奴はヤマトを降りて以降はパトロール艇の艇長任務をやっとったんだからな」

 

古代は山南司令が春藍に乗っていたことに驚いていたが束とディアーチェは知っていたので無事だったことに安堵していた。

 

『うむ、勿論君の兄さんも乗っているぞ?守君、出たまえ』

 

『やあ皆、久しぶりだな?』

 

『兄さん!』

 

『守‥‥』

 

『お父様!!』

 

「は?」

 

「えっ?」

 

そして古代守が無事だったことに進、真田は安堵していたがレーダー長の席に座っていた雪に似た少女が守のことを『お父様』と言ったことにディアーチェを始めとしてヤマト、武御雷、春藍の艦橋員たちは固まってしまった。

 

「ど、どういうことだ?守のやつには確かにスターシア陛下との娘のサーシアがおるがまだ赤子だったはずだろう!!」

 

「あぁ~真田君。どうもバレたっぽいよ?」

 

『束、やはりお前は気づいていたのか?』

 

「そりゃあねぇ?真田君の姪って言っても金髪の時点でなんか違和感あるし、いくら叔父と姪の関係とは言え、真田君とは全然似てないもん。ヤマトの出航準備の時にチラッと見てから『真田君よりもスターシア陛下か雪さんに似ているなぁ~』って思っていたし‥‥」

 

『‥‥相変わらずお前は勘が鋭いな。こうなってはもう仕方がない、皆に話しておこう』

 

真田は束の勘の鋭さに感心していたが束としては前世の知識経由だったので勘というわけでもない。

 

(面倒なことになるので黙っているが‥‥)

 

『澪は俺の姪ではない。スターシアと古代守との間に生まれた娘のサーシアだ』

 

「はぁぁぁ!?」

 

「え?ちょっと待ってください!?以前見たときはまだ赤子でしたよね?なら今はまだ2~3歳かせめて5歳くらいでしょう!!それが何であんなに大きく!!」

 

ディアーチェとギンガは困惑していたが束は‥‥

 

「まぁ、地球人とイスカンダル人という異星人との地球史上初めて?の混血人だからねぇ?いろいろと違うんでしょう?」

 

と軽く流していた。

 

『今はそんな事を説明している時間はない!とにかく彼女はサーシア本人なんだ!!』

 

と真田もさっさと話を切り上げた。

 

その後、第七艦隊にも地球の状況が教えられた。

 

どうも艦隊を分離した後に無線機が不調を起こしたようで修理しつつ、通信を試みていたようだがその微弱な通信波を敵に感づかれたようでこの小惑星帯まで追い込まれたようだ。

 

そしてヤマトから地球の現状が伝えられると春藍側も驚愕していたが、第七艦隊はあるデータを得られていたことが功を奏した。

 

それは空間歪曲のエコーだ。

 

戦艦等がワープアウトするとその進行ベクトル前方にエコーを出す、あまりに微弱なために前方からしか探知できないが、その波は距離によって変わる。

 

第七艦隊はちょうど正面から敵艦隊のワープアウトを観測できていたのでデータがあったのだ。

 

そしてヤマトの真田と大山が分析すると、太陽系外周からおよそ20万光年先から来たと判明した。

 

しかし20万光年の地点には何もないがさらに20万光年先にある暗黒星雲が観測できたのでそこから来たと予測された。

 

とはいえその20万光年先には敵の中間補給基地があると想定された。

 

ヤマト単艦のみでそんな場所を突破できるとは到底思えなかった事から守からの提案で一気に事態が変わった。

 

『第七艦隊と内惑星系艦隊特別選抜演習艦隊の動ける艦を同行させる』

 

この提案は実行可能であった。

 

さすがに航続距離等に問題がある晴風型重雷装駆逐艦、秋月型突撃駆逐艦や改オマハ級重巡洋艦、金剛改型装甲巡洋艦、パシフィック級軽装甲巡洋艦等や第七艦隊の損傷の大きい艦は無理だが工作艦明石による修理や太陽系から離脱してきた艦艇はシリウス恒星系に集結するようにと封印命令書に書いていたこともあって、シリウス恒星系を一時的に拠点化させることに活用できる。

 

それにその他のドレッドノート級や赤城型戦闘空母、各管区の護衛戦艦、伊吹型防空巡洋艦、アンドロメダ級は普通に長距離航海に耐えられるし、無人艦も多少の修理ですぐに運用可能なのだ。

 

これを受けて各艦の修理を行いつつ、居残り組と遠征組に分かれて進撃を再開することとなった。




次回 探究者

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