最近いろいろと忙しくて…
此処で時間は少しだけ過去に巻き戻す。
ヤマトを始めとする暗黒星団帝国本星への選抜艦隊がシリウス恒星系から二十万光年先へワープする少し前、某宙域では‥‥
暗黒星団帝国 特務第二艦隊旗艦 ガリアデス 艦橋
「ミヨーズ司令、空間歪曲干渉装置設置完了いたしました!!」
「エネルギーパネル動作正常。干渉装置へのエネルギー注入、開始!!」
「ふん‥‥ご苦労。ヤマトは間違いなく、我々の本星を目指してくる‥‥銀河系のオリオン腕からのワープなら、この宙域を通る筈だ。間違いなく、この場所をな‥‥」
この宙域にて、ヤマトを待ち構えようとしているのは暗黒星団帝国でも『狩人』の二つ名を持つミヨーズ大佐。
彼はカザンの命令でヤマト捜索兼追撃隊の司令官としてイカルス付近を捜索中にヤマトを見つけた。
イカルス付近での戦闘では前衛艦隊がヤマトにより撃破されるもヤマトの行き先が自分たちの母星である暗黒星団帝国本星と言う事でヤマトがオールトの雲、シリウス恒星系に立ち寄っている間に特務第二艦隊はシリウス恒星系から十七万光年先にある宙域でヤマトを待ち伏せしていた。
しかもイカルス付近でヤマトにワープで逃げられた経緯からヤマトはシリウス恒星系から長距離ワープで自分たちの母星を目指していると予測していた。
そこで、彼は空間歪曲干渉装置を使い、空間を広範囲に歪曲させて干渉効果でワープ中のヤマトのワープ航路を狂わせてこの宙域へワープアウトさせ、待ち伏せていた艦隊で一気にヤマトを沈める作戦をとったのだ。
次元潜航艦技術はまだ持っていない暗黒星団帝国であったが、こうしたワープ中の相手に干渉して自然な形でワープを中断できる技術は地球はもとより、ガミラス、ミッドチルダにもない技術なので、この後にワープアウトしてくる遠征艦隊の面々が戸惑うのも当然であった。
「エネルギー注入、100%に到達!!」
「空間歪曲干渉装置起動!!干渉波を放出せよ!!」
ミヨーズが命令を下すと、まるで虫の様な形をした人工衛星のような機械が起動し始めた。
この干渉波の影響を受け、選抜艦隊は当初予定していた二十万光年先の宙域よりも手前の宇宙空間にワープアウトしてしまったのだった。
そして、時間は元に戻る。
武御雷 艦橋
「敵の配置は?」
「艦隊の前方‥扇状に展開しています」
「束、恐らく敵は我が艦隊を包囲するつもりなのだろう。敵艦隊の中には戦艦の姿もある。連中、本気で我々を潰す気で来ているぞ」
「艦長」
「ん?なに?」
「敵艦隊後方に大きなエネルギー放射点がいくつかあります」
「多分それがこの付近の空間を歪めている干渉装置だ。それを破壊しなければこの空間でのワープは出来ない」
「束、長距離レーダーがホワイトアウトしたぞ!!」
「レーダー妨害までしてきたか‥‥」
(前世ではゲームだから失敗してもコンティニューできるけど、此処では現実‥‥コンティニューなんて出来ない)
「どうするのだ?干渉装置とやらを破壊しなければ、ワープでの回避は不可能。それに敵さんはレーダー妨害をした上にこちらを包囲殲滅してくるつもりだぞ」
さらに波動砲、陽電子衝撃砲も波動エンジンの理論を一部に応用しているため威力が落ちる可能性が高い。
(此処で取るべき選択肢は二つ‥‥)
(戦力を集中して一点突破を図るか?)
(それとも分散して敵艦隊を各個撃破するか?)
(しかし、どちらもリスクがあるしな‥‥)
地球艦隊と敵艦隊には戦力差があり、どちらも時間を掛ければ包囲殲滅の危機がある。
この現状を打破するには敵艦隊後方にある干渉装置を破壊しなければならない。
(干渉装置自体には恐らく防衛手段はない筈‥‥)
(敵は干渉装置に頼り切った作戦を立てている筈だから、何とか干渉装置の近くまで行く事が出来れば勝機はある)
「通信長」
「は、はい」
「各艦の通信回路を開いて」
「了解」
束はギンガに無人艦を除く遠征艦隊の艦艇との通信回路を開かせる。
「武御雷艦長の月村です。今回のワープアウトに関して敵は恐らく空間に何らかの干渉を可能とする干渉装置で我が艦隊を強制的にこの空間へワープアウトさせたものと思われます」
『うむ、真田もお前と同じ様な事を言っていた』
「恐らく、このままですと波動エンジンに関連する機器・兵器に影響を及ぼすモノと思われます。よって我々が優先すべきことは敵艦隊の殲滅よりもまずは敵艦隊の後方にある干渉装置の破壊であると考えます」
『うむ、確かに‥‥』
「なので、此処は戦力を集中して一点突破、一気に干渉装置へ接近し、干渉装置を破壊すべきかと思います」
束は各個撃破よりも戦力の集中を選択した。
今は敵艦隊の殲滅よりも干渉装置の破壊を優先しなければならない。
なので、敵艦隊に一々構っている余裕なない。
『それしかないか』
「戦列に関しては、本艦と春藍がそれぞれ左右前面に展開し、艦隊左右の外側を無人艦、中央に有人艦を配置し、右翼側より敵包囲網の突破を試み、航空隊は左翼側の敵の足止めを要請します」
束は作戦案を各艦の艦長たちに説明する。
この状況下では長々と会議をしている訳にもいかないので、束の作戦案は直ぐに採用され、ヤマト、武御雷、戦艦空母からは次々と航空隊が発進する。
「航空隊へ、目的は敵艦隊の足止めであって撃沈ではない。だから絶対に無理はするな」
左翼側の展開する敵艦隊に向かう航空隊に対して束は忠告を送る。
規模から言えば、航空隊すべての戦力と敵の戦力ではとても殲滅は不可能だ。
なので、少しの間だけでも敵の足を鈍らせ包囲網が完成する前に此方は敵の包囲網を突破して干渉装置を破壊すればいい。
「敵艦接近!!」
「砲撃開始!!」
地球艦隊は射程内に入って右翼側の敵艦隊へ砲撃をするが、地球艦隊が放ったショックカノンの弾道は大きくズレた。
「な、なんだ!?ショックカノンが曲がった!?」
「艦長、波動エンジンの出力も落ち始めている!!」
「干渉装置の威力が此処までとは‥‥」
「束、本艦と春藍はエンジンが二基あるが、ヤマト以下の艦は大丈夫か?」
「ちょっとやばいかもしれない‥‥何とか本艦と春藍で活路を出さないと!!敵への攻撃はショックカノン等の光学武器ではなく、ミサイルや魚雷、砲弾による実弾攻撃へ!!ただし、波動カートリッジ弾は残弾数が限られているので、極力使用しない様に!!通信長、他艦にも通達!!」
(このために晴風型重雷装駆逐艦を提言して建造させたのに…!!)
「了解!!」
束は内心で晴風型重雷装駆逐艦四隻を航続距離の問題からシリウス恒星系においてきたことを悔やんでいたがどうにもならない。その間にギンガは他艦に実弾使用による攻撃を通達した。
その頃、左翼側では航空隊が敵艦隊と接触した。
ガリアデス 艦橋
「敵、包囲網に接近!!まもなく接敵します!!」
「第二、第六、第七部隊にはヤマト以下の戦艦部隊、第一、第三、第四部隊には敵艦載機群が接近!!」
「ふん‥‥覚悟を決めて突入を試みようと言う訳か‥‥全艦、狙いを絞れ!!一気に蜂の巣にしてやるのだ!!」
ミヨーズは地球艦隊が特攻を仕掛けて来たのだと判断したが、干渉装置の干渉波で地球艦隊の光学武器が使用不可能であることを計算しており、逆に自軍の艦隊の砲撃は干渉波の影響を受ける事は無いので、一方的に攻撃出来るモノだと思っていた。
武御雷 艦橋
「くそっ、至近距離の敵は何とかなるが、中、遠距離の敵には当たらない」
中、遠距離となると戦艦クラスの艦が砲撃してくる。
実弾攻撃では効果があるが、相手は弾幕でそれを迎撃しつつこちらに攻撃を仕掛けてくる。
「敵のショックカノンは曲がらずにそのまま来ます!!」
「右舷Aブロックに被弾!!」
「メデックは負傷者の応急救護にかかれ!!」
「技術班は応急修理を急げ!!」
「くっ、敵のショックカノンはこの干渉波の影響を受けていないのか!?」
「そりゃあ、自分が用意した罠に自分が引っかかるような真似はしないでしょ‥‥暗黒星団帝国はかつてエネルギー源としてイスカンダリウムとガミラシウムを採掘しようとしていたから、地球製の波動エンジンとは似て異なる動力で動いているはず‥だから干渉波の影響を受けずに済んでいるんだよ」
「つまり、弱体化するのはこっちで、向こうは平気と言う訳か‥‥敵は随分と狡猾な罠を張るではないか」
「副長、感心している場合じゃねぇぜ、このまま長期戦だといくら波動エンジンが二基あるとはいえ、いずれは動かなくなっちまうぞ!!」
「機関長、波動砲は撃てる?」
「波動砲‥‥ま、まぁ、此奴と春藍には二基の波動エンジンがあるからな、撃てねぇことはねぇが、撃てても一発~二発が限界だ。それ以上撃つと、いくらなんでもエンジンが止まっちまうかもしれねぇ‥‥この状況下でエンジンが止まっちまうと、再始動出来るか分からねぇぞ」
「それで十分。通信長、春藍に波動砲の準備を伝達。ヤマト以下の艦艇には本艦と春藍が波動砲を使って包囲網に穴を作る旨を伝えて!!」
「は、はい!!」
ギンガは急ぎ春藍とヤマト以下の艦に束の作戦案を伝える。
春藍 艦橋
「山南艦長、武御雷から波動砲の発射要請が入りました」
「波動砲だと?」
「はい。本艦と武御雷ならば、波動砲を一、二発撃っても航行は可能と言うので、我々が敵包囲網に穴を開け、そこからヤマト以下の艦艇で干渉装置の破壊をしてもらおうとの事です」
「なるほど‥‥よし、波動砲の準備だ。広範囲で一気に敵を殲滅する。拡散モードでチャージを行え」
「了解」
春藍は束の作戦案を聞き拡散波動砲のチャージを始める。
ヤマト 艦橋
「春藍、武御雷周囲に高エネルギー反応!!拡散波動砲のチャージを行っているものと思われます!!」
澪こと、サーシアが春藍と武御雷が拡散波動砲の発射準備をしている事を報告する。
「拡散波動砲を!?」
「そうか‥‥春藍、武御雷はれっきとしたアンドロメダ級の後継ぎだからな‥‥」
「艦長、武御雷の月村艦長より通信です」
「繋いでくれ」
「はい」
ヤマト艦橋のモニターには束の姿が映し出される。
『古代君、今から本艦と春藍で敵の包囲網に穴をあける。そこから一気に突破して干渉装置を破壊してもらいたい!!』
「だが、束。波動砲のチャージは大丈夫なのか?」
守が束にこの干渉波の下、波動砲のチャージに問題はないのか尋ねる。
『大丈夫。敵の干渉波で多少、出力は落ちているけど、本艦と春藍にはエンジンが二基あるから、一発か二発までなら波動砲は撃てるから』
「分かった。通信長、全艦に伝達。波動砲のチャージの間、春藍と武御雷は無防備となる。波動砲のチャージ終了まで敵の攻撃から春藍と武御雷を守れ!!拡散波動砲発射後は一気に敵包囲網に出来た穴より敵を突破する!!」
無人艦を前面に押し、地球艦隊は春藍と武御雷の波動砲チャージまで時間を稼ぐ。
ヤマトの生活区にある一室では、ヴィヴィオとアインハルトがモニター越しで外の戦闘の様子を見ていた。
だが、地球艦隊の戦況が不利だと理解している為か二人の顔色は優れない。
ヤマトが被弾する度に艦が揺れているのも彼女たちに不安を与える原因の一つとなっている。
なお、二人はヤマトが発進してから、サーシアと同じく真田が艦内にある工場で製作したヤマト女性隊員用の制服とブーツ、手袋、ヘルメットを着用している。
当初はボディースーツの様な服装に戸惑い、恥ずかしさもあったが、意外と着心地が良く、身体にフィットするので、身体を動かす際もすんなりと動かす事も出来、おまけに宇宙服の用途も兼ねているので、今では慣れて普通に着用している。
「なんか、ヤマトや地球の艦が大変そう‥‥」
「ビームが真っ直ぐではなく曲がって相手に当たっていませんね」
「だ、大丈夫かな?ヤマト‥勝てるかな?」
「こればかりは何とも‥‥ヤマトや地球の皆さんの事を信じるしか出来ません」
「‥‥」
此処でヤマトが沈めばそれは自分たちの死に繋がる。
そうなれば当然、ミッドに居るなのはや友人たちにも会えない。
しかし、今の自分たちには何もできない。
此処はアインハルトが言うようにヤマト、そして地球艦隊の人たちが勝つことを信じて待つしかなかった。
(管理局の艦だったら、此処まで戦えたでしょうか?)
そんな中、アインハルトはもしもこの戦場で戦っているのが防衛軍の艦ではなく管理局の次元航行艦に置き換えた時、管理局は此処まで戦えたのかと思っていた。
やがて、春藍と武御雷の波動砲のチャージが終わり、
「「拡散波動砲発射!!」」
春藍と武御雷から敵の包囲艦隊に向けて拡散波動砲が放たれた。
「か、艦長!!こ、高エネルギー反応が‥‥うわぁぁぁぁー!!」
「な、何だとぉー!!」
「こ、この閃光は‥‥!?」
二隻の宇宙戦艦から放たれた拡散波動砲は右翼側に展開していた第二、第六、第五、第七の四つの部隊を飲み込んだ。
ガリアデス 艦橋
「な、なんだ?‥‥なんなんだ?‥‥あの兵器は‥‥!!」
「うろたえるな!!敵の兵器は驚愕に値するが、こちらにはまだ充分に戦力が残っているわ!!あの戦艦‥‥ヤマトと共にあの二隻の戦艦も叩き潰せ!!」
拡散波動砲の威力を初めて見たミヨーズや第二特務艦隊の将兵たちは驚愕と地球側の兵器に恐怖する。
しかし、それは何も暗黒星団帝国の人間たちだけではなかった。
「な、なに‥‥?今の‥‥?」
「周りに居た黒い円盤たちが‥‥一瞬の内に‥‥」
ヴィヴィオとアインハルトも拡散波動砲の威力に驚愕していた。
「か、管理局のアルカンシェルよりも強いのかな?」
「お、おそらく‥‥」
(もしも管理局がこの世界と戦争になったりでもしたら‥‥)
アインハルトはもしもこれら宇宙艦船を保有しているもう一つの地球と管理局が戦争をした場合、管理局の次元航行艦があの閃光の中に消えるのではないかと恐怖した。
ヤマト 第一艦橋
「敵艦隊に混乱を確認!!」
「包囲網にも穴が開きました!!」
「出力全開!!一気に敵包囲網を突破する!!」
拡散波動砲により、敵の包囲網に穴が開き動きにも混乱が確認されると、地球艦隊は一気に包囲網を突破して干渉装置へと向かう。
ガリアデス 艦橋
「ミヨーズ司令!!敵が包囲網を突破!!干渉装置に接近しています!!」
「うぬぅぅぅ~‥‥空母艦隊に伝令!!迎撃機を展開し干渉装置を死守するのだ!!」
「了解!!」
「包囲艦隊、包囲陣を解除!!」
「えっ?」
「包囲艦隊も全て差し向けるのだ!!迎撃機だけで止められる相手だと思っておるのか!?」
「りょ、了解」
「ふん、まったくもって使えん部下どもだ‥‥」
地球艦隊から見て左翼側に居た第一、第三、第四部隊は航空隊との戦いを切り上げ、地球艦隊の追撃へと向かう。
「敵艦が反転していきます」
「どうやら、包囲網に大きな穴が開いたみたいだ」
「どうします?」
「俺たち航空隊の役割は此奴らの足止めだ。地球艦隊に向かうのを少しでも遅らせる事だ」
航空隊は反転して地球艦隊を追撃しようとしている暗黒星団帝国の艦隊を後方から攻撃する。
「くっ、うるさい小バエどもが‥‥」
「ど、どうしますか?」
第一、 第三、第四部隊は一刻も早く地球艦隊を追撃して干渉装置を守らなければならない。
しかし後方からは地球の艦載機群が嫌がらせ程度の攻撃をしてくる。
しかも魚雷、爆弾、ミサイルでの攻撃なので、こちらには着実に被害が出ている。
「足の速い駆逐艦を先行して干渉装置の防衛に回せ!!戦艦部隊は巡航速度のまま、このうっとおしいハエどもを撃ち落せ!!」
武御雷 艦橋
「干渉装置手前に空母部隊を確認。迎撃機を展開し始めています!!」
「左舷側より敵駆逐戦隊も接近してきます」
「航空隊は?」
「左翼側の敵戦艦部隊を相手にしています」
(駆逐艦と敵艦載機の相手なら何とかなるか‥‥)
「春藍に通達、敵空母部隊に向けて波動砲の用意を‥‥航空隊には敵戦艦部隊を本艦の波動砲の射線軸へ誘導するように伝えて」
残る強敵を波動砲で蹴散らし、ヤマト以下の艦艇が干渉装置を破壊する時間を稼ごうとする。
「機関長、波動砲はもう一発は撃てるよね?」
「撃てない事はねぇが撃った後で、エンジンが止まるかもしれねぇぞ」
「構わない。ヤマトが干渉装置を破壊してくれればエンジンの調子も元に戻るなら、本艦も敵艦隊の足止めとして此処で踏ん張るよ」
「分かった。クロちゃん!!もう一発波動砲を撃つぞ!!」
『ええー!!もう一発!?今度、波動砲を撃ったらエンジンが止まるかもしれないわ!!そうなったら再始動できるか分からないのよ!?』
「ヤマトが干渉装置を破壊するまでの辛抱でぇい!!景気よくぶっ放すぞ!!」
『はぁ~‥‥もう、どうなっても知らないわよ』
「通信長、航空隊に下令、敵戦艦部隊を本艦の波動砲の射線軸へ誘導せよ‥と」
「了解」
ギンガは再び春藍と航空隊に束の作戦案を伝達する。
「敵戦艦部隊、本艦の射線軸に到達」
航空隊は上手く敵の戦艦部隊を武御雷の波動砲の射線軸へ誘い込む。
「航空隊には退避命令を!!」
「波動砲発射準備完了!!」
「波動砲発射!!」
武御雷の波動砲は左翼側に展開していた戦艦部隊を‥‥
春藍の波動砲は干渉装置の護衛をしていた敵空母部隊を一撃で葬り去った。
「機関出力低下‥機関停止!!」
「推進力低下!!航行不能!!」
二基のエンジンがあるとはいえ、この特殊な状況下で波動砲を二発撃った春藍と武御雷は機関停止の状態となった。
しかし、包囲網を突破して、干渉装置を護衛していた空母部隊も消滅した事で干渉装置は丸裸状態となり、干渉装置自体にバリアなどの防御手段もなければ、自衛の為の武器も無く、あっさりとヤマト以下の戦艦、無人艦及び戦艦空母の攻撃で破壊された。
「干渉装置の破壊を確認!!」
「機関再始動!!」
「レーダー機能も復旧しました。敵の残存艦がワープにて撤退していきます」
干渉装置が破壊された事で干渉波が消滅し、春藍と武御雷の波動エンジンが再稼働し始めた。
「随分とあっさりと引いていくな‥‥」
此処まで大規模な罠と艦隊配置を仕掛けたのだからもっと悪あがきをするかと思いきや、あっさりと引いていく敵に何だか拍子抜けする。
「いや、相手の指揮官はまさに名将の戦いだよ。戦争において撤退戦はもっとも困難な戦闘だ。敵が追撃を仕掛ける前に引き際を見極め撤退する‥‥あの艦隊の指揮官は強い」
束はミヨーズを高く評価した。
ガリアデス 艦橋
「干渉装置、全て破壊されました!!」
「ふん‥‥」
「どうされますか?ミヨーズ司令」
「‥‥全艦に伝令。退却だ」
「は?」
「我々の任務はヤマトを含めた地球艦隊が母星へと辿り着くのを阻止する事‥‥罠の一つが突破された今、ここで戦力をこれ以上減らすのは愚策‥‥必要のない事だ‥‥次のポイントへ向かい、更に戦力を整えて待ち受けるのだ」
「了解」
干渉装置を切り札とした作戦であった事で、その切り札が破壊された事でミヨーズは作戦の失敗を悟り、直ちに残存艦隊に撤退を命じた。
明確に目的を持ち、それが達成もしくは失敗したら執着せずに離脱する。
今回の干渉装置の罠を含めて、ミヨーズが優秀な指揮官である証明であった。
艦隊が撤退行動をとっている中、
「あの‥‥ミヨーズ司令」
部下の一人がミヨーズに声をかける。
「なんだ?」
「この先には我らの中間補給基地があります。敵艦隊包囲網の突破を基地にも打電しておくべきではないでしょうか?」
「中間基地か‥‥ふん‥‥司令官は確かグノンの奴だったな‥‥」
今回の罠が突破されれば地球艦隊の次の目標地点は自軍の中間補給基地‥‥
この基地が万が一にも破壊されれば地球占領軍の補給に大きな影響が出る。
ならばこそ、基地には警報を入れて万全の迎撃態勢をとらせた方が良いだろう。
ミヨーズは暫し考えるが、
「‥‥連絡は不要だ。中間基地の事は放っておけ」
しかし、ミヨーズは半ば基地を見捨てるような選択をした。
彼としてはヤマトが中間基地で葬られれば所詮それまでの相手だったと言う事だろう。
「しかし、それでは‥‥」
部下は基地が破壊されれば今後の地球占領維持に支障をきたすと思いミヨーズに意見するが、
「いいか‥‥よく聞け‥‥ヤマトは、『私の獲物』なのだ」
ミヨーズは殺気を含んだ視線で部下を睨みつける。
彼はすっかり暗黒星団帝国軍人ではなくヤマトを追いかけ、ヤマトを狩る狩人となっていた。
「は、はい‥‥」
ミヨーズの殺気に当てられて、部下は怯えたように頷いた。
次回 白い花
銀河鉄道物語の小説を一話試し書きしたのですが読みたいですか?
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読みたい!
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別にいい