内惑星艦隊の奮闘   作:島田愛里寿

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お待たせしました!


第百二十六話 罠 前編

此処で時系列は少し過去に巻き戻る。

 

暗黒星団帝国に占領された地球では、レジスタンス活動が活発化しており、暗黒星団帝国地球占領軍はその対処に苦戦を強いられていた。

 

占領軍総司令のカザンは一発逆転をかけて南米の防衛軍、ジャブロー基地を攻撃しようとしていた。

 

そんな中、日本の海鳴市‥‥

 

忍が密かに用意していた月村家所有のセカンドハウスの一室にて‥‥

 

「‥‥」

 

セカンドハウスに避難してきた星奈はベランダにて蜘蛛が巣を作っていたのを見つけた。

 

別に蜘蛛が巣を作るのは珍しくもない。

 

ただ、その蜘蛛の巣には小さな紙が絡まっていた。

 

紙屑がたまたま風で煽られて蜘蛛の巣に引っかかっているだけなのかもしれないが、その紙には『星奈さんへ‥‥』と書かれていた。

 

(私宛?それに蜘蛛の巣‥‥これはもしかして‥‥)

 

誰が自分に宛てたメッセージなのか星奈には分かった。

 

星奈は蜘蛛の巣から紙切れを取り、中身を見る。

 

その紙には、

 

『お話があります。例の場所で待っています』

 

と、書かれていた。

 

「フェイトさん。私、用事ができましたので、外に出ます」

 

「えっ?出かけるの?星奈」

 

「はい。友人の所に‥‥」

 

「私も一緒に行こうか?」

 

心配したフェイトは星奈に自分も一緒に着いて行こうと提案する。

 

何しろ、今の地球は占領下なのだから‥‥

 

占領軍の兵士による女、子供に対する性的暴行事件は起きていないが、やはり心配なのだろう。

 

「いえ、大丈夫です。直ぐ近くですから」

 

星奈はこれから会う人物をあまり他人に見せたくはなかったので、フェイトの同行を断った。

 

「そう?‥‥でも、気を付けてね」

 

「はい」

 

心配するフェイトから見送りを受けて星奈は待ち人との場所へと向かう。

 

街中にはあちこち占領軍の兵士が武器を構えて歩哨しているので、星奈はそうした兵士たちの目を搔い潜りながら地下都市へと入った。

 

占領当初は、占領軍の兵士たちがヤマトや敵対勢力の捜索の為、地下都市にも占領軍の兵士の姿があったが、地下にはヤマトも無く、また正体不明の化け物の襲撃で捜索に当たった兵士たちが次々と襲われる事件が多発した事から、そんなところにレジスタンスが居る訳もないと判断し、現在、地下都市には占領軍の兵士の姿はなかった。

 

その為、星奈は地下都市では悠々と歩くことが出来た。

 

そして‥‥

 

「お待たせしました。純夏さん」

 

「待っていましたよ。星奈さん」

 

星奈に手紙を送り、地下都市で待っていたのは蜘蛛女の純夏だった。

 

「それで、どうしたんですか?」

 

星奈は純夏に自分を呼びだした理由を尋ねる。

 

「星奈さんが言っていたようにあれから、地下都市には地球人とは思えない物騒な人たちが来ました。それで、私はあの物騒な連中を襲ったのですが、そこで奇妙な事に気づきました」

 

「奇妙な事?」

 

「はい。あの人たち全員が機械の身体で出来ていました」

 

「機械?‥‥と言う事は暗黒星団帝国の人たちはロボット?」

 

「いえ、完全なロボットとは言えず、首から上は血が通う生身の身体みたいでした」

 

「首から上が生身で下からはロボット‥‥確かに妙な身体つきですね‥‥」

 

「最初は戦闘用ロボットを送り込んで来たのかと思いましたけど、襲った侵入者たち全てが同じ構造をしていましたし、お互いに人と変わらなく流暢にコミュニケーションをとっていたので、ロボットとも言えないと思いまして‥‥」

 

実際に占領軍の兵士を襲った純夏自身も占領軍の兵士の身体つきに疑問を抱いていた。

 

「そもそも彼らが地球を占領した理由が未だによくわからないんですよね‥‥」

 

ガミラスの様に地球へ移住する様子もなく、また彗星帝国の様に地球人類を奴隷化するわけでもなく、なんだか地球と言う大きな籠に閉じ込めて何かを待っている様な気がしてならない。

 

尤も地球のあちこちでレジスタンス活動が起きているので、それらの活動を鎮静化させた後で、地球へ移住しようとしている可能性は否定できない。

 

「マイ・レディー、一ついいだろうか?」

 

「ん?なに?ルシフェリオン」

 

「暗黒星団帝国の人間が半機械の生命体であり、地球に打ち込まれたあの重核子爆弾の機能‥‥これらから察するに暗黒星団帝国の人間は地球人の身体を欲しているのではないだろうか?」

 

重核子爆弾の機能については暗黒星団帝国が地球占領時に全世界に向けてテレビ中継を行っているので、星奈もルシフェリオンも知っていた。

 

「「えっ?」」

 

そして、ルシフェリオンの仮説を聞き、星奈も純夏も唖然とする。

 

「でも、身体が機械化して地球を占領する事の出来る戦力と技術を察するに暗黒星団帝国の方が、科学技術が進んでいる星のように思えるけど?」

 

「うむ、マイ・レディーの言うように地球と暗黒星団帝国の技術では恐らく暗黒星団帝国の方が上だろう‥‥だが、考えてみて欲しい」

 

「「ん?」」

 

星奈と純夏は首を傾げる。

 

「身体が‥特に首から下が機械化していると言う事は、生物として大きな欠陥がある」

 

「欠陥?」

 

「それはどう言った欠陥なんですか?」

 

「機械化している言う事は、部品を交換すれば、生身の身体よりも長く生きることは出来るだろう。しかし、生物の種としては地球人よりも劣っている。何しろ、身体が機械化しているせいで、次世代へ種を繋ぐことが出来ないのだからな」

 

「「?」」

 

ルシフェリオンの言葉の意味を星奈も純夏も理解できていない様子。

 

まだ小学生なので、子供がどんな経緯を経て生まれてくるのか理解できていない様だ。

 

「と、兎に角、彼奴等の狙いはレディーたち、地球人の身体であると言う事だ」

 

「ど、どうしますか?星奈さん。私の身体はいくら何でも狙われないと思いますが、貴女は‥‥」

 

「分かっています。もしルシフェリオンの言う通り、彼らの狙いが地球人の身体ならば、何とかパルチザンの人たちに伝えなければ‥‥」

 

直接暗黒星団帝国の人間に尋ねた訳ではないので、ルシフェリオンの仮説が必ずしも当たっているとは言えないが、暗黒星団帝国が地球を狙って来た理由の一つかもしれない。

 

この情報をなんとかティアナたちパルチザンへ伝えなければならなかった。

 

「あっ、これ地下都市で見つけたカメラで一応、侵入者の身体つきを記録したメモリーカードです。中身はちょっとグロいので、見ない方がいいですよ」

 

純夏が手渡してきたメモリーカードには占領軍の兵士の解体ショーでも記録されているのだと思った星奈は確認したいと思いつつ見るのを止めた。

 

純夏から占領軍の兵士の身体に関する内容が記録されたメモリーカードを受け取り、星奈は地上へと出た。

 

「問題はどうやってパルチザンの人たちにこのカードを渡すか‥‥ですが‥‥」

 

「ふむ、それについては私が何とかしよう」

 

「えっ?ルシフェリオンが?」

 

「うむ、ただ用意してもらいたい物がある」

 

「ん?」

 

ルシフェリオンは自分が何とか純夏から渡されたメモリーカードをパルチザンに渡すと言って来た。

 

そして、その為にある物を星奈に用意してくれと頼んで来た。

 

「なるほど、これなら怪しまれずに渡せる訳ね」

 

ルシフェリオンが頼んだのは精巧に作られた鳥のぬいぐるみだった。

 

ぬいぐるみの中の綿を取り除き、そこにルシフェリオンとメモリーカードを入れる。

 

「それじゃあ、頼みましたよ。ルシフェリオン」

 

「うむ、任せてくれ」

 

メモリーカードを腹の中に入れたルシフェリオンは空へと飛び立った。

 

「渡すとしたら面識のある管理局組の者たちか‥‥」

 

ルシフェリオンは占領下の町を飛びながらティアナたちを捜した。

 

一方、パルチザン活動をしていたティアナたちは、情報収集のため、私服で町の中を探索していた。

 

そんな中、

 

「マスター‥近くにデバイスの反応があります」

 

「デバイス?フェイトさんが近くに居るのかしら?」

 

クロス・ミラージュからデバイスの反応がある事を告げられたティアナは周囲を見渡す。

 

しかし、近くにフェイトの姿は見えない。

 

(此処は海鳴市じゃないし、フェイトさんが占領下にわざわざ遠出するとは思えないけど、クロス・ミラージュが間違えるはずもないし‥‥)

 

(フェイトさん、星奈以外に誰かデバイスを所持する魔導師が居るのかしら?)

 

ティアナが神妙な顔つきで周囲を見渡していると、外灯に一羽の鳥がとまっているのを見つける。

 

その鳥は何故か自分の事をジッと見つめている。

 

(ん?あの鳥‥‥なんで私の事を見ているの?)

 

ティアナの視線に気づいた鳥はまるでティアナを誘導するかのような飛び方をしつつ人気のない裏路地へとティアナを誘う。

 

ティアナもただの鳥ではないと思いその鳥を追いかける。

 

やがて、裏路地に放置されているゴミバケツの上に妙な鳥は降り立つ。

 

「アンタ、ただの鳥じゃないわね」

 

警戒しつつティアナは鳥に話しかける。

 

自分でも妙な事をしていると自覚しているが、ティアナはどうしても眼前の鳥がただの野鳥とは思えなかった。

 

「ふむ、元気そうだな。管理局の魔導師よ」

 

すると、鳥は人語を離し始めた。

 

「っ!?鳥が喋った!?」

 

「落ち着け、私だ。ルシフェリオンだ」

 

「る、ルシフェリオン!?それって確か星奈のデバイスの‥‥」

 

「そうだ。お前さんと接触する為に今はこの様な姿となっている」

 

「それで、一体何の用なの?」

 

「ふむ、この鳥のぬいぐるみの中に一枚のメモリーカードが入っている。とりあえずソレを取り出してくれ」

 

「え、ええ‥‥」

 

ティアナはルシフェリオンの指示通り、鳥のぬいぐるみの中をまさぐる。

 

すると、ルシフェリオンの言う通り、一枚のメモリーカードが出て来た。

 

「このメモリーカードは?」

 

「ある協力者からの情報提供だ。その中には暗黒星団帝国の人間の身体的特徴が記録されている」

 

「暗黒星団帝国の身体的特徴?」

 

「うむ。私も中身は確認していないが、協力者からの情報では、暗黒星団帝国の人間たちは首から下が機械化している半機械化の生命体らしい」

 

「えっ?首から下が機械化!?」

 

(それってスバルたちみたいな戦闘機人ってこと!?)

 

ルシフェリオンの言葉にティアナの脳裏にはミッドチルダに居る同期の姿が脳裏を過る。

 

「そのようだ‥‥そして私の見解では彼らの身体的特徴と重核子爆弾の機能から、暗黒星団帝国の人間たちは地球人の身体を欲しているものと推察した」

 

「えっ?地球人の身体?それってどういう事なの?」

 

ルシフェリオンは地下都市で星奈と純夏に伝えた自らの仮説をティアナに伝える。

 

「なるほど、確かにそれはあり得るわね」

 

星奈、純夏と違い、ティアナは子供がそう言った経緯を踏まえて生まれてくるのか知っているので、ルシフェリオンが立てた仮説は理にかなっていると思った。

 

占領下にもかかわらず、女・子供に対する性的暴行事件が起きていないのは彼らが性的暴行をしたくてもその特徴的な身体のせいで出来なかったのかもしれない。

 

「兎に角、その情報を味方のパルチザンたちに伝えてくれ‥‥このまま彼奴等の占領を放置しておくと、マイ・レディーの身体もちろん、お前さんたちの身体も彼奴等に乗っ取られる可能性があるのでな」

 

「ええ、急いで北野さんたちに伝えるわ。あんな奴らに身体を乗っ取られてたまるもんですか!!」

 

「うむ、では頼んだぞ」

 

ルシフェリオンはティアナにメモリーカードを託し、再び空へと舞い上がって行く。

 

 

メモリーカードを手にしたティアナは一度、パルチザンのアジトへと戻り、急ぎ北野にメモリーカードと暗黒星団帝国の狙いを伝える。

 

「それは本当ですか!?ランスターさん!!」

 

「私もまだメモリーカードの内容を確認していませんが、情報提供者はその仮説を立てておりまして、私も仮説を聞く限り、その仮説は理にかなっていると思います」

 

「と、兎に角、中身を確認してみましょう」

 

「はい」

 

北野とティアナはメモリーカードの中身を確認した。

 

ただ、ルシフェリオンはティアナにこのメモリーカードの中身がグロ動画である事を伝え忘れており、北野とティアナは化け物に襲われる占領軍の兵士の動画とその解体ショーを見る羽目になった。

 

メモリーカードの中身を一通り見た北野は藤堂に報告を入れる。

 

なお、ティアナはスプラッタ動画を見たせいでグロッキー状態となり、横になって休んでいる。

 

「ん?北野君、どうした?顔色が悪いみたいだが‥‥?」

 

北野はティアナと違いグロッキー状態にはならなかったが、顔色が悪い。

 

「いえ、ちょっとスプラッタ動画を見たせいで‥‥」

 

「?」

 

「そ、それより長官、新たな情報が‥‥」

 

北野はメモリーカードの内容から暗黒星団帝国の人間の身体的特徴と彼らの狙いを伝える。

 

「なるほど‥‥」

 

北野から暗黒星団帝国の人間の身体的特徴と彼らの狙いが伝えられた時、

 

「長官、南米のジャブロー基地が暗黒星団帝国の攻撃を受けているとの事です!!」

 

「何!?ジャブロー基地が!?」

 

南米の防衛軍ジャブロー基地へ暗黒星団帝国の陸上部隊が押し寄せて来たと言う知らせが届く。

 

「それで、戦況は!?」

 

「突然の奇襲ですが、攻め込んで来た占領軍の規模からジャブロー全てを制圧するのは不可能らしく、徐々に反撃に成功しているとの事です」

 

戦況については相手の戦力と地の利が地球側にある事から上手く撃退できているとの事らしい。

 

「‥‥戦闘終了後に敵の遺体を出来るだけ収容し、検体にかけるようジャブロー基地に伝えてくれ」

 

「えっ?敵の遺体を‥‥ですか?」

 

「うむ」

 

「わ、分かりました」

 

やがて、ジャブローでの戦闘は終わり、藤堂の指示通り、比較的損傷が低い占領軍将兵の遺体を収容し、解剖したところ、全ての共通点として首から下は機械化している身体である事が判明した。

 

その報告を受け、今回地球へ襲来し、地球を占領した暗黒星団帝国の狙いが、ルシフェリオンの立てた仮説をより確信へと近づける結果となった。

 

 

そして、時系列は現在へと巻き戻し‥‥

 

シリウス恒星系にて晴風率いる第一重雷装駆逐隊が管理局艦隊を殲滅していた頃‥‥。

 

地球におけるレジスタンス・パルチザン活動は相変わらず苛烈さを増していた。

 

中間補給基地をヤマト率いる遠征艦隊が破壊したという情報が暗黒星団帝国占領軍の情報封鎖の網を食い破り、地球全土に伝わったのだ。

 

(情報を流したのはシリウス恒星系の残留艦隊からの通信を受けたSS伊400経由で情報を得たジャブロー要塞統合通信センターのセンター員である。

 

おかげで地球各地のレジスタンス・パルチザンによる占領軍への攻撃が激化する結果となった。

 

特にアフガニスタンに駐留していた暗黒星団帝国軍は現地民の猛烈な抵抗に遭い殲滅されてしまった。

 

この勢いに乗る日本のパルチザンは敵内部に深く潜伏している『白い花』の情報に基づき、各地で善戦を続けていた。

 

そしてその『白い花』からの情報によると、捕虜となった地球連邦政府の重要人物たちを軌道上の艦隊に移送するという情報を得た藤堂率いるパルチザン本隊は、捕虜が移送される前に収容されている捕虜収容施設への突入を行い、捕虜救出作戦を実行する事となった。

 

その奪還作戦支援のために西住まほ一佐率いるガーディアン連隊残存部隊も行動を起こすこととした。

 

 

ガーディアン連隊臨時拠点 首都圏近郊旧地下都市

 

「ふむ…連邦大統領閣下を含めた政府の重要人物たちを軌道上の艦隊に移送するという情報か」

 

「おまけにその一時収容施設は老朽化で警備が十分ではない‥‥一佐、これ怪しいくないですか?」

 

まほはジャブロー要塞総合通信センター経由で来た藤堂の方針を受けて臨時司令部にて頭を抱え、そばにいた小島は思ったことを素直に言った。

 

落ち着いて考えれば、いかに敵がジャブロー要塞攻防戦にて大打撃を被った上に各地で敗退続きとはいえ重要人物の移送に対して警備を甘くするか?

 

そしてそんな老朽化した施設を一時的とはいえ収容先に用いるのか?

 

そんな疑問に至ると思うのだが、『パルチザン司令部では続く勝利や善戦によって油断や慢心が生じているのではないのか?』とまほは本気で心配していた。

 

いかに信頼度の高い潜伏諜報員からの情報であったとしてもここ最近その情報員からの情報のみを頼りに作戦計画を立てて勝利していけば流石にどんな馬鹿でも情報漏れを疑うであろうし、裏をかいて罠を仕掛けている可能性だって十分にある。

 

とはいえ現在の残存地球連邦軍においてトップである藤堂長官の認可もおりているこの作戦は実行することとなってしまっている。

 

まほはここで味方の損害を可能な限り減らすべくある決断をした。

 

「小島、61式は今現在の状況で何両動かせる?」

 

「え?だ、大体九両前後ですが‥‥ま、まさかっ!!」

 

「ああ、このまま放置していればパルチザン本隊の貴重な精鋭が数を無駄に減らすこととなる。それだけは絶対に避けなければならない」

 

まほは藤堂に断りなしに貴重な機甲戦力を動かすこととしたのだ。

 

元々ガーディアン連隊には72両の61式戦車5型と2両のレオポルド1警邏軽戦車が所属していたのだが、空爆や撤退戦の中で多数が失われ、61式が49両しか残っていないのだ。

 

幸いレオポルド軽戦車は二両とも健在であったが、他の機甲戦力はブラッドハウンドホバートラック五台と輸送トラックに機関銃を搭載したなんちゃって装甲車しかないのである。

 

おまけに損傷した戦車も何台かある関係で修理部品が必要なのであるが、補給はないので近場の残骸からとってくるか共食い整備するしかない状態であるという悲惨な現状なのである。

 

なのに、まほは航空優勢もない中、危険を承知で即時稼働可能な戦車をすべて動かすというのだ。

 

「それは分かりますが、逆に我々の方が壊滅の危機にありませんか?」

 

「‥‥」

 

パルチザン本隊を守る為に自身の部隊を壊滅に追い込むかもしれない決断をまほは突きつけられたのだった。

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