内惑星艦隊の奮闘   作:島田愛里寿

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第百三十二話 兵器製造プラント襲撃

選抜艦隊がゴルバを倒し、暗黒星雲を突っ切り、その反対側‥地球人類がまだ足を踏み入れた事の無い白色銀河へ到達し、暗黒星団帝国本星を捜している中、暗黒星団帝国に占領されている地球では‥‥

 

暗黒星団帝国に地球が占領されてから、学校は休校状態となっていた。

 

一応、市民の生活については制限を掛けられてはいるが、ある程度の自由は保障されている。

 

しかし、学校側としては生徒たちの安全を考慮して休校としているのだ。

 

恐らく保護者たちもこの学校の判断には納得している筈だ。

 

忍が密かに用意したセカンドハウスに避難しているフェイトたちも基本的に子供たちの安全確保をする為になるべく子供たちを外出させてはいない。

 

食料や生活必需品などの買い出しについてもフェイトとシルビアが基本行っていた。

 

占領軍による女性・子供への性的暴行事件が起きていないとは言え、武器を構えた敵兵の姿をあまり子供たちに見せたくない。

 

その他にも万が一、占領軍とパルチザンとの戦闘に巻き込まれでもしたら‥‥

 

そう思うと、フェイトとしては子供たちをあまり外へは出したくなかった。

 

学校が休校と言う事で、子供たちの勉強に関してはフェイトが教えていた。

 

中学卒業まで、海鳴市にある私立聖祥大附属の小等部・中等部に通っていたので、地球の勉学には一日の長があったのが幸いした。

 

いつまでこのような占領下での生活が続くのか?

 

それは誰にも分からない。

 

しかし、地球人類は必ずヤマトが地球を救ってくれると信じていた。

 

そんなある日の夜‥‥

 

「どうぞ、フェイトさん」

 

「あっ、ありがとう。シルビア」

 

台所にあるテーブル席に居たフェイトにシルビアが温かい紅茶が入ったカップを差し出す。

 

「子供たちはもう寝ましたか?」

 

「うん。みんな部屋で寝ているよ」

 

「彼女たちの普段の様子はどうですか?」

 

「愛里寿も段々とリンネたちと話すようになってきている。それに愛里寿自身も他の子たちに勉強を教えているよ。やっぱり年齢が近いせいか、私よりも人気になっている気がする‥‥」

 

「えっ?」

 

愛里寿に関しては束やディアーチェが驚愕する程、年齢と頭脳があっていないレベルの才女なので、小学生レベルの勉強を教えるのは問題なかった。

 

そして、フェイトの言う通り、フェイトよりも年齢が自分たちに近い事から愛里寿に質問する機会が増えている気がしており、本来は喜ばしい事なのだが、自分から子供たちが離れてしまっている様な感覚を受けて、フェイトは若干その件についてショックを受けていた。

 

「一体、いつまで続くのでしょうね。この占領下の生活は‥‥」

 

シルビアはカップに入った紅茶を一口飲み、出口の見えないこの占領下がいつまで続くのかをフェイトに問う。

 

「それは分からない。でも、宇宙ではヤマトが‥‥そして、地上ではティアナたちが頑張っていると思う」

 

当然、フェイト自身もこの占領下での生活がいつまで続くのは分からない。

 

でも、ヤマト‥そしてティアナたちが必死に抵抗を試みているのだから、この占領下が永遠に続くとは思えなかった。

 

(いつまでのこの状態じゃあ、なのはにもはやてにも会えない‥‥)

 

(そもそもヤマトが地球に戻ってこないとヴィヴィオにも会えないし‥‥)

 

それにこの占領下がいつまでも続いては、自分たちはミッドチルダに戻れない。

 

ヤマトが地球に戻ってこなければ、ヴィヴィオにも会えない。

 

(やっぱり私もティアナたちと一緒に行くべきだったのかな?)

 

(でも、あの時、忍さんから私は子供たちを託された‥‥子供たちを置いてはいけなかった‥‥)

 

状況が分からないとこの占領下がいつになったら終わるのか分からない。

 

そうすると不安や心配が大きくなる。

 

かと言って、子供たちの面倒を自分は忍から託されたので、それを放棄する訳にもいかない。

 

様々な葛藤をフェイトが抱いていると、

 

「‥‥あの、フェイトさん。こうして占領下の生活を体験して思った事があるんですけど‥‥」

 

シルビアが紅茶の入ったカップを見つめつつフェイトにこの占領下の生活で思った事を口にする。

 

「な、なにかな?」

 

「‥‥こうした占領下ってなんだか管理世界に強引に入れられた世界と同じ様な気がするんですけど‥‥」

 

「えっ?」

 

シルビアの指摘を受けてフェイトは思考が停止する。

 

「占領下が管理下と一緒?それってどういう事かな?」

 

「管理局の管理世界入りを受け入れた世界については占領下とは言えないかもしれませんが、管理世界の中には半ば強制的に管理世界にされた世界もあります。そうした世界では現地住民が管理局に対してテロ活動を行っているのは知っていますよね?」

 

「う、うん」

 

「管理局としては彼らをテロリストとして扱っていますが、彼らにしてみれば、私たち管理局は侵略者であり、彼らの行いは自分たちの故郷を侵略者から故郷を取り戻す行動ではないのでしょうか?」

 

「‥‥」

 

現状の地球と管理局、管理世界に置き替えてみると、

 

管理局=暗黒星団帝国。

 

地球=強制的に管理世界にされた世界。

 

ティアナたちパルチザン=管理局がテロリストに認定している犯罪者たち。

 

これらの関係性が成り立っていた。

 

「それに『次元の海の守護者』なんて御大層な事を言っている割に、私たちはこのザマ‥‥管理局の技術力はこの地球の足ともにも及ばない技術と力しかない‥‥この占領下でも管理局員の肩書きなんて何の役にも立ちませんし‥‥」

 

「そ、そうだね‥‥」

 

フェイトは震える声で答える。

 

(シルビアの言う通り、管理局の執務官なんて資格はこの状況下では何の役にも立たない)

 

苦労して得た執務官の資格ではあるが、占領している暗黒星団帝国の兵士たちに対して、

 

「自分は時空管理局の執務官だ!!今すぐに武器を捨てて降参しろ!!」

 

と、言ったところで、頭が変な奴と思われるだけだ。

 

(それに私たち管理局が侵略者‥‥?)

 

(なのは‥‥はやて‥‥私たち管理局は‥‥)

 

こうした占領下を経験して、管理局の違った視点が見えたフェイトだった。

 

ミッドチルダに居るなのは、はやては恐らくフェイト、シルビアが気づいた管理局の別視点での存在を気づいてはいないだろう。

 

自分だってもう一つの地球が占領されてから幾日が過ぎ、シルビアから指摘をされて気づいたのだから‥‥

 

フェイトはその日の夜、管理局の存在について、色々と考えさせられ、なかなか眠れなかった。

 

 

 

 

宇宙で選抜艦隊が暗黒星団帝国本星を求めて白色銀河を航行している中、地球に居るパルチザンたちもただ待っているだけではなく、地球解放のために戦っていた。

 

北野が予測した通り、『白い花』からの情報提供はあれから無く、パルチザンはたちは独自で敵の重要拠点や捕虜が捕まっている場所の特定を行っていた。

 

そんな中、関東某所にある第二クレーター砂漠‥‥

 

此処は2198年にガミラスの遊星爆弾が着弾した場所でその直径は46キロにも及ぶ巨大なクレーターであった。

 

一応、地質調査のための施設は建てたが、日本政府はこの砂漠化した土地の復興を後回しにし続けて、ガミラス戦役後も放置した状態が続いていた。

 

そんな人気のない場所だからこそ、占領軍は密かにこの土地に武器の製造プラントを建設しており、そこには日本のあちこちから連れてこられた技師たちが強制労働させられていると言う情報を入手した。

 

パルチザンとしては武器の製造プラントなんて今後の活動に支障をきたすし、なにより地球人の技師たちが捕まり、強制労働をさせられている状態を放っておけるはずもなく、この製造プラントの破壊と捕まっている技師たちの救出作戦が行われることとなった。

 

勿論、この情報が、ガセではない事を確認するために第二クレーター砂漠には事前に偵察隊が送られて、情報収集活動が行われた。

 

そして、製造プラントらしき施設の場所、施設内に地球人の技師らしき人たちが捕まっている事も確認済みであった。

 

「あそこか‥‥」

 

「兵器製造工場‥‥まさか本当にこんなところに作り上げていたとはな‥‥!!」

 

まほと古野間は隠れながら目標の兵器製造プラントを見てそうぼやく。

 

「元々は防衛軍が運用していた地質調査プラントを改修して使っている模様ですね。情報だと捕虜になった人たちのうちの五百人前後がここで働かされているようです」

 

「どうだ?様子は?」

 

北野の話を聞きつつ、まほは対物狙撃銃を構えながら監視していた小島に現状を聞いた。

 

「まぁ、まずまずですかね?敵の戦力はさほど多くはありません。プラント周辺の歩哨もそこまで多くはありませんし、スナイパーの姿も確認できません。うちの連隊の戦車を数台突っ込ませればカタが付くかというレベルですよ」

 

小島はそうまほに答える。

 

今回の作戦に関してもパルチザン本隊とガーディアン連隊が合同で実施する作戦であり、西住まほや小島エミも合流していたのだ。

 

尤も前回の作戦時の様にガーディアン連隊が別の場所で陽動を行うのではなく、兵器製造工場の外部攻撃と救出した技術者たちの輸送を主な任務としている。

 

「あの‥北野さん」

 

「ん?」

 

「事前に『新型兵器を製造している工場を襲撃して働かされている同胞を救出する』という作戦内容は聞きましたが、あの工場では一体何を作っているんですか?」

 

ティアナは北野にあの工場で生産されている敵の新兵器について質問をした。

 

そばには神堂やシャルロットも居り、頷いていた。

 

あの工場で働かせている地球人の技術者たちの救出は勿論のこと、工場自体と開発された新兵器の破壊も今回の任務の中に入っている。

 

破壊目標である敵の新兵器が一体何なのか分からないと破壊のしようがない。

 

まぁ、地球人の技師全員を避難させた後、工場そのものを破壊すれば目的は達成されるが、一応あの工場で何が造られているのかは知っておく必要があった。

 

「ああ‥情報では、あの工場では我々パルチザンやレジスタンスを討伐するための新型戦車の開発をしているとの情報を掴んだんだ‥‥これまでにない強力な新型の戦車をね‥‥」

 

「新型の‥‥」

 

「戦車‥‥」

 

ティアナ、神堂、シャルロットはパルチザンに参加してから暗黒星団帝国軍の掃討三脚戦車やパトロール戦車、そして防衛軍の戦車である61式戦車5型、レオポルド1警邏軽戦車等を見てきた。

 

実際にそれら戦車が戦っている所も見てきたし、戦闘の際に使用した搭載されている強力な質量兵器も見てきた‥‥。

 

それに敵の三脚戦車とパトロール戦車ともこれまで何度も交戦をしてきた。

 

いずれの戦車も空を飛べない普通の人間で相手をするには骨が折れるし、手を焼くどころか、対応を間違えたら、死ぬレベルの強力な陸上の質量兵器‥‥。

 

ISが試験的とはいえ、実戦投入され始めて若干有利に戦えるがそれでも油断の出来ない相手だ。

 

空戦属性のある魔導師なら空から攻撃する事で多少はやりやすいだろうが、管理局‥“陸”でも採用しないどころか問答無用で所有者を拘束するであろう強力な質量兵器である。

 

そんな強力な兵器を敵は新型として生産しようとしている‥‥。

 

「けっ!俺たち地球人を殺すための兵器を同じ地球人が作らされていると思うと胸糞悪くなるぜ‥‥」

 

あの工場で新型戦車を作らされている技術者たちは自分たちが一体何を作らされているのかを知っている筈だし、その兵器が銃口を向ける相手が誰なのかもだ‥‥

 

そんな胸糞悪い状況下でもボイコットなんて出来ない。

 

自分の命や家族を人質に取られているかもしれない。

 

そんな状況下なので、彼らは占領軍に言われるまま兵器を作るしかできない。

 

「ああ、まったくだ。おまけにこの施設のある環境‥これでは例え脱走しても町までたどり着くのは困難だ」

 

「でも、周囲から隔離されているおかげで、警備が比較的に薄いですからね‥‥敵はこっちの情報網を舐めているのか、我々がここを嗅ぎつけたことに気付いていません」

 

地球の彼方此方に存在する生産施設の中でもあの工場はトップシークレットレベルに値する工場のためか、味方でもあの工場の存在を知っている者はごくわずかなのだろう。

 

それに現在、地球各地で抵抗運動が激化しているので慎重に開発・製造を進めるには人の目を避けねばならないので警備に人員を割けないというのもあるのだろう。

 

だからこそ、例え工場から脱走しても町まで辿り着けずに野垂死にする環境下であるこの砂漠に兵器製造工場を建設したのだ。

 

「そういえば、この情報はどこから?‥‥あの娘か?」

 

古野間は北野にあの工場の情報は雪からもたらされたものなのかを問うと、

 

「いえ、別の情報源からです」

 

今回の情報は雪からではないと答える。

 

「あの人‥‥『白い花』は、あの一件以来ずっと沈黙しています。無事だといいんですが‥‥」

 

『白い花』の情報提供を逆手にとられたあの作戦‥‥

 

敵は雪がパルチザンに情報提供をしていると分かっている筈だ。

 

ならば、スパイ活動をしていた雪の身が危ないのではないか?

 

『白い花』からの情報はあれから無いので、雪の安否が気になる北野。

 

「ああ、俺がくたばる前にもう一目会いたいところだしな‥‥」

 

「「?」」

 

ティアナはあの時の作戦で北野、古野間と行動を共にしていたので、北野から直接『白い花』の正体を聞かされて知っているが、神堂とシャルロットは『白い花』が誰なのかを知らない。

 

しかし、北野と古野間の会話から、二人はこれまで自分たちに情報を与えていた『白い花』の正体を知っている様子で、会話の内容から『白い花』の人は女性だと推察された。

 

「くたばるなんて、縁起の悪いこと言いっこなしですよ。さっ、行きましょう!!」

 

「‥‥そうだな」

 

「はい!!」

 

事前の手筈通りにチームは二つに分かれた。

 

まず、北野・古野間・ティアナの三人は新型戦車及び施設の破壊、そしてその施設に囚われている人たちの救助のため、敵の兵器生産施設へと向かった。

 

そしてまほやエミ・神堂・シャルロットらガーディアン連隊は砂漠の手前まで戻り、各自装甲車や戦車を起動させて施設の包囲に向かった。




次回 兵器製造プラント潜入・破壊工作

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