内惑星艦隊の奮闘   作:島田愛里寿

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お待たせしました!前編と後編を予定してますが、間に中編が入る可能性ありです………( ̄▽ ̄;)


今回も挿絵はステルス兄貴さんからいただきました!ありがとうございます!!


第百三十五話 侵入者 前編

褐色矮星を用いた罠を何とかくぐり抜けたヤマト・武御雷以下の特別選抜艦隊。

 

しかし、暗黒星団帝国は特別選抜艦隊を罠に誘うかのように現れて、航跡を残していワープしていく見え見えの行動をとった。

 

だが、暗黒星団帝国軍艦艇を追撃するしか敵の本星を発見する術はなく、敵の本星を見つけなければ、地球を救う事は出来ない。

 

地球を救う為、敢えて罠の中に飛び込み、その罠を食い破るしかないと進撃を続ける事となった。

 

ただ、進撃するには一つ問題があり、暗黒星団帝国が褐色矮星を用いた罠が人工的に核融合を異常増進させて星の寿命を一気に縮め、褐色矮星を爆発させてその爆発で起きた衝撃波で特別選抜艦隊を葬ろうとした。

 

しかし、その時に誤算が生じた。

 

爆発させた褐色矮星が小さかったため、衝撃波で特別選抜艦隊を葬るには規模が小さかった。

 

しかし、褐色矮星の爆発に一番近い所に居たヤマトはこの先、敵の罠がある宙域へ向かう前にフルメンテナンスをする為の作業となった。

 

ヤマトのメンテナンス中、守は艦隊を分散させて周辺の哨戒を行うこととした。

 

敵が戻って来て新たな罠、艦隊を送り込んで来る事も考えられる。

 

今のヤマトは衝撃波を受けたばかりなので、決して万全の状態とは言えない。

 

しかもメンテナンスは機関部も当然含まれるので、エンジンを止めているヤマトは動く事も出来ない。

 

そんな中で敵が戻って来たら目も当てられない。

 

各艦はヤマトの周辺から次々と離れて行き、哨戒へと向かう。

 

 

武御雷 艦橋

 

 

「ん?あれ?‥‥えっ?あれ?」

 

「どうした束?」

 

哨戒の為に分派した特別選抜艦隊の艦である武御雷艦橋にて束の声にディアーチェは疑問を投げかける。

 

「あっちゃ~さっきヤマトで会議をしたときに持っていったデータデバイスをヤマトに置いてきちゃったみたい‥‥」

 

「なんだと?全く‥‥まぁよい。あとで合流した時に‥‥」

 

「いや、司令部からの最重要機密資料が入ってんの」

 

「分かった、まだシーガルならまだヤマトに行ける距離のはずだから今すぐに取りに向かえ」

 

ディアーチェは束の失敗を聞いて後で取りに行けと言おうとしたが束から機密資料が入ったデバイスだと聞いて直ぐにコスモシーガルでヤマトに向かうように促した。

 

「ありがと、私が戻るまで艦の指揮はよろしく」

 

「ああ、任せておけ」

 

「あっ、向こうでなんかあったら拙いしリニスとギンガちゃんは連れて行くね?」

 

「なぬ?あぁ~‥‥まぁよいか」

 

ディアーチェはリニスとギンガを連れて行くという束の提案に首を傾げかけたが、以前束が同じ世界から来たヴィヴィオとアインハルトをリニスとギンガに会わせて精神的に安心させたいと言っていたことを思い出して、『アヤツなりの気遣いか…』と考えて許可した。

 

そして束は医務室で業務を終えていたリニスと非番中だったギンガを捕まえてディアーチェからの指示を受けてレヴィが操縦するコスモシーガルでヤマトに向かって行った。

 

(ふぅ~ゲーム時空だとヤマトに〔アレ〕が侵入している可能性が高いから安心できる面々を連れて行くことが出来て良かった~)

 

なんて束が心の中で思っているとは束の使い魔であるリニス以外誰も気づかなかったことは言うまでもない。

 

 

ここでヤマトに視点を一時移そう。

 

 

各艦が周辺宙域へ探索を兼ねた哨戒に出た後、ヤマトでは各所の修理を行っていた。

 

 

ヤマト船外 第三主砲付近

 

「~♪~~♪♪~~~♪~~‥‥ん?」

 

第三主砲塔付近で船外作業中だったとある技術班員が謎の物体を見つけた。

 

構造を見てみるとソレはヤマトの物でもないし、地球製の物とも思えない物体であった。

 

「不発弾か何か?…まぁ、とりあえず報告をしておくか」

 

つい先ほどまでヤマトは敵の無人駆逐艦と戦闘を行っていたので、ヤマトの甲板に敵の不発弾が落ちていても状況的に不思議ではなかった。

 

もしも不発弾であれば一大事だし、それ以外であっても不審物であることは変わりないのでとりあえず技術班員は上司である真田に報告をしておこうと思い、その場を離れようとしたその時‥‥

 

「ん?…うっうわぁぁぁぁぁあ!!!!????」

 

何かが技術班員に向かって襲い掛かって来た。

 

不幸な事に周辺に別の技術班員が誰もいなかったので、第三主砲付近で技術班員が何かに襲われる所を目撃した者はおらず、宇宙空間には技術班員が持っていた道具が不気味に漂っていた。

 

 

宇宙戦艦ヤマト 第一艦橋

 

「各艦砲の修理は終わったみたいです。‥‥いつもながら見事ですね、うちの技術班の連中は‥‥」

 

ヤマト技術班員の優秀さに舌を巻く南部。

 

「艦外作業に出ていた技術班員たちも雪風・改に向かっていたトチローさんも収容したし、あとは波動エンジンの再調整ぐらいだな」

 

「ええ‥‥航路補正もだいたい完了です。波動エンジンの方には山崎機関長が向かってくれています」

 

 

太田が航海計器の修理とチェックが終わったことを報告する。

 

「いつものことだけど大変だなぁ、修理作業も」

 

通信機器は損害がなかったので、相原は特に作業をすることもなく、座席に座り、艦の内外を修理する技術班や通所の勤務の他にエンジンの修理も行う機関班が大変な部署なのだと改めて感じた。

 

「いつも通り、真田さんにまかせておけば大丈夫さ」

 

島は真田の技術者としての腕を信頼しているので、修理に関しては真田に任せておけば、問題ないと言う。

 

「よし、あとは山崎さんに急ぐように連絡しておいてくれ。真田さんにも、修理状況の最終確認を頼む」

 

「了解」

 

相原は艦内内線で山崎と真田に補修状況の確認をとろうとした。

 

 

ヤマト第三格納庫

 

 

そんな中、ヤマト艦艇部の第三艦橋の少し上にある第三格納庫に一機のコスモシーガルが着艦した。

 

束とレヴィ・リニス・ギンガが乗ったシーガルだ。

 

「ふぃ~到着っと」

 

「お疲れ様、戦術長」

 

レヴィの発言に束はレヴィを気遣った。

 

「いやいや~大したことないよ~。最近シーガル系は乗ってなかったからいい肩慣らしになったし~」

 

「え?あ、あの~レヴィさん?前回シーガルを操縦したのはいつなんですか??」

 

ギンガはレヴィの発言に嫌な予感がして一応聞いた。

 

「うーんとね、確か訓練学校の頃だよ?戦術科志願だったから万が一の場合に備えて飛行訓練はあったんだ~。ただ、一回訓練中にアクロバット飛行をやって王様にすんごい叱られたからそれ以来操縦してないんだ~」

 

「そ、そうなんですか…」

 

「あ、何だったら帰りにやってあげようか?」

 

「勘弁してください!!!」

 

「「あはははは!!」」

 

ギンガとレヴィの会話にリニスと束は笑ってしまった。

 

とは言え、半ばペーパードライバーみたいな人物がついさっきまでシーガルを操縦しており、さらにディアーチェに注意された危険な操縦を帰りにされては困る。

 

「って、あれ??」

 

「え?」

 

「が、ガス??」

 

その時、機外に黄色の着色ガスが充満し始めていることに気づいた。

 

「全員船外服を脱がないように!有毒ガスかもしれない!!」

 

「うえええ!?」

 

「はっはい!!」

 

「分かりました!」

 

即断した束の指示に三人は慌てて船外作業用のヘルメットを着用した。

 

「この様子だと、艦内で無事な人がいるか心配だね‥‥まずは第一艦橋に行くよ!守君たちの無事を確かめないと!それと各員、離れないようにね!!」

 

「「「了解!!」」」

 

突如、謎のガスが充満するヤマトの艦内。

 

束たち一行はず第一艦橋を目指す事にした。

 

(マ‥‥スター‥‥ギ‥‥ンガ‥さん)

 

(ん?リニス?)

 

(あれ?リニスさんの念話?でも、所々上手く聞き取れないような‥‥)

 

(こ‥‥ガス‥‥は‥魔法‥‥にも‥影響‥ある‥‥みたい‥‥で‥‥念‥‥話も‥‥上手く‥‥つた‥‥わらない‥‥ようで‥‥す‥‥)

 

(AMFと同じ効力がこのガスにも‥‥)

 

(やっかいなガスね‥‥)

 

使い魔であるリニスはこのガスに違和感を覚え、束とギンガに念話をして伝えるが、やはりガスの影響の為か、リニスの念話は電波の悪い無線通信のように所々とんでいた。

 

どうやらこのガスにはAMFと同じまたは似たような効力があるみたいだ。

 

このガスが充満している間はまともに魔法は使えないだろうし、消したとしても少しの間は影響が残りそうだ。

 

ヤマトに戻った束たちがヤマト艦内の異変に気付いた少し前、視点をヤマト艦内の医務室に移そう。

 

「ふぅぃ~やっと雪風・改の修理が終わった~‥‥」

 

雪風・改の補修・点検を行っていた大山がヤマトの医務室にやって来た。

 

「おぉ~大山君。一仕事お疲れ様。どうじゃ?仕事が終わったのなら一杯やらんか?」

 

「ええ、そのつもりで来ました」

 

佐渡は大山に酒を勧めると、彼はその誘いに乗り医務室内にある佐渡の居住スペースにある畳の上にあがると佐渡と共に酒盛りを始める。

 

そんな大人たちの近くでは、

 

「ミーくん」

 

「ニャー」

 

「煮干し食べますか?さっき、厨房に行って貰って来たんですよ」

 

(そう言えば以前、ミーくんが佐渡先生のお酒を飲んでいましたけど、猫ってお酒を飲んでも大丈夫なのでしょうか?)

 

「ニャー」

 

【挿絵表示】

 

ヴィヴィオとアインハルトの二人が佐渡の愛猫であるミーくんと戯れていた。

 

特にアインハルトは人懐っこく、猫でありながらお酒を飲むミーくんに興味津々で、ミーくんを愛撫している。

 

彼女のデバイスがネコ科の雪豹をモチーフにしている事も関係しているのかもしれない。

 

佐渡はそんな二人を優しく見守る。

 

その構図はまるで田舎のおじいちゃんの家に遊びに来た祖父と孫にも見える。

 

そんな中、通風孔からシューと言う音と共にガスが医務室に流れ込んで来た。

 

「っ!?アインハルトさん!!」

 

「ヴィヴィオさん!!急いでヘルメットを!!」

 

「は、はい!!クリス、ヘルメットを出して!!」

 

「ティオも!!」

 

ヴィヴィオとアインハルトはデバイスの中に収納していたヘルメットを取り出して急いで着用する。

 

「佐渡先生!!大山さんもヘルメットを‥‥あっ‥‥」

 

ヴィヴィオとアインハルトは間に合ったが佐渡と大山の二人はヘルメットの着用が間に合わず、卓袱台の上に突っ伏している。

 

「ミーくんは!?」

 

アインハルトはミーくんの様子を窺う。

 

「ニャ~‥‥」

 

ガスなので、ミーくんにも何か影響があるかもしれないと思ったのだが、ミーくんには何の異常もなかった。

 

(ミーくんには何の異常もない‥‥?)

 

「ヴィヴィオさん、佐渡先生と大山さんの様子は?」

 

「二人とも意識が無い。どうしようアインハルトさん」

 

「息はしているのですね?」

 

「はい」

 

「ミーくんには何の異常もないので少なくともこのガスは毒ではないみたいですが‥‥」

 

「えっ?ミーくんは無事なの?」

 

「ニャー」

 

「ほんとだ‥‥でも、佐渡先生と大山さんは倒れているのに‥‥」

 

ヴィヴィオがミーくんの様子を窺うと、ミーくんは普段と変わらない様子だった

 

しかし、佐渡と大山は卓袱台に突っ伏している。

 

(酔っぱらって倒れた?それともこのガスは人間にしか効かない?)

 

(でも、そんなガスが存在するなんて‥‥)

 

通常、ガスと言えば人間にも動物にも関係なく影響して来る。

 

しかし、現状を見るとこのガスは人間にしか効いていないようにも見える。

 

でも、人間と言う種族だけに効果が出るガス何て聞いた事も見た事もない。

 

「アインハルトさん。ヤマトの他の人たちは大丈夫かな?」

 

「一応、艦内を見てみましょう。でも、このガスはヤマトに元々あったガスが漏れたとは思えません」

 

「えっ?それって‥‥」

 

「敵がヤマトの艦内にいるかもしれません。ヴィヴィオさん、このままの姿ですと敵に会った時、何かと不利です。此処は大人モードになっていきましょう」

 

アインハルトはこのガスは敵が艦内に流し込んだモノだと判断した。

 

そして、ガスを艦に流し込んで来た敵がヤマトの艦内にいるかもしれない。

 

もしも敵に遭遇した時、子供の姿では力も身長も足りないので、大人モードになり、艦内を捜索しようと提案した。

 

「は、はい。でも、大人モードになった時に、この服が破れないでしょうか?」

 

ヴィヴィオはこの女性隊員服が丈夫でもいきなり大人モードになった時、破れるのではないかと危惧する。

 

「確かにそうですね。此処に着替えがあればいいのですが‥‥」

 

「あっ、アインハルトさん。こっちにロッカーがありました!!もしかしたら、着替えがあるかもしれません」

 

ヴィヴィオは医務室の片隅にロッカーを見つけて中を見てみる。

 

ロッカーには数着の女性隊員服があった。

 

医務室では、負傷具合で服を破断する時がある。

 

その際の着替えとして何着か予備の隊員服が医務室に保管されていた。

 

「じゃあ、これに着替えて行きましょう。ただ‥‥」

 

「‥‥そうですね。念の為、パーテーションを用意しましょう」

 

「あと結界も‥‥」

 

ヴィヴィオとアインハルトはチラッと卓袱台に突っ伏している佐渡と大山を見る。

 

ガスの影響か未だに意識不明となっているが、何がきっかけで起きるか分からない。

 

万が一、着替えている時に起きたらそれはそれで恥ずかしい。

 

そこで二人は医務室にあるパーテーションを用意して、念の為に結界を張ってデバイスを起動し、大人モードになり、ロッカーの中にあった女性隊員服を着る。

 

(ん?結界が妙に脆く、形成しづらい‥‥)

 

(もしかして、このガスは魔法にも影響を与えるのでしょうか?)

 

アインハルトは結界を張った際、違和感を覚える。

 

しかし、結界の形成に違和感を覚えるも一応、結界は二人が着替えるまで何とか維持することが出来た。

 

ヴィヴィオは生活班を示す黄色の下地に黒い錨模様の女性隊員服を‥‥

 

アインハルトは技術班を示す青色の下地に黒い錨模様の女性隊員服を身に纏う。

【挿絵表示】

 

(青いボディースーツ‥‥なんか昔のノーヴェたちを思い出しちゃう‥‥)

 

ヴィヴィオは技術班の女性隊員服を着たアインハルトを見てJS事件時のノーヴェたちの姿が脳裏を過る。

 

六課に保護されていたヴィヴィオであったが、地上本部で行われた公開陳述会の日、スカリエッティ一味は会場である地上本部以外に機動六課隊舎も襲撃し、そこでヴィヴィオを攫った。

 

スカリエッティ一味に攫われたヴィヴィオはスカリエッティの手によってレリックを埋め込まれ、聖王のゆりかごの始動キィーにされた。

 

その時、周囲には青いボディースーツを身に纏ったノーヴェたちが居た。

 

「ん?どうしました?ヴィヴィオさん」

 

ヴィヴィオの視線に気づいたアインハルトはヴィヴィオに声をかける。

 

「い、いえ、ちょっと過去のトラウマを思い出してしまって‥‥」

 

「?」

 

ヴィヴィオの言葉に首を傾げるアインハルト。

 

ただその時、アインハルトにヴィヴィオの胸が視界に入った。

 

「‥‥」

 

(大人モードの時のヴィヴィオさん‥‥胸が私よりも大きいような気が‥‥)

 

同じ大人モードでも自分の胸よりも年下のヴィヴィオの胸の方が大ようなきがしてならないアインハルト。

 

(覇王家は胸の大きさでも聖王家に負けると言うのでしょうか‥‥?)

 

(くっ‥‥)

 

「ん?どうしたの?アインハルトさん」

 

アインハルトの視線に気づき、ヴィヴィオが声をかける。

 

「い、いえ‥ちょっと格差社会を思い知らされた気がして‥‥」

 

「?」

 

今度はアインハルトの言葉に首を傾げるヴィヴィオであった。

 

「と、とりあえず無事な人を探しましょう。何があったかも分かりませんし‥‥」

 

「そ、そうですね‥‥」

 

ヴィヴィオとアインハルトは通常の女性隊員服を着て医務室の外に無事な者がいないか探索することにした。

 

その頃、束一行は第三格納庫から第一艦橋に移動していった。

 

「あれ?もしかして月村司令?」

 

「えっ?君は?」

 

「あっ、自分はヤマト航空隊所属の坂本です!!」

 

第一艦橋を目指している途中で束一行はヤマトのコスモタイガー隊に所属する坂本茂と遭遇した。

 

彼もこの異常事態を受けて第一艦橋を目指していたみたいだ。

 

「坂本君、他の乗員は?」

 

「それが、山本隊長も同期の椎名も他のコスモタイガー隊の皆もパイロットルームで倒れていました」

 

「倒れていた?」

 

「はい。一応、呼吸を確認したので死んではいないみたいですが‥‥」

 

「君はどうして無事だったの?」

 

「俺はたまたま、コスモタイガーの気密チェックをしている最中でヘルメットを被っていたので、難を逃れました。月村司令たちこそ、どうしてヤマトに?」

 

「私がヤマトに忘れ物をしちゃって‥‥ついでにイカルス付近で救助された子たちにウチの医務長と通信長を紹介したくてね」

 

「は、はぁ~‥‥」

 

(な、なんで医務長と通信長なんだ?)

 

坂本は紹介するにしても何故、役職が異なる医務長と通信長を紹介するのかを疑問に思った。

 

「とりあえず、第一艦橋に向かおう。私たち以外に無事な人がいるかもしれない」

 

「そ、そうですね」

 

坂本も合流した束一行は第一艦橋を目指す。

 

その道中、ヤマトの通路のあちこちには坂本の言う通り、ヤマトの乗員たちが倒れていた。

 

「リニス、乗員の状態は?」

 

「‥‥息はしているので、死亡はしていません。多分、ガスの影響で意識不明となっているみたいです」

 

「治療できる?」

 

「このガスが充満している状況下では難しいかと‥‥」

 

「とりあえず、無事だった人を捜しつつまずは第一艦橋を目指しましょう」

 

「そうだね」

 

ギンガが方針を具申し、その方針通りに無事だった乗員を捜しつつ一行は第一艦橋を目指した。

 

そして、第一艦橋の中に入ると、そこにはヘルメットを被った古代、サーシア、島の三人の姿があった。

 

太田、南部、相原はヘルメットの着用が間に合わず床に倒れている。

 

ただ真田と山崎の姿は第一艦橋には無かった。

 

「おぉ~進君たちも無事だった?」

 

「えっ?月村司令官!?何故ヤマトに!?」

 

古代は武御雷に帰った筈の束たちが居た事に驚いた。

 

坂本に話したが、古代たちには事情を説明していないので、まずは古代たちに事情を話す束。

 

その後に今後の方針を決めた。

 

艦内にて無事な者が他にいないか捜すために束・レヴィ・ギンガ・坂本が探索に行くこととなった。

 

島はヘルメットを被ったタイミングが僅かに遅れ、ガスを少し吸い込んでしまったため、右半身に痺れの症状が出ており、一人にしておくのは危険だと判断し、第一艦橋には古代とサーシアが島の護衛と他艦への通信員として残る事となった。

 

サーシアの超能力ならば、何とかなりそうではあるが、サーシアもガスを少し吸ってしまい、痺れは起きなかったが超能力がうまく使えない状態となっていた。

 

束一行はヤマトの内部構造には疎いので、ヤマト艦内の案内は坂本が行う事となり、束一行は艦内の探索へと向かう。

 

「さてまずは守君の安否確認だな」

 

「しかし、この事態に第一艦橋へ降りてこないとなると‥‥」

 

「ああ、多分このガスの影響で倒れているだろうね」

 

第一艦橋を出た束一行は艦長室へと向かった。

 

艦長室の床には守が倒れていた。

 

とりあえず守を艦長室にあるベッドに横たえる。

 

「あっ、そう言えばアナライザーの奴も見当たらないな‥‥」

 

「アナライザー?そう言えば、アナライザーはヤマトに居る分析ロボットだったね」

 

「はい。アイツはロボットですからガスは効かない筈ですよ」

 

「第一艦橋に居なかったけど、普段アナライザーは第一艦橋以外どこに居るの?」

 

「あいつは医療助手も務めていましたから、第一艦橋に居ないとなると多分、医務室にいるかもしれません」

 

「じゃあ、医務室に行ってみよう。ヤマトの医務長である佐渡先生の安否も気になるし」

 

「はい」

 

次いで束一行は艦長室から医務室へと向かう。

 

「それにしてもこのガスは一体何なんでしょう?」

 

「流石にこんなヘンテコなガス、ヤマトに積んでいないよね?」

 

医務室に向かう傍らギンガもレヴィもこのガスの正体について疑問を抱く。

 

「そう言えば、真田技師長や大山さんはよく変な発明品を作っていますが、まさかこのガスも‥‥」

 

「えっ?実験に失敗してガスが洩れたって事?」

 

坂本はこのガスの正体は真田か大山が製造したガスであり、それが事故か実験の失敗で艦内に漏れたのかと思った。

 

「まぁ、確かに真田君もトチロー君も発明に関しては度肝を抜くようなモノを作るけど、二人が造るのは主に機械や砲弾、ミサイルなどの物理系だ。こんなガスみたいな気体形の武器は専門外だよ。確かにあの二人なら作ろうと思えば作れるかもしれないけどね」

 

「それじゃあ‥‥」

 

「このガスは‥‥」

 

「敵の仕業だと思った方がいいよ」

 

束は真田、大山の性格から気体形の発明はあまり造らない事を踏まえ、このガスは敵の仕業であると判断する。

 

「敵か‥‥」

 

「でも、このガスが敵の仕業ならどうして毒ガスではなく、昏睡させるガスなのでしょう?」

 

「確かにこのガスが毒ガスだったら、ヤマトの乗員たちは大半が死んでいた筈‥‥」

 

「動かすことのできない宇宙戦艦なんて射撃場の的と変わらないのに‥‥」

 

このガスが敵の仕業だとしてどうして毒ガスではなく、昏睡ガスなのか?

 

疑問は益々募るばかりだ。

 

とは言え、此処で考えていても答えは出る筈もないので、一先ず行動するのみだ。

 

ただ、このガスが敵の仕業だとすれば、艦内にガスを流し込んだ敵か機械が有る筈だ。

 

機械ならばともかく、敵兵が乗り込んでいたらどこから襲ってくるのか分からない。

 

「昔のアメリカ映画、プレデターやエイリアンみたいにどこから敵が襲い掛かってくるか分からない。皆、周囲を見張りつつ行くよ」

 

「うぅ~怖い事は言いっこナシですよ」

 

「あれ?あれ?坂本ッチ、もしかしてお化けとかの類、苦手?」

 

レヴィがニンマリとした表情で坂本を茶化す。

 

「ほら、遊んでいないで行くよ」

 

一行は医務室を目指してヤマトの通路を歩いていく。

 

そして、とある自動扉を開けると、通路の奥に乗員が一人立っていた。

 

「無事だった人が居たんだ」

 

「おーい、大丈夫!!」

 

レヴィが声をかけると、その乗員は振り向く。

 

「っ!?危ない!!隠れて!!」

 

ただギンガはその乗員に違和感‥‥と言うか、嫌な予感を覚え皆に隠れるように言う。

 

それと同時に乗員は手に持ったコスモガンを発砲してきた。

 

「うわっ!!」

 

「あぶなっ!!」

 

「もしかして、私たちを不審者と思っているの!?」

 

「おーい!!俺だ!!コスモタイガー隊の坂本だよ!!」

 

坂本が自分の身分を伝えるが、その乗員はコスモガンを撃ち続けている。

 

まるで、坂本の声が聞こえないかのように‥‥

 

「な、なんだって言うんですか?」

 

「あの人もしかして、耳が聴こえないの?」

 

「いえ、難聴の人が防衛軍の軍人を務められる訳が‥‥」

 

「やむを得ない。応戦する」

 

束はコスモガンを乱射して来るヤマトの乗員を撃つと言い出す。

 

「えっ?」

 

「撃つんですか!?」

 

「あの人はヤマト乗員ですよ!?」

 

束の発言にレヴィ、坂本、ギンガは困惑する。

 

「パラライザーを最低出力にしてやれば、殺傷能力はなくなる。相手は話をきいてくれる感じじゃないし、ここは仕方ない」

 

「は、はい」

 

「やむを得ませんね」

 

「し、仕方ないか‥‥」

 

束一行はコスモガンの出力を最低限にして応戦する。

 

多勢に無勢だったので、コスモガンを乱射していたヤマトの乗員はその場に倒れる。

 

そして、束一行は恐る恐るその乗員に近づく。

 

もしかしたら、この乗員が侵入した敵兵の可能性もあったからだ。

 

「‥‥北‥谷‥‥」

 

束が襟元を裏返すとそこにはこの乗員の名前が書かれていた。

 

「やっぱり、ヤマトの乗員でしたね」

 

「しかし、いったいなぜ‥‥」

 

「いくらなんでも私たちを敵と間違えて撃ったとは思えません」

 

ヤマトの乗員がいきなり襲い掛かって来た事に益々困惑している中、

 

「つ、月村さん!!他にも来ましたよ!!」

 

「とにかく、医務室を目指そう」

 

束一行は迫ってくる他の乗員との戦闘をなるべくさけて、医務室を目指した。

 

そんな中、

 

「ニャ~‥‥」

 

「ん?猫の声?」

 

通路の奥から猫の声がした。

 

「坂本ッチ、ヤマトに猫っているの?」

 

「確か佐渡先生が猫を飼っていました」

 

「こっちから聴こえる」

 

束一行が猫の声‥ミーくんの声がする方向へと行くとそこには‥‥

 

「「えっ?」」

 

「ん?」

 

そこにはミーくんを抱えた大人姿のアインハルトと同じく大人姿のヴィヴィオが居た。




次回 侵入者 中編

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