内惑星艦隊の奮闘   作:島田愛里寿

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今回で侵入者編は終了です!


第百三十八話 侵入者 後編②

暗黒星団帝国の潜入工作を受けたヤマト。

 

通風孔からガスを送り込まれ、そのガスを吸い込んだ乗員たちはバタバタと倒れて昏睡状態となったかと思いきや、正常な乗員に襲い掛かって来る行動を取って来た。

 

その行為はまさにホラー映画のクリーチャー代表とも言えるゾンビそっくりだった。

 

ヤマトに忘れ物を取りに来た束たちはこの騒動に巻き込まれ、ガスの脅威から運よく免れた古代たちと合流し、この事態を解決する為、坂本の案内の下、機関室で空気清浄機構を作動させて艦内のガスを中和し、次いで艦橋の銃撃戦で壊れてしまった通信機の修理の為、工作室へと向かい真田を正気に戻す事に成功した。

 

通信機の修理の前に今回の事件の犯人をアナライザーが見ている可能性があったので、何者かに壊されたアナライザーを操られた乗員たちの手から助け出し、真田の下へと向かい、彼に修理を頼んだ。

 

アナライザーの修理には時間がかかったので、その間、医務室の佐渡の下へと向かい彼の状態を確認した。

 

すると佐渡はガスの影響を受けておらず、正気を保っていた。

 

佐渡の状態を確認後、真田からアナライザーの修理が終わった連絡を受けて工作室へ向かう束たち。

 

「いいか?動力を入れるぞ‥‥」

 

真田が動力を入れるとアナライザーの頭部にあるメーターが光りだす。

 

「おい、アナライザー、聞こえるか?」

 

真田がアナライザーに声をかける。

 

すると、

 

「アレ‥‥ココハ‥‥?」

 

アナライザーが音声を発する。

 

「無事に直ったようですね」

 

「ワタシハナゼ、コンナトコロニ‥‥?」

 

アナライザーも再起動したら工作室で頭部のみとなっていたので困惑している様子だ。

 

「説明はあとだ。アナライザー、お前は何者かによって壊されていたんだ。どうだ?壊される寸前の記憶を再生できるか?」

 

真田はアナライザーが壊される直前の記憶を再生させる。

 

「記憶‥‥再構成中‥‥最後二見タノハ、椎名サンデス」

 

「椎名が!?」

 

坂本は同僚の名前が出て思わず声が裏返る。

 

「ハイ‥‥椎名サンカラ声ヲカケラレテ、振リカエッタ次ノ瞬間ニハ‥‥」

 

「椎名が‥‥アナライザーを‥‥?いや、椎名の訳はありませんよ!!椎名は山本さんと一緒にパイロットルームで待機していた筈です。実際にガスが流れ込んできた時、椎名はパイロットルームで倒れていたのを見ました!!」

 

坂本は椎名がアナライザーを襲うなんて無理だと言う。

 

実際に彼女はパイロット室で倒れていたのだから‥‥

 

パイロット室からアナライザーが倒れているトイレ前に行くのは物理的に不可能だ。

 

 

「デモ、椎名サンニ見エマシタ」

 

「アナライザーの記憶力は人間と違い完壁だ。間違っている可能性は低い‥‥」

 

「でも、椎名は‥‥」

 

「分かっている。いいか、アナライザーは『椎名だ』と言ったわけじゃない‥‥『椎名に見えた』と言ったんだ。椎名じゃないとすると‥‥」

 

「侵入者は顔や声を変える事が出来る‥‥」

 

「その通りだ」

 

「でも、服はどうしたんでしょう?技術班の服は破られ状態で洗濯室に捨てられていましたよね?‥‥服が必要だったと言うことは、敵は服装までは真似ができないと言うことでしょう?椎名のフリをするには、椎名と同じ服が必要ですよ」

 

「それは多分、あの洗濯室で着替えたんだ。あそこなら、替えの制服はたくさんあるし、小島君の制服が脱ぎ捨てられていたのが、何よりの証拠だ」

 

「なるほど‥‥最初に技術班の服を奪って艦内に侵入して、機関員に化けて艦内にガスを流しこんでエンジンをショートさせる‥‥次に椎名さんに化けてアナライザーを壊す‥‥」

 

「ああ、女性の椎名が相手なら、アナライザーは油断するだろうしな‥‥」

 

「油断‥‥ソノ通リデスネ」

 

「じゃあ、今は誰に化けているんでしょう‥‥?」

 

「わからん‥‥椎名かもしれんし、別の誰かかも‥‥」

 

「ともかく、誰と出会っても用心するんだ‥‥誰が敵であってもおかしくはないんだからな‥‥」

 

「厄介な敵が侵入して来たもんだ‥‥」

 

「一先ず、この件を古代さんたちに伝えましょう」

 

リニスが第一艦橋に居る古代たちに侵入者の件を伝えておくべきではないかと提案する。

 

「そうだね。あっ、それとついでに真田君、実は第一艦橋で銃撃戦があって通信機が壊れちゃって、その修理を頼めるかい?」

 

「そうか、分かった」

 

真田が通信機の修理に必要な道具を用意している中、

 

「そう言えば、アナライザーは何で女子トイレの前に倒れていたの?」

 

束がアナライザーに女子トイレの近くで倒れていた理由を訊ねる。

 

「ああ、それは俺がアナライザーに女子トイレの修理を頼んだんだ」

 

すると、アナライザーの代わりに真田が答える。

 

「女子トイレのパイプから水漏れが起きたみたいでな。技術部の仕事とは言え、男性隊員に女子トイレの修理をされることに嫌悪感や不信感を出されては困ると思って、アナライザーに頼んだんだ」

 

ロボットのアナライザーならば性欲や邪な考えなど抱かないと思った真田がアナライザーに女子トイレの修理を依頼していたのだが、

 

「なるほど‥‥一応、聞いておくけどさ、アナライザー‥まさか、女子トイレの中に撮影機器なんて仕込んでいないよね?」

 

束は確認の為にトイレ内に撮影機器を密かに設置していないかをアナライザーに尋ねる。

 

「月村サン、ソレハ心外デス。イクラ私デモ、ソンナ卑劣ナ事ハ、シマセンヨ」

 

普段、女子のお尻を触ったり、スカート捲りをするアナライザーであってもトイレ内の盗撮はしないとムキになって否定した。

 

まぁ、普段の行いが行いなので、疑ってしまう気持ちもあるのだが、此処は真田の顔を立てて信じる事にした。

 

その後、第一艦橋へと向かう束たち。

 

 

ヤマト 第一艦橋

 

束たちが第一艦橋に戻ると、

 

「真田さん、無事でしたか?」

 

「いや、どうやら俺もあのガスで昏睡していたようだ。月村たちのおかげこうして正気に戻った」

 

「皆、他の艦と連絡がつきそうだぞ!!」

 

島が頑張って他の僚艦との連絡をつけた。

 

「本当か?」

 

「ああ、さっき第二艦橋の緊急通信回線をこっちにまわしたんだ。すると、微弱だが反応があった。音声・映像通信がまだ出来ないが、こちらからのSOSは受け取ってくれている可能性は高い。もし、こっちに向かっているようなら、そのうち通信圏内に入ってくるだろう」

 

「ところで、そっちの方はどうだ?」

 

古代が束たちの現状を尋ねる。

 

「実は‥‥」

 

束が古代たちに敵が変装可能な能力を持っている事を伝える。

 

「そうか‥‥クルーの誰かに化けているのは厄介だな‥‥」

 

ガスの問題は解決したが、やはり侵入者がまだヤマトの艦内に居り、しかも変装能力を持っている事が今回の件の厄介な点だ。

 

「佐渡先生も念のため、第一艦橋に避難させておいた方がいいかな?」

 

「そうですね。敵が変装できるとなると、医務室に一人で居るよりも第一艦橋に居た方が安全ですね」

 

束の提案で佐渡も一時第一艦橋に避難してもらう事にして、医務室に佐渡を迎えに行く。

 

すると、医務室の前で、

 

「ニャ~」

 

ミーくんの鳴き声がした。

 

「ミーくんが鳴いている!?」

 

「医務室で何かあったんじゃあ‥‥」

 

「まさか、トチローさんが暴れているのでは!?」

 

医務室にはまだ昏睡状態のトチローが居たので、そのトチローが拘束される前に目を覚まして佐渡に襲位掛かったか、侵入者もしくは操られた乗員が医務室に襲撃をしたのかもしれない。

 

急いで医務室に行くと床に佐渡が倒れていた。

 

迎え酒を飲むといっていたが、頭に大きなタンコブを作っているので、酒に酔いつぶれた訳ではなさそうだ。

 

佐渡の傍ではミーくんが心配そうに寄り添っていた。

 

「ニャ~」

 

「佐渡先生!!佐渡先生!!」

 

佐渡をベッドに横たえ、何があったのかを聞く。

 

「う‥‥うう‥‥」

 

「大丈夫ですか?いったい何があったんです?」

 

「だ、第三艦橋じゃ‥‥第三艦橋へ急げ‥‥」

 

「第三艦橋?」

 

「大山君‥‥が‥‥」

 

「そんな‥‥」

 

「まさか‥‥」

 

「トチローさんが‥‥偽物だったのか‥‥?」

 

「いや、ただガスの影響で暴れだしたのかもしれない」

 

「とにかく、急ごう!!リニスは此処に残って佐渡先生の治療をお願い!!」

 

「分かりました!!」

 

リニスを佐渡の治療のために残し、他のメンバーはトチローが居るとされる第三艦橋へと向かった。

 

そして、その第三艦橋にはトチローが居た。

 

ただし‥‥

 

「トチローさん!!動かないでください!!」

 

「お、おい、俺じゃねぇぞ!!」

 

「だまされるな!!そいつが敵だ!!」

 

トチローは二人いた。

 

一方はシャツとパンツ姿のトチロー‥‥

 

もう一方はヤマトの機関部の制服と上着、帽子を被ったトチロー‥‥

 

どちらかのトチローが偽物でもう片方が本物のトチローであることは明白である。

 

「と、トチローさんが二人‥‥!!」

 

「どちらかが偽物でどちらかが本物‥‥」

 

「となると偽物は侵入者‥‥」

 

「この事件の犯人か‥‥」

 

どちらのトチローが本物なのか判断がつかない中、

 

「そいつは俺に化けようとしたんだ!!よく見ろ!!服を着ていないのが何よりの証拠だぞ!!」

 

服を着ているトチローは自分こそが本物であり、下着姿のトチローが偽物だと声をあげる。

 

「た、確かに侵入者は姿、声は変えられても服は変えられない」

 

「じゃあ、下着姿のトチローさんが偽物?」

 

下着姿のトチローが偽物だと皆の視線が向けられるが、

 

「なにぃ~~!!馬鹿言え~!!お前が俺の服を脱がしているときに目が覚めたんじゃねぇか!!あいにく、シャツとパンツだけはなんとか死守したけどな!!」

 

下着姿のトチローは、服は侵入者に奪われたのだと主張する。

 

「馬鹿だと~~~ぉ?そっちこそ馬鹿じゃねぇか!!もう、逃げ場はないぜ!!観念しな!!」

 

二人のトチローは互いにコスモガンを突き付け合って罵り合っている。

 

どちらの主張も理にかなっているので、どちらのトチローが偽物なのか判断がつかない。

 

「ど、どっちが本物なんでしょう?」

 

「この際、両方と撃っちゃいますか?」

 

最低出力設定となっているので、殺傷能力はないので、この際両方のトチローを撃ってしまえば早いのかと思われた。

 

「艦長はトチローさんと同期ですよね?だったら、本物のトチローさんしか分からない事を質問すれば、偽物を炙りだすことが出来るのでは?」

 

ギンガが束に偽物の炙り出し方法を提案する。

 

「なるほど、じゃあ‥‥」

 

束が二人のトチローに質問しようとしたら、

 

「シャー!!」

 

「ミーくん!!」

 

ミーくんが服を着ているトチローに飛び掛かる。

 

「わっ、わっ、わっ、よ、よせ、やめろ!!」

 

顔を引っ掻かれたトチローはミーくんを振り払う。

 

「っ!?あっちが偽物です!!ミーくんがトチローさんを引っ掻くなんてありえません!!」

 

アインハルトが普段のミーくんの行動からトチローを傷つけるような真似をしない事から服を着ているトチローが偽物だと判断する。

 

「くらえ!!」

 

「偽物め!!」

 

コスモガンの一斉射撃を受けると服を着ているトチローは変身を解き、本当の姿を見せる。

 

その姿は頬がこけ、髪がなくガリガリの真っ白な人型のようなモノだった。

 

【挿絵表示】

 

「な、なんだ!?あれは!?」

 

「ウェ~白くてガリガリで気持ち悪い~」

 

「SCP―096みたい‥‥」

 

「シャイガイじゃないよ!!」

 

侵入者の本当の姿を見て、坂本とレヴィはドン引きし、ギンガは以前、昴から聞いたSCPシリーズのクリーチャーに特徴が似ている事から思わずそのSCPのコードを口にして、束はそれに対して思わず突っ込む。

 

本当の姿を見せた侵入者は高くジャンプして束たちの頭上を飛び越えると、そのままエレベーターに乗り込み逃走する。

 

「あっ、待て!!」

 

「くそっ、逃げられた!!」

 

「早く追いかけましょう!!また別の誰かに変装されたら厄介だ!!」

 

「でも、奴は何処に!?」

 

「あいつは俺に正体がバレてから、すぐ逃げようとしやがった。この第三艦橋には後部ハッチがあるからな‥‥まぁ、お前らのおかげでなんとか阻止できたが‥‥だが、これで諦めるような奴じゃないぞ‥‥!!エアロックから逃げるといかんので、さっきここから艦内のエアロックは全てロックした。窓を破って逃げようとしても、ヤマトの窓は全て硬化テクタイトだ‥‥」

 

「じゃあ、奴が向かう先は‥‥」

 

「ああ、外に出られる場所はもうあそこしかない‥‥十中八九‥‥格納庫だ!!」

 

トチローの機転で侵入者の逃走経路を一本に絞れた事で、束たちは侵入者が居るとされる格納庫へと向かった。

 

 

ヤマト 格納庫

 

トチローからの情報を受けて格納庫についた束たちは、格納庫の隔壁近くで立っている侵入者を発見した。

 

恐らく何とかしてエアロックを開けようとしているのだろう。

 

そこへ、束たちが追いつき、

 

「もう逃げられないよ!!エアロックは全部、トチロー君が閉鎖したからね!!」

 

束が侵入者に向かってそう言うと、逃げられない事を悟った侵入者は腕と脚を鎌状に構えて束たちに襲い掛かって来た。

 

「くっそ!!動きが早い!!」

 

「まるで蟷螂ですね!!」

 

「ここは石村じゃないんだけど!?」

 

「レヴィさん一体何の話ですか!?」

 

蟷螂のように動き回り切りつけてくる動きに束とアインハルトはそう愚痴り、レヴィはこの間ディアーチェと一緒にやった2020年代のスペースホラーゲームの敵を連想してそう言い、リニスは何を言っているのかと言った。

 

格納庫内を走り回りながらコスモガンを当て続けた結果、ダメージが蓄積したのか四足歩行形態に変わりスピードを上げてきた‥‥。

 

「うわっ、更にキモくなった!!」

 

「蟷螂の次は蜘蛛か!?」

 

四つん這いになり、格納庫の壁にもへばりつくその姿は虫の様だ。

 

「覇王…断空拳!!!」

 

アインハルトが相手の一瞬の隙を突いて技を放って叩き沈めた。

 

「だ、大丈夫?」

 

「は、はい」

 

レヴィはアインハルトに大丈夫かと心配していたが‥‥

 

完全に破壊出来ていなかったのか背後から侵入者がレヴィに鎌を振り下ろそうとした。

 

しかし‥‥

 

『くたばれぇええええええええ!!!!』

 

 

ダダダダダダダダダダ!!!!!!!!!

 

 

坂本が駐機したままのコスモタイガーⅡに乗り込んで機銃の射線上に入った瞬間に機首に搭載されている30mmパルスレーザー機関砲八門を乱射した。

 

結果、侵入者はパルスレーザーの直撃をくらって、身体中を蜂の巣にされ完全に破壊されたが格納庫の壁も穴だらけになった。

 

「いや~まったく派手にやったもんだな?あとで山本にどやされるぞぉ?」

 

「まぁまぁ、私がなだめておくから」

 

第三艦橋から格納庫に駆けつけてきたトチローは坂本に注意したが、束がなだめた。

 

事情を説明したらきっと山本も理解してくれるだろう。

 

「ソイツ、ロボット‥ですよね??」

 

レヴィが恐る恐る斃した侵入者に近づきその正体を確かめる。

 

人間だったら、コスモタイガーのパルスレーザーをくらって肉片になりグロいが、侵入者のあたりに散らばっているのは血や肉片ではなく機械の部品がいくつも転がっている。

 

「ふむ、どうやらコイツは関節の組み換えによって身長・骨格を自由自在に変化させる事ができるみたいだ。そんで、表面は‥軟質ゴムだね?」

 

「ああ、そんでホログラムを薄く表面に纏うことで誰にだって化けられるって寸法さ‥‥」

 

「でも、音声については何処でデータを得たんだろう?」

 

「潜入した時に会話を盗み聞きしていたとか?」

 

束とトチローも侵入者に近づき正体を確認する。

 

「一応、コイツはサンプルとして残しておいてもらえるかな?」

 

(後で、ドゥーエに教えてみよう。どんなリアクションをするのかな?)

 

束は折角、手に入った暗黒星団帝国製のロボットなので、このまま処分せずにサンプルとして残してもらう事にした。

 

ヴィヴィオとアインハルトも隙を見て大人モードを解除して元の体形に戻った。

 

それから三十分後、武御雷と春藍がヤマト救援に到着した。

 

 

ヤマト 第一艦橋

 

「いや~しかし参りましたよ‥‥次からは殴る時、顔じゃなくて胴体あたりにしてくださいよね?まだ頬が痛いです‥‥」

 

「ひょうですよ~。まだ舌が痛くて上手くしゃべれないんですから‥‥」

 

南部はアインハルトが殴りつけた際に頬を痛めており未だに腫れていた。

 

更に徳川もヴィヴィオが殴った際に舌を噛んで痛めていたようだ。

 

「「ご、ごめんなさい‥‥(;´・ω・)」」

 

「いえ、二人が謝ることじゃあない。おい徳川!一緒に殴られた上に撃たれた儂は全然大丈夫だぞ?大体お前は鍛え方が成っとらんのだ!!」

 

「ひょ、ひょんなあ~‥‥」

 

徳川は理不尽な注文に絶叫する。

 

佐渡もあの侵入者に殴られて、リニスに治療を受けた後、今も医務室で安静にしている。

 

「イヤイヤ。ワタシナド、一度壊サレテイタンデスヨ!!」

 

アナライザーもロボットとは言え、一度壊されたので、生存者の中では一番の被害者であるが、今回の件で技術班の隊員が一名死亡し、その遺体は収容不能となっている被害が出ている。

 

 

武御雷 艦橋

 

「まったく忘れ物を取りに行っただけなのに災難だったな?」

 

「いやぁ~まったくだよ‥‥」

 

「まるでバイ〇だったよ~~」

 

ディアーチェは束にそう言い、束とレヴィははぐで~としていた。

 

「しかし、敵の目的は一体‥‥?ヤマトの乗員を制圧するなら、昏睡ガスではなく毒ガスを使用したら早かった筈なのに‥‥」

 

ギンガは疑問に思いそう束に尋ねる。

 

ヤマトの乗員を殺すのであるならば、あのようなガスではなく毒ガスを使用すれば乗員のほとんどを殺すことが出来た筈だ。

 

「多分鹵獲したかったんじゃない?ヤマトを筆頭に主力艦の波動砲は暗黒星団帝国軍にとっては脅威以外の何物ではないし、地球のパルチザンを制圧するのにはヤマトを鹵獲すれば心理的に追い詰めることもできる。無理でもロボット経由で情報は抜き取れるしね?」

 

「な、なるほど‥‥」

 

束の予測は当たっていた。

 

(あっ、今回の騒動でギンガちゃんをヴィヴィオちゃんとアインハルトちゃんに紹介するのを忘れた!!)

 

(まぁ、時間はまだあるから今度の機会にするか)

 

そして、束は今回の侵入者騒動で、ギンガが本当はミッドチルダの出身者である事をヴィヴィオとアインハルトに紹介するのを忘れていた事に気づく。

 

しかし、二人がミッドチルダに戻るまでまだ時間はあるだろうから、紹介するのは次の機会に延期することにした。

 

 

その頃、某宙域 暗黒星団帝国 本星 聖総統謁見の間では‥‥

 

 

「聖総統閣下、サーダ様‥‥D3号との交信が途絶え、シグナルもロストしました。どうやら、破壊されたもようでございます」

 

現在地球を占領している暗黒星団帝国本星では、国家元首である聖総統に側近の一人がヤマトに送り込んだ刺客が破壊された事を報告する。

 

「失敗か‥‥まぁよい‥‥」

 

「そう上手くはいかないものですわね‥‥」

 

手の込んだ作戦を実行したにも関わらず、その作戦が失敗したのだが、聖総統とサーダはそこまで落胆した様子も憤怒する様子もなかった。

 

暗黒星団帝国側としてはロボット一体が破壊されただけで人的被害はない。

 

「ヤマトの内部データも十分に取れた‥‥ヤマトを捕獲できなかったのは惜しまれるがな‥‥」

 

作戦が失敗し、刺客のロボットが破壊されたが、ヤマトのデータが取れた事で今回の作戦が全て失敗した訳ではなかった。

 

「ともかく、まだ打つ手は無数にあります。とりあえずは、サーグラスにでも相手をさせておきましょう」

 

「それにしても、危険なのは、あの波動エンジンと波動砲‥‥ゴルバ級のα砲だけでは太刀打ちできまい‥‥一刻も早く、β砲の完成を急がなければな?」

 

侵入させたロボット経由で情報を得ていた暗黒星団帝国上層部はヤマト捕獲がかなわなかったことを惜しんでいたが、波動砲や波動エンジンが脅威であると改めて認識し、β砲の完成を急がせることとなった。

 




次回 司令部侵入


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