内惑星艦隊の奮闘   作:島田愛里寿

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第百四十一話 第二の補給基地攻略

地球を暗黒星団帝国から救うために、暗黒星団帝国の本星を目指している選抜艦隊‥‥。

 

しかし、暗黒星団帝国側の巧妙な策略で、選抜艦隊は暗黒星団帝国本星の位置を特定できぬまま宇宙を彷徨っていた。

 

ガミラスとの戦争時と異なり人類絶滅までの時間が一年と言う訳ではないが、暗黒星団帝国が地球に打ち込んだ重核子爆弾がいつ起爆するのか不明なので、一分一秒でも早く暗黒星団帝国の本星へと行き、重核子爆弾の起爆装置を破壊しなければ、地球を救うことが出来ない状況下では、人類絶滅の時間が不明なので、選抜艦隊の乗員たちの焦りは当然である。

 

そんな中、選抜艦隊は奇跡的な事に暗黒星団帝国の中間補給基地と同型の移動補給基地を発見することが出来た。

 

暗黒星団帝国側としては選抜艦隊に発見された事は致命的なミスであった。

 

選抜艦隊側としては基地を完全に破壊することなく、航路情報を‥‥

 

暗黒星団帝国側としては何としてでも選抜艦隊を殲滅して自分たちの情報を死守しなければならなかった。

 

宇宙の一角で選抜艦隊と暗黒星団帝国の必死の攻防戦が繰り広げられる。

 

基地から出撃して来た艦には暗黒星団帝国でも試作段階であるα砲搭載艦が含まれていた。

 

暗黒星団帝国が誇る要塞ゴルバにも同じ兵器が搭載されているがその口径は大きな差があるが、α砲であることには変わらない。

 

いくら小口径のα砲とは言え、対艦戦闘では絶大な威力を誇る。

 

しかし、α砲はあくまでも対艦兵器‥‥小型で小回りが利く航空隊相手には不利だ。

 

なので、束は航空隊にまずはα砲搭載艦、そして敵空母への攻撃を指示した。

 

赤城をはじめとする味方空母所属の航空隊も武御雷所属の航空隊同様、敵空母とα砲搭載艦の撃破へと向かう。

 

敵は左舷方向にα砲搭載艦、右舷方向に空母部隊を展開している。

 

α砲搭載艦は艦載機相手には不利であり、逆に空母部隊は複数居り、艦載機‥特に新型の特殊爆弾を搭載している敵の爆撃機隊の存在も選抜艦隊には厄介なので、空母部隊へ航空隊の多くを割いた。

 

 

武御雷 航空隊

 

「全機、タキオン阻害チャフ散布!!」

 

いくらα砲搭載艦が艦載機相手の接近戦に不利とは言え、こちらが接近中の中、密集隊形でα砲を撃たれたら、航空隊にも甚大な被害が出るので、武御雷の航空隊はまず敵の目を使えない様にチャフをばら撒く。

 

航空隊がα砲搭載艦、空母へ向かっている中、選抜艦隊には敵の駆逐艦が接近して来る。

 

 

武御雷 艦橋

 

「敵艦接近」

 

「艦種は?」

 

「速度から駆逐艦と思われます。ただ、この速度はあまりにも異常なので、無人駆逐艦です」

 

「ミサイルで弾幕を張れ!!無人だとすると体当たりをしてくるかもしれないからね」

 

「了解」

 

複数のミサイルで弾幕を張り、敵駆逐艦の接近を阻止する。

 

その間、α砲搭載艦の殲滅に向かった武御雷の航空隊の方は‥‥

 

「見えて来た。全機散開しつつ攻撃!!いいか、敵艦の正面にはなるべく出るな。α砲なんてモノをくらったら一貫の終わりだぞ!!」

 

『了解!!』

 

武御雷の航空隊はα砲を警戒し、α砲の死角である上下左右、後方から攻撃を行う。

 

一方、敵空母部隊へ向かった航空隊は、

 

「敵の戦闘機は俺たちヤマト航空隊が相手をする!!他の航空隊は敵空母の攻撃に移れ!!」

 

山本がヤマト航空隊を率いて戦闘機を中心とする護衛戦闘機隊と交戦をし、他の航空隊は防空網を突破して、敵空母の攻撃を行う。

 

航空隊がα砲搭載艦、敵空母、敵艦載機部隊と交戦の中、主力部隊は前進して敵艦との戦闘に入る。

 

「敵の戦艦ならば、偏向バリアを装備しているかもしれない。敵艦への攻撃は実弾を使用せよ!!ただし、波動カートリッジ弾はギリギリまで使うな!!」

 

プレアデス級戦艦にはショックカノンを通さない強力なバリアがあった。

 

基地の守備を担う戦艦ならば、もしかしたらあの強力な偏向バリアを装備しているかもしれない。

 

束は、射程は劣るが、確実に相手へダメージを与えることが出来る砲弾とミサイル、魚雷による実弾攻撃を命じる。

 

選抜艦隊が敵の戦闘艦部隊と戦っている中、武御雷の航空隊はα砲搭載艦を次々と撃破していく。

 

やはりα砲搭載艦は対艦としては強力な艦であるが、艦載機相手の接近戦では自慢のα砲を活かす事が出来なかった。

 

敵空母の攻撃へ向かった航空隊も多少の被害を出しつつも敵の空母を撃破していく。

 

 

武御雷 艦橋

 

「敵基地より敵艦隊第二波の出撃を開始しました!!」

 

やはり、補給基地‥最初に展開していた敵だけでなく、基地本体にもまだ戦闘艦を停泊させていたみたいで、新たな戦闘艦が出撃して来た。

 

しかし、その中にはα砲搭載艦、空母は含まれていなかった。

 

最初に邂逅した補給基地は地球占領軍の援軍を控えていたのか七十隻もの戦闘艦を停泊させていたが、この基地はそこまでの戦闘艦を有している訳ではなく、第二波以降、基地から戦闘艦が出撃して来る事はなかった。

 

「敵反応、全て消失。残るは基地だけですが‥‥基地からのミサイル攻撃が依然と続いています」

 

しかし、基地自体も攻撃能力を有していたので、ミサイル攻撃をしてくる。

 

此処からが難しい。

 

基地を破壊せずに攻撃機能と動力機能のみを停止させるのだから‥‥

 

「このままでは消耗戦になるし、敵に時間をかければ援軍を呼ばれたり、航路データなど、敵本星に関わる重要な情報が消去されてしまう‥‥かと言って大規模な攻撃は出来ないし‥‥うーん‥‥」

 

束が基地攻略に関してどう進めて良いモノか悩んでいると、

 

「艦長、ヤマトから通信が入りました!!」

 

ギンガがヤマトからの通信を受信した事を報告する。

 

「それで、ヤマトは何だって?」

 

「これより、ヤマト砲術長による精密射撃を行う‥‥以上です」

 

「なるほど、南部君の射撃ならばあるいは‥‥」

 

ヤマトからの通信内容を聞いて束は妙に納得する。

 

「えっ?ヤマトの砲術長ってそんなに射撃が上手いんですか?まぁ、ヤマトの砲術長をやっているくらいですけど‥‥」

 

レヴィは束に南部の射撃の腕を訊ねる。

 

「オリンピックのメダリスト級の腕前だよ」

 

「すごっ!!」

 

束の返答内容にレヴィは驚愕する。

 

まさか南部の射撃の腕がそこまでの腕前だと思わなかったのだ。

 

 

※一応、武御雷砲術長の朝田詩乃も同じレベルの腕前なので詩乃は内心ライバル心を燃やしていたのだが、気づかれていなかった。

 

 

(そう言えば、ティアナも確か射撃型の魔導師だったわね‥‥)

 

(最後に会ってから随分と年月があったけど、どれくらい成長したのかしら?)

 

射撃の話題が出た事でギンガの脳裏にはティアナの姿が思い浮かぶ。

 

スバルとティアナがまだ管理局の訓練校に通っていた頃、スバルの紹介でギンガはティアナと会った事がある。

 

その際、ティアナと色々と話す機会があり、彼女がガンナータイプの魔導師である事も聞いていた。

 

やがて、ヤマトから波動カートリッジ弾が数発、敵の基地に向けて放たれる。

 

「波動カートリッジ弾、敵基地に命中」

 

「‥‥敵基地、連鎖爆発を起こしています!!」

 

「やばい、このまま誘爆が広がると基地が消滅しちゃうかも‥‥」

 

波動カートリッジ弾には波動エネルギーが仕込まれている為、波動融合反応が当然起こる。

 

その反応が大きければ、敵の基地はゴルバの様に誘爆を起こして消滅してしまうかもしれない。

 

今、敵基地が消滅してしまっては敵本星の位置を特定する手掛かりを失ってしまう。

 

選抜艦隊の誰もが。誘爆が止まってくれと願う。

 

「敵基地の動力反応‥‥停止、完全に沈黙しました」

 

その願いが通じたのか、それとも南部の射撃の腕が神がかっていたのか、誘爆は最小限の規模で収まった。

 

「ふぅ~‥‥誘爆が起きた時はどうなるかと思ったけど、何とか収まってくれたか‥‥」

 

「うむ、ヒヤヒヤしたぞ」

 

「艦長、ヤマトから技術班と戦闘班の出動要請が入りました」

 

敵の情報を得るために技術班、基地内にはまだ生き残って抵抗して来る敵がいるかもしれない。

 

技術班の護衛を兼ねての戦闘班の出動要請がヤマトから入る。

 

「よし、直ちに調査隊を組織、敵基地へと派遣する」

 

ようやく掴めるかもしれない敵本星の手掛かり‥‥

 

各艦から技術班と戦闘班が敵要塞へと向かい、データ収集を行う。

 

技術班が敵基地から回収して来た情報を分析した後、各艦の艦長たちはリモート会議を行う。

 

『見てくれ、これが敵基地から回収したデータの一つだ』

 

真田がこの宙域周辺の宇宙海図らしき図をモニターに表示する。

 

『残念ながら、敵の本星を挿すようなデータは見つからなかった』

 

「戦闘中に敵が消去したって事?」

 

『おそらくな‥‥』

 

「データの復元は出来なかったの?」

 

『何分敵基地のコンピューターの損傷が激しくてな‥このデータを引き出せただけでも儲けモノだ。それで、この宇宙海図から我々が居る渦状腕全域の宇宙海図を発見、回収、復元することが出来た』

 

『敵の‥‥宇宙地図か‥‥』

 

『此処が今、我々が居る場所‥先ほど撃破した敵基地があった場所だ』

 

表示されている宇宙海図の隅の方に光点が灯る。

 

『地図のデータをコンピューターにかけてみて分かったんだが、我々がいるこの銀河渦状腕には、どうも大きな異常があるらしい』

「大きな異常?」

 

『それってどんな異常なんですか?』

 

『今まで我々が通過して来た宙域の事を思い出せ‥‥褐色矮星ばかりの宙域‥‥濃密なガス帯‥‥恒星を持たずに漂流している惑星‥‥そして、密集し散る白色矮星‥‥』

 

「確かにこれまでの地球の常識から、考えられない異常な場所ばかりだったね」

 

『恒星のスペクトル分布も異常だ。太陽の様な黄色主系列星は限りなく少なく、寿命を終えた矮星や巨星が多すぎる。いいか、これを見てくれ。恒星分布に異常のなる範囲を割り出したものだ』

 

真田が端末を操作して、この宇宙海図の中にある異常な宙域を表示する。

 

すると、宇宙海図の中には大小規模があるが、異常を示す範囲があちこちに点在している事を示す。

 

「規模は様々だけど、確かに異常な宙域の数が多いな‥‥それにこの中央部分は、最初に誘い込まれた褐色矮星の宙域だ」

 

『そうだ。例の褐色矮星帯だ。ただ、なぜか恒星分布が偏っている宙域を縁で囲むと、そこがほぼ中央に位置しているんだ』

 

「でも、あの宙域には褐色矮星以外の反応は無かった筈‥‥」

 

『そこなんだ‥‥俺もタイムレーダーで過去の記録を遡って調べてみたのだが、あの宙域には、他の恒星反応どこから、基地や要塞の反応も無かった‥‥』

 

「でも、敵が使用しているこの宇宙海図の中心があの宙域って事は、あそこには何かあるんじゃないかな?」

 

『うむ‥問題は、なぜあの褐色矮星群を中心とする円の中だけ、恒星のスペクトル分布に異常があるのかなんだが‥‥』

 

「‥‥ねぇ、もしかしてなんだけど、この宇宙海図の中の異常って、敵が宇宙資源採掘の為、恒星からエネルギーを採掘して自然の状態から大きく狂わせてしまった‥‥って事は考えられない?」

 

ペテルギウス、ガミラス、イスカンダルで暗黒星団帝国は宇宙資源の採掘を目的としていた。

 

彼らが大マゼラン星雲、ペテルギウスにわざわざ出張って来たのは、自分たちの母星周辺にある宇宙資源を取り尽くしてしまったからではないだろうか?

 

ペテルギウスでの採掘の様子から、彼らの採掘方法は無茶苦茶で、採掘後の星を含め、周辺の星々にどんな影響が出ても構わないと言うやり方だ。

 

『採掘‥‥多数の資源‥‥ちょっと待て‥‥』

 

束の仮説を聞き真田は何か思い当たる節がある様だ。

 

「ん?どうかした?」

 

『‥‥そうか!!ダイソン球殻だ!!』

 

『ダイソン球殻?』

 

『なですか?それは?』

 

『20世紀にある学者が唱えた理論だ。恒星から出るエネルギーを余すことなく利用するには、恒星をまるごと包み隠す建造物を作ればいい‥‥我々の太陽系に換算すると、地球軌道をすっぽりと覆う程の巨大な球体を作ってしまう訳だ』

 

『そんな巨大なモノを?』

 

『ああ、そして人類は球殻の内側を地表として住む訳だ。惑星規模のコロニーだと思ってくれればいい』

 

『惑星規模の大きさのコロニー‥‥』

 

惑星‥つまり地球と同じ大きさのコロニーなんて想像もつかない。

 

あの彗星帝国の要塞都市でさえ、最初に見た時、巨大だと思ったのに、それ以上のコロニーと言うのだから想像もつかない。

 

『表面積は地球地表の数億倍‥‥どれだけの人口も養える…そして、エネルギーは太陽が有る限り、無限に近い‥‥』

 

「理想的なアイディアだけど、そんなモノ、本当に作れるの?」

 

『地球の科学力では、実現不能だとされている。なによりそれだけ巨大なモノを建造する資源の確保が難しいからな』

 

人工的に地球以上の大きさの惑星を作るなんて、太陽系の宇宙資源を全て使い尽くしても無理だろう。

 

『だが、重要なのはこれからだ。この理論が発表された時、こういう意見があった。「いずれ宇宙から、全く目には見えない赤外線のみを放出する天体が見つかった場合、それは高度に発達した文明かもしれない‥‥なぜなら、その天体はまさしくダイソン球殻である可能性が高いから」 と‥‥』

 

『でも、その理論には無理がありませんか?赤外線しか出さない星は実際に存在しますし…ほら、褐色矮星なんて実際にそうですし‥‥あっ、そうか!!』

 

古代が赤外線のみを放出する天体=高度に発達した星間国家説に無理があると言うが、何かに気づいた。

 

『そうだ。この説が提唱された時代にはまだ褐色矮星の存在は確認されていなかった。逆に今の我々は赤外線のみを放出する天体=褐色矮星だと思い込んでしまう』

 

「そう言えば、あの時爆発したのは確かに褐色矮星だったけど、他の星に関しては赤外線反応だけで、褐色矮星だと判断していたっけ?」

 

『うむ、それにあの宙域にはそれら以外の反応が全くなかった事も思い出せ。太陽と同じG2型のスペクトルの恒星はおろか、赤外線放出をする星以外のどんな恒星もなかったんだ‥‥周辺惑星の資源を食い尽くし、自分たちの星を覆い隠すダイソン球殻に近しいモノを造り上げたとすると‥‥』

 

『この宇宙海図内で起きている異常現象とも繋がる‥‥じゃあ、俺たちが最初に誘い込まれたあの宙域に‥‥』

 

『ああ、おそらくあの宙域にあったんだ‥‥敵の本星が‥‥』

 

「なんてこった。とんだ盲点だったね」

 

地球を占領している占領軍が空になっているヤマトのドックを調査した後、そこがパルチザンの本部になっているように、選抜艦隊のメンバーも罠だと誘い込まれた宙域にまさか目的地があるとは誰も思わない。

 

束の言う通り、これはとんだ盲点だった。

 

『では、行ってみましょう。あの宙域に‥‥』

 

『そうだな。何からの手掛かりはある筈だ』

 

選抜艦隊は最初に誘い込まれた例の褐色矮星宙域へと向かった。

 

その選抜艦隊の行動は暗黒星団帝国側に筒抜けとなっていた。

 

此処は彼らのホームグラウンドでもあるのだから‥‥

 

 

暗黒星団帝国 本星 聖総統府

 

「聖総統。ご報告いたします。地球艦隊は第八補給基地を撃破後、針路を変えて、連続ワープに入りました」

 

側近の一人が暗黒星団帝国の国家元首である聖総統に選抜艦隊の動きを報告する。

 

「なに?」

 

側近の報告を受けてサーダは眉をひそめる。

 

「‥‥して、その予想目的地点は?」

 

聖総統は選抜艦隊の向かっている地点を尋ねる。

 

「はっ‥‥それが‥‥座標ゼロ地点‥‥すなわち、この暗黒星団帝国本星かと‥‥」

 

側近は気まずさながらも選抜艦隊が向かっている地点を報告する。

 

「な、なんだと‥‥!!」

 

その報告を受けて聖総統よりもサーダの方が驚愕している。

 

「ハハハハハ!!分かった。下がってよい」

 

「は、はっ」

 

「せ、聖総統、これは‥‥」

 

サーダとしては敢えて最初に暗黒星団帝国本星目前の宙域で罠を張り、その宙域には何もない事を印象づけたと思いきや、地球艦隊は戻って来た。

 

それは自身の策略が失敗した事を物語っている。

 

「まぁ、そう狼狽えるな。どうやってから知らぬが、彼奴等は我等が本星の位置を見事突き止めたのだ‥‥こうなれば、その苦労を報いる為にそれ相応の出迎えをしてやろうではないか‥‥」

 

「しかし‥‥」

 

「こんな時の為に準備を整えておいたのであろう?さあ、彼奴等がこの星に辿り着いた時、目を見張る様を楽しもうではないか。ハハハハハ‥‥」

 

サーダは選抜艦隊に本星の位置を特定された事に狼狽えていたが、聖総統本人はまだ何か切り札があるかのようにむしろ選抜艦隊が自分たちの下に来るのを楽しみにしているかのようだった。

 

 

その頃、選抜艦隊は褐色矮星宙域にワープアウトした。

 

 

武御雷 艦橋

 

「‥‥ありました!!可視光反応ゼロ、赤外線反応のみ微弱‥球の半径はちょうど1.8天文単位です‥‥」

 

「真田くんの予想通りだ。まさか、本当にダイソン球殻が存在するなんて‥‥」

 

暗黒星団帝国の科学技術力の差を見せつけられているかのようだ。

 

該当宙域に赤外線フィルターをかけると巨大な円形のガス帯がモニターに映し出される。

 

「理屈はダイソン球殻と同じだけど、宇宙資源を使った建造物ではなく高密度の暗黒ガスで星系を丸ごと包んでいるみたいだ‥‥」

 

「そう言えば、イスカンダルで会ったゴルバの指揮官は宇宙間戦争をしていると言っていたからな。資源を惑星一個使用するよりもこの辺で手に入りやすい暗黒ガスを使用していると言う事なのだろう」

 

「しかし、球殻が建造物ではなくガスを使っていると言う事は、敵は球殻自体に住んで居る訳ではなさそうだ。敵はガス球殻の中に本星を隠していると言う事だ」

 

「ガスの中に本体を隠す‥‥まさに彗星帝国の上位互換だな」

 

「確かに‥‥」

 

「あのガスの中に‥‥」

 

「敵の本星が‥‥」

 

選抜艦隊はガス球殻の中へと突入する。

 

『束、ガス球殻の中に恒星系反応があるぞ!!』

 

千冬がガス球殻の中に恒星を見つける。

 

「やっぱり太陽系の太陽と同じG2型スペクトルの恒星か‥‥」

 

姿は兎も角、暗黒星団帝国人も人型生命体と言う事で、地球の太陽と同じ恒星の中に本星を構えている様だ。

 

『もう少しでガス球殻を突破する。その先に一つ、惑星反応もある。恒星の太陽ではない』

 

「いよいよか‥‥」

 

「その惑星が敵の本星って事だ」

 

「ちーちゃん、モニターに映せる」

 

『ああ、出来るぞ‥‥ん?これは‥‥おい、アインス、コレは何かの間違いではないか?』

 

『い、いえ、そんな筈は‥‥でも、これは‥‥』

 

千冬もアインスも何やら困惑している様子だ。

 

「どうしたの?ちーちゃん。珍しく困惑しているみたいだけど?」

 

『あっ、いや‥‥兎に角、惑星の映像をモニター表示する』

 

武御雷艦橋にあるモニターに敵の本星と思われる星の姿が映し出される。

 

「えっ?」

 

「こ、これは‥‥」

 

「ち、地球?」

 

千冬とアインスが困惑したように敵本星の姿を見た武御雷‥いや、選抜艦隊のメンバーが困惑している事だろう。

 

暗黒星団帝国本星の姿は地球そっくりな星だったのだ。




次回 偽りの星

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