地球において重核子爆弾の占領作戦、及びジャブロー要塞経由で地球各地に密かに伝達されていた占領軍に対する地球一斉決起の時が着々と進んでいる中、地球を占領している暗黒星団帝国本星にて彼らは、自分は200年後の未来人と言う設定で、ヤマトを始めとする選抜艦隊の面々を騙そうとした。
しかし、ヤマト通信長の相原の機転と束の前世の知識‥もとい、宮殿内に展示されていたロダンの『考える人』の銅像がとっているポーズの違いに気づいた事により、自分たちが辿り着いた地球そっくりな星はやはり地球ではなく、そこに住む彼らも200年後の未来人でもない事が判明した。
暗黒星団帝国の国家元首である聖総統スカルダートは、自分たちは未来人なのだから、君たちは地球を救う事は出来ないと言うが、この星が偽物の地球であり、彼らが200年後の未来人でないならば、地球を救う事は出来る。
だが、一つ問題が生じた。
彼らが未来人ならば、地球に住む人類を絶滅させてしまえば、自分たちの存在も消す事になるので重核子爆弾を炸裂させることが出来ない。
しかし、彼らは未来人ではない‥‥と言う事は地球人類を絶滅させても何の問題はない。
と言う事は、彼らは地球に打ち込んだ重核子爆弾を炸裂させる事も十分に考えられる。
地球を救うには、もう一度、あの星に戻って重核子爆弾の起爆装置を停止もしくは破壊しなければならない。
そんな選抜艦隊の前に同胞の敵討ちに執念を燃やすサーグラスが艦隊を率いて現れた。
敵本星に戻るにはこのサーグラス艦隊を殲滅・突破する必要があった。
「敵前衛艦隊、左右に展開して接近中」
敵の前衛は巡洋艦、駆逐艦、護衛艦を中心とした高速艦隊。
「こちらも部隊を左右に‥二手に分けて対処」
敵の高速艦隊は速度については地球艦隊の戦艦よりも勝るが搭載されている主砲は威力が劣る。
なので、接近して来る必要がある。
「遠距離攻撃で敵を近づけるな!!」
「敵駆逐艦、ミサイルの発射を確認!!」
「囮ミサイルと迎撃ミサイル撃て!!」
速度と機動性があっても戦艦からの集中砲雷撃戦で前衛艦隊は数を減らす。
「新たな敵をレーダーで確認!!巡洋艦を中心とした部隊の様です!!さらにその後方には狙撃戦艦らしき反応も確認!!」
「航空隊スクランブル発進!!狙撃戦艦は厄介だ。巡洋艦部隊はこちらで対処する。航空隊は狙撃戦艦部隊の対処に当たれ!!」
空母、そしてコスモタイガーを搭載している戦艦からは次々と航空隊が出撃する。
「高速推進ポット点火!!一気に距離を詰めるぞ!!」
航空隊は巡洋艦部隊の包囲網を突破し、狙撃戦艦のピンポイント攻撃が来る前に一気に狙撃戦艦へと肉薄して攻撃を開始する。
「見えた!!敵、狙撃戦艦だ!!全機、強化ミサイルハッチ開口!!攻撃開始!!」
グロデーズ 艦橋
「敵艦隊、前衛を突破し、第二ラインへと接近!!」
「敵艦載機部隊が第三ラインの狙撃戦艦部隊に接近しています!!」
「護衛戦闘機隊を出して迎撃に出すのだ!!」
「了解!!」
グロデーズの周囲に居た戦闘空母からは戦闘機隊が出撃して行く。
「敵艦隊、第二ラインを突破!!」
その最中、選抜艦隊は巡洋艦部隊を撃破してこちらに向かってくる。
「ぬぅ~こうなれば‥‥無限β砲、発射用意!!」
「はっ、無限β砲、発射準備!!」
「フフフ、いよいよだ‥‥いよいよグロータスたち大勢の我が同胞の仇を撃つ時が来たのだ‥‥」
サーグラスはグロデーズの切り札でもある無限β砲の発射命令を下す。
するとグロデーズの艦首部の装甲の一部が開くと巨大な二門の発射口が姿を現した。
武御雷 艦橋
「通信長、全艦に進撃ペースを落とすように伝えて」
「えっ?は、はい」
束はギンガに艦隊の速度を落とすように通信を送らせる。
「どうした?束」
束の指示を聞いてディアーチェがどうしてそのような指示を出したのか訊ねる。
「敵の旗艦‥‥あの艦がどうも気になる‥‥」
敵の旗艦らしき戦艦はれまで戦ってきた暗黒星団帝国の艦艇と艦影が異なり、その大きさは流石にゴルバ程ではないが、これまで敵の艦隊旗艦を務めて来たプレアデス級よりも大型だ。
「彗星帝国の太陽系侵攻艦隊の旗艦も他の艦と違った造りをしていたでしょう?」
「ああ、あの火炎直撃砲搭載艦か‥‥」
「これまで確認されていない新型艦と言う事は何かしら切り札のような決戦兵器を搭載していてもおかしくはない筈だよ」
彗星帝国の火炎直撃砲搭載艦はワープによって回避が不可能である転移砲を使い、地球艦隊を大いに苦しめた。
それにこれまで戦って来た暗黒星団帝国のプレアデス級も艦周囲に強力なバリアを搭載し、地球艦隊を手古摺らせてきた経緯がある。
なによりも他の艦がこうして地球艦隊と戦っている間、動く事も、攻撃をする行動もせずに沈黙を保ち続けている事がより一層の警戒感を引き立てている。
「確かに‥‥」
「全方位を警戒。もしかしたら、火炎直撃砲みたいにワープで高エネルギー砲を撃ち込んで来る事も考えられるからね」
「了解」
ディアーチェが敵旗艦の動きを注視し、束が警戒を促すように指示を出したその矢先‥‥
グロデーズ 艦橋
「無限β砲、エネルギーチャージ完了!!」
「フフフ‥‥地球人どもめ、見るがいい‥‥これが我が帝国が誇る無限β砲の威力だ!!無限β砲発射!!」
グロデーズの艦首の大砲からオレンジ色の高エネルギー砲が発射された。
高エネルギー砲こと無限β砲はアステロイドを薙ぎ払って選抜艦隊へと迫る。
しかし、束が速度を落とすように進言していたので、選抜艦隊は無限β砲の射程ギリギリの圏外に居たので、攻撃をくらうことはなかった。
「な、なんだ!?あの兵器は!?」
「それに、なんて威力だ‥‥」
無限β砲の威力を見て、選抜艦隊の誰もが度肝を抜かれる。
「アインス、あの兵器の解析は出来たか?」
ディアーチェがアインスに敵兵器の詳細を訊ねる。
『おそらく波動砲と同じ粒子砲だ‥‥エネルギー組成は波動砲とは異なるようだが、威力に関しては波動砲と同等かそれ以上の威力なのかもしれない‥‥』
「あれだけ馬鹿デカい船体をしているんだ。出力は春藍や武御雷以上のモノを出せるだろうからね」
「見掛け倒しではないと言う事か‥‥」
「そうだね。ただ、見た所まだ試作艦‥って印象があるから、暗黒星団帝国はいずれ船体を今の艦よりも小型にしてあの威力が出せる艦を作るかもしれない」
「あんなものを量産なんてされたら厄介なんてものではないほどに面倒且つ大変だぞ」
「そうだね。厄介だ‥‥だからこそ、今の内になんとかするしかないな‥‥」
「なんとか‥なぁ‥‥」
話し合いで艦の造艦に制限なんてかけられるはずも無いので、束の言う『なんとか』は暗黒星団帝国を攻め滅ぼす事を指しているのをディアーチェはなんとなく察していた。
グロデーズ 艦橋
「ヤマトはどうした!?」
サーグラスはオペレーターに弾着観測を尋ねる。
尤も内心では無限β砲でヤマトが沈んだと思っていた。
しかし、オペレーターからの返答は、
「‥‥健在です」
ヤマトは沈んでいない報告であった。
「なにっ!?どういうことだ!?」
「敵は無限β砲着弾前に速度を落としていたようです。そのため、ヤマトはギリギリで無限β砲の射程外に居た模様です」
「くぅ~‥‥あと少しだったものを‥‥」
サーグラスは歯をギリギリと噛みしめて悔しがる。
「無限β砲、次弾発射準備!!」
「はっ、無限β砲エネルギーの再充填を開始します!!」
グロデーズは無限β砲を再度撃つための準備に取り掛かる。
武御雷 艦橋
「通信長、ヤマトの古代艦長に繋いで」
「了解」
束は守に通信を繋ぐ。
『どうした?束』
「敵旗艦の攻略は思ったよりも難しいし、時間がかかるかもしれない。重核子爆弾の事を含めてあの艦隊にあまり時間はかけられない」
『そうだな』
「残る敵艦隊は少ないから、こっちは私たちに任せてヤマトは敵本星に向かって重核子爆弾の起爆装置の対処と澪ちゃんの救助を頼むよ」
『‥分かった』
束は此処でモタモタしているとスカルダートが重核子爆弾の起爆装置を作動させる事を考慮してヤマトに重核子爆弾の起爆装置とあの星に残った澪ことサーシアの救助を託した。
グロデーズ 艦橋
「サーグラス司令、ヤマトが反転して我が母星に向かっていきます!!」
「なにっ!?くぅ~‥‥ヤマトめ!!‥‥無限β砲発射準備中止!!小ワープでヤマトの前面に出ろ!!此処でヤマトを逃す訳にも‥我が母星にヤマトを近づける訳にもいかんのだ!!」
「はっ!!」
ヤマトの動きを見て、サーグラスは発射準備をしていた無限β砲のエネルギーチャージを止めて小ワープを行い、ヤマトの前に立ち塞がるかのように展開した。
武御雷 艦橋
「敵旗艦、小ワープで敵母星の援護に回りました」
目の前に居た敵の旗艦が消えて次に姿を現したのが、暗黒星団帝国本星とヤマトの中間地点。
敵の旗艦はヤマトを狙ってワープを行ったのか?
それとも母星の援護に回ったのか?
いずれにせよ、ヤマトが敵旗艦の対処を行わなければならない。
「敵の旗艦はヤマトの前に出たのか!?」
「どうする?束。こちらも小ワープでヤマトの後を追うか?」
ディアーチェはヤマトの援護に回るかを尋ねる。
「‥‥いや、敵の残存艦隊に後方から追撃されても面倒だ。私たちは敵の残存艦隊を処理する」
「了解」
束は敵の旗艦をヤマトに任せて自分たちは敵の残存艦隊を相手にする。
そんな中、狙撃戦艦部隊を攻撃していた航空隊の背後から敵戦闘機部隊が攻撃していた。
「敵機来襲!!」
「コスモタイガー隊は敵戦闘機の迎撃!!コスモスツーカ、コスモアヴェンジャー隊は引き続き狙撃戦艦の攻撃を続行!!」
航空隊も攻撃と迎撃の二手に分かれる。
空戦は地球軍機、暗黒星団帝国機共に撃って落とされる乱戦となる。
武御雷 艦橋
「航空隊、敵戦闘機隊との戦闘に入りました」
「味方航空隊に被害が出始めています」
コスモタイガー隊も良く戦っているが、いかんこれまでの戦いと航海から搭乗員には疲労が蓄積していた。
「これ以上、敵戦闘機の数を増やす訳にはいかない。敵空母の所在は?」
「レイピアⅥと雪風・改の偵察では、アステロイド帯の中に隠れています」
「じゃあ、無人駆逐艦部隊を前進させてアステロイド帯の中から敵空母を燻り出して」
雪風・改を始めとして、ダガー級重無人重駆逐艦群は敵空母が潜んでいるアステロイド帯へと進入し、駆逐艦故の小型の船体と速力を活かして砲雷撃戦でアステロイド帯から敵空母を引きずり出す。
そして、アステロイド帯から出て来たところを戦艦部隊が長距離砲でとどめをさした。
「敵空母の撃沈を確認!!」
「よし、航空隊の援護に回る!!全艦前進!!」
母艦を潰され、帰還する場所を無くした敵の戦闘機隊も選抜艦隊の対空火器とミサイルの前に次々と撃墜された。
ヤマト 艦橋
「敵反応、一隻ヲ除イテ、スベテ消滅シマシタ」
サーシアの代わりにレーダー手の任務に就いているアナライザーがサーグラス艦隊の壊滅を報告する。
「あと一隻‥‥あの化け物だけか‥‥」
島は操舵桿を握りながら眼前のグロデーズを睨む。
「艦長、エネルギー充填の時間が十分あります。この隙に最大出力の波動砲で一気に撃滅しましょう」
真田がグロデーズの行動を見て、一気に波動砲で勝負をつけようと進言する。
「しかし、真田さん‥‥波動融合反応のことがあります。サーシアのいる敵本星への影響は?」
古代は波動融合反応の影響でサーシアがまだいる敵本星が波動融合反応の影響で誘爆しないかを危惧する。
「どうなんだ?真田」
守も古代同様、真田に波動融合反応の影響について尋ねる。
なにしろ、敵の星にはまだ自身の娘が残っているからだ。
父親として心配になるのは当然だ。
「敵本星まではまだ距離がある‥‥射軸を外しさえすれば、サーシアのいる敵本星には影響はないと思われます‥‥」
「よし‥‥波動砲、発射準備だ!!波動砲への回路を開け!!」
真田の言葉を聞いて、守は波動砲の発射準備を命じる。
束の言う通り、自分たちには時間がない。
さっさと敵の旗艦を沈めて重核子爆弾の起爆装置を停止ないし破壊しなければ、地球人類は絶滅してしまう。
「はいっ!!波動砲への回路を開きます!!総員、対ショック、対閃光準備!!」
「波動エンジン出力上昇‥‥波動砲へバイパス接続‥‥!!」
「ターゲットスコープ、オープン!!」
古代の座席に波動砲の反射式照準器と発射トリガーが飛び出す。
「電影クロスゲージ、明度20!目標、前方敵戦艦!!距離5000!」
ヤマトが波動砲の発射準備をしているのはグロデーズからも確認できた。
グロデーズ 艦橋
「サーグラス司令!!ヤマトは波動砲の発射準備を行っている模様です!!」
「むっ!?小癪な‥‥波動砲とやらで、一気にカタをつけようという魂胆だろうが‥‥そうはいかんぞ!!貴様らの波動砲‥‥そして、我々の無限β砲‥‥!!どちらが勝つか、これで雌雄を決しようではないか!!無限β砲、発射準備!!」
「はっ、無限β砲発射準備!!」
ヤマトの様子を見て、サーグラスも無限β砲の発射準備を行う。
ヤマト 艦橋
「古代さん!!敵巨大戦艦に高エネルギー反応!!例の粒子砲のチャージを始めたと思われます!!」
「っ!?やる気か‥‥!!」
「シアーロック開放!!内圧限界へ!!‥‥カウントダウン開始!!10‥‥9‥‥8‥‥7‥‥」
南部が波動砲のカウントダウンを始める。
一方で、グロデーズの方も無限β砲の発射はカウントダウン段階へとなり、砲術員がカウントダウンをする。
「6‥‥5‥‥4‥‥」
「3‥‥2‥‥」
ヤマトの波動砲の発射口にはタキオン粒子があつまり、青白く発光し始め、グロデーズの艦首にある二つの無限β砲の発射口にはオレンジ色の光りが集まる。
「艦首、波動砲‥‥」
「無限β砲‥‥」
「「発射!!」」
ヤマトの波動砲とグロデーズの無限β砲がほぼ同じタイミングで発射される。
ヤマトの波動砲とグロデーズの無限β砲がぶつかり合うも波動砲の軌道が僅かにずれた。
「軌道がずれた!!急速回避!!上だ!!」
「急速回避!!」
ヤマトは急ぎ上方へと回避する。
無限β砲はヤマトの第三艦橋を吹き飛ばすだけに留まった。
一方、ヤマトの波動砲はグロデーズの左舷船体をえぐるように命中する。
元々暗黒星団帝国の鉱物組成が波動エネルギーと相性が悪いことから船体中央に命中しなくともグロデーズは誘爆を起こす。
「ぐわぁぁぁぁー!!」
グロデーズは誘爆を繰り返しながら、暗黒星団帝国の本星へと墜落していく。
「やったか!?」
「見ろ、古代‥‥」
グロデーズは大気圏で爆散し、その破片が敵本星へと降り注ぐ。
「敵の星が‥‥あの星にはサーシアが!!」
「ま、まさか、こんなことになるとは‥‥波動融合反応がこれほどとは‥‥」
真田は自分の判断ミスに思わず頭を抱え込む。
「‥‥」
守も唖然として崩壊していく暗黒星団帝国の本星の様子を見ている。
グロデーズの破片は地表にある地球を模した超近代都市に落下すると爆発と火災の誘爆に巻き込まれ、建物はまるでドミノの様に倒壊していく。
海もあっという間に海水は蒸発し、空には稲妻が何本も走る。
その光景はまさに地獄のような光景であった。
誰もがサーシアの生存に絶望すると、誘爆を繰り返す敵本星に動きがあった。
それはまるでミカンの皮を剥いだかのように地球を模した星の下から巨大な機械とパイプで出来た骨組みのような姿の星が出現したのだった。
次回 重核子爆弾へ
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