内惑星艦隊の奮闘   作:島田愛里寿

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第百四十八話 帰還

暗黒星団帝国の本星こと人工都市における決戦を制し、地球の脅威を排除した選抜艦隊は、シリウス恒星系を経由し、出迎え担当として残っていた巡洋艦数隻の先導を受け、太陽系への帰路に就いた。

 

その過程で、一度シリウス恒星近隣宙域にて管理局の艦隊と宙雷戦隊がやり合い、捕虜を二名取った事実も聞かされることになったが‥‥。

 

 

武御雷 艦橋

 

「はぁ~またか‥‥」

 

束は額に手を当てながら呆れるように呟く。

 

「嘆いておる場合か。で、どうするのだ?その二名を乗せた沖風は既に地球におるのだぞ?」

 

「仕方ない、今度ミッドに帰るフェイトちゃんたちと一緒に帰ってもらおうか。あ、あとついでに無事だったソロモン要塞で収監していた管理局員たちもいい加減に帰そう」

 

クロノから領海侵犯し、拘束した局員たちの処遇に関して地球連邦政府に任せると言われたが、これから地球は戦災からの復興作業もあり、無駄飯食らいを置いて置く余裕は無いし、徒党を組まれてソロモンを占領されてはたまらない。

 

それならば、彼らには早々にミッドチルダへと帰ってもらう事にした。

 

他の星間国家の領海侵犯ならびに所属艦船に対して警告無しにアルカンシェルを撃ち込んだ件についてはどうせ管理局では厳重注意くらいの軽めな罰で済ますだろうが、此方には人的被害はないので、別にそれでも構わない。

 

これでもしも撃沈何てされていれば、クロノから処遇を任されていた事も含めてデバイスを没収して彼らを刑務所に収監している所だ。

 

「だが、いいのか?」

 

「ん?なにか?」

 

「彼らの処遇については此方に一任されているのだろう?」

 

「だから、還ってもらうんだよ。でも、手心を加えるのは今回が最後だ。次に領海侵犯をして地球連邦政府所属の船に対して警告無しで攻撃してくるようなモノなら、敵対行為とみなして捕虜はとらずに問答無用で撃沈する」

 

「さらっと恐ろしい事を言うな、お前は‥‥」

 

ディアーチェは束の発言にややドン引きした。

 

そして、束は地球への通信回線を開いた

 

 

地球本土では、ヤマトや第七艦隊、選抜艦隊の無事の報に喜びの声が上がったのは言うまでもない。

 

その後、各艦は太陽系内を巡回しつつ、暗黒星団帝国からの監視を逃れたものの、艦の損傷が激しく身動きが取れずに隠れているしかなかった戦艦一隻と巡洋艦二隻、護衛艦三隻を回収し、さらに群狼作戦を継続していた次元潜航艦部隊の全艦艇を引き連れて地球へと帰還した。

 

※ちなみにその途上でアクシズにいたスターシア陛下や各国の要人や王族の収容も行ったのは言うまでもない。

 

 

その後、束や古代守と進、真田はレジスタンス総司令部に出頭。

 

藤堂ら幹部に戦勝報告を行った。

 

その際に提出されたヤマト、武御雷、雪風・改のカメラが記録した暗黒星団帝国の中心部とも言える人工都市を破壊した映像によって、内部から波動融合反応で誘爆していく暗黒星団帝国本星の映像の数々が伝えられた。

 

これらの映像が決して作られたものではない事はヤマトらが地球への帰還行動に移っている事から明白であった。

 

ようやく暗黒星団帝国からの脅威が去った事実は藤堂から地球連邦政府へと伝えられ、大統領は連邦市民に対して公式に会見を開き、地球が暗黒星団帝国から解放された旨を発表すると地球の各所では歓喜の声が響いた。

 

ただ、ヤマト、武御雷、雪風・改が撮影したデザリアム星の崩壊映像は暗黒星団帝国の人たちが吹き飛ぶ詳細な映像ではないが、都市がヤマト、武御雷の波動砲で消滅していく光景は都市内部に居た民間人も同じく消滅していくことを意味しているショッキングな映像なので、大統領からの会見ではその映像は使用されず、あくまでも防衛軍関係者がその映像を確認し、暗黒星団帝国の脅威は完全に去ったと判断したのだ。

 

「フェイトママ!!」

 

「ヴィヴィオ!!」

 

その後、更識がヤマトから武御雷へと戻り報告を行っていた頃、ティアナやフェイト達、そしてヤマトの航海に同行し、宇宙艦艇の戦闘や艦内戦を経験したヴィヴィオとアインハルトは再会を果たし、泣いて喜び合った。

 

そして彼女たちはヤマトクルーや防衛軍においても重要な意味を持つ英雄の丘を訪れていた。

 

「やっと、終わったんですね」

 

「そうだね‥‥」

 

ティアナの言葉にフェイトはそう返した。

 

「市民の方々の眼が絶望ではなく熱意と希望に満ちていました。おそらく復興も直ぐに成すでしょうね」

 

「そうですね、アインハルトさん‥‥。なのはママみたいに強い精神を持った人たちばかりです」

 

ヴィヴィオとアインハルトも帰還後にこの丘に来るまでに見た市民の顔が希望を失っていないことからも必ずこの地球は復興すると感じていた。

 

「それにしても、やはりこの世界の人々はすごいですね‥‥」

 

シルビアはそう感じた。

 

管理局の魔導師もすごい者は確かにいる。しかし、この世界の人々程のことを成せるかと問われれば無理と答えるだろう。

 

防衛軍や各地のレジスタンスは陸海空・宇宙と各々が出来ることをやりつつも目的である地球解放の為に戦った。

 

しかし、管理局は幹部の利権やそれぞれの組織のことを優先して行動する傾向もあり、この地球程の徹底的な活動ができるとは思わない。

 

それにこの世界では市民たちが何かしらの形でレジスタンスや防衛軍に協力していたが、ミッドチルダや次元世界の管理局の管理下にある世界の市民全員が魔導師ではないし、もしも異星人に占領された際に戦うだろうか?

 

怪しいとしか言えない。

 

逆にその異星人と協力して管理局を排除しようとするかもしれない。

 

シルビアは隣にいたシャルロットと神堂の顔を見た。

 

ニ人はティアナと共にパルチザンに参加していたことから顔が変わったように見えた。

 

彼女たちは管理局員でもそうそう経験しないであろう質量兵器を用いた戦争に従事したのだ。

 

パルチザン参加前に比べたら凛々しくなっていた。

 

なお、それはフェイトも感じており、ヴィヴィオとアインハルトに対しても同じように感じていた。

 

ヴィヴィオとアインハルトもヤマト艦内にて暗黒星団帝国本星への旅に同行した際に、医務室で佐渡の手伝いをしたり、暗黒星団帝国のロボット侵入の際に束達と実戦を経験したのだ。

 

兵は戦場で一人前となるとはよく言ったものである。

 

一方、月村邸では昴が帰って来た束に泣きついていた。

 

「うわああああん!束お姉ちゃん~~~!!」

 

「お~よしよし!よく頑張ったね~!!」

 

昴はこれまで耐えていた感情が束とディアーチェが帰って来たことで決壊したのか、束に抱き着いて号泣しており、箒も抱き着きたいが恥ずかしさからウジウジしていたものの、束が手招きしたのですぐに抱き着きに行った。

 

なお、星奈に関してはディアーチェに抱き着いていた。

 

ちなみに今回はホワイト艦隊の島田美香も同行しており、月村邸にいた妹の愛里寿や母の千代と再会して抱き合っていた。

 

一時間後、フェイトたちが帰って来てヴィヴィオとアインハルトについて紹介を受けた後にリンネが訪ねて来た。

 

なお、この世界における昴とリンネを見たヴィヴィオとアインハルトの反応は‥‥

 

「小さな!!スバルさんだ!!」

 

「小さなリンネさん‥‥」

 

自分達が知っている人物と似て異なる姿に驚愕した。

 

「えっと‥‥お二人は?」

 

(なんかこういう展開前にもあったな‥‥)

 

「どちら様でしょう?」

 

向こうは自分たちの事を知っている様子だが、昴とリンネは当然、ヴィヴィオとアインハルトとは初対面なので知らない。

 

しかし、昴はギンガ、フェイト、ティアナと初めて会った時、三人は自分の姿、容姿を見て驚いていたが、今、眼前に居る二人の年上の少女たちも何故か自分とリンネの姿を見ながら驚いていた事に昴はデジャブを覚える。

 

その一方で、もう一つの地球にミッドチルダに居る人とそっくりさんが何人か居る事がフェイトたちミッドチルダ組の反応で分かるのだが、少なくとももう一つの地球にヴィヴィオとアインハルトのそっくりさんは海鳴には居ないことなる。

 

「初めまして、高町ヴィヴィオです」

 

「アインハルト・ストラトスです」

 

二人は昴とリンネにペコッと頭を下げつつ自己紹介をする。

 

「高町?もしかして星姉の親戚の人?でも、星姉からそんな話は‥‥」

 

昴はヴィヴィオの名字が星奈の名字と一緒だった事から、親戚なのかと思った。

 

「星姉?」

 

「あら?昴、お客さんですか?」

 

そこへ、星奈が来てヴィヴィオとアインハルトが彼女の姿を見ると‥‥

 

「小っちゃいなのはママ!?」

 

「ヴィヴィオさんのお母様?でも、髪の毛が短い‥‥」

 

「ん?なんか、そのやり取りデジャブを覚えるのですが‥‥」

 

昴同様、星奈もヴィヴィオとアインハルトの反応にデジャブを覚える。

 

「それで、えっと‥‥」

 

ヴィヴィオが戸惑っていると、

 

「ああ、初めまして。私は高町星奈と申します」

 

「高町!?」

 

「ヴィヴィオさんと同じファミリーネーム!?」

 

星奈の容姿もさることながら名字も同じだったことにも驚愕するヴィヴィオとアインハルト。

 

「それで、お二人は?」

 

「あ!初めまして、私も同じ高町で、高町ヴィヴィオと言います」

 

「アインハルト・ストラトスです」

 

星奈に促されてヴィヴィオとアインハルトも自己紹介をした。

 

「星姉とヴィヴィオさんの名字が一緒だったから、もしかして親戚かと思って‥‥」

 

「いえ、少なくとも私の親戚でヴィヴィオと名の付く方はいません」

 

「そうなんだ‥‥」

 

「はい」

 

この世界にもうしかしたら自分のそっくりさんが居るかもしれないと期待したヴィヴィオであったが、星奈の口から居ない事が判明しちょっとがっかりした。

 

「そう言えば、箒姉は?」

 

「ノエルさんたちと一緒に買い出しに行っていますよ。帰ってきた時に改めて紹介しましょう」

 

「ほうき?」

 

「清掃用具ですか?」

 

「箒姉は私のお姉ちゃんだよ」

 

「変わった名前だね」

 

(昴ちゃんのお姉さんって事はノーヴェかチンクに似ているのかな?)

 

ヴィヴィオはまだ見ぬこの世界の昴の姉の容姿は、ミッドチルダのナカジマ家に居るノーヴェ、もしくはチンクに似ているのかと想像を膨らませた。

 

それから、昴はリンネの家族の事が気になり、彼女に家族の事を尋ねている間、ヴィヴィオとアインハルトは何処かに行った。

 

「リンネ!お父さんとお母さんは大丈夫だった?」

 

「うん‥‥大丈夫だったんだけど、おじい様が‥‥」

 

「えっ?あのおじいちゃんが‥‥」

 

昴はリンネに家族は大丈夫だったか?と聞いた。

 

リンネ曰く、父と母は無事だった。

 

祖父も意識不明状態だったのだが、月村家のセカンドハウスに保護されていたが、地球解放宣言と共に病院へ搬送されてそこで無事に意識を回復したという。

 

しかし、下半身不随となってしまい、車椅子生活となってしまったらしい。

 

本人は、『例え足が動かぬともこうして生きているのだから問題ない』 と言っていたが、リンネとしてはそれが祖父の強がりではないのかと思ってしまう。

 

「私は、おじい様たちを守れる様な力が欲しいなって思うの‥‥私はあの時、何もできなかった‥‥ただ見ているだけだった‥‥もうこんな悔しい思いはしたくない」

 

「リンネ‥‥」

 

リンネの呟きに昴は大丈夫なのかと不安になった。

 

「ただいまー」

 

「戻りました~」

 

そこへ、買い物出かけて来た箒たちが戻って来た。

 

「あっ、おかえり箒姉」

 

昴とリンネが箒を出迎えると、

 

パン!パン!

 

「はぁ!」

 

「おっと!まだ譲りませんよ!アインハルトさん!」

 

「いいえ!勝利はいただかせていただきます!」

 

「え?」

 

「ん?」

 

昴とリンネは何かの音を聞いて、首を傾げた。

 

どうも地下から誰かが格闘をしているような音が聞こえるのだ。

 

月村邸には地下室がある。まぁある程度の広さは確保されているので、格闘戦ぐらいはできるだろう。

 

しかし、二人は地下に入ったことが無い。

 

気分転換になるならと二人は音の元を探すと…。

 

「あ‥‥」

 

「こんなところに扉があったんだ‥‥」

 

地下室への扉があっさりと見つかった。

 

どうもしっかり閉じていなかったようで、そこから音が漏れていたようだ。

 

「おや?二人ともどうしましたか?」

 

「あっ、箒姉、星姉。地下から音がするんだ。何か叩いている様な音」

 

「何?地下室には束姉さんとフェイトさんたちが居るはずだぞ?」

 

箒と星奈も首を傾げた。

 

しかし、年頃なのか気になり四人で降りてみることに‥‥。

 

ある意味衝撃的な体験をすることとなったのは言うまでもなかったが。

 

「なっ、なっ、なんで!?」

 

「「「「ヴィヴィオちゃんとアインハルトちゃんが成長しているの~~~!?」」」」

 

「「「「「あ…。」」」」」

 

その後、二人の成長理由について説明を受けた。

 

その後、ヴィヴィオとアインハルトは格闘技‥「ストライクアーツ」の練習を再開した。

 

何でも、最初は二人だけでやっていたのだが、たまたまギンガが目撃し懐かしさ等から二人を監督しだしたのだと言う。

 

ギンガが得意とするシューティングアーツは亡き母、クイントがストライクアーツを参考に独自に編み出した戦闘スタイルであった。

 

それを聞いてフェイトやティアナ、シルビア、神堂、シャルロットが見に来た。

 

おまけに束やディアーチェ、忍も物見遊山で見物しだしたのだと言う。

 

その際にドアが半開きになってしまい、四人が気づいてしまったのだと言うわけだ。

 

ヴィヴィオとアインハルトのストライクアーツを見ていたリンネは、

 

「あ、あの、ギンガさん。私も出来ませんか?」

 

「「「えっ!?」」」

 

彼女なりに目指すものが出来たと言うわけだ。

 

ストライクアーツは何も魔力が無ければできない訳ではない。

 

一見すると普通の格闘技だ。

 

流石にリンネがヴィヴィオやアインハルトみたいに大人モードになれるのかと言われればそれはNOであるが、格闘技を身に着けたいと言うのであるならばそれは本人の努力次第でなんとでも出来る。

 

「え、ええ‥出来ない事はないと思うけど‥‥」

 

「で、では私にも教えてもらえますか!?」

 

「う、うん。いいわよ」

 

そこで、ギンガはリンネに教える事にしたのだが、

 

『マスター‥彼女にはリンカーコアが宿っています』

 

「えっ?」

 

ブリッツキャリバーはリンネの体の中にリンカーコアが宿っている事を確認した。

 

それはつまり、リンネが魔導師である事を指していた。

 

ただし、リンネ自身はまだ自分が魔導師としての素質を持っている事を自覚していない。

 

彼女に魔導師としての素質がある事を伝えるにはもう少し先にしてまずはストライクアーツの基礎からを教える事にしたギンガであった。

 

ただ、ギンガは束とリニスにリンネが魔導師としての素質がある事を伝え、いずれはその件を彼女に伝えるつもりなので、その際はリンネのためにデバイスの制作をしてあげようかとこっそりと相談していたりもした。

 

そして、管理局との交信の再開と管理局組の帰還の日も着々と迫っていた。




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