内惑星艦隊の奮闘   作:島田愛里寿

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第百五十話 修羅場

さて、前回の交信から一週間後。

 

ティアナ、神堂、シャルロット、シルビアも今日行われる交信には参加することになった。

 

とはいえ、ティアナたちは三人とも覚悟を決めたような表情をしていた。

 

それを見て束はある意味納得していた。

 

(まぁ昨日、フェイトちゃんと結構議論していたし、私が知っている高町なのはがそのままの性格だとすると、今日の交信ではきっと揉めるねぇ‥‥)

 

そう、昨日、フェイトとシルビアを除いた三人は議論をしていたのだ。

 

なにせ、三人は命を懸けた戦闘の実戦経験者‥‥管理局に居た頃と比べて明らかに雰囲気が変わっている。

 

それはヴィヴィオとアインハルト以上に‥‥

 

相手はあの高町なのはだ。

 

モニター越しとは言え、確実にティアナたちの雰囲気に気づく上に、彼女の思想的に命を懸けた殺し合いに強制ではなく自分の意思で参戦したなんてしれば絶対に揉める。

 

特になのはは話せば分かる的な思想を持っている上に人を殺さずに無効化できる魔法、そしてその魔法を使って正義を執行している時空管理局に対して心酔している傾向が原作時点で見受けられる。

 

質量兵器を使用しての戦争やテロが絶えない地球出身者と言う事で質量兵器アレルギーを持っている可能性はあるし、いくら友人たちを守るためとはいえ、殺人を行った三人の行為に納得するとは思えなかったのだ。

 

その点に関しては、なのはと付き合いの長いフェイトも同意しており、頭を抱えていた。

 

フェイトは現場である地球にティアナたちと一緒に居たので、『問題行為じゃないかな?』と内心苦慮しつつもある程度理解していたが、こちらの地球に居らず、こちらの事情を全く知らないなのはや管理局の思想に染まった局員相手に対して穏便に説得は厳しいと思っていたのだ。

 

彼女としてもティアナたちを擁護するつもりだったし、なのはを説得するつもりであった。

 

また、シルビアとしてもあの状況では戦わないと皆が危なかったという点は理解しており、『仕方なかったですよね‥‥』と思っていた。

 

とはいえ、あの頑固者のなのはを説得&理解させるのは骨が折れるのは想像に難くない。

 

その為、どうしたものかと相談しておりそれを見ていた束も前世知識から『揉めるよね、絶対』と思っていた。

 

また、ティアナたちの他にもう一人、決断を下さなければならない人物が居た。

 

そう、ギンガだ。

 

ガミラス戦役時に火星付近で束によって救助された彼女を生まれ故郷であるミッドチルダに還すのは不可能だと思われていたが、今回フェイトたちが次元遭難し、こうして管理局と交渉を重ねて彼女たちをミッドチルダへ還す準備が着々と進んでいる中で、ギンガもフェイトたちと一緒にミッドチルダへ戻るか?

 

それともこの地球に残留するか?

 

ギンガにもいよいよ決断を下す時が来た。

 

今回のチャンスを逃せばもう二度とミッドチルダへ戻る事は出来ないだろう。

 

そうなると、ミッドチルダに居るスバルやゲンヤとも会えない。

 

しかし、暗黒星団帝国戦役前に束に言われた忠告がギンガの中に残っていた。

 

自分はフェイトたちよりもこの地球に長く滞在し、軍にも在籍している。

 

そんな自分がミッドチルダへ戻った時、管理局が自分の事を放っておくだろうか?

 

いや、何が何でもこの地球に関する情報を引き出そうとするに違いない。

 

拷問をされたり、自白剤を打たれたりするのではないか?

 

それか情報を吐かせる為にスバルやゲンヤを人質にしてくるかもしれない。

 

スバルとゲンヤを守る意味でもギンガはミッドチルダへの帰国を断念せざるを得なかった。

 

ギンガはその旨を束に伝える。

 

「そう‥‥でも、良かったの?折角の機会だったのに‥‥今回の機会を逃したら、多分ミッドチルダへの帰国はもう二度と叶わないよ?」

 

「構いません。私は向こうでは死んだ身ですし、それに私が生きて戻ればスバルや父さんに迷惑をかけてしまうかもしれません‥‥」

 

「やっぱり、管理局関連?」

 

「はい。私はフェイトさんたち以上にこの地球と深く関わり過ぎました。管理局がこの地球の技術を見て放っておく訳がありません。どんな手段を使っても私からこの地球に関する情報を得ようとしているのは目に見えています」

 

「‥‥辛い選択をさせてしまったね」

 

「いえ、束さんが居なければ私はとっくに死んでいたでしょうから、感謝する事はありましても恨むなんて事はあり得ません」

 

「分かった。でも、何らかの形で向こうに居る家族にギンガが生きている事をこっそり知らせる?」

 

「えっ?でも、どうやって‥‥」

 

「手紙と写真を帰国する人に託すとか?」

 

「なるほど」

 

ミッドチルダ組の中でギンガは地球への残留を決めた一人となった。

 

ギンガがこの地球での残留を決めた後、ティアナ、神堂、シャルロットが束の元を訪れた。

 

「月村さん、すみません」

 

「ん?どうしたの?三人とも」

 

「ちょっと、お話したい事がありまして‥‥」

 

「話?なにかな?」

 

「明日の管理局との交信の件ですが‥‥」

 

「あぁ~‥‥やっぱり、荒れると思う?」

 

「ええ、十中八九荒れますね」

 

「相手はあのなのはさんですし‥‥」

 

「そうだよね‥‥」

 

「その件で、一つ確認しておきたい事がありまして‥‥」

 

「ん?なに?」

 

「暗黒星団帝国がこの地球に攻め込んで、地球を占領下にした理由なんですが、それをなのはさんに話すことは可能でしょうか?」

 

「えっ?」

 

暗黒星団帝国が地球を占領下に置こうとした理由‥‥

 

それは、地球人の肉体を手に入れる為‥‥

 

ルシフェリオンとアルフォンからの情報で、生物として退化してしまった彼らは地球人の肉体に自分たちの魂‥もしくは脳を移植して再び人間らしい肉体を得ようとしていた。

 

その情報は未だに軍と政府の一部の者しかしらない極秘情報である。

 

それを明日、なのはに伝えるかもしれないと言うのだ。

 

確かにティアナたちがパルチザン活動に志願して戦った理由の一つになりえる情報だ。

 

(相手はあの高町なのはだし、管理局ではこの地球に関する情報じゃないから大丈夫かな?)

 

「分かった。パルチザン活動の参加理由としては説明する理由になるけど、此処ではあくまでも極秘事項になっているから、事情を知らない人にむやみやたらに伝えないでね」

 

束は問題ないと判断して、明日の管理局との交信の席で暗黒星団帝国が地球を占領下においた理由を話す許可を出した。

 

ただし連邦市民に対してその情報を話す事は禁止とした。

 

「はい。そのくらいの常識はわきまえています」

 

「これでも管理局の端くれですからね」

 

「空気を読まないとヤバい職場だったので‥‥」

 

こうしてティアナたちは暗黒星団帝国と戦った理由の一つとして暗黒星団帝国の地球占領の理由をなのはに伝える許可を得るのだった。

 

 

それから交信前にギンガ以外のミッドチルダ組は、今回の通信では全員が参加すると共に万が一にも揉めることになった場合はフェイトとシルビアがヴィヴィオとアインハルトを連れて退室して、束とディアーチェがサポートしつつ、なのはの説得を行うという段取りを決めた。

 

それに元々、今回で他の捕虜になっている管理局員たちの送還に関しても話す予定なのでどうにかしないといけない。

 

(はぁ~気が重い‥‥)

 

ティアナたちもそうであるが、束としても絶対に荒れるであろうなのはの相手に捕虜の件など、ある意味で敵と戦う事と同じ行為だったのでSAN値がゴリゴリと削られた。

 

そして、それはティアナたちも同じだろう。

 

さて、そんなことを考えつつも通信回線を開く準備が完了し、合図を送った後に回線を開いた。

 

前回の交信通り、モニターの向こう側に本局の制服を着たオペレーターの姿が映る。

 

また、今回はオペレーターの傍に高町なのはやスバル・ナカジマ、クロノ・ハラウオンがいた。

 

『ティア!!』

 

通信越しとはいえ、久々に親友に会えたことに感極まったのかスバルがモニターに食いついてきたので画面一杯にスバルの顔が映った。

 

「「‥‥‥‥‥‥‥‥( ゚Д゚)」」

 

これには束、ディアーチェ、神堂、シャルロット、シルビアも唖然とした。

 

まぁ、スバルと付き合いのあるフェイト、ティアナ、ヴィヴィオ、アインハルトは苦笑いであったが‥‥

 

この場にギンガが居たら、『我が妹ながら恥ずかしい』 と顔を赤くして俯いていた事だろう。

 

『ちょっ!!スバル!!モニターが壊れるから離れて!!』

 

管理局側でもスバルの行動に慌てたのか、なのはが慌ててスバルをモニターから引っぺがそうとしているようだ。

 

少しして、スバルの顔がモニターから離れた。

 

『も、申し訳ない』

 

「いえ、大丈夫ですよ。少し驚きましたけど、友人が心配だったと言うのは分かりますから‥‥」

 

クロノからの謝罪に束は大人な対応をした。

 

まぁ、スバルの行動も分からない訳ではなかったからだ。

 

スバルも落ち着いたタイミングで、ようやく今日の交信が始まる。

 

『テ、ティア。久しぶり、元気だった?ん?あれ?な、なんか最後に会った時よりも雰囲気変わってない?‥ちょっと怖いよ‥‥』

 

やはり、スバルは相変わらず勘がいいのか、すぐにティアナの雰囲気が変わっていることに気づいた。

 

(うっわ。もう気付いたのか‥‥)

 

(うちの昴同様に勘はよいのだろうな)

 

束はもう気付いたことに若干引き、ディアーチェは月村昴と同様に勘が良いと言うことを察した。

 

(あぁ~、スバルには今のティアナはちょっと怖いかな?私もティアナたちが帰って来た時に雰囲気が変わったことに驚いたもん)

 

フェイトもスバルの勘の良さには納得しつつも、彼女の反応は無理もないと思った。

 

『スバルの言う通りだよ。一体どうしたの?ティアナ。そっちで何があったの?』

 

なのはもやはりティアナの雰囲気が変わったことを問い詰めずにはいられなかった。

 

「えっと、私もそうですけど、神堂さんやシャルロットさんも戦場を経験しました」

 

ティアナは包み隠さず、雰囲気が変わった理由を答える。

 

『えっ?せ、戦場?ティア、何を言っているの?もしかして、遭難した時の事を言っているの?』

 

スバルはティアナが言った『戦場を経験した』という言葉に驚いた。

 

『ティアナ、どういうことかな?』

 

一方、地球で生活していたなのはや管理局員としての経験が長いクロノはすぐに察したが、特にはのはの雰囲気が変わったことにクロノは内心慌てていた。

 

それは機動六課時代に模擬戦で容赦なくティアナをシューターで撃った時と同じだった。

 

なのはの隣に居るスバルも彼女の変化に気づき、体をビクッとさせ引いている。

 

恐らくスバルもあの時の模擬戦の事を思い出しているのだろう。

 

「言葉の通りです。地球を占領した暗黒星団帝国軍と戦闘を行いました」

 

『ええ!?』

 

ティアナの言葉にスバルは驚くしかなかった。

 

そしてそのタイミングで束はフェイトとシルビアに目線で合図を送った。

 

(そろそろ揉めることになりそうだから二人を連れだして)

 

(分かりました!)

 

フェイトもなんとなく察し、シルビアと共にヴィヴィオとアインハルトに理由を付けて部屋から連れ出し始めた。

 

「ヴィヴィオ、アインハルト、ちょっと席を外そうか?」 

 

ヴィヴィオとアインハルトの手を引いて、二人に退出を促す。

 

「えっ?どうして?」

 

ヴィヴィオとしてはまだ来たばかりでなのはと全然会話をしていないのに部屋から出なければならない事に首を傾げる。

 

「ティアナはこの前、なのはママと話せなかったでしょう?だからティアナはなのはママと大事な話をするみたいだから、ねっ?」

 

「ああ、なるほど」

 

「わ、分かりました」

 

事前に打ち合わせしていたこともそうだが、束からの合図とフェイトもなのはの声のトーンが低くなった事でこの後、十中八九ティアナと神堂、シャルロットはなのはと口論になるかもしれないと察して二人に退出を促したのだ。

 

元々時空管理局の次元航行艦の一オペレーターであったシルビアにこの修羅場を味合わせるのはどうかと思って一緒に出ていくことにしたのだ。

 

まぁ、なのはとしても助かったであろう。

 

愛娘とその友達が一緒にいる場で真剣に話したくはなかっただろうから‥‥。

 

四人が退室してからの通信室は一層空気が重くなった。

 

(さっすが管理局の白い魔王‥圧が半端ないな‥‥でも土方教官と比べたらまだまだだけどね)

 

束もこれには内心苦笑いであった。

 

モニター越しでこれ程の圧を感じるのだから、なのはと一緒に居る管理局側の空気はもっと重いだろう。

 

スバルや偶々当直だったオペレーターにはご愁傷様としか言えないし、居心地が悪そうなクロノにもドンマイとしか言えない。

 

『ティアナ‥一体どういうことかな?何でティアナや神堂さん、シャルロットさんの三人が暗黒星団帝国と戦っていたのかな?もしかして無理矢理戦わされていたのかな?』

 

本来、地球と暗黒星団帝国との戦争にミッドの住人であるティアナたちは無関係だ。

 

戦う必要はないはずであった。

 

その為、なのはは地球の戦争当事国が行う徴兵でもされたのではないかと思った。

 

それならまだ彼女も納得できるからだ。

 

しかし‥‥

 

「いえ、私たちは‥‥ティアナ・ランスター、神堂慧理那、シャルロット・デュノアの三名は自らの意思でパルチザンに参加しました」

 

ティアナの返答はなのはからすれば無慈悲な物であった。

 

バンっ!!

 

『なんで!?なんで!?パルチザンなんかに!?‥‥一つ間違えればティアナは殺されていたかもしれないんだよ!?』

 

『そ、そうだよ!!ティア!!』

 

ティアナの返答に対して、台パンしながら、なのははモニターに詰め寄って声を上げて激高し、スバルもなのはにビビりつつもティアナたちを批判した。

 

JS事件以外に非殺傷設定可能な魔導師同士の戦闘や救助活動以外に実戦らしい実戦を経験していなかった彼らにとって、ティアナや神堂、シャルロットらの行動は容認できなかったのだ。

 

「それを言うなら私の兄さんは局員としての任務中に殉職しましたよ?それにスバル‥アンタのお母さんやギンガさんだってそうじゃない?魔導師同士の戦いだって絶対に安全とは言い切れないのよ。JS事件の時だってそうだったじゃない」

 

一応、ギンガは生きていたのだが、ミッドチルダでは殉職扱いされているので、ティアナはギンガが死んだ事としてスバルに問う。

 

『そ、それはそうだけどさ‥‥』

 

ギンガたちの事を言われたらスバルは何も言えないし、クロノも内心苦い顔をしていた。

 

クロノの父親も当時の闇の書を封印するために殉職しているからだ。

 

「それに暗黒星団帝国の目的からも戦うしかなかったんです」

 

それに続いてシャルロットが発言した。

 

『目的?』

 

「はい。皆さんは暗黒星団帝国がただ地球を占領しただけだと思っておられたようですが間違いです」

 

『間違い?』

 

『暗黒星団帝国は一体どう言った理由で地球を占領したんだい?』

 

地球が暗黒星団帝国に占領された情報は管理局に入っていたが、流石に管理局でも暗黒星団帝国の目的なんて知らされていない。

 

その為、現場で戦っていた彼女たちの方が色々と知っている。

 

とは言え、一応ティアナが束に目線で確認をしたが束は特に止めなかったのでシャルロットに続けるように促した。

 

「暗黒星団帝国が地球を占領下に置いた理由‥‥それは暗黒星団帝国の人たちに理由があったんです」

 

『暗黒星団帝国の人たち?』

 

『地球人を奴隷にして労働力にしたかったのではないのか?』

 

「いえ、違います。暗黒星団帝国の人たちは首から上が生身の肉体で、首から下は機械‥‥サイボーグと言う半機械の生命体だったんです」

 

『サイボーグ‥‥それって‥‥』

 

なのははチラッとスバルを見る。

 

『首から下が機械‥‥』

 

そのスバル本人も何か言いたげであった。

 

それは彼女も自分の肉体に機械の一部を埋め込んでいる戦闘機人であるからだ。

 

「そうよ。暗黒星団帝国の人たちはアンタと似たような存在だったのよ。まぁ、暗黒星団帝国の方がずいぶんと機械化が進んでいたみたいだけどね‥‥ところで聞きたいけど、スバル‥アンタは子供がどうやって産まれてくるのかくらい知っているわよね?」

 

『ちょっ!ティア!!馬鹿にしているの!?それくらい知っているよ!!』

 

『ま、まさか‥‥』

 

『‥‥』

 

ティアナからの言葉にスバルは馬鹿にされているのかと怒ったが、クロノは察しがついた。なのはも同様である。

 

「クロノ提督となのはさんは察しがついたようですね?‥‥そうです‥彼らは自分たちの身体を機械化しすぎて子孫が出来なくなったんですよ。まぁ、機械化した方が普通の肉体よりも長く生きられる‥普通の肉体よりも身体能力を上げることが出来ると言う点を重視しすぎて暗黒星団帝国の人たちは生物として重要な事‥子孫を残すことが出来なくなったんです」

 

ティアナの言葉に管理局側はなんとも言えなかったようだ。

 

世の権力者は永遠の命と言うモノを求める。

 

管理局を永きに渡って影から支配していた最高評議会のメンバーも老いから来る死を免れるために肉体を捨てて脳髄だけとなっていた。

 

もっともその影響で当然、子孫も残せないし、動く事も出来なかった為、ドゥーエの手によってあっさりと排除されてしまった。

 

確かにティアナの言う通り、身体を機械化すれば普通の人間よりも寿命は長いし、身体能力も普通の人間と比べて上だろう。

 

それはまさに戦闘機人のコンセプトに当てはまる。

 

しかし、人類が生み出したモノである以上、長所もあれば当然短所も存在する。

 

それは地球よりも科学技術が上な暗黒星団帝国も例外ではなかった。

 

「そこで人口減少の解決策として地球人類の肉体を求めたみたいです」

 

神堂が暗黒星団帝国人の短所の解決案を管理局側に説明する。

 

『地球人の肉体?』

 

『それってどういう‥‥』

 

「彼らは地球人類の肉体に自分たちの脳を移植しようと考えていたみたいです。その為にハイペロン爆弾なんて物まで地球に打ち込んだんです」

 

『は、ハイペロン爆弾?』

 

『それはどういうものだい?』

 

次に話したのは神堂であり、彼女の説明にはなのはやスバルは首を傾げ、クロノもハイペロン爆弾についての説明を求めた。

 

流石にティアナのたちはハイペロン爆弾の詳しい説明は出来ず、束が代わりに説明した。

 

要は特定の生物の脳細胞組織を一瞬で死滅させることが出来、それが地球人類にセットされていて、万が一起爆されたら地球人類は脳を破壊されて滅亡していたということだ。

 

これにはなのはやスバル、クロノもドン引きして、青い顔をした。

 

「この爆弾があったせいで私たちはもとよりフェイトさんたちの体も危険だったんです」

 

『‥‥だからって戦わなくてもよかったんじゃない?皆はデバイスで戦ったの?』

 

なのはは理解はしても納得はまだ出来なかった様で不満げに確認を取った。

 

局員としてデバイスで戦ったのだと思ったのだ。

 

「いえ、私たちは全員が防衛軍から支給されたコスモガンやレーザー自動突撃銃を使用していました」

 

「私とシャルロットさんはISと言う特殊スーツと共に光学質量兵器の他にバズーカも使いました」

 

『それって質量兵器だよね?局員として質量兵器を使うなんてティアナ、それに神堂さんにシャルロットさん。貴女たちは一体何を考えているの!?』

 

なのははさらに批判的な口調になった。

 

後ろにいるクロノも内心は批判したいような空気だ。

 

『そ、そうだよ!どうしてそんなものを使ったの?ティアたちにはデバイスだってあったじゃん!!』

 

「この世界の環境は常にAMFが展開されている様な環境なんです。デバイスも魔力もミッドや他の管理世界と異なり使いにくくなっているんです」

 

「それに私たちが使用したコスモガンは出力によってデバイスの非殺傷設定と同じように調整する事が出来ます」

 

『じゃ、じゃあ、ティアは非殺傷で戦っていたの?』

 

デバイスの様に殺傷・非殺傷となるなら、デバイスを使い慣れているティアナは非殺傷で戦っていたのだろうとスバルは思っていた。

 

しかし、ティアナの返答はそれを裏切るモノだった。

 

「‥‥いいえ、殺傷設定で戦っていたわ」

 

『殺傷‥‥それって‥‥』

 

「ええ、暗黒星団帝国の兵士をこの手で何人も殺したわ」

 

『そ、そんなっ!?ティアが‥‥人を‥‥』

 

親友や同僚たちが宇宙人‥地球を襲撃し占領した侵略者とは言え、人を殺したことにスバルはショックを受ける。

 

『ティアナ‥なんで‥‥なんでそんなことを!!どうして人殺しなんて!!』

 

「言った筈です。フェイトさんたちを守る為‥‥いえ、それ以上に暗黒星団帝国に占領されたこの地球の人たちを私は救いたかったんです!!事実、パルチザン活動で敵の武器製造工場を攻撃した際にはこちらでお世話になっていた人を救うことが出来ました!」

 

『それは結果論でしょう!?それに、ティアナたちは管理局の人なんだよ!!そっちの地球の戦争は全く関係ないじゃない!!』

 

元教え子が人を殺したことになのはは憤慨する。

 

まぁ、管理局の思想に染まり切った彼女からしたら許せる話ではない。

 

その後もティアナとなのはの口論は続いた。

 

ティアナは『なのはさんはこちらの世界で命の危険を経験していないからそんなことが言えるんです!』と言い切り、なのはは『フェイトちゃんたちは参戦していなかったでしょう!?』と言い返す。

 

神堂とシャルロットは途中からなのはの覇気に映像越しでも居心地が悪くなっていた。

 

管理局の白い魔王は多少の実戦を経験した者たちでも怖いと言うわけだ。

 

しかし、ティアナもある意味でなのは同様頑固者であり、自分の行動に対して後悔はなく、むしろこの地球を救う事に一役貢献できた事に誇りさえ感じていた。

 

結局、ティアナはスバルに折角の再会の交信でこんな空気にして悪かったと謝った後、神堂とシャルロットを連れてさっさと退室してしまった。

 

その後、フェイトが単身で戻って来たので、なのははフェイトはどうだったのか聞いたが‥‥

 

「そうだね。私とシルヴィアはこっちでお世話になった家の子供たちを預かっていたから何もしなかったけど‥もしも、その子たちが居なかったら、私もティアナたちと同じ行動をしていたかも‥‥」

 

『ええ!?な、なんで?』

 

「‥やっぱり、この地球の人たちにはお世話になったから、その人たちが困っているならやっぱり助けになりたかったからかな」

 

「‥‥」

 

フェイトの発言になのはは少しショックだったようだ。

 

「オホン!!そろそろ話を戻しても良いか?」

 

『あ、ああ。すまなかった』

 

ディアーチェもいい加減に空気を変えて捕虜に関する交渉を進めたかったようでさっさっと話を進めた。

 

なのはとしては不完全燃焼となったが、交信の機会はまだあるし、最悪フェイトたちがミッドチルダに戻った後で話をすれば良いと思い、今回は引き下がった。

 

「それで、今回は以前収容した管理局局員たちの処分についてです」

 

『そ、そうですか‥それでどうなったのでしょうか?』

 

防衛軍側に処分を一任したクロノであったが、どのような結果になったか知りたかったようだ。

 

「今回は、情勢などの問題もあり政府及び軍上層部と意見を交わした結果、次元航行艦クライスラーの艦長以下上級乗組員十数名を永久入国禁止処分とし、その他の乗員、また先日シリウス恒星系沖で勃発した管理局一個部隊と我が方の宙雷戦隊の交戦の結果捕虜となった次元航行艦『サンタフェ』乗組員の『小鳥遊ホシノ』と『梔子ユメ』の二名をミッドチルダへの強制送還とすることとなりました」

 

『え!?』

 

クロノはいろいろな意味で驚いた。

 

予想よりも軽かったのは言うまでもないが、先日こちらの強硬派が起こした騒動で行方知れずであった次元航行艦『サンタフェ』他の探査部隊が地球防衛軍の艦隊と戦闘をやらかして二名しか助からなかったことを今知ったからだ。

 

「なお、今後管理局艦に対する姿勢を連邦政府が決定しましたのでお伝えします」

 

『は、はい』

 

「『今後、通常の航海や接触を行った艦は普通に対応を行うが、強行的又は攻撃を加えてきた際には即座に撃沈し、捕虜は取らない事とする』以上です。それと本日はフェイト執務官らの送還日も決めましょう。捕虜となった者たちの送還も同日に並行して行いたいので‥‥」

 

『わ、分かりました』

 

(捕虜は取らない‥‥つまり投降してもそれを許さずに撃沈すると言う事‥‥事実上の国交断絶宣言に近いな‥‥)

 

(管理局‥‥特に“海”の上層部はこの報告を聞いたから荒れるな‥‥)

 

クロノも厳しい対応をされるとは覚悟していたので納得しつつも送還日時の相談に移った。

 

ただ、束が今日の交信が、気が重くなると思ったようにクロノも地球連邦政府からの返答に対して上層部に報告する事に気が重くなるのだった。




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