内惑星艦隊の奮闘   作:島田愛里寿

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第百五十五話 直接対面

もう一つの地球との別れと捕虜及び管理局員、そしてその関係者のミッドチルダへの送還についての対応策を取った地球防衛宇宙海軍艦隊は月軌道を経由して、火星宙域を抜けた後、火星・木星の間で会合地点までのワープを実行。

 

会合宙域である冥王星宙域 オールトの雲近郊に達していた。

 

武御雷 艦橋

 

「ワープ終了。船体に異常を認めず」

 

「現在位置は?」

 

「冥王星宙域、オールトの付近‥誤差0.02‥許容範囲内です」

 

「各艦のワープアウトを確認。アリゾナ、モスクワ、イタリア、ホワイトハンターⅠ、氷川丸、トンブリ、ワルシャワ、伊16、チャールズ・F・アダムズ、グロームキイ‥‥全僚艦の無事を確認しました。艦隊全艦揃っています」

 

「よし、お相手さんが来るまでは周辺警戒を厳にせよ!航空隊も全機発艦させて周辺の哨戒を行え!!」

 

『了解!!』

 

太陽系内での引き渡しも考えられていたが、流石に組織として信用が置けない管理局を太陽系内に入れることに軍内部から反対意見が出たために、やむなく引き渡し地点は太陽系外の冥王星宙域となっていたのだ。

 

とはいえ、暗黒星団帝国による地球占領から脱却したばかりの防衛宇宙海軍としては久々の遠距離航海なので今回の航海は演習もかねられていた。

 

(あとは、米露が変なことを言わないと良いだけど‥‥まぁ、アイロ艦長は大丈夫そうかな?カチューシャ艦長は分かんないけど‥‥)

 

アイロ艦長とは第二次イスカンダル遠征の際、共にゴルバと戦った仲であり、その後に守とスターシアの結婚式後、スターシアの命が狙われている事を伝えてくれた事から彼女の人となりは知っている。

 

しかし、カチューシャ艦長に関しては今回が、初めての共同任務なので、まだ人となりは知らない。

 

だが、彼女も曲がりなりにも軍に所属する士官‥しかも一艦長である事から外交問題の発展の先には何が起こるのか?

 

そして、その責任問題と戦争被害についてはガミラスとの戦いで十分に理解している筈だ。

 

そう言った背景があるので、カチューシャ艦長が管理局艦に発砲するとは思えない。

 

例え国からの密命があっても管理局との間に外交問題‥ひいては戦争となった場合、彼女一人の責任では収まらない。

 

まだ束が懸念していたように戦争ではなく、密かに管理局との国交の密約に関しても管理局の態度次第なので、この辺は実際に管理局の動きを見つつ、アメリカ、ロシアの動きも注視しなければならない。

 

束は内心そう思いつつ、各艦に周辺警戒を行わせていた。

 

その頃、艦内の展望室にてフェイトたちは自分たちとは別口で拘束されていた局員の梔子ユメと小鳥遊ホシノと話していた。

 

「そっか、そんな事が‥‥え、えっと‥その‥色々と大変だったね?」

 

遭難者として救助された自分たちと、領海侵犯を行い返り討ち遭い捕虜として扱われた彼女たちの境遇を比較するといかに自分たちが厚遇されていたのか理解できる。

 

「全くですよ。地球の艦に拘束されて別室に一か月以上押し込まれていた時はどうしたものか頭を抱えました。このままミッドには還れないのか?処刑されるんじゃないかって毎日が不安でたまりませんでした。唯一安心できたのが、ドジな先輩も無事だったことでしたよ」

 

「心配してくれてありがとぉ~!!ホシノちゃん!」

 

「ちょ!?ユメ先輩!!」

 

フェイトは二人の話を聞いて労いつつ、ふと外を見た。

 

艦の周囲にはコスモパイソンを主体として武御雷航空隊やアリゾナから発艦したコスモタイガーⅡの飛行隊が飛び回っており、宇宙を自由に飛び回っていた。

 

自身も空戦魔導師であることや空戦適正のある魔導師の少なさに局員なりに危機感を抱いていた。

 

フェイトとしても防衛軍の空間戦闘機や本格的な採用・調達が始まったIS(インフィニット・ストラトス)の存在に惹かれていたが、既存の空戦魔導師の立場を奪いかねない戦闘機やISを管理局が導入することは前途多難であることは明白であるし、何よりも防衛軍が軍事機密の観点からそれらを提供するとはとても思えなかった。

 

(う~ん‥‥戦闘機とかがあれば管理局の活動の幅も広がるかも‥‥いや、なのはやはやては絶対に反対するかな‥‥?)

 

なんて考えていた。

 

なのはもはやても空戦魔導師としてはエース級の魔導師‥‥

 

それが、戦闘機やISを導入されて、自分たちはお払い箱になるかもしれない未来なんて絶対に望まない。

 

特になのはは、魔法‥管理局こそが自分の居場所なんだと執着している点が多々見られる。

 

その点、はやての場合は管理局の他に聖王教会にも在籍しているためか、最悪管理局で居場所がなくなってもシグナムたちヴォルケンリッターの面々が居ればそれで良いと言う若干の寛容な部分が見受けられる。

 

「あっ、二人とも‥‥」

 

「ん?」

 

「なんでしょう?」

 

「十中八九、ミッドに戻ったら査察部の事情聴取が控えていると思うけど、二人とも軍に拘束されてからは、ずっと同じ部屋に軟禁されていたんだよね?」

 

「はい」

 

「ええ‥‥でも、お風呂にトイレが完備されている部屋でしたし、食事や着替え、多少の娯楽品も支給されていたので、不安はありましたけど、生活に関してはそこまで苦ではありませんでした」

 

「そう、そう、服や下着の質感とかミッドにはないモノだったし、食事も美味しかったです。毎週、決まった日にはカレーって言う料理も提供されました」

 

軟禁されていた部屋からの外出が禁止されていたが、生活に関しては問題なかったみたいだ。

 

「そう‥‥」

 

(管理局がもう一つの地球に対する印象操作で、劣悪な環境で連日拷問のような取り調べを受けた‥なんて報道をしないといいけど‥‥)

 

外交がダメなら戦争でもう一つの地球を管理下に置こうと画策して戦争機運を高めるために印象操作をして、管理局がもう一つの地球に対する武力制裁の口実を得ようとしないか心配になるフェイトであった。

 

そんな時‥‥

 

『警報!前方に空間歪曲を感知!各員警戒配置!!』

 

艦内放送でそう通知された。

 

 

XV級次元航行艦 クラウディア ブリッジ

 

【挿絵表示】

 

「通常空間を確認、次元転移完了」

 

「位置は?」

 

「防衛軍側の指定空間です。間違いありません」

 

「八神艦長のヴォルフラムは?」

 

「そちらも無事に転移した模様です」

 

クラウディアとヴォルフラムが空間転移してきたのは間違いなく、防衛軍側が指定した会合宙域だった。

 

「あっ‥‥こ、これは‥‥!?」

 

「ど、どうした!?」

 

「い、いえ。外の景色がすごくて‥‥」

 

声を挙げた局員はこれまで次元転移でさっさと目的地の星の目前まで転移していたので、宇宙空間という海の光景に目を奪われてしまったのだ。

 

「そ、そうか。だが、今の優先事項は防衛軍との合流だ。見とれるのは後にしてくれ」

 

「す、すみません!!」

 

クロノは自身もかつてはその光景に見とれた経験があるので、厳しく叱責するつもりはなかったが、今は地球側との合流が先決事項なので、外の光景を楽しむのは後にするように言った。

 

乗員たちは慌てて防衛軍との会合準備をする。

 

すると、出迎えなのかヴォルフラムの周辺にアリゾナ航空隊のコスモタイガー隊が接近してきた。

 

「な、なんだ!?」

 

「あ、あれが‥戦闘機?」

 

局員たちは自分たちの艦の周囲を飛び回るコスモタイガーの姿を見て驚いたが、クロノが『あちらは魔法技術が無いんだ。割り切れ』と言ったので、すぐに落ち着いた。

 

一応、ミッドチルダにも航空機、ヘリコプターは存在しているが、それらは全て戦闘ではなく、貨客を主にしているので、戦闘に特化している飛行機を見るのが初めてという局員も居る。

 

ちなみにはやてが指揮するクラウディアでも同様の騒動が起きていたのは言うまでもないし、ヴォルフラム操舵手のルキノの眼がものすごくキラキラしていたことについては別の話である。

 

はやてに関しては、戦闘機自体は地球ではメジャーな兵器であり、実物は見た事はないが、図鑑で見慣れていたので大きなリアクションは取らなかったが、自分の知る戦闘機は大気圏内を飛行するモノであり、宇宙空間でも大気圏内と同じ‥いや、それ以上の速度で飛び回る機体は今回初めて見るので、以前見た次元潜航艦同様、内心ではもう一つの地球の技術力に驚愕していた。

 

 

武御雷 艦橋

 

「アリゾナ所属の飛行隊が時空管理局次元航行艦二隻を確認!」

 

「うん。時間通りだね?」

 

「ああ‥通信長、アリゾナ飛行隊に連絡。『先導し、我が艦隊まで管理局艦を誘導せよ』と」

 

「分かりました」

 

「あっ、それと追加で伊16には異次元空間に潜航し待機してもらって」

 

「は、はい」

 

アリゾナ飛行隊が管理局の次元航行艦を捕捉した旨はすぐさま旗艦である武御雷に伝達され、ディアーチェが指示を出していた。

 

それとは別に束は伊16には異次元潜航し、亜空間の中で待機するように指示を出した。

 

これも万が一の事を想定しての指示であり、何かが起きた時に潜航しては潜航する姿を目撃されてしまい、奇襲の意味が無くなってしまうからだ。

 

まぁ、そんな事態が起きないのが一番なのだが‥‥

 

「戦術長、ハラオウン執務官たちを呼んできてくれる?そろそろ引き渡しだと言う旨も伝えてね?」

 

「了解!」

 

束は合流するまでの間にフェイトたちに準備させようと思い、レヴィに指示を出していた。

 

それから数分後、クラウディアとヴォルフラムはアリゾナ飛行隊の先導を受けながら艦隊と合流した。

 

局員たちは、まさに威風堂々とした要塞のような艦艇群の姿に圧倒されていた。

 

時空管理局の次元世界では存在が許されないような戦船たち。

 

まさに『圧巻』の一言であった。

 

驚愕している局員たちであったが、ルキノはやはりコスモタイガーを見た時と同じく目を輝かせていた。

 

「事前に情報提供があった艦ばかりやな‥‥ん?伊16の姿が見えへんみたいやけど‥‥やっぱり、何処かの異空間に潜っているって事か‥‥」

 

以前、次元潜航艦と遭遇しているはやては伊16の姿が見えない事から、伊16が既に異次元に潜航している事を見抜いていた。

 

しかし、異次元に潜航していてもどこに潜航しているのか正確な位置は掴めていないので、伊16のデータ収集については断念せざるを得なかった。

 

「もう一つの地球の思惑で色んな艦が来てくれたのは怪我の功名なのかもしれへんね‥‥さっそくデータ収集を開始してや」

 

「了解」

 

はやては、リンディからの頼まれごとを密かに開始した。

 

しかし、データ収集と言ってもせいぜい形状、全長、全高、全幅、武装の数と配置程度で攻撃力・防御力については此方が攻撃しなければ分からない。

 

勿論そのような蛮行を行えばこちらが撃沈されるのは火を見るよりも明らかなので、行う訳がない。

 

それでも今後の管理局における造艦設計の参考にはなるかもしれないので、データは取れるだけとっておくに越したことはない。

 

 

一方、防衛軍側の各管区の軍人たちからは時空管理局の次元航行艦は弱弱しい印象を持たれた。

 

まぁ、使用目的や管理局の大体の存在意義などを聞いていたので、沿岸警備隊や海上警察、海上保安庁などが運用している巡視船のようなものだとすぐに納得していたが、何とも寂しい艦様だと思っていた。

 

おそらく、相手に威圧感を与えないような意図があるのではないかと思っていたが、様々な星間国家群の存在を知っている防衛軍からは『効果が無いのではないか?』と思っていた。

 

ガミラス、彗星帝国、暗黒星団帝国のような星間国家からの侵略を受けた際、管理局の艦で防ぐ事が出来るのかという疑問が防衛軍側にあった。

 

やがて、クラウディアとヴォルフラムから連絡艇のような小型シャトルが発艦し、武御雷へと向かった。

 

また、それと同時に各艦の艦長らがコスモシーガルにて武御雷に向かい、アリゾナとモスクワは武御雷に接舷して艦長らが移乗した。

 

「ご足労痛み入ります。ようこそ、武御雷へ」

 

「こちらこそ。義娘たちや局員らが大変お世話になりまして、ありがとうございます」

 

(この人の声、やっぱりなのはさんにそっくり‥‥)

 

なお、束と挨拶を交わしたリンディは束の声をモニター越しではなく、目の前で聞いて改めて束となのはの声が似ているのだと思った。

 

リンディと束は早速挨拶を交わし、各管区の艦長らが同席する会議室へと向かった。

 

ここは政治案件だ。

 

リンディとしては義娘らに一刻も早く会いたかったが、管理局側の意向や地球の政治情勢からもまずは会談を行って、局員らへの罰や通告・通達を確認するとともに局からの地球への文書を手渡す必要があったのだ。

 

その為、クロノとはやて、そして連絡シャトルの運転を担当していたルキノと同行していたなのはがフェイト、ヴィヴィオ、アインハルト、シルビア・アライアンスたちに会い、無事を確認することとなった。

 

その後にクロノ、はやて、リンディらに合流し、本格的な会談に移行することとなっていた。

 

 

その頃、捕虜となった局員たちを乗せた氷川丸では‥‥

 

 

氷川丸 

 

【挿絵表示】

 

艦内 休憩所

 

「お~う。お疲れさん」

 

「ああ、お疲れ~」

 

コロンブス級多目的輸送艦病院船型の氷川丸艦内では乗員同士が休憩室にある自動販売機で飲み物を買いながら雑談していた。

 

「にしても上も無茶するよなぁ?この艦は病院船であって、捕虜運送船じゃねぇんだぞ?」

 

「だよなぁ?」

 

元々、多用途に運用可能なコロンブス級多目的輸送艦であるが、氷川丸型は病院船として改設計されているので船体中央のほとんどが区画は乗員の居住区や医務室・治療用区画であるので、今回は両舷の大型コンテナ区画に突貫作業で護送用の独房を設置していたのだ。

 

その為、本来常駐している医務官らはそのほとんどが艦を復旧事業に参加して降りており、乗員は定員数よりも少ない人員で運用されていたのだ。

 

「全く、たった三十人前後で旧型とは言え、『艦隊随伴型輸送艦を動かせ』ってんだよ。猫の手も借りたいし、タコでもクルーにいないと手が足りないぜ‥‥」

 

「そう言えば。さっきも機関部で不調が出ていたっけな?」

 

コロンブス級多目的輸送艦は基礎設計が第二次内惑星戦争前という旧式な上に船体全長も230mとそこそこの大きさだ。

 

それを定数が割った人員で動かすのも一苦労だ。

 

「あっ、そう言えば副長が引き渡し予定の捕虜の私物を返却するように指示して当直の連中が返しているってよ」

 

「ふ~ん」

 

乗員たちが愚痴っている中でのこの内容であるが、この行為がとんでもない事態に展開することになるなど、この時点では誰も予想していなかった。

 

彼らは本来よりも足りない人員で艦を動かしていた事で、捕虜の監視も行き届いていなかった。

 

また、捕虜たちは全員丸腰なので、変な行動は起こさないだろうと言う慢心も彼らにはあったのかもしれない。

 

 

十分後 武御雷 艦内 会議室

 

「「「「お待たせしました」」」」

 

「八神三佐、クハラオウン提督、ローラン二士、高町教導官。フェイト執務官らの様子はどうでしたか?」

 

リンディは各管区から来た艦の艦長らと顔合わせをしていたのだが、クロノとはやて、そしてルキノとなのはがフェイトたちの確認をしてやってきたので、リンディはフェイトらが無事だったかを聞いた。

 

「はい。特に問題はなさそうでした」

 

代表してクロノがそう返答した。

 

「そう、よかった。後で私も会いに行くわね」

 

リンディはそう返し、束ら地球側の者たちに顔を向けなおした。

 

「では、会談を始めましょう」

 

「はい」

 

こうして地球連邦、時空管理局との間で会談が始まった。

 

「地球連邦政府の方針としましては、以前お伝えしたようにフェイト執務官ら以外の局員らに不法入国と発砲・武器不法所持等の罪で艦長及び幹部らは反省の意思なしの観点から生涯入国禁止・国外追放処分、他の部下や一般局員の方々に関しては情状酌量の余地ありとして20~10年程度の入国禁止となっております」

 

「成程‥‥いえ、構いません。処分はそちらにお任せするということでしたから」

 

クロノは束から伝えられた内容に納得していた。

 

(むしろこの程度で済んでまだマシか‥‥いや、首の皮一枚つながったというべきだな)

 

と思っていたからだ。

 

「それと、こちらが時空管理局本局からの外交文書となっております。内容に関しまして我々はかかわっておりませんので、生憎内容は分かりかねますが‥‥」

 

リンディは前置きを言いながら親書を手渡す。

 

記載されている内容についてリンディは本当にしらないので、仮に親書の内容が地球連邦政府に対して無条件で管理局の管理下に入れと侮辱的な内容でも、それはあくまでも一部の管理局員の仕業であり、自分たちは親書の件に関しては無関係である事を予め伝える。

 

「分かりました」

 

束はリンディから渡された外交文書を受け取ると、各管区の代表団的な感じになっていた艦長らと読もうとした矢先‥‥。

 

バン!!

 

会議室の扉が勢いよく開けられて、

 

「おっおっおっ王様~~!!!」

 

「どわぁ!?れ、レヴィ!?貴様、外交交渉の場にいきなり飛び込んで来るとは何事か!?」

 

なんとレヴィが大慌てで駆け込んできたのだ。

 

これには参加者全員がぶったまげた上、管理局組もフェイト・テスタロッサ・ハラウオンそっくりな人物が飛び込んできたので仰天していた。

 

ディアーチェがレヴィを叱責するも、

 

「それどころじゃないんだよ!?」

 

レヴィはそれ以上に慌てていた。

 

「むっ?どうした?」

 

レヴィの慌てぶりにディアーチェも首を傾げる。

 

「ひ、氷川丸が‥‥」

 

「氷川丸?氷川丸がどうしたというのだ??何か事故でもあったのか?」

 

氷川丸は旧式の艦で、運用している人員も定員未満だ。

 

何らかの事故が起きても不思議ではない。

 

しかし、次にレヴィの口から伝えられた言葉はある意味で事故よりも厄介な出来事であった。

 

「スペース・ジャックされたんだよ!!氷川丸がぁ!!」

 

「「「「「「「「はぁああああああああ!?」」」」」」」」

 

レヴィからのこの報告には参加者全員がぶったまげる結果となった。

 

なんでも、連絡を終えた後にレヴィはギンガや朝田砲術長らと共に艦橋で留守番をしていたらしいのだが、氷川丸から緊急通信が入り、拘束していた時空管理局局員の一部が魔法を使って艦内で戦闘をやらかして、氷川丸艦橋を含めた艦内全域が占領されそうになっていると悲鳴のような一報が入ったのだという。

 

「‥‥これは貴女たちの指示なんじゃないでしょうね?」

 

「いえ、いえ、いえ、いえ、いえ!?私らも寝耳に水ですよ!?」

 

カチューシャはギロリと疑いの目をリンディらに向けるが、はやてが真っ向から否定した。

 

まぁ、事件を起こしたのが管理局員と言う事で疑いたくもなる。

 

しかし、リンディたちと捕虜となった管理局員たちと連絡は取れないので、通信機などの物理的な指示は不可能だ。

 

だが、魔導師には念話と言うテレパシーがある。

 

会談をしている最中、念話で会話をして氷川丸をハイジャックするように指示を出す事は出来る。

 

とは言え、リンディ、はやて、クロノ、そしてフェイトを始めとする管理局幹部が地球の戦艦に居る中で、そのような指示を出せば逆に自分たちも人質となってしまうリスクがあるので、リンディたちがそのような指示を念話で出すのも考えにくい。

 

リンディたちの指示ではなく、クラウディア、ヴォルフラムの乗員だとしてもリンディたちが地球の艦に乗艦しているので、下手な指示を出せばどの道、人質になるので同じ事だ。

 

となると、今回のスペース・ジャックは氷川丸に収容されていた管理局員たちの独断である可能性が高い。

 

突然起きたスペース・ジャックのせいで会談は一度打ち切りとなり、防衛軍と管理局合同での氷川丸で起きたスペース・ジャック対応へと切り替わることとなってしまった。




次回 氷川丸救出
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