内惑星艦隊の奮闘   作:島田愛里寿

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第百六十話 新時代への蜂起

さて、ここで視点を時空管理局側に戻すと同時に時系列をフェイトたちが帰還した頃まで戻す。

 

フェイト、ユメ、ホシノの三名は査察部からの取り調べ‥‥もとい時空管理局上層部からの聞き取り調査を受けていた。

 

「では、ランスター捜査官は自らの意思で向こうの世界に残ったと?」

 

「はい。その通りです」

 

フェイトは、ティアナたち三人が自らの意思で残ったと説明していたが、査察部は疑っていたようだ。

 

暗黒星団帝国の侵攻でもう一つの地球が占領されていた事は管理局側も把握している。

 

上層部としてはそのいざこざにティアナたちが巻き込まれ、命を落としたのではないかと疑っている部分もある。

 

本音を言えば、上層部はその展開さえも望んでいるようにも思えた。

 

ティアナたちが命を落としていたならば、それはもう一つの地球側の責任と言う事で、管理局がもう一つの地球に付け入る口実が出来る。

 

おまけにデバイスに何のデータも残っていなかったことについても厳しく追及されたが、何とか乗り切った。

 

それは地球がガミラスからの遊星爆弾もしくはコスモクリーナーを使用した事で、もう一つの地球の空気が魔導師にとって常に本気を出せない環境下になっている事が、フェイトにとっては幸いした。

 

その後、ユメとホシノと合流したフェイトはリンディの元に向かった。

 

梔子ユメ

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小鳥遊ホシノ

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「三人とも、お疲れ様」

 

 

「はい」

 

「「は、はい‥‥」」

 

フェイトは義母であり、慣れた相手であったがこれまで一介の局員であったユメとホシノは緊張していた。

 

これでもリンディは統括官だ。

 

一介の局員ではそうそう会うこともない。

 

「三人が時間を稼いでくれたおかげでシルビアさんの身の安全も確保できそうよ」

 

「そっか、それは良かった」

 

フェイトはこれまで苦労を共にしたシルビアの身の安全が確保できそうだと聞いて一安心していた。

 

「それで梔子一士、小鳥遊二士はどんなことを聞かれたのかしら?」

 

「はっ、はい。ほとんどはどんな扱いを受けていたのかについて聞かれました。ただ、ほとんど艦内で生活していたって言ったらすっごい不機嫌そうな顔をされちゃいましたけど‥‥」

 

「扱いもまともだったと答えましたが、しつこいくらいに『防衛軍が非道なことをしたんじゃないのか?』『何か不当なことをしただろう?』『性的暴行はなかったか?』と聞いてきましたよ‥‥」

 

ユメとホシノも正直に事実のみを話したようだが、査察部のあからさまな態度にリンディも顔を顰めた。

 

二人の尋問に関してもやはりもう一つの地球の粗を探っている様子だ。

 

捕虜となった局員たちももう一つの地球の情報に関して詳しい内容は分からないだろうが、きっと『不当な扱いを受けた』と虚偽の証言をしているのだろう。

 

(近々もう一つの地球へ遠征ないし武力制裁なんて事が決まらなければいいけど‥‥)

 

捕虜となった局員たちの虚偽報告を真に受けた上層部がもう一つの地球への出兵を決めるのではないかとフェイトは不安になる。

 

「査察部の態度からして上層部の意向が多分に含まれているのは確実ね。なんだかんだ理由を付けて第二の地球を管理下に置きたいという態度があからさまじゃないの‥‥」

 

リンディもこれにはボヤくレベルだ。

 

「それだけは絶対にやめた方がいいよ」

 

「ええ、分かっているわ」

 

フェイトも顔を顰めて、『はやてやなのはにも相談しないと‥‥』と考えていたのだが、

 

 

バン!!

 

 

「かあさ‥いえ、統括官!!」

 

次元航行艦部隊司令部に報告に行っていたはずのクロノが大慌ててリンディの執務室に飛び込んできたのだ。

 

「どうしたの?クロノ。そんなに血相を変えて‥‥それと扉はもう少し静かに開けなさい」

 

(このやり取り、前にもやったような気がするのだけど‥‥)

 

リンディはデジャヴを感じつつもクロノに苦言を呈する。

 

「そんなことを言っている場合じゃありません!!緊急事態です!!」

 

「ん?どうしたの?」

 

(まさか、もう一つの地球に武力制裁を加えるなんて事ないわよね?)

 

クロノの慌てぶりにフェイトも問いただす。

 

ただ、心の中では先ほど抱いた不安‥‥もう一つの地球に対しての武力制裁が脳裏をよぎる。

 

しかし、クロノが発したのはもう一つの地球とは異なる内容であった。

 

「第四五管理世界のエルトリアが‥‥!!」

 

「え、エルトリア?最近暴動が増えたって噂だった管理世界よね?そこがどうかしたの?」

 

第四十五管理世界‥惑星エルトリアの話はリンディも耳にしていた。

 

その星は魔法技術の他に魔法に頼らない科学技術も有しており、それを用いた技術開発で有名な管理世界であった。

 

しかし此処近年の間に、管理局の管理下に置かれて自由に船舶開発が出来ないことや、政治にも管理局や管理局と懇意になっている企業・団体からの圧力を受けることに反発感情が高まっており、度々デモや暴動が頻発していたのだ。

 

管理局本局は現地の陸の部隊や駐留している次元航行艦部隊・魔導師部隊に鎮圧を要請するとともに現地政府に対処を急ぐよう指示していたのだ。

 

「ど、ど‥‥」

 

「「「「ど?」」」」

 

「独立です!!惑星エルトリアがミッドチルダ‥‥管理局からの独立を宣言したんです!!!」

 

「「「「‥‥えええええええぇぇぇぇぇぇ――――!!!!???」」」」

 

なんと独立を宣言したのだ。

 

 

旧第四十五管理世界 惑星エルトリア 行政府庁舎前

 

 

ワァアアアアアアアア!!!!

 

 

管理局の紋章が描かれた旗は燃やされるか、ビリビリに破かれ、かつて惑星エルトリアの政府中枢として政治を担ってきた行政府庁舎前では群衆が熱狂の渦に満ちていた。

 

「皆さん!!これまで良く頑張ってくれました!!本日午後零時を持って我がエルトリアはミッドチルダからの独立を宣言します!!時空管理局の圧政から我々は解放されたのです!!」

 

ワァアアアアアアアア!!!!

 

 

同日 午後零時。エルトリア臨時政府は共和国政への移行を決定。

 

同時にミッドチルダ・時空管理局からの完全独立を宣言!

 

ワァアアアアアアアア!!!

 

「独立!万歳!!」

 

「エルトリア万歳!!」

 

エルトリア共和国初代大統領となる若き女性の指導者『カガリ・ユラ・アスハ』からの宣言を聞いた市民たちの熱狂はさらに高まった。

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彼女の傍には姪のエステレーラ・ジャルディンマールも居り、目を輝かせながら指導者となった叔母の姿を見つめていた。

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「この宣言から我がエルトリアが完全なる独立を有することになるのは誠に喜ばしいことではあるが、これが終着点ではない!!我が祖国、エルトリアが真の自由と独立を全管理世界から認められるまで、我々は断固戦い貫くことをこの場で誓い!!志を一つにして立ち向かっていかなければならない!!!」

 

(管理局はエルトリアの独立など決して認めず、武力制裁に踏み切るだろう‥‥)

 

(この戦いに勝つ事でエルトリアは真の独立を果たすのだ!!)

 

カガリの宣言に呼応するかのようにエルトリア共和国における国軍である『エルトリア国家防衛隊』の宇宙艦隊における主力艦である駆逐艦十数隻が上空を航行するとともに、エルトリア軍の新型巡洋艦と独立運動の最中に管理局から接収した新型次元航行艦『ヴァルストーク』が上空に飛来した。

 

エルトリア国家防衛隊 駆逐艦

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エルトリア国家防衛隊 巡洋艦

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エルトリア国家防衛隊 『ヴァルストーク』

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これらの艦‥『ヴァルストーク』以外の艦はエルトリアが管理局との独立戦争に備え、着々と準備してきた努力の結晶である。

 

他にも戦艦の建造が推し進められており、時空管理局からの鎮圧行動への対抗手段として戦力の増強を惜しまないという意思表示に見られた。

 

エルトリアの独立宣言は全管理世界に生中継で放送された。

 

当初は管理局本局も規制しようとしたが、純粋な科学技術に関してはエルトリアが僅かに勝っており、放送無線はエルトリア側にジャックされてしまっていた。

 

結果、その後の記者会見は混乱の渦に飲まれた。

 

「報道官!第四十五管理世界から放送されたあの映像は何ですか!?」

 

「あれはフェイクですか!?それとも独立は事実なのでしょうか!?」

 

「管理世界からの独立は時空管理局始まって以来の出来事ですよ!?」

 

「管理局は今後どう対処なさるのですか!?」

 

「やはり武力制裁ですか!?それとも独立を認めるのですか!?」

 

記者たちも混乱気味に管理局報道官に詰め寄るが、

 

「わ、私が知りえる情報でも未だ確認中としか‥‥!!」

 

当の報道官も混乱しており、お決まりの返答しかできなかった。

 

管理局本局内でもすぐさま本会議が招集され、リンディやレティ、さらにはミッドチルダにいる陸の代表的な人物のド・ルーゴも招集されたのだ。

 

 

時空管理局 本局・会議場

 

「一体どういうことなんだ!?」

 

誰かは分からないが、本局の幹部からの悲鳴のような問い詰めから会議は始まった。

 

管理局側からしても今回の独立騒ぎは前代未聞だ。

 

一桁代の管理世界は、進んで管理世界入りをしたので、ミッドチルダ‥管理局には従順だ。

 

無人世界、自然保護世界には知的生命体が存在しないので管理局に対して反旗を翻す事はない。

 

しかし、無理矢理管理世界入りした世界については反管理局思想が強い。

 

下手を打つとこれに呼応する世界が出ないとも限らない。

 

三提督も表面上は落ち着いていたが、内心は慌てていた。

 

「“陸”の駐留部隊は一体何をやっていた!?」

 

“海”の局員がド・ルーゴに問いただすが、

 

「私が知り得た情報では、デモ隊が十万から二十万人規模だったのに対して“陸”の局員は記録上では一万人となっていたがその実態は“海”に人員を取られ続けた結果、1000名足らずであったという報告だ。むしろ今の今までその程度の人員で万規模のデモ隊や暴徒を抑えながら必死に耐えていた“陸”の局員たちを貶めるような発言は辞めていただきたい」

 

ド・ルーゴは淡々と事実を答え、

 

「むしろ、これまで治安維持を我ら“陸”に押し付け、平和に胡坐をかいて怠けていた“海”の駐留艦隊のあの様はなんだね?エルトリアが公開した映像の他に、命からがら逃げ戻って来た局員や行政府職員から聞き取りを行ったところ、軌道上にお行儀よく集結していた矢先に奇襲を受け、射撃演習の的と言わんばかりに撃沈されていったというではないか。そちらこそどう責任を取るつもりか!!」

 

ド・ルーゴの叫びは“陸”の職員全体の悲鳴とも批判ともいえる。

 

エルトリアに駐屯していた“陸”の局員たちとも連絡が取れない状況でド・ゴールとしても局員の家族たちも彼らの安否が気になっていた。

 

「なんだと!?」

 

“海”の局員もド・ゴールの言葉に激高するが、事実は事実なので覆しようがない。

 

「落ち着きなさい。今は情勢に対処することが重要です。責任の押し付け合いは後でよいでしょう」

 

三提督の一人『ミゼット・クローベル』が仲裁したことで何とか落ち着いた。

 

「とにかく今はエルトリアで起きた反乱の鎮圧が第一であろう!」

 

「そうだ!彼らはただのテロリスト集団でしかない!!」

 

再度始まった対策会議は鎮圧することしか前提に無く、“海”と“空”の局員からは対話を行おうという意見は何一つ出なかった。

 

“陸”からは何度か対話や要求を聞くのはどうかという意見も見受けられたが、『弱腰』『腰抜け』と断じられて一蹴されてしまった。

 

 

(これでは管理局は痛い目を見ないと醒めないのではないか?)

 

ド・ルーゴは冷ややかな目で会議を見ていた。

 

リンディとレティも過激な意見を抑えようとしていたが、彼女たちも生粋の管理局員。

 

自然と鎮圧を念頭に置いてしまっていた。

 

とはいえ、即座に大規模な次元航行艦部隊を編成することは難しいので、数か月は情報戦(プロパガンダや報道合戦等)が双方で繰り広げられることとなる。

 

ただ、幸か不幸かフェイトたちへの追及が後回しになったのは余談である。

 

 

さて、時系列を基に戻し、ティアナたちが『ガンビア・ベイ』での実習を始めた頃。

 

ガルマン星近郊の宙域では…。

 

 

ドゴオオン!!!

 

 

ボラー連邦本国からガルマン星奪還のために派遣された第三主力艦隊とリベリア星の支援艦隊が、ガルマン・ガミラス帝国軍と交戦状態に突入していた。

 

ボラー連邦の本国艦隊には、ガノンダ型航宙母艦やクロトガ型戦艦の新型艦、アマンガ型ミサイル戦艦、ベレチューシャ型火力投射艦、パトゥーリア型巡洋艦が編成されていた。

 

ガノンダ型航宙母艦

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クロトガ型戦艦(新型)

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アマンガ型ミサイル戦艦

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ベレチューシャ型火力投射艦

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パトゥーリア型巡洋艦

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そして属国であり、ガルマン星近くに位置していたことで今回のボラー連邦本国からの命令に呼応したリベリア星の艦隊にはクロトガ型戦艦の最初期型やクロトガ型以前の戦艦であるペチュンガ型戦艦、本国から供与されたアマンガ型とガノンダ型、そして多数の輸送艦が所属しており、本国第三主力艦隊に同行していた。

 

クロトガ型戦艦(最初期型)

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ペチュンガ型戦艦

【挿絵表示】

 

ボラー連邦 輸送艦

【挿絵表示】

 

しかし、ボラー連邦本国から派遣された第三主力艦隊は悲惨な状況であった。

 

そもそも、ボラー連邦がこれまで相手にしていたのはゼニー合衆国という国家だ。

 

物量と火力投射戦術で押しつぶして平押し‥‥要は戦列歩兵戦術のような戦法で勝ってきたので、今回もその戦法で行こうとしたのだが、

 

「着弾!敵正面に突破口を形成!」

 

「おっしゃあ!!全艦続け!!敵に切り込むぞ!!」

 

先んじて相手になったのは、かつてガトランティス相手に戦っていたドメル艦隊で幕僚団のメンバーであり、切り込み隊長をやっていた男で、七色星団決戦から唯一生き残った『フォムト・バーガー』率いる航宙戦隊であったのだ。

 

バーガーは現在、修理と改装を受けているガイペロン級多層式航宙母艦のランベアから、メルトリア級に一時的に旗艦を乗り換えて切り込みつつ戦場の指揮を取っていた。

 

ガルマン・ガミラス帝国軍こと、かつてのガミラス帝国軍も昔は物量戦を用いていたがヤマトが現れるころには高い練度が要求される高機動戦へと移行していた。

 

ガルマン人はまだ慣れていないが、ガミラス帝国軍人たちにとっては慣れた戦法である。

 

遠距離からのミサイル攻撃で敵艦隊に穴を作ると、バーガーが座乗するメルトリア級を先頭にデストリア級、ケルカピア級、クリピテラ級といった在りし日のガミラス帝国軍にて主力を担った艦たちが単縦陣にて切り込みをかけた。

 

戦列歩兵戦術に似た戦法しかとったことが無かったボラー連邦軍が即応できるわけがなく、すぐさま十数隻のクロトガ型戦艦が火だるまになり、アマンガ型ミサイル戦艦もミサイルを発射して応戦するが機動性が高い旧ガミラス帝国軍艦艇に誘導装置が対処しきれずに味方艦を誤射してしまう事態に陥る。

 

おまけに前方には『ガル・ディッツ』が座乗するゼルグート級一等航宙戦闘艦や、ハイゼラード級航宙戦艦、ガイデロール級二等航宙戦艦等からの苛烈な砲撃を受けるのだ。

 

さらにその戦艦部隊の後方に展開しているガイペロン級多層式航宙母艦とゲルバデス級航宙戦闘母艦、そしてデスラー座乗の特一等航宙戦闘母艦デウスーラIII世からスヌーカ隊やドルシーラ隊が発艦し、瞬間物質移送機で敵艦隊の至近距離に転送され、急降下爆撃を敢行するので、たまったものではない。

 

 

ボラー連邦 第三主力艦隊旗艦 艦橋

 

「く、くそっ!後退だ!!一旦引くぞ!!」

 

ガルマン・ガミラス艦隊の猛攻を間に指揮官は撤退を命じる。

 

「し、しかし首相閣下からのご指示は‥‥」

 

指揮官の命令に副官は恐る恐る声をかける。

 

ベムラーゼからの命令はガルマン星の奪還である。

 

その奪還が出来ない内はボラー連邦本星に還る訳にはいかない。

 

「これは撤退ではない!一度戦線を立て直すための転進だ!!」

 

「な、成程!?」

 

ボラー連邦第三主力艦隊の指揮官の判断と理屈に言いくるめられた副官は納得した。

 

第三主力艦隊の艦船は次々と反転し、被弾する味方艦を無視して転進と言う名の撤退行動に入る。

 

「むっ!?なんだ!?あれはっ!?敵艦隊の待ち伏せか!?」

 

撤退する第三主力艦隊の前に艦影が存在する。

 

「リベリア星の補給艦隊です」

 

そう、ベムラーゼ首相からの無茶ぶりに意気揚々と呼応したリベリア星から派遣された支援艦隊は第三主力艦隊の司令官自身が命令して後方に待機させて支援に当たらせていたのだ。

 

「砲撃しろ!!」

 

「は?」

 

「撃てと言うのだ!!」

 

「いや、属国とはいえあれは味方の‥‥」

 

「味方ならば何故、我々が逃げ‥‥いや、転進しようとするのを妨げるのか!?構わぬ、撃て!!我らの進路を邪魔する者は反逆者である!!」

 

「は、はい‥‥」

 

第三主力艦隊は敵ではなく、味方にその砲口を向けた。

 

 

リベリア星艦隊 旗艦 ガノンダ型航宙母艦 艦橋

 

 

「司令、本国の第三主力艦隊が反転。こちらへ向かってきます」

 

「ふむ?補給か?もしくは撤退かもしれんな?確認をとって‥‥」

 

「だ、第三主力艦隊、発砲!!」

 

「なに!?」

 

「エネルギー波接近!!」

 

「か、回避!!」

 

「ダメです!!間に合いません!!」

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁー!!」

 

この直後、リベリア星艦隊旗艦のガノンダ型航宙母艦及び、随伴していたクロトガ型戦艦(最初期型)二隻が瞬時にハチの巣にされて轟沈。

 

後方に展開していた二隻のアマンガ型ミサイル戦艦も多数被弾し、一隻は轟沈した。

 

※アマンガ型ミサイル戦艦は本来であれば四隻が所属していたのだが、四隻の内の二隻はガルマン・ガミラス帝国軍の攻撃で既に轟沈しており、この時点で二隻しか残っていなかった。

 

おまけに輸送艦部隊及びその直掩として展開していたペチュンガ型戦艦部隊は回頭する間もなく第三主力艦隊に排除されたことで一隻も生き残らなかった。

 

 

リベリア星艦隊 次席旗艦 アマンガ型ミサイル戦艦 艦橋

 

「う、うぅ‥‥」

 

そんなリベリア星艦隊の中で唯一、轟沈しなかったアマンガ型ミサイル戦艦の艦橋に女性士官が入って来た。

 

彼女は負傷しながらも必死に艦橋まで辿り着いたのだ。

 

彼女は頭から血を流しつつも艦橋を見渡すが、

 

「か、艦長?艦長!副長!」

 

艦長・副長以下、艦橋要員は誰一人生き残っていなかった。

 

おまけにこれまで艦内を見て回ったが、誰も生き残っていなかったのだ。

 

そう。彼女はこの艦で唯一の生存者となったのだ。

 

艦橋内には虚しく警報のみが鳴り響く…。

 

 

 

 

「は、ははははは‥‥ふざけるなぁ!!」

 

 

 

そして艦橋の窓から見えたボラー連邦本国第三主力艦隊が逃走のために本来味方である筈のリベリア星艦隊へ攻撃を行い、強引に逃走経路を作ってガルマン・ガミラス艦隊から逃げて行く。

 

「これまで、散々搾取されながらも耐え抜いてきた私は一体何だったのだ!!」

 

彼女は以前からボラー連邦への不満を持っていたが、今回の一件で完全にボラー連邦に‥‥そしてボラー連邦に逆らうことなくペコペコと媚びを売る故郷に見切りをつけた。

 

ボラー連邦が自分たちの故郷、リベリアを支配してから自由は消えた。

 

リベリア政府もボラー連邦の言いなりとなり、無実の人に罪を着せて忠誠心のポイントを稼ぐようになった。

 

自分の父親も無実の罪で捕まり、処刑された。

 

物資もボラー連邦の駐屯軍、秘密警察、政府が私腹を肥やすために搾取し、女・子供、高齢者、病人には満足に食料、医薬品が供給できなくなり、リベリアの人口は減少の一途をたどった。

 

母親も病気にかかり満足に治療できぬまま死んだ。

 

軍に入ればそれなりに衣食住が提供されるので、自分は不満ながらも軍に入った。

 

ボラー連邦の為、祖国のために命をかけて戦ってきたらこのザマだ。

 

「こんな所で‥‥こんな事で死んでたまるか!!ワープ装置は‥‥生きている‥‥」

 

そう思い至った彼女は航海長の席に座り、航海計器をチェックするとワープ装置が生きていることを確認した。

 

※この時、航海長は艦橋の床で息絶えていた。

 

「‥‥どこに行くかは運に任せましょう。さらば祖国‥‥さらばだ、ボラー連邦のクソ野郎ども!!」

 

そう言って彼女はランダムに座標を設定した。

 

この時、ガルマン・ガミラス帝国軍はボラー連邦第三主力艦隊を追撃するのに忙しく、ボラー連邦第三主力艦隊も逃げるのに必死で気づかなかったが、この宙域から一隻のアマンガ型ミサイル戦艦がワープを敢行した事を気づく者は誰も居なかった。

 

これが地球を銀河系の情勢に巻き込むこととなるとは誰も予想していなかった。




次回 遭難者・亡命者
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