此処で視点を2200年代の地球から某宙域へと移る。
エルトリア共和政府を制圧するべく出発した時空管理局次元航行艦艦隊は大まかに三つの艦隊に分けられていた。
後衛にXV級とLS級、そしてドミニオンと輸送・補給隊として次元航行輸送艦が参加している『クロノ・ハラウオン艦隊』
本隊として総旗艦を含めたXV級とLS級の『パムキン艦隊』。
そして前衛に哨戒・偵察艦隊としての意味合いもあってL級艦で編成された艦隊がいる。
このような艦隊編成になった理由としては時空管理局が今回のような大規模艦隊をこれまで運用した経験が無かったからである。
基本的に時空管理局は次元航行艦を一隻、多くても三~四隻の小規模グループで運用しており、それ以上に今回のような多数の大艦隊で行動することすらなかったのだ。
その為、指揮能力ではなく統率力や上層部からの信用がある人材が複数の艦隊をまとめて運用するという状況になったわけだ。
とはいえ、即席で構成された艦隊ゆえに指揮系統が複雑であったり、信頼関係が薄いという名的な問題を抱えていた。
XV級次元航行艦 『クラウディア』
「第二分隊の船速をもう少し上げさせろ。隊列が乱れている」
「はい!」
クロノは指揮下に入った多数の次元航行艦や部隊の統率と指揮に忙殺されていた。
なんせ、彼自身もこれまで指揮したことのある艦隊の規模は四~六隻程度。
三十隻前後の艦隊をいきなり問題なく運用・指揮しろなんて突然言い渡されても無理という物だ。
それでも何とか指揮をしているのはさすがと言うべきだが…。
『ハラウオン提督、今のところ第三分隊に問題は無いで』
『こちらもだ』
その為、クロノは三十隻の後衛艦隊を五つの分隊(一分隊=六隻)に分けた。
第一・第二分隊はクロノが担当し、第三分隊をはやてが、第四・第五分隊をナタルがそれぞれ指揮して即応できるように工夫したわけだ。
しかし、他の艦隊はこのような臨機応変な対応を出来てはいなかった。
それでも、時空管理局の大艦隊はエルトリア星系へと進撃を続ける。
それを異次元から見つめる眼があることも知らずに‥‥。
エルトリア国家防衛隊宇宙軍 連合艦隊総旗艦 ドライストレーガー
「次元潜航艦UD-01より入電!第六惑星から3.6宇宙キロに時空管理局の艦隊が侵入!」
通信員からの報告を受けたミツバは…。
「あの宙域ですか‥‥では、第四作戦で行きましょう!」
幾つか立案されていた作戦案の中からミツバは第四作戦を取ることを決断し、
「全艦載機を発艦させてください!!」
「はい!」
同連合艦隊所属 巡洋艦『フリーダム・ガーディアン』
「総旗艦より入電!全艦載機を発艦させ、攻撃隊を編成。先発隊として攻撃を掛け、艦隊は同時に突入を開始するとのことです!」
「内容からして第四作戦ということですね」
「はい。その様です」
巡洋艦『フリーダム・ガーディアン』艦長になっているユーリ・エーベルヴァインはその命令の内容から、作戦の内容を思い出した。
「全航空隊を発艦させてください!!」
ユーリの指示を受け、『フリーダム・ガーディアン』の船体中央部から艦首に向かって配置されているカタパルトから多数の空間戦闘機が発艦した。
エルトリア国家防衛隊宇宙軍にて運用している空間戦闘攻撃機『アヴィア』である。
エルトリア国家防衛隊としても艦隊や次元潜航艦だけで撃退出来るなどとは到底考えておらず、そのための切り札として準備していたのだ。
さらに攻撃機型として『重兵装アヴィア』も同行していた。
第一次攻撃隊 フローリアン飛行隊 隊長機
「全機、これが私たち航空隊初の実戦です!戦果を求めるのも結構ですが、まずは生きて帰ることを考えて行動してください!!」
『了解!!』
そう言って飛行隊隊員たちに訓示をするのは、フローリアン飛行隊隊長である『アミティエ・フローリアン』である。
彼女としても、自身の部隊の腕前に自信を持っていたが、管理局相手に効くかどうかは不安であった。
しかし、搭乗員は何よりも大切な資源でもあり、総合戦力において管理局に劣る自分たちとすれば、一兵たりとも無駄に殺す訳にはいかない。
『お姉ちゃんは相変わらず固いわね?』
「キリエ、今は作戦行動中ですよ!?」
そんなアミティエに無線で声を掛けたのは副隊長にして妹のキリエ・フローリアンである。
『相手が時空管理局だからって、気を負いすぎるのも考え物よ?私たちはあんなに訓練を積んできた。部下たちを信じてあげるのも隊長の役目よ』
「そ、そう、ですね‥‥」
アミティエはキリエの言葉にそう返すが、他にあることについても悩んでいた。
(前衛艦隊の皆さん!どうかご無事で‥‥!!)
その頃、前衛として、そして陽動役として展開していたエルトリア国家防衛隊の巡洋艦一隻と駆逐艦五隻は管理局艦隊との戦闘を始めようとしていた。
これがエルトリア軍の時空管理局との最初の砲火であった。
エルトリア国家防衛隊宇宙軍 巡洋艦
「全艦砲撃用意‥‥」
「全艦砲撃用意」
「撃ち方用意」
「諸元入力」
巡洋艦の砲塔が動きその砲口の照準を迫りくる管理局艦隊へと向ける。
「砲撃始め!!」
主砲の射撃準備が整いエルトリア軍の艦艇が一斉に砲撃を行う。
「撃て!!撃て!!当たらなくてもいい!!牽制するんだ!!」
陽動部隊の旗艦である巡洋艦の艦橋では指揮官が必死に指揮を取っていた。
この部隊はある作戦の為に時空管理局艦隊の注意を引き付ける為にあえて危険を覚悟して正面から砲戦を行っていた。
L級次元航行艦部隊相手にはこの程度の部隊でも対応が出来ていたが、本隊が合流してきたことによって駆逐艦数隻が轟沈した。
その為、定刻までは引き付けることを最優先に行動していた。
「艦長!時間です!」
「やっとか!?全艦転舵!!遅れるな!!」
そうして陽動部隊は転舵を開始。
戦場からの離脱を始めた。
時空管理局艦隊 総旗艦
「パムキン提督。エルトリアの艦隊が撤退を開始した模様です」
「ふん!独立などと大層な事をほざいていた割に所詮はこの程度か‥追撃だ!一隻たりとも逃すんじゃないぞ!!初戦で全艦全滅させるぞ!!」
時空管理局側はこの行動をエルトリア軍の撤退行動であると判断した。
というのも、時空管理局側はエルトリア国家防衛隊の艦隊戦力を独立宣言の演説の際に登場した巡洋艦数隻と駆逐艦、そして接収された『ヴァルストーク』だけだと思い込んでいた。
その為、この陽動部隊をエルトリア国家防衛隊宇宙軍艦隊の全戦力と思い込んでいたのだ。
「提督、クロノ提督から周辺警戒を行うべきではないかとの意見具申が来ていますが?」
「構わん!どうせ手柄を横取りしようという腹積もりだろうがそうはいかんぞ!!」
そして慢心や驕りからかクロノの進言を無視した上、フェイトが以前から言っていたエルトリアの切り札なんて眉唾物だと総司令官のパムキン提督は思ったのだ。
それが、最悪の結果を招くことになるとも知らずに‥‥。
時空管理局艦隊 前衛艦隊 L級次元航行艦『ロータス』
「ん?なんだ?あれ?」
そんな時、本隊と合流した前衛艦隊の旧型次元航行艦『ロータス』のレーダー員が妙な反応を捕えた。
「どうした?」
「いえ、何か巨大な反応が前から‥‥それに艦隊下方からも高速で接近する複数の反応が‥へ?」
その直後、『ロータス』は重魔導粒子衝撃砲の直撃を受け、轟沈した。
時空管理局艦隊総旗艦
「どうした!?何事か!?」
「ろ、『ロータス』轟沈!そのほかにも多数の艦が被弾しました!!」
「クッソ!一体何がどうなっている!!」
突然、艦隊の構成艦複数が轟沈し、被弾艦が増えるという事態にパムキン提督は狼狽した。
そして‥‥
「て、提督!!前方に!!」
「どうし‥‥なぁ!?」
前方からエルトリア国家防衛隊宇宙軍総旗艦であるドライストレーガー及び主力戦艦や巡洋艦、駆逐艦、『ヴァルストーク』が単縦陣からデルタ体型へ艦列を変えつつ、突っ込んできたのだ。
エルトリア国家防衛隊宇宙軍総旗艦 ドライストレーガー 艦橋
「目標、前方に展開する管理局の艦隊。全艦両舷前進全速、ヨーソロー!!」
「各艦、機関出力一杯!!砲戦を開始します!!」
「全艦、全武装の使用を許可します!容赦なく薙ぎ払いなさい!!」
ミツバ・グレイヴァレーは部下からの報告を聞きつつ、指示を出した。
先程まで陽動の任に当たっていた陽動部隊の苦労や犠牲からもここで強力な一撃を与えるとともに航空隊による奇襲を成功させなければならない。
「総員、奮起しなさい!ここがこの戦いの分水嶺です!」
「はい!主砲斉射準備、ヨロシ!!」
その言葉に呼応するかのようにドライストレーガーの主砲である『連装重魔導粒子衝撃砲』六基全門が時空管理局側の総旗艦に砲口を合わせた。
『と、取り舵だ!!取り舵ぃ!!』
管理局側のパムキン提督は必死に退避を指示するが、時空管理局の次元航行艦は基本的に動きが遅い。
「撃て!!」
ミツバの命令に『連装重魔導粒子衝撃砲』から重魔導粒子が放たれた。
その直後に時空管理局側の総旗艦は轟沈。
それを受け、時空管理局艦隊各艦は大混乱に陥った。
おまけに、ドライストレーガーの後方からは戦艦や巡洋艦、駆逐艦が攻撃してくるために前進も撤退も容易に出来ない。
さらに‥‥
「全機突入!!」
エルトリア国家防衛隊宇宙軍の航空隊が下方から奇襲を仕掛け、多数の次元航行艦が撃破されることとなった。
防衛軍、ガミラス、彗星帝国、暗黒星団帝国、ボラー連邦などの宇宙艦船と異なり、時空管理局の艦に対空砲は装備されておらず、重兵装アヴィアのミサイル攻撃で次々と沈んで行く。
XV級次元航行艦 『クラウディア』
「く、クロノ提督!前方から友軍艦艇が撤退してきます!」
「何!?」
クロノが指揮する後衛艦隊は偶々補給艦の不調から艦隊速度が遅れており、遅れて戦場に到着したが眼前に広がる悲惨な光景に唖然とするしかなかった。
「撤退ってどういう事だ!?戦闘が開始されてまだ一時間も経っていないぞ!?パムキン提督はどうした!?」
「それが、各艦が交信をして、情報が錯綜しています」
通信では自艦の状況と救助を要請する内容の通信が飛び交っている。
『我、航行不能!!至急救助を求む!!』
『艦内火災発生!!消火不能!!至急救助を求む!!』
『艦長戦死!!副長が指揮を代行!!』
『敵艦接近!!応援を頼む!!』
眼前の宇宙空間では、多数のXV級やL級が撃破され残骸と化しており、必死に逃げようとする次元航行艦を多数の艦載機やエルトリア軍の戦艦や巡洋艦が追撃を仕掛けて来ているのだから‥‥。
『く、クロノ君!どうするんや!?』
「て、撤退だ‥‥!」
「えっ!?提督!?味方の救援に行かないのですか!?」
はやてからどうするか聞かれたクロノは迷わず撤退を決断した。
副官は救援に行かないのかと聞くが、
「見てみろ!エルトリア軍の艦艇やあの艦載機は下手をすれば地球防衛軍に匹敵する可能性が高いんだ!それを相手に満足に艦隊行動も出来ない我々が向かって行っても無駄に犠牲を増やすだけだ!ならば、逃げて来た艦艇や生き残っている艦の乗員を守ることを優先する!」
クロノはそう判断したのだ。
「は、はい!」
「後衛艦隊全艦に告ぐ!こちらはクロノ・ハラウオンだ!全艦直ちに転舵!エルトリア星系を離脱し、本局に帰還する!!」
『りょ、了解!!』
「殿は本艦とヴォルフラム、ドミニオンが務める!なんとしても本局へ帰還せよ!!」
そう言うと、後衛艦隊や逃げて来た次元航行艦は本局へ針路を向けた。
「すまないなはやて、それにナタル義姉さん‥‥」
『いや、構わないさ。クロノ』
『そうや、そうや。構わへんで、クロノ君。にしてもフェイトちゃんの忠告が現実になるとはなぁ…』
クロノは全艦隊への通達の後にナタルとはやてに謝罪するが、二人は納得していた。
そしてはやてはフェイトが何度も警告していたことがこれだったのだと思い至り、頭を抱えていた。
そんな時、
ドッガァアアン!!
「ど、どうした!」
「次元輸送艦『プロフィア』が突如、質量兵器の攻撃を受けて轟沈しました!」
「なっ!あの艦には地上戦の為の多数の武装局員たちが乗っていたんだぞ!?」
突然、艦隊の外側にいた輸送艦が轟沈したのだ。
当然外は真空の宇宙空間‥‥
魔導師と言えど生きている筈がなかった。
エルトリア国家防衛隊宇宙軍 UD級次元潜航艦 UD-01
「魚雷第一波命中。敵艦の撃沈を確認!!」
「よし!本艦の初戦果ね!」
そう言うのはエルトリア国家防衛隊宇宙軍の次元潜航艦であるUD-01艦長のイリス・マクスウェルである。
【挿絵表示】
彼女は時空管理局の艦隊を星系内に入ってからずっと時空管理局艦隊の動きを追尾し続け、撤退しようとしたその瞬間を狙って攻撃を仕掛けたのだ。
「艦長、ウナギ(魚雷)はまだありますが‥攻撃を続けますよね?やりますよね?」
「当り前よ!次は戦闘艦を狙いましょう!」
そう言って彼女は潜望鏡に近い装置を覗いて次の目標を指示した。
LS級次元航行艦 『ヴォルフラム』
「味方艦がさらに轟沈しました!」
「レーダーに反応は!?」
「艦船の反応はありません!!」
「それじゃあ、艦載機の反応は!?」
「そちらもありません!!周辺に居るのは我々だけです!!」
周辺にはエルトリア軍の艦船、艦載機の反応はなく、存在するのは味方艦のみ‥‥
エルトリア軍の予想外の反撃に錯乱してフレンドリーファイアしたのかと思ったが、轟沈理由が時空管理局艦には非搭載の質量兵器‥‥
どうみても味方のフレンドリーファイアではない。
「ど、どういうことだ!?突然攻撃を受けるなんて‥‥!」
はやての副官であるグリフィスも混乱気味だ。
「こ、これは‥まさか‥‥いや、多分、次元潜航艦の攻撃や!」
「じ、次元潜航艦ですか!?もう一つの地球が保有していた潜水艦みたいなあの艦ですか!?」
しかし、はやては何度か地球の次元潜航艦の戦闘や特徴を見ていたことから何の攻撃かすぐに見抜いた。
「せや!どうやってかは分からへんけど、エルトリア側は次元潜航艦を持っているんや!」
「仮にエルトリアが次元潜航艦を保有していたとして、今の我々にその対処は‥‥」
「出来へんな‥‥でも、撃破しなくても相手を撤退に追い込むことは出来る筈や」
とはいえ、ヴォルフラムを始め管理局の次元航行艦では異次元の海に潜む次元潜航艦を撃破することなど不可能である。
その為…。
「ルキノ!本艦が囮になるで!ジグザグと上下運動をしながら魚雷を回避し続けるんや!!」
「ええ!?」
はやての決断に操舵手であるルキノを始め、ヴォルフラムの乗員たちは驚く。
しかし、この決断にはある理由があった。
「攻撃の頻度から、相手は一隻か二隻くらいのはずや。それに魚雷だって永遠に撃てる訳やない。だったら回避しまくって相手の魚雷を無駄に消耗させるんや!」
そう、エルトリア側も次元航行艦は数隻しか建造できておらず、この宙域にはイリスの指揮するUD-01しかいないのだ。
しかも搭載されている空間魚雷の数にも限度がある。
それが実際、問題になっており‥‥
エルトリア国家防衛隊宇宙軍 UD級次元潜航艦 UD-01
「あら?一隻の航行艦が艦隊を離れて向かってくるわね?獲物にピッタリね。群れから離れるなんて、『狙ってください』って言っている様なものじゃない‥魚雷次填用意!!」
イリスはそう言って魚雷の装填を指示するが、
「あ、あの艦長」
「どうしたの?」
「魚雷があと一斉射分‥つまり六本しかありません」
イリスは水雷長からの報告に驚いたが、納得もしていた。
「たしか、特殊な空間魚雷だから生産が追い付いていないのよね?」
「はい。それに今回は試験も兼ねていましたから‥‥」
次元潜航艦用の空間魚雷は製造が難しく、数が無かったのだ。
「‥‥仕方ないわね。何回かに分けて発射するわ。絶対に奴を沈めるわよ」
「は、はい」
それから数分後、ヴォルフラムは何度かに分けてくる空間魚雷を必死に回避していたが、
「前方より一本が直撃コースです!」
「アカン!総員、衝撃に備えるんや!!」
六本中、五本はルキノの巧みな操艦とはやての指示で回避に成功したものの、最後の一本がヴォルフラムに直撃してしまった。
「うわぁああああ!?」
「くっ!?」
「きゃっ!!」
「うわっ!!」
「うおっ!!」
艦橋はひどく揺さぶられた。
「被害は!?」
「機関部と居住区の間に直撃しました!幸い死者はいません!」
『はやてちゃん!負傷者が多数出ている!この艦の設備じゃ手一杯になりそう!』
死者が現時点ではいないことにはやては安堵したが、医務室で手当てをしていたシャマルからの悲痛な報告に頭を抱えた。
「艦長!機関部より『機関停止、復旧の見込み無し』との報告です‥‥」
「‥‥」
そして機関部からの報告に、艦橋は静まり返った。
この状況ではヴォルフラムを本局に持って帰ることは不可能だ。
「はやて‥‥」
「主はやて…」
「はやてちゃん‥‥」
それに艦橋に一緒にいたシグナムやヴィータ、リインフォースⅡ(ツヴァイ)は、はやてを見る。
「ふぅ~‥‥しゃーないな‥‥クロノ君に報告して救援を要請。総員、負傷者を優先に退艦や」
「はっ‥‥」
グリフィスは苦しい顔をしつつも命令を受諾した。
その後、ヴォルフラムは全乗員がクロノのクラウディア及びナタルのドミニオンに移乗し、鹵獲防止兼機密保持の為にヴォルフラムはドミニオンによって砲撃による撃沈処分となった。
はやてたちヴォルフラムの乗員たちは爆沈するヴォルフラムに敬礼するしかなかった。
「敵艦、遠ざかります」
「浮上」
「了解」
この光景をイリスも潜望鏡経由で見ていたが、魚雷が尽きたことや救助活動中の艦艇を攻撃することは彼女としても本意ではなかった為に二隻が本局に向かって撤退していった後に浮上する。
そして、周辺の救難活動を命じた。
これによって後に第一次エルトリア星系海戦と呼ばれる戦いは終わった。
この戦いで時空管理局はL級の大半を喪失し、XV級も半数を失った。
高速性があったLS級は八割が生き残ったが、慰めにもならないだろう。
この結果は時空管理局に衝撃をもたらすこととなった。
次回 衝撃と混乱