内惑星艦隊の奮闘   作:島田愛里寿

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第九話 身柄引き取り

束がひょんなことから連れてきた三人の戦災孤児の少女たち。

 

その少女たちが居た施設はまさに魔の巣窟であった。

 

彼女たち自身はおそらく内容すべてを理解はしていないが、施設の職員たちの話や雰囲気、そして日々における施設での生活に違和感を覚えていたのだろう。

 

同じ施設に居たであろう他の子供が書いた日記と彼女たちの話からいくつかの推測が出来た。

 

食事が粗末なのはガミラスとの戦争だけではなく、子供たちに余計な脂肪をつけないようにしていたのだろう。

 

学校に通学させなかったり、電話や手紙のやり取を禁止したのは子供たちと外部との接触を完全に断つ為‥‥子供たちの存在を外部に知られないようにする為だろう。

 

ガミラスとの戦乱で誰が死んで、誰が生きているなんて詳しい情報を確かめることが難しいこの戦時下の状況で戦災孤児の行方なんて態々捜す人なんて少ない。

 

仮に居たとしても外部との接触が絶たれているので、既に死んでおり何かの間違いでこの孤児院に居ると言う誤報が入った。

 

または個人情報保護法を盾に里親に出された後だと言い切るなどいくらでも言い逃れる方法がある。

 

施設の人間はそうした世間の混乱に目を付けたのだろう。

 

そして、毎日子供たちに日記をつけさせているのは施設に居る子供たちがこの施設の闇に気づいているのか確認するためなのだろう。

 

子供なのだからきっと馬鹿正直に日記に書くかもしれないと思っているのかもしれないし、日記の内容と生活姿勢を見て矛盾を感じるとその子供が施設の闇を感じていると判断し、早々に出荷させる判断材料の一つにしているのかもしれない。

 

毎朝、裸にさせてまで健康診断をしているのは、当然健康のチェックも含まれているのだろうが、商品となる子供たちの体つきのチェックも含まれており、お腹が出て肥満体になっていないか、脇の下の毛や陰毛の有無などがチェック対象だったのかもしれない。

 

子供にしか欲情できない変態からは『毛が無い子を望む』なんてオーダーが入っているとしたら、そうしたリクエストに応えられるようにしているのだろう。

 

もし、これらの推測が事実であるならば胸糞が悪くなる。

 

この施設の実態については後日調査を行い、事実だった場合それなりの償いをさせるまでだ。

 

まずは、束が連れてきた三人の少女たちの身の上を優先させることにした。

 

忍は彼女たちに月村家の養子になるか、それとも月村家を後見人として、成人するまで月村家で過ごすかの二つの選択肢を提案した。

 

彼女たちは互いに顔を見合わせ、どちらを選択するのか迷うが、

 

「わ、私と昴はこの家の養子にしていただきたい」

 

箒と昴は月村家の養子を選択した。

 

「昴ちゃんはそれでいいの?」

 

「わ、私は箒姉と一緒なら‥‥」

 

「分かったわ。星奈ちゃんは?」

 

「私は‥‥私は、後見人をお願いします」

 

「えっ?」

 

「星姉‥‥」

 

箒と昴も星奈はてっきり自分たちと同じ養子を選ぶかと思いきや、後見人の方を選んだ。

 

「理由を聞いてもいいかな?」

 

忍は何故、星奈は養子ではなく後見人を選んだのかその理由を尋ねる。

 

「私には夢‥‥と言うか、目的があります」

 

「目的?」

 

「はい。束さんにも言いましたが、実家が経営していた喫茶店『翠屋』を再建させ、料理でみんなを笑顔にすることです」

 

「でも、それなら養子でも良いんじゃない?」

 

「いえ、翠屋は代々『高町』の姓で継がれてきたお店です。忍さんの提案は嬉しく思いますが、私は高町姓で翠屋を再建したいんです」

 

「‥‥そう‥貴女の意志、確かに見届けたわ。貴女がそれを望むならこれ以上は言わない。月村は全力で貴女をサポートします」

 

「はい。ありがとうございます」

 

「星奈、その‥すまない。何だか私たちだけ‥‥」

 

「何を言っているんです箒。貴女は昴を守ると言う使命があるじゃないですか。その為には後見人よりも月村家に養子入りした方が昴の為になります」

 

「‥‥」

 

箒は自分たち姉妹だけが資産家でもある月村家に養子入りして逃げるような感覚で星奈に申し訳ない気持であったが、後見人を選んだのは星奈自身の意志なので、彼女は箒に『気にするな』と言う。

 

「さて、次はギンガさんの番ね‥‥束」

 

「はい」

 

「悪いけど、この子たちを案内してあげてちょうだい」

 

「えっ?」

 

「これからこの屋敷に住むんだから何処に何があるのか把握する必要があるでしょう?その間に私たちはギンガさんと話をするから」

 

「で、でも‥‥」

 

「その子たちを連れてきたのは貴女なのだから、ちゃんと責任をとりなさい」

 

「わ、わかりました」

 

「ノエル、ギンガさんをここに呼んでちょうだい」

 

「承知しました」

 

忍は束に箒たちの案内役を任せ、ノエルには別室で待っているギンガを呼んでもらった。

 

「ごめんなさい、待たせてしまって」

 

「い、いえ‥‥それで、あの子たちはどうなりました?」

 

「箒ちゃんと昴ちゃんは家の養子になることが決まって、星奈ちゃんは家が後見人を務めることになったわ」

 

「そ、そうですか」

 

自身の妹のそっくりさんが無事に引き取られることを知り、ホッとするギンガ。

 

「さて、次は貴女の番よ」

 

「は、はい」

 

「貴女の事はリニスからある程度の事は聞いているわ」

 

忍がギンガの情報について、彼女がガミラスとも異なる第三の星(世界)ミッドチルダの出身である事、

 

そこで、警察官のような職務についている事、

 

そして、ただの人間ではなく魔導師と言う魔法が使える事、

 

「し、忍さんはどうして魔法の存在を知っているんですか?」

 

「きっかけはリニスが来たことよ」

 

「リニスさんが?」

 

「ええ‥‥貴女もミッドチルダの人間なら使い魔については知っているわね?」

 

「は、はい」

 

「リニスはミッドチルダ出身の魔法使いの使い魔だったんだけど、前の主との契約が切られて、消滅する寸前に家に転移して、新たに束と契約を結んでいるの」

 

「束さんと!?」

 

「ええ。リニス曰く、束には使い魔との契約をするだけの魔力が秘められているみたい。まぁ、本人は魔法については興味があるもののあまり役に立つとは思っておらず、リニスが消えなければいいぐらいしにしか思ってはいないわ」

 

「そ、そうなんですか‥‥」

 

ギンガとしては勿体ないと思った。

 

ミッドチルダ出身ならば、当然使い魔を知っているが、その使い魔を維持するには莫大な魔力を必要とするので、恐らく束はミッドチルダだとA級以上の魔導師にランク付けされるに違いない。

 

しかし、地球は魔法が存在しない世界とされている為か束はミッドチルダの魔導師ほど魔法に対して興味がない様子。

 

「貴女としてはやっぱり、ミッドチルダへ戻りたいでしょうけど、あいにく地球は今、ガミラスとの戦時下で、しかもミッドチルダと言う星?の場所を探る手立てが無いのが現状なの」

 

「はい。それは地球へ来る前に聞いています」

 

ギンガとて今の地球の現状は理解している。

 

ガミラスと言う強力な異星人からの攻撃で地球人類は絶滅に追いやられている中、ミッドチルダの座標を探しに行くなんてとても不可能だ。

 

現状、ミッドチルダへ戻るには本局の“海”の次元航行艦がこの地球を発見でもしてくれなければミッドチルダには戻れない。

 

だが、それも確実ではない。

 

宇宙はあまりにも広大である。

 

故に管理局でも管理世界になりえる世界を探すために“海”は常に人手不足であることを局員であるギンガは当然知っている。

 

そんな砂漠の中から米粒一つを見つけるような可能性に縋るのは無理がある。

 

ただ、地球に残されている時間もあまりない。

 

冥王星での戦いで地球軍が破れたことで、地球に残された選択はこのまま絶滅するか、地球を捨てて新たな居住先を見つけることだ。

 

しかし、一漂流者のギンガにはそれらの件に係る権利などない。

 

ひとまず当分の身の振りを決めるぐらいしかできない。

 

「さて、それで貴女の身の振りだけど‥‥」

 

「は、はい」

 

「貴女には選択肢が一つしかないわ」

 

「一つ‥ですか?」

 

「ええ。おそらく貴女の安全を保障できる唯一の選択よ」

 

「‥‥」

 

「貴女はガミラスではなく、ミッドチルダと言う第三の星の出身だけど、地球人から見れば異星人であることに変わりはないわ」

 

「は、はい」

 

「今、地球はガミラスと言う異星人からの攻撃でこうなっている‥‥たとえ、ガミラス人でなくとも、異星人と言うことで貴女に危害を加える輩もいる可能性は十分にあるわ」

 

忍の意見は最もだと思うギンガ。

 

「そこで、私から貴女に提案できる選択肢は、月村家の人間になることよ」

 

「えっ?」

 

「ミッドチルダに戻る手立てが無い以上、そうするしか貴女の安全を保障できないの‥‥突然、こんなことを言われて困惑するだろうけど分かってちょうだい」

 

「は、はい。でも、大丈夫でしょうか?私のせいで忍さんや束さんたちに迷惑が掛かるんじゃあ‥‥」

 

「その辺に関しては大丈夫よ。軍の方には私や束から説明するし、知らない人から見ても貴女は地球人と変わりないから‥‥それに貴女はそこはかとなくすずかに似ているの」

 

「そう言えば、玄関で会った時もすずかって仰っていましたけど、すずかって誰なんですか?」

 

「すずかは私の妹で束の母親よ」

 

「束さんの‥‥お母さん‥‥」

 

「ええ‥‥ただ、束が物心つく前に亡くなってしまって、束は本当の母親という存在をあまり覚えていないの」

 

「‥‥」

 

「すずかが亡くなった後、私とリニス、そしてノエルが束の母親代わりとしてあの子を育ててきたわ。ガミラスとの戦争が起こり、あの子が軍人になるって言い出した時は一悶着あったけどね」

 

「その‥‥すずかさんって私に似ていたんですか?」

 

「‥ノエル、アルバムを」

 

「はい」

 

忍は後ろに控えていたノエルにアルバムを持ってくるように指示を出す。

 

そして、ノエルが持ってきたアルバムを開き、大人姿のすずかの写真をギンガに見せる。

 

はやてとディアーチェ、スバルと昴、ほどではないが、確かにすずかと言われる女性と自分は髪の色や長さからそこはかとなく似ている印象がある。

 

なのはと星奈も完全に似ているわけではないが、雰囲気とかが似ているので、それと同じような感じだ。

 

「すずかと似た容姿の貴女なら、月村家の人間だと言われても事情を知らない人なら十分に通じる筈だから大丈夫よ」

 

こうして、ギンガは箒と昴同様、月村家の人間としてこの地球で新たな生活を送ることになった。

 

後日、忍が例の施設に探りを入れたところやはり、箒たちが言っていたことは事実であり、施設の職員、関係者らは摘発された。

 

まだ施設に居た子供たちは無事に保護されて国が運営する正式な施設に引き取られたが、本来ならば救える筈の子供たちが沢山居て、その子たちの未来を閉ざしてしまったことに忍は心を痛めた。

再びリリカル世界のキャラを地球側につかせる予定なのですが誰がいいですか?戦闘機人らは確定しているのですが‥‥

  • Dr.スカリエッティ
  • エルトリア組
  • アインハルト&ヴィヴィオ友御一行様
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