内惑星艦隊の奮闘   作:島田愛里寿

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第十七話 対策会議・ヤマト追跡命令

 

内惑星系艦隊所属の輸送隊とヤマトの輸送隊が襲われ、謎の通信の内容が判明した翌日地球は大停電に見舞われた。

 

原因は金星のエネルギー集積システムが停止した事だった。

 

突然の停電で交通網は麻痺、リニア路線ではリニア同士の接触事故や脱線事故が起こり、火災や爆発を起こす建物もあった。

 

リニア以外の交通でも信号機能の停止に伴う事故が各所で多発した。

 

この停電で、改装中のヤマトの改装作業はストップし、それどころか、クレーンで吊り上げていた資材がヤマトに落下し、一部改装作業をやり直さなければならない部分さえもあった。

 

この時、日本は夜であり、突然の大停電で辺りは真っ暗闇になった。

 

古代は暗闇の中、車を走らせ、ヤマトや真田の事が気がかりで車内電話でヤマトが係留されている第三ドックへ電話を入れたが、繋がらない。

 

焦る気持ちを抑え、古代は車を第三ドックへと急がせる。

 

しかし、その途中、瓦礫で道が塞がれており、進むことが出来なかった。

 

古代が車から降り、道を塞いでいる瓦礫を睨みつつ、ふと空を見上げると、人工の明かりの灯らない夜の空をあのカブトガニが飛び去るのを目撃した。

 

 

 

「あれは!?あの時の‥‥」

 

 

 

それを見て、古代はやはり地球は何者かの侵略を受けつつあるのだと確信した。

 

 

 

大停電は翌朝までには何とか復旧し、朝早くから瓦礫や事故車両の撤去作業が行われた。

 

そんな中、アンドロメダは金星へと出発した。

 

目的はテスト航海及び金星エネルギー集積基地の事故調査だった。

 

ヤマトは改修工事を再開し、遅れた分のスケジュールを取り戻さんと、機関部では徳川が作業員と共に作業を行っていた。

 

そんな中、真田と束が防衛会議用に纏めた資料が出来上がり、真田と古代はオブザーバーとして、束とディアーチェは艦隊総司令官兼救助者兼艦隊責任者として出席した。

 

防衛会議は防衛軍司令部庁舎の会議室にて、防衛軍上層部と地球連邦政府高官との間で行われた。

 

 

 

「すると何かね?このままだとその彗星が地球に衝突する恐れがあるという事なのかね?」

 

 

 

彗星の資料を見た、政治家が防衛軍の幕僚に訊ねる。

 

 

 

「いえ、目下の所まだ詳しい針路は掴んでおりません。ですが、今のうちに対策を協議しておかねばと思い、この度、防衛会議を招集したわけであります」

 

 

 

防衛軍側は少々曖昧な答えとなる。

 

しかし、

 

 

 

「なあに、例え地球に接近しても先ごろ完成したアンドロメダをはじめ、波動砲装備の戦艦だけでも今や地球には数十隻、彗星の一つや二つ簡単に破壊してごらんにいれます」

 

 

 

軍の官僚の中で、参謀長の西郷は自信ありげに宣言した。

 

ヤマトの航海にて波動砲の威力は軍関係者ならば、ほとんどの者が知っている。

 

故に大型の彗星だろうと、防衛軍の波動砲搭載艦全てを当てれば、簡単に破壊できるだろうという自信が軍にはあった。

 

 

 

「大昔、ハレー彗星が接近したときにもそうした騒ぎがあったと聞きますぞ」

 

 

 

「はっきりとした針路が分からないのでは対策の立て様がないのではないか?公表して悪戯にパニックを引き起こすことになりますし」

 

 

 

政府はこの事実に関し、公表せず秘匿‥‥ひいては無視を決め込もうとしている。

 

 

 

「いや、古代艦長代理があえてこの資料を防衛会議に提出したのは地球だけの問題だけではないのだ。太陽系‥‥引いては銀河系全体に関係する問題でもある」

 

 

 

政治家どものお気楽思考に藤堂は待ったをかけるように発言する。

 

だが、

 

 

 

「しかし、長官、こんな不確かな情報だけで、事実を公表するわけにはいかんよ」

 

 

 

政府の高官はあくまでもこの件を無視しようとする意向を改めない。

 

政府高官のこの発言に古代はムッとした。

 

 

 

「くだらん、ガミラスとの戦争も終わった今、地球に危機などありゃせん、ありゃせん」

 

 

 

「やれやれ、人騒がせな話はいい加減にしてもらいたいですな」

 

 

 

(平和ボケ、ここに極まれり・・・)

 

 

(この者たちはどこまでアホなのだ・・・・)

 

束とディアーチェは怒るよりも呆れて何も言えなかったが熱血漢の古代はそうはいかず、遂にキレた。

 

 

 

「お訊ねします!!」

 

 

 

古代の大声は会議場に響いた。

 

 

 

「地球は宇宙の平和を守るリーダーではなかったのですか?」

 

 

 

古代はアンドロメダの進宙式で大統領がスピーチで言った言葉を言い返し、政府高官に問う。

 

アンドロメダの進宙式の様子は、古代はその日の夕刊で知った。そこには進宙式で大統領が演説したスピーチ内容も記載されていた為、古代はその内容を知っていたのだ。

 

古代はこのスピーチの内容と今の地球連邦政府の姿勢に矛盾を感じ、政府高官にこの言葉を問うた。

 

古代のこの問いに政府高官は少し顔を歪めた。

 

自分達より若い若造が何を偉そうなことを・・・・とでも思っているのだろう。

 

 

 

「古代、やめろ」

 

 

 

真田は古代を宥めるが、それでも古代の怒りはおさまらない。

 

 

 

「もし、地球人が真に、宇宙の平和と人々の共存を願うなら、あのメッセージの内容を真剣に分析し、解明して、宇宙の果てだろうと何処だろうと救済の手を差しのべるべきなのではなないのですか!?」

 

 

 

古代の主張に藤堂はジッと目を閉じている。

 

 

 

「やめたまえ!!いつまで英雄気取りでいるんだ!!君はオブザーバーだ。防衛会議を批判する権利はない!!」

 

 

 

一人の高官が古代を黙らせようと机を拳で叩いた後、古代を指さしながら古代に負けない程の大声で言う。

 

その言葉に古代は黙って唇をかんだ。

 

結局謎のメッセージ通信も白色彗星の件についても政府は一切公表せず、無視を決め込む形となった。

 

結局謎のメッセージ通信も白色彗星の件についても政府は一切公表せず、無視を決め込む形となった。

 

次に束とディアーチェが遭遇した輸送艦隊壊滅事件について話し合いが行われた。

 

束が証人として、経緯を話した。

 

当初は、ガミラスの残党の仕業ではないかと示唆されたが、現在の護衛艦とサラミス級・レパント級の能力ならば、ガミラス艦と十分やり合える能力を有しており、残党と言う事で、そこまでの数ではないと推察され、現場にはガミラス艦の残骸は確認されていない事からガミラス残党の可能性は技術者でもある束自身が否定し、古代同様ガミラスとは違う他の星系からの侵略者の仕業ではないかと示唆する。

 

しかし、この事件に関しても政府は未知の惑星の侵略者との仕業ではなく、ガミラス残党の仕業ではないのならば、反連邦政府のテロリストか海賊の仕業か単なる偶発的な事故だと言い、決めつける始末だった。

 

 

 

(防衛軍でさえ、まだまだ艦艇が必要な時期に海賊やテロリストが最新鋭の護衛艦を撃沈できる艦艇を用意できるとはとても思えない。防衛軍の艦艇がテロリストや海賊に強奪されたという情報も無い。それに輸送型コロンブス級3隻とレパント級5隻が一斉に事故?それこそありえないことすらわからないなんて・・)

 

 

 

束とディアーチェは何とか、輸送艦隊の遭難事件の件から謎のメッセージ通信と白色彗星の件を結び付けようとしたが、失敗に終わった。

 

この時、束とディアーチェは古代の時の様に政府高官や防衛軍上層部から生意気な小娘が、と思われたが、発言を途中で止めさせられる事はなかった。

 

両名はこの件に関してはオブザーバーではなく、ちゃんとした発言権を有しており、なにより束は世界中の政財界と深い関わりがある月村の家の出身者故、政府高官も下手に黙らせることは出来なかった。

 

遭難事件に関しては専門の事故調査委員会が設けられる事になったが、束とディアーチェそして古代たちは防衛会議の様子から真面目に調査しないなと思った。

 

古代や束たちの求めた結果とは180度違う形で防衛会議は終了し、三人は庁舎の休憩室へと入った

 

「くそっ!!」

 

 

 

古代は悔しさの余りに休憩室の壁に拳を叩き付けた。

 

 

 

「あいつら、最初からやる気が無いんだ。何が事故調査委員会だ。突然襲撃されたらどうなるんだ?しかも、それがガミラスを上回る敵だとしたら‥‥」

 

 

 

「古代君、落ち着いて。地球はようやくガミラスから破滅の魔の手を逃れ、平和を取り戻したんだよ?新たな敵‥そんなモノの存在を認めたくない地球連邦の高官連中の気持ちもわからない訳じゃないし」

 

 

 

「古代、月村、ディアーチェ、その事だが、先日の大停電の原因だが、どうも金星のエネルギー集積基地が破壊されたためだそうだ」

 

 

 

「「「破壊!?」」」

 

 

 

大停電の原因がシステムのエラーやショートならば、特に気にも留めなかったが、原因が何者かによる人為的な破壊工作ならば話が違う。

 

 

 

「テロリストの仕業か?」

 

 

 

「アンドロメダの調査結果を待たなければはっきりした事は分からんが‥‥」

 

 

 

「敵の攻撃を受けたのかもしれないな‥‥もし、それがテロリストではなく、侵略者による攻撃だとしたら、相手は確実にガミラス以上の力を持っていますよ!!」

 

 

 

地球は今、冥王星までの宙域に無数の監視衛星やパトロール艦隊を周回させ警備にあたっている。

 

それらの防衛ラインを難なく突破し、更に地球をすり抜け、金星の基地を攻撃するのだから、その技術はガミラス以上のモノなのは明白だった。

 

休憩室が重い空気の中、

 

 

 

「月村束さん、ディアーチェ・K・クローディアさん、至急、司令室へお越し下さい」

 

 

 

突然束とディアーチェの呼び出し放送が流れた。

 

 

 

「やれやれ、大方、政府や軍の上層部が煩い小娘は宙(そら)に飛ばしてしまおうって魂胆だろうね」

 

「まったく。政治家連中のやりそうなことだなぁ」

 

束とディアーチェは軍帽を被り直し、この呼び出しの目的と政府高官連中の思惑を呟き、

 

 

 

「それじゃあ」

 

「またな」 

 

 

古代と真田に一声かけ、休憩室を出て行った。

 

束とディアーチェが休憩室を出て行った後、古代は真田に現在の状況でもヤマトを飛ばす事は出来るかと訊ねる。

 

古代の質問に真田は瞬時に古代が何をしようとしているのかすぐに察しがついた。

 

 

 

司令室に出頭した二人にある命令が下された。

 

それは、二人の予想通り、内惑星系第一艦隊は本日18:00に出航し、第二・第三艦隊とともに訓練航海を再開せよと言う命令だった。

 

政治家の言いなりになるのは癪に障るが軍人は命令にしたがわなければならないので二人は渋々月面基地グラナダにもどり艦隊の再編と訓練スケジュール調整を行い第一・第二・第三艦隊を全艦抜錨させた。

 

その数日後ヤマトが離反したとの緊急連絡がきた。

 

 

 

 

内惑星系艦隊のグラナダ所属艦隊全艦が訓練航海に出てから数日後、

 

地球防衛軍司令部司令室にて西郷は藤堂にある事を報告する。

 

 

 

「長官、ヤマトに不穏な動きがあります」

 

 

 

「不穏な動き?」

 

 

 

「はい、現在、旧ヤマト乗組員が職場を放棄し、次々とドックに集結しています。ご覧下さい」

 

 

 

西郷がキーボードを操作しヤマトが係留されている第三ドックの映像をパネルに映すとそこには、旧ヤマト乗組員の制服を着た防衛軍軍人達がタラップを昇り次々とヤマトに乗艦していく姿が映っていた。

 

 

 

「おわかりでしょう!?直ちに退艦命令をだします!!」

 

 

 

「待ちたまえ、西郷君。あれは偉大な儂の友人の子供たちのようなものだ」

 

 

 

「しかし、これを放置すれば規律を維持する事は出来なくなります!!」

 

 

 

「う‥‥む‥‥」

 

 

 

「いいですね?長官?」

 

 

 

「やむを得まい‥直ちに退艦命令を出したまえ」

 

 

 

「はっ」

 

 

 

西郷はヤマトの乗員に退艦命令を出した。

 

しかし、ヤマトはこの命令を無視し、黙々と出航準備を進める。

 

そこで、司令部はドックの出入り口を閉鎖するもヤマトはゲートを吹き飛ばし、海中から出航していった。

 

次に司令部はヤマトに機雷攻撃と魚雷攻撃を仕掛けるが、藤堂の命令で信管は抜かれており、ヤマトは不発弾である機雷と魚雷攻撃の中を止まることなく、進んでいった。

 

海中、海上でヤマトを止める事の出来なかった司令部は続いて地球の周りに配備されている無人戦闘衛星を起動、これでヤマトを止めようとしたが、ヤマトは戦闘衛星を破壊、月をすり抜けて地球軌道を脱出した。

 

ヤマトが敢えて月の傍を通り抜けたのは、月方向には比較的、戦闘衛星の展開数が少なかったからだ。

 

これは月には大規模な駐屯基地がある為、この方向にはそこまで多くの戦闘衛星は配備する必要はないと言う司令部の盲点だった。

 

更に月基地所属の艦載機部隊がヤマトに合流。

 

そのままヤマト艦載機隊となった。

 

この部隊を率いていたのはかつてヤマト航空隊に所属していた加藤や山本らの航空兵が多く、ヤマトが行くなら俺たちも‥‥と言う思いの中、月基地を出撃しヤマトと合流したのだ。

 

この光景を見た西郷は憤慨する。

 

「月の艦隊は何をしている!?」

 

 

 

「衛星の破壊で防空ネットワークに乱れが生じています。出撃までには時間がかかるかと‥‥」

 

 

「グラナダはどうした!」

 

「そ、それが残留戦力はレパント級が5隻とバラクーダ級が15隻のみとの返答で・・」

 

バラクーダ級砲艦

基地防衛用の小型艦。レパント級にも砲撃特化型などが増えてはきたが『過剰戦力だろう』とごねた防衛軍上層部からの圧力でレパント級増産計画がつぶされたのに怒った内惑星系艦隊が新規で建造した。艦隊戦闘には加われないが警備用には有用な艦である。

 

 

【挿絵表示】

 

 

戦闘衛星が破壊され、防空ネットワークに乱れが生じた事により月の防衛軍主力艦隊の出撃は更に遅れる事となり、グラナダ所属の艦ではヤマトを追いかけるのは戦力的にも速力的にも無理だった。

 

 

 

「ぬうぅ~金星基地の土方艦長に連絡、直ちにヤマトを追尾させろ!!それと、ヤマトとアンドロメダの中間に位置し、合流できそうな艦は?」

 

「内惑星系艦隊の第一・第二・第三艦隊が分散しているものの展開しています。」

 

「よし、ただちに向かわせろ!」

 




実質的なヤマト追撃は次回です。

再びリリカル世界のキャラを地球側につかせる予定なのですが誰がいいですか?戦闘機人らは確定しているのですが‥‥

  • Dr.スカリエッティ
  • エルトリア組
  • アインハルト&ヴィヴィオ友御一行様
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