第十九話 氷室丸救助
地球に新たなる脅威が迫っている可能性が出てきた。
しかし、防衛軍上層部も地球連邦政府もガミラスがほろんだ今、地球に対しての脅威など微塵も感じていない者ばかり‥‥
だが、ヤマトが辺境パトロール終了時に地球への帰還途中、そして謎の危機を知らせるメッセージ‥‥
アンドロメダ星雲から太陽系に接近してくる謎の巨大な白色彗星。
金星エネルギー集積基地の機能の停止‥‥
まだ確たる証拠も確証もないが相次いで起きたこれらの事件から古代たちヤマトの乗員たちは地球に新たなる脅威が迫っていると確信し、反逆者の汚名を受けることを覚悟の上で新装されたばかりのヤマトで出撃した。
途中、防衛軍の様々な妨害を受けながらも一路、メッセージの発信源へと向かう。
地球へ危機を知らせたこのメッセージの送信者ならば、どこの誰が地球に脅威を齎すのかを知っている可能性が高いからだ。
火星圏で地球防衛軍艦隊旗艦、アンドロメダと束が艦長を務めるアナンケの追撃を受けたがアンドロメダ艦長の土方は古代たちヤマトを信じヤマトを捕捉していたにもかかわらず敢えてヤマトを見逃した。
その後、束たちは訓練校以来の土方のしごきを受ける羽目となった。
ヤマトがメッセージの発信源へ向かってから数日後‥‥
「‥‥束、まだ目が死んでおるぞ」
アナンケの食堂で死んだ魚の様な目をした束がぐったりとテーブルに突っ伏していた。
そんな束にディアーチェはコーヒーが入ったカップを差し出す。
「あぁ~油断してた~‥‥土方教官がヤマトを見逃したから、そこで解散かと思っていたのに‥‥」
「まぁ、我も久しぶりに鬼竜のしごきは堪えたな」
ディアーチェも苦笑しながら先日の土方との訓練を思い出す。
「他の乗員の様子は?」
「お前さん同様、グロッキー状態だ。新人の中には鬼竜のしごきを初めて受けた者もいるからな。まぁ、我々はマシな方だろう?」
「うん。アンドロメダの乗員には同情する」
他艦の自分たちでさえこの状態なのだから、土方が艦長を務めるアンドロメダはまさに死屍累々だろうと予想する束とディアーチェであった。
束たち内惑星系艦隊の面々がグロッキー状態となっている時、冥王星の沖合では一隻の民間宇宙貨物船が航行していた。
ヤマトの帰還によりガミラスとの戦争が終わり、地球人類はギリギリのところで絶滅を逃れた後、地球人類はイスカンダルからもたらされた放射能除去装置のおかげで再び生活圏を地上へと移し、僅か一年足らずで地球本土の復興を成しえた。
そして、地球人類はその勢いを殺すことなく太陽系内に存在する他の惑星や衛星を開拓していった。
それらの惑星や衛星には基地が建設され、資源開発が急ピッチで行われ、復興から繁栄へと転換された。
波動エンジンの恩恵は軍だけではなく、民間の空間輸送会社にも広がり軍の空間輸送隊だけでは賄えきれない輸送業務を民間に委託することで地球には沢山の宇宙鉱物物資がもたらされた。
それは今、宇宙空間を航行しているこの氷室丸も同じことが言えた。
「ほんの少し前までは、ここはガミラスの制宙権だったところをまさか悠々と航行できるとはな」
氷室丸の船長はしみじみとした思いで呟きながら冥王星周辺の星々を見ながら呟く。
冥王星にはガミラスの地球攻略基地があり、そこから連日にわたって遊星爆弾が地球へ投下され、地球を赤茶けた死の星へと変えていき、冥王星宙域は防衛軍とガミラス軍との古戦場跡だ。
絶滅寸前を経験した身として、自分たちを絶滅させようとしていた敵がかつて存在していた宙域をこうして航行しているのは考え深い。
「船長」
「ん?」
「宇宙観測局から気象連絡です」
通信士が船長に宇宙気象庁からの連絡事項が書かれた紙を手渡す。
「ふむ‥‥どうやら、この周辺の宇宙気象が不安定らしい」
「不安定‥‥と、いいますと?」
「微弱だが、重力バランスの乱れが観測されたようだ」
「速度をあげますか?」
「うむ‥‥いや、微弱ならば今の速度でも十分に回避することは出来るだろう」
船長は宇宙気象庁からの報告を特に気にすることもなく、予定通りの速度で航行を続けた。
しかし、時として宇宙は人類に過酷な運命をもたらすことがある。
宇宙気象庁が観測した重力バランスの乱れは収まるどころか急激に大きくなり、どこからともなく隕石の大群が氷室丸へと迫ってきた。
「船長!!流星の大群がこちらに接近してきます!!」
「何っ!?」
オペレーターがコスモレーダーで突如現れた流星群の報告を船長にすると、船長は慌てた様子で、
「全速前進!!急ぎこの宙域から脱出しろ!!」
ここで船長は船の速度をあげる指示をだすが、それは遅すぎた。
流星群は容赦なく氷室丸へと降り注ぐ。
「うわっ!!」
「くっ‥‥」
流星が氷室丸の船体に当たり、激しい衝撃が船内を襲う。
「遭難信号を出せ!!」
「りょ、了解!!」
氷室丸の通信士急ぎ遭難信号を送信する。
『 EMERGENCY EMERGENCY 』
氷室丸からの遭難信号は宇宙港湾局へと伝わる。
軍艦や軍の輸送艦は防衛軍司令部で運行が管理されているが、民間の貨物船は宇宙港湾局が管理している。
「貨物船氷室丸、緊急停止!!冥王星宙域3500宇宙キロ。シグナルレッド」
「機関損傷率大、出力低下」
「周辺の船舶への遭難信号を確認!!」
「待ってください。冥王星宙域4000宇宙キロにワームホールの出現を確認重力レベル上昇しています」
「周辺の軍艦へも救助を要請せよ!!」
ワームホールの出現により、民間の宇宙船では出力が足らず逆に吸い込まれてしまう可能性があり、そもそも流星群の中での救助では装甲板を有している軍艦の方が救助の成功率が高い。
その為、宇宙港湾局は周辺の防衛軍の軍艦に氷室丸の救助を要請した。
氷室丸の救助要請はアナンケも受信した。
アナンケの艦橋では通信長のギンガが束同様、グロッキー状態ながらも勤務をしていた。
「うぅ~‥‥この世界の宇宙戦士の人たちは非魔導師だけど、訓練内容は管理局の訓練校よりも上だったけど、本局の人もあんな厳しい訓練をやっているのかな?‥‥いや、ないかな」
ギンガとしても管理局の訓練校の訓練を経験したが、それを踏まえても防衛軍の訓練校の訓練レベルと先日のアンドロメダとの訓練は管理局の訓練校の訓練と比較すると厳しい訓練だった。
同じく宇宙へ出ている本局の“海”の次元航行艦の乗員たちもこれぐらいの訓練を艦内や他艦とやっているのかと思った。
だが、その思いを一瞬で否定した。
はやてと言う本局所属の魔導師と父の繋がりで知り合っていたが、そんな話を聞いたことがない。
そんなことを思っていると突如、SOS信号が入ってきた。
「ん?これは‥‥SOS!?」
ギンガは急ぎSOS信号の解析を行った。
束が食堂でディアーチェの淹れたコーヒーをズズズッと啜っていると、
「艦長、至急艦橋までお越しください」
「ん?何かあったのかな?」
「だろうな」
束はカップの中に残っていたコーヒーを一気に煽り、軍帽を被ると艦橋へと向かった。
「どうしたの?通信長」
「SOSです。艦長」
「っ!?」
ギンガから呼び出し理由を聞いて、束の表情が強張る。
「詳しい内容は?」
「こちらです」
「‥‥」
ギンガは束に詳細が書かれた紙を手渡す。
「航海長、進路変更冥王星宙域、3500地点」
「りょ、了解。進路変更」
束は急ぎ氷室丸の救助に向かった。
「通信長」
「はい。」
「宇宙気象庁からの情報は逐次確認して。どうやら遭難現場の近くにはワームホールがあるみたいだから」
「了解」
遭難現場に近づくと束は、
「これより氷室丸の救助には本艦と長門で向かう。そのほかの艦は待機」
ワームホールが近くにあるため、推進力が強い戦艦で現場へと向かう。
現場では流星群は収まっているが、ワームホールが近くにあるので救助を急がなければならない。
「長門と共に氷室丸の牽引を行う。船外作業は慎重ながらも迅速に」
氷室丸は流星群の流星の衝突で機関に深刻なダメージを受け、自立航行が出来ない状況となっていた。
そこで、船首側を長門、船尾側をアナンケで曳航することにした。
念のため、氷室丸の乗員は長門へと移乗してもらった。
「本艦及び長門、ともに曳航完了」
「よし、ではこの現場から退避する」
ワームホールはまだ消滅しておらず、どんな影響があるのか不明なので一刻もこの宙域から離れたかった。
「ワームホールに異常を感知!!」
退避しようとした時、ワームホールに異常現象が起き始めた。
消滅前に周囲にある物をホールの中に吸引し始めた。
「速力をあげろ!!吸い込まれるぞ」
「き、機関長、エネルギー増幅」
「あいよ!!」
長門もアナンケもホールの中に吸い込まれないように出力を上げるが、
「だ、ダメです!!推進力が落ち始めています!!」
長門もアナンケもワームホールに吸い込まれ始めた。
「くっ‥‥オーバーブーストを使って氷室丸を押せ」
「えっ?」
束はある決断をした。
それは氷室丸と長門をアナンケの船体を使って押してワームホールの重力圏外へと押し出すことにした。
しかし、それは莫大なエネルギーを消費し、無理をすればアナンケのエンジンがオーバーヒートして推進力を失えばあっという間にワームホールに吸い込まれてしまう。
しかし、長門には民間人である氷室丸の乗員が乗っている。
彼らを無事に家族の下へ帰すのは軍人たる職務の一つだ。
「艦長、それでは本艦のエンジンに異常な負荷をかけることに‥‥」
「いいから!!長門には氷室丸の乗組員が乗っているんだぞ!!」
「‥‥りょ、了解」
アナンケが氷室丸を押し、氷室丸が長門を押す形となる。
「月村艦長」
長門から通信が入る。
「長門はそのまま安全圏へ退避。僚艦と合流後、地球へ戻れ」
「し、しかし‥‥」
長門の艦長はアナンケを無視も出来ないのか煮え切らない様子。
「大丈夫だ。私は月村束だぞ‥‥こんなところで終わらない。氷室丸の人たちを家族の下に返してやれ」
「‥‥は、はい」
長門の艦長は悔しそうに顔を歪ませ通信をきった。
アナンケは氷室丸と長門を押し続けたが、ついに限界が来たのか推進力が弱まりホールの中に吸い込まれていった。
次回からしばらくステルス兄貴さんからのアイデア提供をもとにIS世界編になります。
(いわゆるコラボ?に当たるのかな?)
再びリリカル世界のキャラを地球側につかせる予定なのですが誰がいいですか?戦闘機人らは確定しているのですが‥‥
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Dr.スカリエッティ
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エルトリア組
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アインハルト&ヴィヴィオ友御一行様